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節約疲れ?

本日はいつもの通り道にある牛丼店の前を通った際にふと思い出したのだが、現在またもこの業界は値下げキャンペーンを展開中である。この値下げ競争に関しては昨年も何度か触れた事があるが、今年もまた同業他社に追随して各社が競走に走ったというのが経緯らしい。

ところで、先週の日経紙総合面には「消費薄明かり 収益も底入れ」として個人消費が少しずつ回復してきた旨が乗っていたが、確かにこの年末年始を通してはその商戦も一寸贅沢志向が一部戻ってきたような報道が目立っていた。

例えばクリスマスでは、帝国ホテルがイヴ、そして25日の両日が満室となったが、これは実に2005年以来5年ぶりの事。またリーガロイヤルホテルの40万円スイートルームプランもほぼ満杯となったり、ケーキは高額品から無くなり、ヘリによる夜間飛行サービスも完売状態。クリスマスが終れば年末年始のホテル滞在予約も順調に伸び、年が明ければ今度は三越の50万以上する御節に予約が入り、初売りでは1,850万の高額福袋に約400件の応募が集まったとか。

小売各社の収益底入れが鮮明になってきた中で、商品戦略を低価格路線から修正したローソンなどの企業の好調も目立つが、そんな現況を横目にこの業界は独自の消耗戦がまだ終焉を迎えない。昨年の春にも他のオプションがあったのではと消耗戦に疑問を呈したことがあったが、こうした混沌とした二極化は何やら違和感を覚える。


値上げマジック

さて今週は西のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が2月から入場料を値上げすると発表している。サービスの維持、向上が理由というが、テーマパークといえば東のオリエンタルランドも先にTDL、TDS共に個人チケット料金を新年度入りから値上げすることを発表している。

テーマパークといえば、利用者を飽きさせない為の絶えず新しいアトラクションの追加など巨額の設備投資が不可欠でありデフレ云々に関係なく段階的な値上げも当然といえるが、オリエンタルランドの場合、バブル崩壊後から5回にわたる値上げでもその都度入場者数や利用金額の増加を達成するマジックを魅せつけているのは流石といえる。

TDLとTDSの一日一人当たりの利用金額は約1万円というが、先月の日経紙記事では平均滞在時間は8時間半前後でこれを1時間に換算すると730円、平均滞在時間が約5時間の八景島シーバラダイスはこれが同900円弱で値上げの余地があるという解説が出ていた。

こうした時間割りのデータはなかなか面白いものもあるが、同様に収益構造なんぞを見てみると1時間あたりで原価が50分20秒、販売管理等が2分51秒、会社への利益還元部分が6分49秒、これらから給与や役員報酬という部分では12分33秒という具合であるとか。余談ながら、2009年に上場廃止の選択でマザーズ市場からその姿を消した冒頭のUSJの役員報酬は2億円超で業界では断然トップとなっているが、さてこちらはオリエンタルランド同様のマジックを見せられるかどうか見物である。


100%超希薄化を買う?

昨日は新型の増資手法規制を大幅緩和との報に触れたが、この増資といえばお決まりのファイナンス発表で株価急落という構図から、まだ事例が少ないとはいえ今年は年明けからファイナンス物の銘柄の動きが変わってきている。

直近でやはり目立ったのはJVC・ケンウッド・ホールディングスだろうか。ファイナンス観測が出て直後の寄付きでこそ軟調を強いられたものの、あと急速に切り返し翌日からは二日間連続のストップ高という離れ業をやってのけた。勿論、売り規制やJPモルガンのニュートラルからオーバーウエート評価で目標株価の引き上げ等の追い風もあったと思うが、それにしても破竹の勢いだった。

このケンウッド効果もあってか、前代未聞の現在の発行済み株式を上回るという100%超の希薄化増資を敢行するりそなHDまでが先週末にかけて急騰したのにはさすがに驚いたが、週明けはやはり裁定された。先導したケンウッドも所謂踏み一巡で結局本日はストップ安まで叩かれているが、先に上げが来たあたりに地合の変化も感じられる。

個別では動きが止まれば話題にも上らなくなるだろうが、執拗なメガバンク群の堅調相場も単なる大手証券が設定する投信の思惑だけではなさそうである。斯様に昨年のファイナンス組でも再騰の芽が出てきているモノありで、規制具合にも因るが腕に覚えのある個人には買いでも売りでもまた張り甲斐のある相場になってくるか。


rightsissue 創成期

さて、昨日の日経紙一面トップには金融庁が企業が既存の株主に新株を購入する権利を渡す新型の増資手法の規制を大幅に緩和する方針と出ていた。この件の対象になるのは「ライツ・イシュー」、既存の株主に新株予約権を無償で付与、増資に応じる向きは権利行使し現金を会社側に払い込み新株を得る。反対に応じたくない向きは予約権を売却し現金を得て権利落ちのカバーが出来るという構図。

このライツ・イシュー、かつてはみずほFGなどでこれに絡んだ思惑が出て昨年の5月にはこの辺に一度触れた事があったが、実際の実施例としてはちょうどこれを取り上げた時期のタカラレーベンの一件。この実施に関してはオーナーやその関連などの安定株主が約半数な為ある程度纏まった権利行使が予想されていたものの、蓋を開けてみたら約95%と予想以上?の転換比率となったのが一寸した話題になった経緯がある。

さて今回の緩和策ではディスクロルールをネットでも可能にしたり、新株予約権の証券会社による買い取り規制の緩和などを盛り込んでいるが、この証券会社に関してタカラレーベンの場合は所謂ノンコミットメント型であった。このタイプは今後どの程度の割合になるか判らないが、相対で増資決定可能というのも問題がないわけではない。

斯様にまだまだリクイディティーが限定的という問題や、引き受け等の課題もあるが、これらがどんどん台頭し、先の公募増資前のカラ売り規制など整備されればいよいよかつて横行した「公募増資利用型手法」などというお手軽裁定も自ずと今後は消えるのだろうなとふと思う。


変わらぬその体質

さて、毎年1/3日付けの日経紙には「経営者40人に聞く」として株式や為替の見通しを聞いた特集が組まれている。大体において相場に縁のない経営者が大半な上に相場の年間予想を立てること自体が愚行だが、大発会前の暇潰しがてら面白いので馬鹿馬鹿しいと思いつつも検証してしまう。

というワケで昨年の各予想の結果はどうだっただろう? 先ず円相場は年平均で87.75円に上昇、1973年の変動相場制移行後で初めて80円台となった訳だが、6月末と12月末の相場という質問に対して20人が回答、うち2名の予想が当りであったが1名は幅を持たせているので微妙。もう一人の某メガバンクの社長は6月末、12月末共に数十銭の誤差でほぼピタリとこれはお見事。流石本業と思ったが、他のメガバンク社長は大台自体が相違しておりこれは外れ、某信託の社長なんぞは6月末、12月末共に100円台の予想とそのハズシ具合が一際目立つ。他の18人は年末の方が円安予想としており殆どがこれではずれた。

株価の方は、20人のうち年間の高値安値をほぼ当てたのが某総合電機大手の社長1名。但し値段はほぼ当てたものの、その時期予想は年間高値を取った4月を安値予想とするなどこれは大はずれ、ただこの高値安値時期を当てた者は皆無。有望銘柄ランキングなんぞはそこそこ利食えたのは10銘柄挙げてうち1銘柄程度だろうか。こちらは為替の銀行よろしく大手証券社長の挙げるものは他より辛めにチェックしたくなるが、やはり5銘柄挙げさせて年後半に来てようやく薄利が乗ったのがわずか1銘柄とお粗末。他はカラ売りの方が大正解であった。

毎年注目してもらいたいのだが、国内証券会社は年中強気のシナリオでモノを売る体質なので、こうした年間高安予想を聞いても判で押したように、年初安に年末高を言ってくる。売買してくれればよしでそこに相場観など存在しないのである。昨年も20人中でここ数年見た事もないような年末に14,000円などという最高値を予想していたのは某国内大手証券の社長だった。例えば今年はカラ売り有利などと本音を記す輩が現れる時が体質変化の時と見ているが、今年も国内大手証券会社はこのパターン。

まあ、多分来年もまた国内大手証券会社の社長連中は、必ず年初安に年末高の予想を挙げてくるはずなのでもしそうだったら笑って欲しい。



クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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