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乱高下で人気

本日の日経紙マーケット面には「値幅2倍 ETF売買最高」と題して、相場が9月下旬の高値から大きく変動する中、個人や海外投資家が短期の値幅取り狙いの売買を積極化させ値動きが株価指数の2倍になるレバレッジ型ETFの商いが膨らんでいる旨が載っていた。

今月の月間売買代金では「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が過去最高を記録と載っていたが、昨年の夏場も日経平均が乱高下を繰り返していた時のETF売買代金が上半期で前年同期比4.3倍に上っていた事が思い出され、斯様に数年前に登場して以降このNEXTシリーズは常に上位にランキングされている。

当初はその構造上長期保有にも向かずマル信未満といった中途半端?なレバでここまで売買代金を集めるとは想像もしなかったが、貸借モノも増加し短期筋中心にけっこう需要があったということになる。そんな事からアジア圏で売買が最多に膨らんでいる模様だが、こうした背景にはこの手のレバレッジ型の寄与が大きく関係しており選好性を測る上で今後も注目されよう。


遺伝子検査の行方

昨日の日経紙には「病気の傾向知って予防」と題して、消費者が直接ネットなどで検査を申し込んでその結果も受け取れる「直接販売型」の遺伝子検査が増えている旨が載っていた。前々から都心のアンチエイジング等を謳う自費診療主体のクリニック等でこの手はあったが、今年になってからモバゲーのDeNAがDNA解析に参入したりでにわかに話題になった感がある。

話題作りを後押しした件でもう一つ、女優のアンジエリーナジョリーがこの検査で乳がん発症リスクがあるということで乳房切除手術まで実行した件も思い出す。彼女がやったであろう超高額な検査はさておき、最近では分析器の価格下落もあって検査料も格段に安くなった事が上記の普及に繋がっているだろうが、現段階では提供会社によって解析結果は異なったものとなる部分もあり他にも医師法に絡んだ問題で中途半端な部分も出てくる。

しかしこの検査、自覚症状も無いときに任意で健康管理の一環で調べる人間ドックとはまた異質のもので、上記の未統一な部分と併せ消費者も一寸検査してみようとの思いが頭をもたげる一方では心情的にいろいろと逡巡する部分もあるのではないか。

消費者の心情もさることながら管理面での懸念も。例えば先のベネッセの如くこの手の情報が魑魅魍魎のブローカー経由で保険会社などに出回り、隠密裏に共有されるような事態もないとはいえないのではないか?ある意味更に究極の個人情報だけにこの辺がどう発展してゆくのか興味深い。


成長戦略の行方

本日の日経紙には「混合診療、大病院に限定も」と題して、政府が公的保険のきかない薬や技術も患者と医師の合意等を前提に健康保険診療と健康保険外診の併用を包括的に容認し、身近な医療機関で少ない費用で使えるようにする所謂混合診療の仕組み作りが始まった旨が載っていた。

これまで混合診療に関してはここ数年議論がなされてきたが、同紙には厚労省が示した案はこれが事実上大病院での実施に限られ「身近」が遠のく可能性があるとしている。同省はこれまで療養の給付原則は崩さずと一貫して慎重論を貫いているが、歯科等は事実上混合診療、最近ではボトックスも対象になってきており斯様に患者の選択肢が広がるメリットは多大で是非身近な医療機関への浸透を望みたいところでもある。

ご存じの通り混合診療は安倍政権の成長戦略にも盛り込まれているが、同じ成長戦略の一環として女性活躍を掲げその看板大臣として抜擢された前小渕経済産業相や、松島法相といった女性閣僚が就任数か月で相次ぐ辞任という失態を晒している折、こちらも既得権益の壁になし崩しになる等の事態は避けてもらいたいところ。


PKOと言われぬ為に

本日の日経紙社説には「公的年金運用の信頼高める改革を急げ」と題して、政府が公的年金の運用を現在の国債中心の運用から株式等の価格変動の大きい資産へ比率を上げる改革を進めようとしている旨が出ていた。

この辺は先週末にかけての日経平均大幅続落の翌日にタイミングよく同紙の一面にも「公的年金12%から引き上げ調整」と出ていたが、ここに書いてあったように仮に運用比率目安を20%台半ばまで高めるとなれば単純計算で8兆円の株買い需要が発生、また上限まで活用すれば国内株を最大30%程度保有する事となる。

GPIFも面子刷新で斯様に機運がまさに高まったといえようが、ここの動きが魑魅魍魎のマーケット参加者に利用された場合投資家間でも優劣が生じるアンフェアな事態も想定される。また上記のようにGPIFが大株主になり得る事は、何度か取り上げた日本版スチュワードシップ・コードと絡めて矛盾する部分もある。

社説の末尾には公的年金で株価維持という不健全な印象をもたれる事は避けたいとの一文もあったが、情報開示の扱いの難しさはあるものの一昔のPKOを彷彿させないような透明性のある改革が求められようか。


脱白金

本日の日経紙には「燃料電池車の触媒安く」と題して、帝人が自動車各社が市販を検討する燃料電池車向けに、高価な白金の代わりに割安な鉄と窒素を使う触媒を開発した旨の記事が載っていた。

この白金を使わない燃料電池車といえば、上場企業ではかつてダイハツ工業も産業技術総合研究所と協力し白金を使用しない新しい燃料電池を開発、パナソニック子会社も白金を使わないディーゼル排ガス触媒を開発、トクヤマもその関連を進めている。また、大学も九州大学の研究グループがニッケル系を使用した安価な触媒を開発し群馬大学、千葉大学もこの辺に着手している。

白金といえば産出国が南アやロシアに偏っている事などからそれぞれ先のストライキや政情不安で高騰したのが記憶に新しいが、こうしたことからも安定調達出来る安価な素材代替が共通の課題となっている。上記触媒は今のところ性能が現在の70%にとどまるものの、改良して従来の白金以上の性能を目指すといい日進月歩の技術だけに今後大いに期待したいところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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