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実験的発動

さて、週末に飛び込んできたニュースで目立ったのはやはりなんといっても日本振興銀行の破綻申請のニュースだっただろうか。設立から6年そこそこで破綻とはそれこそ昨今の怪しいIPO企業のようだが、これによって名前ばかり浸透はしていても半ばお蔵入り?となっていたペイオフなるものが初の発動という事態になった。

しかし戦後初のペイオフという事態においてもこれで円高が一服になり、今日もそうであるように連日株価が堅調になっているというのも皮肉な物だが、まあ、下手な講釈をのたまう連中の口先介入よりそこそこの円高一服効果が出たというのは間違いないところだろう。

この銀行、前から伝えられているように一般的な銀行とは異なる部分が多く、長年の封印を解いて一つのサンプルケースとするにはうってつけの素材であったのは明白であろうが、現在公表されているだけで預金カット対象者は数パーセントとはいえ3,000人以上も居たという。報道では毎度の事ながらこれら対象者の不安や怒りなど様々な表情が伝えられていたが、5月に業務停止命令まで出たところに放置したまま今更臍を咬む行動も理解に苦しむ。

一方で、ここ堅調な株式市場でもさすがにこれら関連株は急落の憂き目で値下がり率ランキング上位にズラリ、同行の関連企業始めとして大口の融資先や、減損処理報道ではこんな企業も株を持っていたのかと一般には映るところも明るみになっている。

全般論では今回パニック的な金融システム不安が誘発される可能性は小さいなどの評論が殆どだが、上記の上場企業以外にもその特性から融資先はけっこうキツイ向きが多く、二次的な連鎖リスクに今後は注意しなければならないだろう。


品薄という宣伝効果

今年はいまだ残暑厳しいが、今週7日の日経紙上広告には、サントリーのノンアルコール飲料「オールフリー」の販売再開の旨がお詫びと共に出ていた。勿論不祥事などではなく予想以上に売れ過ぎて品切れになってしまったパターンに因るもの。

さてこの手の品薄モノといえば代表格は、やはりかれこれ一年以上にも亘ってその状態が継続している「桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油」だろうか?このラー油、あまりヒットぶりにこれ系の商品が続々登場、最近では6月にモスバーガーが新商品を売り出したが果たして連日の売り切れ続出のうちに終了、また直近ではファミマが売り出した「ラー油おむすび」がこれまた売れ過ぎから供給が追い付かず先週末から販売中止となっている。

しかし昨今のヒット商品の傾向として、ラー油とか鍋つゆとか従前からある調味料系が多い。この裏には新奇性や内食回帰も後押ししたとは言われているが、品薄というある意味飢餓感を煽る宣伝の効果はやはり大きい。加えて体験バリューとの天秤で興味本位で落とせる単価の安さから火事場泥棒的な商売の付け入る隙を与え、これがまたスパイラル的に宣伝に一役買っているのも事実か。

しかしこんなラー油騒動もあってますます未体験な向きは興味がそそられ、新型インフル騒動時のマスクよろしくネットでは相場の三倍もの法外なプレミアム相場(それも個数制限まで付いている!)が付いているが、桃屋の近所だからなのかその辺はわからないものの私の自宅近所の八百屋さんでは、ごく普通に桃屋のオリジナル物が(勿論、個数制限や法外な値段などあるはずもなし)他の調味料と一緒に陳列棚に並べて売っていた。
まあ、現実はこんなものでしょうか。


日経平均株価60周年

今週のアタマには日経平均株価構成銘柄の定期見直しにより三菱レイヨンとクラリオンが外れ、新たに日本電気硝子と東京建物が新規採用となる入れ替えがあったが、この日経平均株価といえば昨日は算出開始から丁度60周年であった。

そんなことから日経紙始めとして各所で取引高ランキングの変遷やら大きな出来事などを載せていたが、こうしてみると当時がその時に流行ったほかのものと一緒に思い出され、ある意味ノルタルジックな気分にもなるもの。

60年代の証券不況などはさすがにわからないが、ブラックマンデー以降のバブル期含めた時期などは本当にいろいろな出来事があった。証券会社もまだ仕切り、それに大量推奨販売等なんでもアリだったが、それもまだ受け皿となって回せる銘柄がゴロゴロしていたという素地もあったからだ。

先物を創設してからほどなく日経平均株価は史上最高値を更新したが、平均株価採用銘柄やそれらの出来高変遷と同様に投資家の層や嗜好も時代と共に変わってきている。それはそれでまた面白いのだが、一方では上記のバブル時代の規制が甘かったボラタイルな市場が時折懐かしく思えるのも否めないところか。


流出先は何処に?

本日の日経紙経済面には、SBI証券の顧客がFX取引をする度に現金を還元するサービスを始める旨が載っていた。先月導入のレバレッジ規制による売買減少の歯止めになればと手数料無料化どころか、今後は期間限定ながら顧客に手数料を支払うという。

このレバレッジ規制、予想以上に各社影響が大きかった模様だが、証券各社はネット系を始めとし再度手数料を引下げるなどして零れるマネーの取り込みに余念が無い。夏場に大手の大和がマル信手数料を小口で150円にしたのには正直驚いたが、逆にそうした覚悟がこうした現象を以ってして感じられたものだ。

FXにしろマル信にしろこうした措置を講じて網を張ったところで果たしての流入先は何処にヒットするかはいまだ不透明、昨今の市況というかマーケットを見ていると個別というよりデリバティブ系が益々活況を呈してくるのではと個人的に感じる部分があるが、そうした段階で個々ではまた新たな競争も出て来るのだろうか。

そんな中で当然こうした動きに採算性を見出せず撤退する向きもあるが、FXの市場拡大に活路を見出し続々と参入してきた大手勢のうち日興コーディアルなどは7年間続けてきたFX事業からの撤退を先月発表している。大手勢は身の引き方も鮮やかだが、つい最近は商品業界からも既報の通り三菱商事Fがサプライズな撤退表明をしたばかり、胴元のスタンスが垣間見られる昨今だ。


体重こそ違うが・・

さて、本日の日経平均は米景気減速に対する悲観が若干後退した事もあり4日続伸となった。個別では先週全般急反発の中でも冴えなかった主力のトヨタなど自動車株も続伸歩調となっていたが、このトヨタといえば先週には大引で初めてホンダに株価を抜かれたことが一寸話題になっていた。

この逆転現象、今年の2月にもあったがそれはザラバの話。今迄書いてきたように様々なシーンでこうした現象が起こるが、今回はホンダの新興国での二輪車販売好調とトヨタの販売苦戦という素地があった中、その貸借倍率の違いという構造もこれらの主因になっていたと思われる。

また、設定している想定レートは違うが、1円の円高でトヨタが300億円の営業利益減に対してホンダのそれは170億円となっているあたり為替相場の影響は周知の通り。株式相場に左右される証券ポスト、コモディティーのそれは商社ポストなど相場株は多いが、同様に輸送用機器ポストの名とは云っても結局この手も相場モノのカテゴリーなのは間違いない。

ところで逆転といえば、その地盤沈下から取引所など中国に次々と逆転されてきたが、先にはGDPも日中の逆転が報じられている。話題になった上記の両社株価逆転も一日天下で従前に戻ったが、はてこちらの方は従前に戻る日ははたして来るのであろうか?


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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