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逆輸入評価

さて、今月から日経紙「私の履歴書」は美術コレクターのジョー・プライス氏となった。同氏といえばこれはもういわずもがな日本絵画の世界有数のコレクターだが、特に伊藤若冲などプラスコレクションとしてこれまでも数多くの作品を特別展等で提供してきた経緯がある。

伊藤若冲といえば私も個人的に好きな画家という事で当欄でも9年前から何度か取り上げて来たが、TVやメディアが散々煽った影響もあって昨年の「生誕300年記念 若冲展」は最大5時間以上の入館待ちの行列が出来て総入場者や1日あたり入場者も過去最高となるなど異常な動員を記録した経緯がある。

同氏の若冲との出逢いはニューヨークの古美術店で見た「葡萄図」とあるが、若冲は生前に「千載具眼の徒を俟つ」として誰も理解出来なかった細か過ぎる拘りがある自分の絵を一千年後に理解してくれる人が現われるのを待つと語ったそうだが、遙かニューヨークで一つの掛け軸に惹かれた審美眼を頼りに逆輸入的に世に知らしめた功績は大きく、そんな人物の背景が1ヵ月読めるのが楽しみである。


ハナキン復活?

当欄では昨年の12月に一度触れているが、先週から毎月末金曜日の仕事を午後3時をメドに切り上げ、消費喚起や働き方改革を促す官民一体のイベント「プレミアムフライデー」が始まっており、近所でも百貨店などこれに因んだ催し物が開催されている光景などを目にした。

此のイベントを商機と捉え旅行やホテル業界も様々な商品を投入、サービス、小売りも特別イベントを開くなどの動きが見られ消費取り込みに余念がなかったようだが、事前調査では歓迎はするものの特に対策は考えていないとする企業が約45%との一部報道も見掛けられ、果たして如何ほどの企業がこれを実施出来たのであろうか?

経済効果は一回で1200億円との試算も某シンクタンクから出ているようだが、月イチ2時間ほどの時短とはいえ実施するのが難しい企業が数多あるのが現状。次回のプレミアムフライデーは3月31日、こんな年度末にはたして如何ほどの企業が仕事を3時に切り上げる事が可能なのか見ものだが、今後もこの動向を追ってみたいところ。


難攻不落?

昨日の日経紙夕刊一面には「英独取引所 統合に暗雲」と題して、一昨日に英ロンドン証券取引所(LSE)グループがドイツ証券取引所との経営統合に関して規制当局である欧州委員会の承認を得られない見通しになったと発表した旨が記事になっていた。

ロンドン証券取引所に絡む案件ではまたかといった感じだが、それもそのはずLSEといえば今から約10年前に米ナスダックがTOBを試みたものの株主の圧倒的多数が応じず失敗し、その数年後に今度はカナダのTMXグループが2月に対等合併案を発表したものの、プロクシー投票結果が株主の三分の二の賛成票を得られなかった事でこれまた合併合意が撤回になった経緯がある。

このLSEグループとドイツ証券取引所の経営統合に向けた動きについては当欄でもちょうど昨年の今頃に「再編機運と壁」と題して取り上げた事があり、その時も上記のようにTMXの数回の破談案件ならずドイツ証券取引所もユーロネクストとの統合話が白紙になった旨を書き規制当局の壁含め国境を越えた合併は一筋縄ではいかないとも書いたが、いつの日かLSEも縁談が現実になる日が来るのか否か今後の動向を見守りたい。


リスク恒常化

さて、先週はFOMC議事録要旨公表後にドルが主軸通貨に対して下落し金が時間外取引で上昇する場面があったが、先週末の日経紙マーケット面にも「金買い、欧州選挙を意識」と題し、春先からのオランダ総選挙や仏大統領選など欧州選挙で金の国際価格が上昇基調を強める可能性が出てきた旨が書かれていた。

この辺は勿論のこと、昨年のブレグジットやトランプ大統領候補当選等の大衆迎合気運の台頭による予測不能のリスク回避の動きの長期化が背景にある裏返しだが、CFTCの発表ではニューヨーク市場の投機筋の金先物買い越し幅は年明けから今月はじめ迄に約20%増加、長期保有が前提のETF等も代表格のSPDRゴールドシェアが1月末で約799トンだったものが先週段階では841トン強になったという。

ところでSPDRゴールドシェアといえばもう一つ先にイスラム法に適合するか否か曖昧だったETFが、WGCの活動も下地となり助言会社の権威から最近お墨付きを貰った旨も報じられており、この認定でこれまで二の足を踏む姿勢から追い風に変わりイスラム圏からの投資も活発になる事も予想されこの辺と併せて今後の推移にも注目しておきたい。


群がる

さて、一昨日の日経紙夕刊には「投信保有7年ぶり長さ」と題して、個人投資家が運用実績を吟味して選ぶ傾向が浸透したほか投信を長く保有する傾向になった旨が載っていたが、投信で思い出したのがちょうど一週間前にたまたま見かけたここ数年人気を誇っているひふみ投信を取り上げたカンブリア宮殿であった。

冒頭から3年間で500万投資した資金が約300万プラスに!100万円が4年で2倍!と景気のいい話が続きそれを販売した高木証券の外務員もすごいですよねと成績自慢満載で、投資の儲けで海外旅行をしているという外国人観光客も織り交ぜタイトルからしていかにも一般が食い付き易そうな構成に仕上がっていた。

翌日に同投信の購入者が殺到したどうか知る由もないが、番組中で取り上げた銘柄群は果たしてというか明らかに群がり具合が顕著であった。放映直後のPTSが既に反応していたのはさておき、例えば第三位の大株主に名を連ねるまで保有を進めたというマザーズ市場のWASHハウスなど翌日の寄りが6,700円だったものが本日は年初来高値更新で9,010円の高値まであり僅か5営業日で3割以上も急騰している。

他にもニイタカや朝日印刷は放映日翌日に揃って年初来高値を更新、更に番組最後に「投資は自己責任で」とコンプラ対応バッチリのスーパーと共に投資セミナー最後に見られるお約束のような大ブレイク寸前企業は?との問いに答えた薬王堂が、放映翌日には出来高が前日の約10倍に膨らみ連日の続伸で本日も年初来高値を更新、大義名分は長期資産形成の投信特集だろうがそんな番組も短期筋のイナゴのエサとなる様は今のマーケットを或る意味如実に表していると言えるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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