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選択肢多様化によるスイッチ

先に野村アセットマネジメントが実施した第五回の「投資信託に対する意識調査」によると貯蓄から投資へという国の方針について、およそ6割が見聞きした事があるとしている一方で、6割近くが投資は必要ないとの考え方を示していた模様だ。

さて、そうした投資は必要ない向きは兎も角として実際に取り組んでいる向きについては、週末の日経紙にて投資信託協会が15日に発表した09年の投信概況が載っていた。それによれば、新興国の株式などに投資するタイプに資金が集まる一方、分散投資でリスクを抑えたバランス型投信への資金流入は急減と、世界的な金融危機で損失を抱えた個人が市場の回復を狙ってリスクの高い商品に資金を移す動きが広がっている模様。

そんな折に週末に報じられたのがFUTURES PRESSでも既報の通り、国内市場の商品に直接投資する初めての投信となるTOCOMの金先物を対象とする投資信託を来月から販売する旨。

同投信が高リスク物にあたるや否やはともかく、日経紙では09年の投信販売額を金融機関別に見れば比較的リスクを取れる顧客を多く抱えた証券会社の販売額が全体の7割を超えているという。さてこの初モノ投信についてはまた後述するとして、現場レベルでも着実にこうして融合ムードが始動してきたなという感があるが、これもスイッチへの序曲となるや否やまた注目である。


GOLDの犯罪いろいろ

さて、先の連休中の日経紙にも金投資のための基礎知識として金関係の話が載っていたが、週明けのNYでも約一ヶ月ぶりに1,150ドル台を回復してくるなど、再度金価格の上昇が話題になる機会が増えている。

そんな人気者?だけにこの年末年始の犯罪でもこの金絡みの犯罪が目立ったが、先ず複数件挙げられて目に付いたのが金地金の密輸モノか。オーストラリアや近場では韓国や香港などから金地金を密輸しそれを国内で換金、その消費税分を抜いてしまおうという労多くしての原始的なもの。

同じ抜くのでも、この手の消費税法違反や関税法違反ではなくて値幅を抜いて所得税法違反というパターンもあった。まだグラム1,000円そこそこの時から数年間買い付けたものを、06年以降価格が2倍以上になったところで順次売り抜け国税に目を付けられたというケース、これは相場に乗れたマトモな方か。

果ては振り込み詐欺系、その振り込ませる先がインチキ口座ではなくマトモな貴金属販売業者の口座に振り込ませ、貴金属業者には金現物を私書箱宛てに送らせ、後にそれを転売し現金化というパターン。この辺は銀行窓口でも業者への商品購入代金を振り込むパターンから警戒感が薄くなるという効果も見越し、一回200万円を超えない範囲とこれまた犯罪収益移転防止法まで抑えているあたり悪知恵のセンスが光る。

しかし盗品でも何でもそうだが、マーケットというのはそれぞれ最低限の構成があれば成り立ってしまう。上記のパターンもそうだが、EXITが比較的容易に実行出来てしまうその環境も今後再考すべき事項であろう。


主力事業の転向

さて、FUTURES PRESSでも既報の通り、先週末はスター為替証券が3/5をもって商品取引受託業務を廃止する旨が発表されている。スター為替証券といえば先に福証に上場し、現在はHDがヘラクレスをマザーにしている上場組。そういえば何時だったか数年前にこのニ市場でトコロ相場が話題になった時期もあったなと思い出す。

それはさて置きこうした取引員の中でも上場組といえば、年末には東証一部に上場する小林洋行もまた商品取引受託業務を廃止する旨を発表している。年末年始に相次いで上場組が今迄の主力事業から撤退という様は現況を如実に物語っているといえよう。

さて取引員ではないが主力事業廃止から上場を廃止にしてしまったものでは98年大証の淡路フェリーボートがあったなと何故かこれが急にアタマに浮かんできたが、これなど社名にもなっているフェリー事業を明石海峡大橋開通で廃止したもの。

上記取引員はまだ枝葉はあるものの、同様に社名にフューチャーズなどと付けていて主力事業を廃止した事から上場廃止になったパターンではSBIフューチャーズがあったが、主力事業撤退といえばそういえばその前のグローバリーなどはまた別なパターンで上場廃止になったなと。

しかし、昨今の業界模様を反映してか上場当初の万年低PBRの時代に戻ったかのような同指標の低さがまたぞろ目立っているが、上場企業はまあそれなりに株券も流通しているわけでこれら絡みでは本当に水面下でさまざまなドラマが展開されている。


国策支援の果て

連休明けの株式市場は後場からジワジワに浮上し、約1年3ヶ月ぶり高値の10,800円台回復となっていた。そんな中でやはり目立ったのはJALのストップ安であったか。

このJALについては昨年当欄でも「〜根本は特殊法人体質からの脱却遅れという部分が一番の問題だろうか」と書いた事があったが、ここ数日の間に会社更生法を活用しながら企業再生支援機構の支援で再建を目指す方向となり、上記の通り市場ではストップ安比例配分の憂き目に遭っている。直近では日本政策投資銀行のつなぎ融資枠が増額される見通しとかで急反発となっていたりしたが、なんとも株価も政党にリンクした動きではないか。

過去幾度となく再建策が論議されてきたが、債務超過問題にしても再生タスクフォースと監査法人を通した決算との数千億円もの内容相違は何処から来るのか今更ながら不思議に思う。帳簿がそうならOBも然りでこの期に及んで年金減額OB同意を渋る向きも居るなどなんとも往生際が悪い、幾つも或る労組などもそうだが機構側の解散というカードの存在を如何ほど認識しているだろう。

まあ昨年と違って株主責任を問う方向に大きく転換してきたのは前進が見られるが、此処でも形振り構わずの大型増資の受け皿組も泣くハメに。確かここは増資直前の株主総会でもこの件は一言も触れない酷さだったなと。次はマイレージ関係に目がゆくが大手紙で報道されているように完全保全の芸当が果たして出来るか、株式じゃないがこちらも一転して大幅減資?よろしくの措置が取られるや否や。

これらに絡んで優待マーケットやら新規225採用や業界関連銘柄の思惑なども次々と出るところだが、ANAと株価が逆転してからはや数年、残存社債の利回りでもそれが鮮明であったもののJALがこんな形になるとは長年に亘る国策支援のツケはやはり大きい。


Arrowhead始動

さて大発会のコメントでも書いたが、今週は東京証券取引所が2000年以来10年ぶりに株式取引システムを刷新しその「アローヘッド」の稼動が開始された。

このアローヘッド、主立ったところでは旧システムから瞬きより速いといわれる400〜600倍の処理速度になった他、併せて値幅制限の拡大や呼値の縮小などの変更が行われたがシステム変更後はお約束で当初様子見ムードという雰囲気か。それでも一昨日の不動産のゼクスなんぞを見てみると大発会が2,029円の終値であったが、寄付いてからわずか30秒そこそこで300円安の1,729円へ急落、その後は271円高の2,300円まで急速に切り返してあと再度急落、結局500円安の1,529円とストップ安で取引を終えるなどシステム変更ならではの動きを見せ付けている。

そうそう、そういえば商品先物でもTOCOMなんぞはシステム変更後にはプラチナやら石油製品やらで寄付き直後からこんな動きが見られたものだが、斯様な仕様になるとディーリングの中身も変わってくるだろうなと。ゲーマーでも教え込めばある程度は稼げた向きが苦戦するようになり、昨年当欄でも取り上げた早稲田OBマネーゲーム愛好会なんぞの見せ玉多用な活躍も難しくなる可能性あり。まあ、中には正統派への回帰でいい浄化作用だと捉える向きもあろうか。

斯様にシステムの大幅刷新を期に一気に海外の投資マネーを呼び込もうという目論みだが、現段階ではあらゆる事柄が未知数なのはいうまでもない。誘致の成功がありや否や、その裏では上記のような従前ディーリングの苦戦が予測されこれらが収益主体の向きは再考の必要性あり、個人ベースでもTOCOM同様に安易な成り行き注文などの執行リスクにも注意といったところだろうか。

しかし、思えば昔は営業マンが板状況を逐一報告するのが上顧客へのサービスだった時代から、誰でもネットで板一覧が閲覧出来るようになった時は感動を覚えたものが、はやこんなところまで来たとは時の流れを感じるが、これでも日進月歩だけにまた古くなる日が何時の時代か来るのだろうな。

PS・ところでこの(arrowhead)、長い間(矢尻)との認識であったが、今日は七草粥云々と雑談している途中で(慈姑)を指す事もあると初めて知った。その矢尻型の細い葉からの由来らしいが世の中まだまだ知らないこと多数。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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