539ページ目

約70年ぶりといえば

昨日のコメ先物取引の復活は実に72年ぶりの復活であったが、周知の通り先週末にはほぼ同じく70年ぶりに米格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が米国債の長期信用格付けを、現在最高水準の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引下げている。

既に欧米経済を懸念して新聞の見出しには大きく「株安 世界で連鎖」とのタイトルが踊る最中のタイミングで実際に格下げしてきたワケだが、米株式など先週からたった3日で1,000ドルを超える暴落など見るに、出ると解っているオバケがいざ出てここまでなお市場が崩壊するものかと改めて驚きを覚える。

しかしここ最近の金融パニックは資金の逃避先も時として不在になるから一層不透明感が漂う。コモディティとて経済減速懸念でエネルギーから穀物まで全面安、ロイター・ジェフリーズCRB指数は先週6月下旬に付けた直近の安値を下回り、約半年ぶりの低水準。まあゴールドなどその性格から乱高下の中にも買われ易いが定番の逃げ先も定まらないのも不気味ではある。

こんな受け皿不在を狙っての叩きには「プロシェアウルトラショートETF」の横行も噂されていたが、ヘッジファンドの45日ルールやら絡めて来週の15日前後まで不安は尽きないとの声も。VIXなど次?のオバケ登場を示唆しているようにも見えるが、何も起こらないのを祈りたいところ。


コメ先物復活

周知の通り本日は「コメ」先物が実に72年ぶりにはれて復活となった。注目の寄付は買い気配からいきなりのCB発動、過度な投機性排除の目的もあってCBも当初予定を頑なに固持し初日は値が付かない状況に終った。もともと汚染米の懸念が底流にあったものの、超大物に対するご祝儀なのかどうなのかこの基準値にしてこの気配はけっこう高めに買いが集まったなとの印象。

基準値といえばかつて上場時に出し値そのものが異常に安かった石油製品などフト思い出したがこれもそのパターンなのかどうなのか、先物が買えぬなら「ヤマタネ」や「木徳神糧」の株でも買うかということでこれらは寄付から値が急伸していたが、こんな株式で例えればこの間書いた初値形成に二日かかったIPOモノの「モルフォ」のような展開になるのだろうか?

それは兎も角も、TOCOMの「金」に対して東穀取の「コメ」という位置づけなのだろうか、主務省の取り組み方もこれまでと違いが感じられる分やはり其れなりの主力に育ってゆく素地はあるのだろうか?メディアにしても最近では昨年のTOCOM指数上場の時など報じるところはそれこそ寂しいくらい僅かであったが、今回は何処も商品先物関連では近年に無いくらいの取り上げようである。

マネーゲーム呼ばわりで先物を敵視してきたJA全中の反対も虚しく今回の上場となったが、卸会社の何割かは先物へ参加したい意向を示している。その収益構造からコメが要の一つだったJA全中の猛反対も解らぬではないが、もっと広い意味で農業改革を視野に入れるならこの手の市場は不可欠、市場管理もまたそういった意味で大きく問われよう。


半官半民

さて、ちょうど一週間前には金融庁・経済産業省・農林水産省の副大臣と政務官らが、証券やコモディティなどの金融・商品取引に関する監督・規制を一元化する所謂「総合取引所」構想に絡んだ関係業者からのヒアリングが4ヶ月ぶりに再開されている。

この3省庁は本来であれば6月末までに結論を出す方針であったが、大震災によって協議が中断していた経緯がある。初日は取引員らが対象であったがこの商品界といえば直近で東穀取がコメ先物の上場を控える最中、東工取への農産物市場移管を白紙撤回すると正式発表するサプライズがあった。

このもともとの話は新規上場のコメを含めての移管ということであり、来年の移管を念頭に作業を進めていた東工取は「非常に遺憾で、普通の民間会社同士では考えられない」と会見の席上で不快感を露にしていたが、操り人形の如く方針を発表する東穀取社長を見るに大方察しの通り農林水産省の意向が強く影響しているのだろう。

その思惑については水面下でいろいろなシナリオが喧伝されているが、結局のところ東穀取というのは一応のところ株式会社を標榜してはいるもののいわば半官半民、東工取側の言葉を借りれば「普通の民間会社」とは似て異なるというものだ。日本の将来が懸かる構想で足並みを揃えなくてはならない時期に既得権云々と醜いが、こんなもので総合取引所構想の足を引っ張らないように祈るばかりである。


今年のせともの市

さて、本日で終了となるが今週は週明けから近所の人形町では恒例の「せともの市」が開催されていた。最終日とあって通りの途中に設けられた陶栄神社では店主が厳かに集まっている光景も目にしたが、値札も最終日で更に下がり品定めの人出もソコソコの賑わいであった。

この「せともの市」、個人的には灯台下暗しでなかなかマトモに覘いたことはないが、蚊取り線香の懐かしい香りが漂う中を少し観てみると、中にはマンツーマンで指導してくれる「ロクロ教室」なる物もあり焼き上げた作品は後日宅配してくれるという体験型などなかなか面白いものもある。

他、定番モノはともかくもサンドブラスト系の小奇麗なガラスコレクションがあったり、明治から昭和初期のアンティークな薬小瓶なども無造作に置いてあったりで、この辺に関してはさながら欧州のこの手の市を彷彿させつい食指も動きそうになるものである。

そういえば余談だがちょうどこの「せともの市」が開催される時期には、近所の東穀取も「日本橋ミツバチ・サロン見学会」など開催していたものだが、今やミツバチは近所のアネックス棟へヒッソリと引っ越し、東穀取の屋上は連日建機が瓦礫の中を慌しく動き回っている。


本人のみ知る真意

さて、昨日はFX(外国為替証拠金取引)の規制強化について触れたが、規制強化といえばヘッジファンド界もまた然りで、先週には複数のメディアが米著名投資家のジョージ・ソロス氏が同氏率いるソロス・ファンド・マネジメントの顧客の預かり資産を今年末までに全て返還することを決めたと報道している。

最近のジョージ・ソロス氏関係の報道では5月だったか金関係のコモディティ物を相当数処分したとの報道が記憶にあるが思えば整理過程の一環だったのもかもしれない。ただ、キャッシュ比率75%、そのディスクロされてきた運用規模からいって今回の返還総額は10億ドルというから外部資金など既にけっこう整理が進んでいたとも考えられるか。

同氏が閉める背景にはSECへのルール変更で顧客登録や取引実態報告等などの規制強化に伴う当局への詳細な情報開示などを回避するのが狙いとされているが、同氏ほど話題にされていなかったものの今年3月にはRJRナビスコに敵対的買収を仕掛けた米著名投資家カール・アイカーン氏も顧客資産を返還すると公表している。まあある意味ニュアンス的には自由にやりたい上場企業のMBOと似ているだろうか。

斯様に現況世界の金融当局は規制強化の動きに入っており、米国などリーマンショックの反省やらトラウマやらでその最たるものだろうか。ただ実体経済始めとしてリクイディティーが其れなりに確保されなければ縮小の弊害も出て来る懸念が燻ぶり、この辺が規制リスクなるものになって来るだろうか?


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

11

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30