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外食業界模様

さて、一昨日は日本マクドナルドが調達先工場による消費期限切れ肉使用や、商品への異物混入で大きく傷ついた信頼の回復を図るべく、母親がメニューの安全性について議論し店舗や加工工場などを確認する「ママズ・プロジェクト」なるものを開始すると発表している。

同社といえば度々当欄でも取り上げてきたが、株式市場では先週に同社の時価総額が「すかいらーく」に抜かれた事が話題になっていた。これはすかいらーくがMBOによって上場を廃止する以前の2006年9月以来、約8年8ヶ月ぶりの事だという。もともとこのMBOは業績低迷に因るものであったが、再上場後は主力のガスト好調から快進撃が続いている。

まさに今の外食業界の明暗図が如実に表れた現象ともいえるが、本日の日経MJもフロント特集が「常連2割の乱」と題して牛丼値上げに踏み切った各社の裏で客離れが顕著になっている旨が載っており、外食業界におけるマーケティングの巧拙が今後明確化してくるだろうか。


PGM爬行色

本日の日経紙商品面では「パラジウム1割高」と題して、パラジウムのニューヨーク先物価格が直近安値の3月下旬と比べて1割高くなり2ヶ月ぶりの高値を付けてきている旨が載っていた。1日公表の米新車販売台数が4月としては10年ぶりの高水準となった事でガソリン車向けの需要増加を見込んで買われたもの。

パラジウムに関してはつい最近まで生産国である南アのスト終結やら同国通貨のランド安を追い風に供給が順調に進んでいる上に、米国の利上げ観測も燻っている事を背景に軟調相場が長引くという観測が一般的であったものだがやはり先は読み辛い。通貨に絡んでの現地の減産棚上げやもう一つの生産国ロシアの動向もあり様々な角度から推測が要求される。

一方で同じPGM系でもディーゼル車に多く使われるプラチナは消費の中心である欧州景気の先行き不透明感から買い手控えられて年初比で5%安い現状。こちらも低迷長期化が言われ長らく金に対して下鞘久しいが斯様に同族でも爬行色が出てきた。株式市場でもこの辺が顕著になってくるのかどうか併せて注視しておきたいところだ。


安穏とは限らぬ東証一部

本日の日経平均は大幅続伸となったが、そんな市場で寄り前から3,000万株以上の売り物を浴びて一際目を引いていたのは経営再建中のシャープ株か。一部で伝えられている通り先週末に99%以上の大幅な減資により1,200億円以上ある資本金を1億円にまで減らすという財務改善策がサプライズ視されてのこと。

原資で累損を一掃し、資本金の1億円変更で中小企業扱いになる為に各種税制上の優遇措置も受けられるというがなんとも苦肉の策を持ってきたものだ。しかしかつて液晶を凌駕した東証一部電機大手の変貌を見るに現実の厳しさを実感するが、現実の厳しさといえば東証一部からはもう一つ江守グループHDも直近で破綻している。

この江守グループHDで今年に入ってからの上場企業の破綻は2社目となってしまったが、1社目のスカイマークと共に奇しくも負債総額までピタリと同じ額だった。しかし魑魅魍魎の新興株ではなくかつてJPX400に選定されたり優良株のレッテルで大手投信も大量保有していた東証一部株がこんな最後になってしまうとはつくづく現実を実感する。

そうそう、本日は同じ東証一部でシャープと共にストップ安の寄り付きとなったものに東芝もあったが、こちらは不適切会計の影響で前期業績予想を未定にし無配修正となった事に因るもの。寄り付き後に1円のリバウンドも無くすかさず更なる大量の売り物を浴び8,000万株以上の売り物残しで引けているが、東証一部とて昨今はどこからお化けが出るかわからない市場になってきたか。


限日取引再び

さて、連休明けの本日から東商取では「東京ゴールドスポット100」がスタートした。所謂これは金の限日取引で対象は先物価格から算出した理論価格となるが、この取引はなんといってもFX等と同様に先物の特徴である取引期限が無いのが最大の特徴である。

かつて限日取引といえばTOCOM時代に「日経・東工取商品指数先物取引」を登場させ取引にはこの限日取引を始めて採用した事があったが、鳴り物入りで登場した割にはリクイディテイーの確保が上手くゆかず、限日を限月に移行するなどの迷走の末に試験上場中に上場廃止にしてしまった経緯がある。

あれから3年を経て再度の限日取引登場という事だが、上記の通り同取引は理論価格、「日経・東工取商品指数先物取引」ではこの理論値と約定値が乖離してしまう問題点が指摘されていたが、この辺の透明性をどう持たせるかが課題か。おりしも東商取では全体の売買に占める金のシェアが2009年5月以来の低水準にまで低下しているが、同取引がカンフル剤になるのか否か注目してゆきたい。


ポスト初

祭日明けの日経平均は連休控えのなか、米景気の先行き不安や欧州株安を嫌気し前場は急反落となっていたが、後場は加えて日銀金融政策決定会合結果も現状維持となった事から更に一段安で500円を超える下げとなった。こんな時は万遍なく売りが広がるが、中でも比例配分のストップ安で目を引いたのは京王ズであった。

これは周知の通り一昨日に東京証券取引所が5月29日付けで上場廃止にすると発表した事に因るものだが、とうとう特設注意銘柄指定から初の上場廃止が出る事になった。当初内部管理体制等の点で長期にわたって著しい不備が認められた為の同ポスト入りだったが、直近でも元代表への不正な資金流出が発覚し執行猶予もこれ以上はというところだったか。

現在の特設注意銘柄には今月中旬に「上場ゴール終焉?」の題で先に挙げたマザーズのエナリス、また新興市場だけでなく東証一部からはあのリソー教育も入っているが、誰が見ても債務超過等で決定的パンクというより未だ生きている状態での上場廃止はほんとうに匙加減という印象は未だある。

かつて内部管理体制に問題ありとしてあのオリンパスもこの特設注意市場に入れられていたが廃止措置は免れ今や優良株、また日興コーディアルGも免れたが同じ犯歴?のライブドアは有無を言わさずの上場廃止であった。上記の京王ズは上場以来まともな決算が無かったとの噂だったが、確かに昨今のIPOゴールとされる現象を見るにこうした懸念は消えず、セカンダリー以前の精査徹底は投資家保護の観点から今後の課題ともいえる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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