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経産省に翻弄される企業

さて、先週末の日経紙一面を飾った記事に、インサイダー取引疑惑で元経済産業省幹部が逮捕された一件が載っていた。この手の疑惑については当欄でも「情報は一流であったが妻の口座を使う等、張り方が三流もいいところでまだまだ素人〜」と書いた事があったが、規模が小さいわりに公職の特権悪用とされているだけ世間の風当たりが強い。

そのインサイダー銘柄となったエルピーダメモリだが、現在再建中の同社は今年3月末まで計450億円の社債償還、金融機関には約500億円の融資返済が必要な他、4月上旬にはメガバンクなどからの協調融資の一部約770億円の返済期日も迫っている。まるでイタリア国債の如くの爆弾を抱えている状況で、産活法適用の期限切れを3月末に控え再建計画の練り直しで産活法の再認定を狙っているが、こんな一件で再認定を主導し辛い雰囲気など出て再建支援に影響が出てくるような事態になればこれは迷惑な話である。

経済産業省が絡む企業といえば渦中の東電なんぞもまた然り、目下のところ再建計画も課題山積みのまま山場を迎えるがそんな中でもこのスキームを巡っては各紙の報道もバラバラのリーク合戦である。これは結局のところ政争の具にされているということで、政府が一枚岩になっていないことの表れというのは疑う余地が無い。

両者共にもはやコンサバ系の投資対象銘柄ではないものの、果たして株価の方は上記を嫌気する格好でボロボロの様相。政府が一枚岩で纏まり、また雑魚クラスのスケープゴートもなければまた株価も違った展開になっていたのかもだが、こんな愚に付き合わされる株主もまた可哀想である。


歌会始

本日の株式市場は3営業日ぶりに反落となったが、依然として狭いレンジでの動きが継続している。そんな中で今週派手に乱高下の動きが目立っていたものに橋梁系がある。日本橋梁の連日の急騰始めとして東京製綱も急騰、これらもともと大発会以降出来高が急増しており放り上げの準備が進んでいた感じだが、上手い具合に首都高速道路の大規模補修構想がこれと前後して伝えられるなどお約束のように材料出現となった。

さて、この手の物色でもう一つ連想されるのはやはり新年の皇室行事「歌会始の儀」で、ちなみに今年のお題は「岸」。上記銘柄以外にも五洋建設やそのまま岸が付く川岸工なども突飛高したりで、上記銘柄含めて岸から連想されるものが循環物色されていたような感もあるが今年の場合復興需要も期待されている折、相乗効果抜群といったところか。

この歌会始もなかなかの神通力で数十年前の大和ハウスの暴騰あたりから始まった模様だがちなみにその時は「家」。その他もまだ証券界が元気だった頃のウォーターフロント大相場のときは「水」であり、「車」なら01番で日産自動車、かつてのビクターが大天井をつけた時もお題は「音」であり、近いところで昨年は「葉」でJTが年間で20%上昇と日経紙まちかどでも載せていた。

これらこじつけと言ってしまえばそれまでだが、情緒などまったく無い高速取引等が横行する今の市場、せめて「十二支」やこうした「お題」などが材料になる風情だけはいつまでも残っていて欲しいところ。


金を取り巻く関係者

昨晩の金は大幅高し年初来高値更新の動きでTOCOMもしっかり。さて金といえば、昨日触れた年明けの日経紙「経営者40人に聞く」景気・株価2012年私の見方とした特集が載ったのとちょうど同じ日にテレビでは、「ガイアの夜明け新春特別版・ゴールドラッシュの真相を追う」の放映もあった。

マクロをタラタラと語って時間を潰すよりもそこそこ俗っぽい映像も織り込んでなかなか面白かったが、以前から行われていることも今更ながら金ブームと煽って映像にするとリアリティーあるものへ仕上がるものだ。登場人物としてはお馴染みジム・ロジャーズ氏など銀座のTANAKAでこれ見よがしに金工芸品を大人買いしていた映像があったが、一方で氏はこの番組が放映された日に金相場については、「調整の時期に来ており、1オンス1,200〜1,300ドルまで下落する可能性がある」とロイターに語っている。

しかしこうしたメジャー系の一方で、この金ブームならでこそ表舞台に出てこられるような向きも中には登場していたが、脛に傷持つ輩は後々やはり問題視される可能性が高いだろう。


今年の経営者予想

毎年恒例で年の始めには日経紙にて「経営者40人に聞く」景気・株価2012年私の見方とした特集が組まれているが、昨年同様に今年もこれに触れてみたい。去年は一昨年の各氏のハズシ具合を暇つぶしがてらザッと挙げてみたが、昨年は東日本大震災含め未曾有の事態が次々に起こったということもあり例年同様にこの辺を検証することに意味も無いので今年は割愛。

さて、今年の総括としては昨年を踏まえ突飛な見方が出るわけでもなく日経平均高値予想平均が昨年比1,825円安、そして安値予想は昨年比1,525円安とそれぞれ切り下がっている。個別の有望銘柄については毎年常連の信越化学工業始め、今年有望銘柄1位になったコマツやトヨタなど昨年は逆にカラ売り銘柄としてなかなかのパフォーマンスを上げてくれた銘柄となったが、今年もちょっと上がったところはどんどんカラ売りしたいと思う銘柄がある一方で、本当に上がりそうなものが3銘柄ほどあるなというのが個人的な意見。

ところで昨年の末尾は「まあ、多分来年もまた国内大手証券会社の社長連中は、必ず年初安に年末高の予想を挙げてくるはずなのでもしそうだったら笑って欲しい。」と纏めたが、果たして営業政策上今年も大和・日興共にお約束の年初安・年末高の予想コメント。他にコンサバ系の企業社長もこれに右へ倣えといった予想だが、来年もまた連中の判で押したような相場観が載るのは想像に難くないか。


辰巳天井

皆様、新年あけましておめでとうございます。

本日は周知の通り株式・商品共に大発会であったが、ここ数年の傾向を踏襲し共に総じて堅調なスタートを切った。東証など大納会では日経平均が29年ぶりの安値に沈んだものの、「なでしこ効果」があったのかどうか本日は今迄重かったコア系も動き33業種全てが上昇、3週間ぶりに8,500円台を回復して引けた。今年は「壬辰」、「辰巳天井」といわれ、戦後5回の辰年の騰落率平均は29%の上昇と十二支の中でも戦後トップの上昇率を誇る。

とはいえ、こんな時勢下で昨年も「卯跳ねる」とはならなかっただけに神通力効果にも今ひとつ委ねきれない雰囲気でもあるが、今年は上記の通りコア系の動き如何では凪のような展開からボラタイルな展開へ移行出来るような感じがする。

また、ちょうど一年前の当欄では元旦付け日経紙「年間予定」の1番始めに商品先物取引法施行が載っており不招請勧誘含め総合的政策で商品業界はどういった展開になるのかとしたが、今年は取引所政策と並行し各々新たな方向性も出て来るか。また末尾には「〜今年もM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか」としたが、果たして昨年はこうした動きが急増となった。今年も引続きMBOにTOB、それに親子上場関係もキーになってくるか。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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