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カンニング変遷

さていまだに紙面をにぎわせているのが、京大始め複数の大学の入試問題が試験中に流出した例の事件か。この事件を受けて直近の公立大二次試験関係では携帯電話を封筒に入れさせて回収している光景など見られたが、当初一般的には想像もしていなかった被害届とか逮捕にまで発展するに至り事は穏やかでない。

この騒ぎで株式市場でも不正受験監視関連銘柄が突飛高し、池上通信機や三精輸送機等が物色された。特に池上通信機などは発行済み株式が7千万そこそこしかないところに先週末はまるまるこれが回転してしまう1億株以上もの出来高となる異常人気を呈した。その辺はともかく容疑は偽計業務妨害としているが、これが杓子定規な適用かどうかいろいろ論議も出そうだ。

基本的に入試関係というのは暗記を問うのが殆どと長年認識しているが、捻る部分の無い中で時間も限られる形式行事と考えるなら効率を図ってしまうのも違法行為という面を除外すればある面頷けなくもない。逆に入試問題も暗記色の薄いものへ変わればもう少し「考える」という部分で本来の姿になるのではないか。

しかし先の海上保安庁の尖閣諸島ビデオ流出事件といい、今回のカンニング?事件といい、まさにネット系の縦横無尽。便利な一方万人が使い方一つで犯罪にまでなってしまうに諸刃の剣でこんな黎明期?にはいろいろと考えさせられる事例がまだまだ続くだろうか。


スカイツリーで上下?

さて、先の日曜日には建設中の新電波塔「東京スカイツリー」の第一展望台が始めて報道陣に公開されたが、この東京スカイツリー、この時点で609メートルとワイヤ等で支えない自律式電波塔としては世界一の高さを誇っており、更に今月中には目標の634メートルに達する見通しとか。

ところで、この東京スカイツリーの完成によって最も恩恵を受けるであろうとされているのが筆頭株主の東武鉄道だが、その株価の方は先の40年ぶりの公募増資の発表で急落し、本日もまた年初来安値更新となっている。増資に因る希薄化が約2割とするとほぼこの辺で一旦は一息つきそうなものだが、それにしてももともとPBRも同業に比べて割高であったので格好の売り対象にされてしまったようだ。

このファイナンスだが、昨日には新株発行価格が1株346円に決まったと発表している。当初は資金調達額が最大で932億円などとしていたが、株価下落で720億円となる見通しだ。このファイナンスは銀行借り入れ増を見越しての利払い負担抑制狙いだが、業績に寄与する効果が見えない為にこの辺が今迄の増資で逆に株価が上がった企業群とは違うところ。

日々東京スカイツリーが上に伸びてゆくのとは対照的に、胴元の株価は連日の安値更新と下に落ちてゆくさまは何とも現実的だが、本日の年初来安値で目先底打ちなるかスカイツリー共々注目される。


年初来高値更新組

さて、週明けの本日は中東情勢の不安も背景にして「国内金現物販売価格」が約28年ぶりの高値水準を付け、税込みでは初めて4,000円大台に乗った。TOCOM先物もまた然りで、そうなるとこれに倣えでコモディティーもののETFも「SPDRゴールド・シェア」、「純金上場信託」、「純銀上場信託」、「ETFS金上場信託」、「ETFS銀上場信託」、「金価格連動上場投資信託」、「国内金先物価格連動型上場投信」等どれも軒並み年初来高値更新と、金・銀関連の独壇場となった。

このメタル系のETFといえば、ちょうど週末の日経紙夕刊にも「銀ETF」の説明が出ていた。王道の「金」などは注目されて久しいが、その裏ではかねがねこの「銀」や「パラジウム」もしばしば注目対象として各所に取り上げられ、とりわけ銀は年明けのウォール・ストリート・ジャーナル紙でも「金より眩しい」として取り上げられていた経緯がある。

事実この手のものでは日本では昨年の上昇率ベスト3に入っているが、「果実シリーズ」など登場した7月に5,000円を挟んでウロウロしていたところを拾って放っておけば既にそろそろ2倍化というワケだからさすがに関心も向くというものだ。そういえば「ETFS穀物商品指数ETF」など、1月中旬には2日連続ストップ高の離れ業をやってのけた経緯があるが、複数の商品価格で構成する指数連動モノで値幅制限一杯まで動くというのも珍しい。

しかしこの辺も良く取ればそれだけ注目を集めたということになろうが、売買代金が初日で500万円そこそこではリクイディティーの無さがこうした珍事?の背景にあるといっても間違いではないだろう。まあまだまだ国内では初物の部類でこの辺も致し方なしだろうが、途中のボラで値洗いが急変する荒さも総じて緩くコツコツ実績を積めばいずれ大きく育つ期待大か。


株主への手紙

さて、今週は中東情勢を睨んで米株式も乱高下しているが、その週明けは大幅高から始まった。この背景には原油相場下落を好感したこともあったが、もう一つ米投資会社を経営するウォーレンバフェット氏が26日に公表した「株主への手紙」で、米国の不確実性を一蹴するかのような将来の楽観論を展開した事も買い安心感を誘った模様。

「象を撃つ銃の弾丸をこめ直し、引き金を引く指はうずうずしている」という表現で、380億ドルの潤沢な手元資金を活用した大規模な買収の準備が整っていることを示唆した模様だが、米トムソン・ロイターによれば今年に入ってから2月第1週迄のM&A発表額は約25兆円以上と、前年同期日で69%増え2000年以来の高水準となっているという。

M&Aが盛んだったこの2000年はちょうどITバブル時で、ネット関連企業がやはりこうした舞台の主役であったが、今年はこれがエネルギーや素材関連に変わっているのが特徴。メジャー化の波については当欄で度々触れたが、資源等の需要増や価格上昇を見据え世界的に再編機運が盛り上がってゆくのは必至。

上記のバフェット氏の買収対象は残念?ながら日本企業ではないようだが、国内も政府が企業のM&Aを促す為の産業活力再生法改正案を閣議決定し企業のM&Aを促す方向で進んでいる。目下のところ新日鉄と住金の合併手続きに絡んでこの2兆円規模の大型案件の財務アドバイザーを巡って激しい提案合戦を繰り広げている最中だが、日本も一段と合併・再編が活発化してくるかどうか注目である。


コメ先物認可申請

さて、【FUTURES PRESS】の見出しにも出てきたが、先週末には東穀取と関西商取がコメ先物取引の試験上場制度の活用に関して近々に農林水産省に認可申請する方針を固める旨の報道が為されていた。官報公示期間は3ヶ月であるが、これが認可された場合には7月中旬からはれて取引開始となる予定。

東穀取社長は、現民主党政権から価格を維持しようとする政策は今のところ一つも出てきていないと述べ、価格変動のリスクヘッジの重要性を謳っていたが次の穀物指数も現在見据えている。

しかしこのコメを巡っては、かつて上場検討委員会の最終会合を前にして全農OBが突如として辞任したり、その後もやはりというかはたしての不認可となったりしてきたがそれからはや5年、今回の申請はこの間に米作を取り巻く環境が一段と厳しさを増していることの反映ともいえる。

現況、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉へのハードル下げで農業関係者向けファンドの設立を盛り込んだ農業支援策なども提案している状況だが、これまた依然として反対派勢力も活発だ。しかし、このTPPはよく取り上げられるものの、同じ土俵にあって然るべきの大型商品にも係らず関連記事を伝えるところは僅かというような関心の無さこそまた問題でもあるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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