438ページ目

粛々と積増し

本日の日経紙商品面には「中央銀、なお金買い高水準」として、4月の買越量が7ヶ月連続で節目の30トン以上となるなど新興国を中心とした世界の中央銀行の金買い意欲が依然として衰えていない旨が載っていた。

同記事では4月の金輸入国はロシア、カザフスタン、トルコ、それにアゼルバイジャンの4カ国で経済成長から外貨準備が増えている国との指摘があったが、中国からも目が離せないとしていた。かつて中国は金準備を大幅に拡大し、いずれ米国と同水準まで引き上げるべきとの見方をした経緯があったが、3月の香港からの金純輸入量は前月の2.2倍に膨らむ等この辺は肅々と進行している感がある。

先週放映された日経チャンネル「アベノミクスと世界経済そして金」でも新興国の公的金保有を示したパネルのトップになっていたが、金融政策をめぐっては相異なる二つのリスクを擁していると長らく言われてきた同国、今後もそのバイアス如何ではこの金と絡めてさまざまな思惑もまた出てこようか。


ぶれない強気

さて、先週末の各大手紙で一寸目に付いたのが、「ルイ・ヴィトン」が日本で販売する革製品を7月1日から平均で8%値上げすると発表していた件か。円安・ユーロ高貴重が続いており輸入コスト上昇分を価格に反映させるとのことだが、ここは確か他の先陣を切って今年の2月にも平均で12%の値上げを敢行しているからはや2度目の値上げである。

しかしこのヴィトンといえばざっとではあるがここ10年位の間に10回以上値上げしているが、値下げしたのはリーマンショックのあと等含め2回程度ではなかったか?昨年の超円高下でも値下げはせずこの円高前の水準に戻ったところではすかさず立て続けに2度の値上げなんぞを見るに狐につままれているような感さえある。

とはいえまあ常識的にハイブランド系はブランドイメージの問題から値下げに関してはどうしても躊躇するのが自然なところだが、アベノミクス効果で高額消費が好調、加えて消費税引上げの背景もあって影響は軽微との勝算もあったのだろう。

今年1発目の時は他ブランドの間ではけっこう強気との声も出ていたが、果たしてその後ハイブランド系では翌月に「シャネル」が平均で5〜6%引上げ、その翌月には「カルティエ」が平均10%、「ティファニー」も平均10%前後、また「ハリー・ウィンストン」も追随して値上げが行われた経緯があるが、今回もまた他の追随あるや否やその動向に注目である。


通常銘柄へ復帰

さて、今週は東京地検特捜部がオリンパスの粉飾決算事件で粉飾を指南した野村證券OB含む指南役3人が再逮捕されたが、もう一つこの同じ日には当のオリンパスを東証が内部管理体制に問題がある「特設注意市場銘柄」指定をオリンパス側が提出した所定報告書をもとにした審査で問題はないとして解除している。

ちなみに特設注意市場銘柄は指定後3年以内に改善なき場合上場廃止になってしまうが、同社の場合は指定から約1年半で解除になった。当の株価の反応は当日こそ一寸急伸したものの本日は急落し往って来い以下になっているが、今迄内規等から投資を手控えてきた機関投資家物色が再開される思惑とはいえ脛に傷持つ銘柄として指標面で個人的には随分と割高なところにきたなという感も。

その辺はともかくも今回の件ほどバブル期の副産物が表面化し、コーポレートガバナンス問題を考えさせられたケースはない。はれて普通の銘柄に復帰を果たしケツは上手く帳尻を合せた格好になったが、消えていった日興証券やライブドアと何処が違ったのだろう?闇に葬った感が強いものがあれこれありすぎて明朗でないというか釈然としない部分が残ったのは否めないが、世間は斯様に回っているということだろう。


初の500万枚突破

本日も先物・オプション取引のSPAN証拠金額変更のお知らせメールが来て証拠金管理には十分注意するよう云々と記されていたが、しかし一頃から比べるとこの証拠金も随分上がったものだなと。ところで日経平均オプションといえば大証が週明けに発表したところによれば建玉残高は7日に1989年6月の取引開始以来、初めて500万枚を超えたらしい。

今、日経紙では投資・財務面に「先物・オプションのからくり」として初心者向けに解説が行われているが、先の同紙でも「相場急変 先物も使いよう」と先物を使ったヘッジ例紹介の記事が出ていたのは月曜日に書いた通り。一昔前と違ってこうして頻繁に登場する機会が増えてきたのも建玉増に貢献しているのかもしれない。

前にも書いたように一頃のセルボラの効率が良かった時と違って、昨今はIVも高止まりしタイムディケイで食われて気がついたら溶けていたという景色の変化も感じられる。即ち初心者が入り易い単純なロングでも一夜にして大化けする機会に非常に恵まれているということでもあり、週末のメジャーSQを控え一層の厚みが出てくるのではないだろうか。


コメを巡る動き

本日の日経平均は円相場の再度の上昇でパッとしなかったが、序盤ではイハラケミカル、クミアイ化学、北興化学等の農業関連が急伸する場面があった。これら政府の戦略市場創造関連の一角として何度も囃されているが、先の日経紙には農業を成長産業にするために「コメ偏重 再考のとき」としての記事も目に付いた。

そういえばこのコメといえば、先月末には今年8月に試験上場の期限を迎えるコメ先物取引の本上場への移行が見送りとなる可能性が高まっている旨が報じられていた。低迷する商いの中、価格乱高下はない等という有識者委員会の意見も苦しいところだが生産者側も試験場上中では参入する気にならないと断る理由にされている感がないわけでもない。

今迄再三取り上げてきたように一向に反対派のJAグループと溝が埋まらない中、東穀取は杜撰経営で解体、このコメだけが堂島へ移管され肝心の取引は上記の通り当初見込みの3割以下にまで低迷している現状ではこうした観測が出てくるのも致し方無しだが、内だけの動きとしてこれ以上の進展は難しい感も。所謂外側からの動きがあるや否や今後はこの辺に注視か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31