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巨体操作?

先週末に入ってきたニュースに、中堅証券であるむさし証券の自己売買部門運用担当者がTOPIX先物で相場操縦していた疑いがあり、証券取引等監視委員会が担当者を行政処分するよう金融庁に勧告する旨があった。日経紙夕刊でもこれが一面に取り上げられておりなかなか目立っていた。

この相場操縦、昨年の7月と9月で大きく2回に分けそれぞれ成立させる意思のない買い注文を大量に出し、上昇前に仕込んだ先物を売って不正に利益を得たという所謂「見せ玉」行為ということで、課徴金はこの不正利益とほぼ同額の543万円とか。

しかし個別銘柄ならまだしも、こんな巨体の株価指数を相手に失礼ながらこんな中小クラスの個人ディーラーが裁定機能を退けてまで操作出来たのだろうか?大物の操作といえばLIBORや先に書いた金相場を不正操作した一件があったがこれは英金融大手バークレイズの話である。

この手での不正摘発は初めてとのことであったが、上記のようなワケで私も個人レベルでのこんな巨体の相場操縦など聞いたことがない。ある種の権力を持つ外資か大手のアルゴでも邪魔して逆鱗に触れたのかと下種な勘繰りもしたくなるが、突然降って湧いたような1年近くも前の話に一寸違和感を覚える。


物言う株主復活?

ここ近年日経紙の投資情報欄等には、小さいながらも企業が敵対的な株の買い占めに対する買収防止策を廃止する旨の公示がよく出ているのに気付く。このような買収防衛策廃止決定企業を除く同策導入企業は先月末段階で498社と500社を下回りこの現象は平成19年末以来、約6年半ぶりという。

さて敵対的買収といえば所謂物言う株主だが、今週は金融庁が投資先企業との対話を通じて経営改善を促す「日本版スチュワードシップコード」なる行動指針を導入する機関投資家が先月末時点で127になったと正式発表している。こちらは物言わぬ株主とされる国内機関投資家の経営監視圧力を高め企業に手元資金を使って貰おうという枠組み。

先週末の日経紙スクランブルにも「配分迫る強気の株主」と題し、投資ファンドが配当などの利益配分強化を企業側に求める動きが書かれていたが、ここ最近の株高を背景にこうした動きが再度出てきているという。

上記の投資ファンド代表がかつて在籍していたのはあの村上ファンドであったが、思えば同ファンド全盛の頃が懐かしい。彼らの姿勢も形態を変えつつあるかどうかだが株主総会の案内が届くこの時期、この日本版スチュワードシップコードの行動原則がどの程度意識されているのか各社の姿勢も注目されるところ。


外堀

本日の日経紙商品面には「世界の商取、売買高減少」と題して、5月の売買高がNYMEXでは23%減少、ICEでは15%減少するなど米国や欧州の主要市場で軒並み前年実績を下回った旨が載っていた。金融規制改革法の影響等もあり、銀行が商品事業から撤退した動きも一因という。

この辺は東商取も同様で同売買高は36%減少と更に顕著で、昨日は1日の売買高が17年9か月ぶりの水準に落ち込んだ模様。こうした背景が大きく響いて先に同所が発表した2014年3月期の連結最終損益は9億1200万円の赤字となっていた。

目下のところ総合取引所の実現が課題となっているが、同所の記者会見では「器だけ整備しても効果は限られる」と述べ従来の慎重な主張が繰り返されていた。この構想を巡っては政府の日本再生ビジョンが注目されているところだが、近々実現に向けて外堀が埋められてゆくのかどうか目が離せない。


金融シティを謳うなら

本日の日経紙金融面には「NISA恒久非課税に」と題し楽天証券やコモンズ投信等の証券・資産運用会社のグループが、NISAの非課税期間の恒久化を軸に個人投資家が資産形成し易い環境作りへ向けた制度の拡充を促す提案書をまとめた旨が載っていた。

NISAが登場した当初からこの辺はかねがね言われてきたことだが、これまで枠の拡大など他の部分での微調整検討にとどまり依然として積極活用という域ではない。マル信適用などこの辺は腕に覚えのある向きという層になるだろうが、損益通算などは非課税期間と並ぶ基本事項であると思われる。

目下大手経済シンクタンク等を中心に東京をアジアを代表する国際金融センターに発展させるための提言「東京金融シティ構想」など動きが出てきているが、ロンドンに憧れるなら先ずは足元のもっと柔軟な受け入れ整備が先決事項だろう。


期待何処まで

昨日の日経紙羅針盤には「官製グレートローテーション」として、公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、約130兆円の運用資産のうち過半を占める国内債券への投資を減らし日本株などを買い増す模様との件が書かれていた。

今でこそ大台を回復するまで全般嵩上げとなっている株式市場だが、これまで売り込まれたあとの反発はなにかとこのGPIFの思惑に絡んだものが度々あった。それもそのはず運用比率の1%引き上げで1兆円の資金流入が見込めるワケだからインパクトは大きく、昨年末からの見積もりでは2割前後までの買い増し余地があるという事でそのまま反映させれば約3兆円の買い増しということになる。

日本がデフレを脱しつつある事で債券への投資偏重を改めるとの機運というがなるほど現況で10年モノ国債なんぞで年0.5%台、これが金利上昇局面であれば値下がりリスクもそれなりなものになってくるわけで、その辺から現況の株式配当利回りを考慮するにやはりまだ魅力的な対象ではある。

同紙末尾にはGPIFの買いに合せて先回り買いの利食い売りが浴びせられる可能性もとあったが、それを呑み込み更なる上昇となる資産効果を発揮出来るか否か企業側にも課題はある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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