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膨れ続ける株式数

本日は、みずほFGが普通株による約一兆円規模の増資実施に向けて最終調整に入っている旨が各大手紙等によって報道されている。月内にも方針発表との事であるが昨年7月の5,000億円以上の公募増資に続いてこれで二度目となる。

業界的に資産圧縮競争が避けられない状況下で規制対応もあり更なる資本増強の観点から、対応遅れが指摘されていたこのみずほFGを巡ってはいろいろと思惑も飛び交ったが、一時は新型の割当増資である「ライツ・イシュー」を検討しているとの一部報道もあった。なるほどこの手法なら今迄いわれてきた希薄化からの株主損失緩和にもなり企業も資金調達の幅が広がる可能性もあったが、この導入観測がいわれた直後に否定報道があった通り結局通常のファイナンスとなったか。

しかし、上場企業の発行済み株式数が昨年末時点で前年同期比で9%増の約4千億株に達し、増加率は34年ぶりの高さとなった報道を以前に大手紙で見たが、個別で目立ったのは昨年に公募増資と株式分割を実施したこのみずほFGで、その発行済み株式数は実に153億株へ急増している。

それがこの増資によって更に膨れ上がり普通株が軽く200億株を超えることになるわけだからこれはもの凄い。折しも昨日は新生銀行が黒字から大幅赤字への下方修正を発表、メガバンクでは三井FGが発行枠拡大などまたこうした機運も台頭、業界的に織り込み済みであったともいわれるこの手がまた蒸し返されてしまうかどうか注意が必要だろう。


アバター取引?

さて、先週末に掛けてはギリシャ問題から世界的な株安の連鎖が起きたが、中でもハイライトとしてはやはり6日のNYダウがわずか20分そこそこの間に600ドル超の急落を演じた異常な値動きであっただろうか。

確かに個別でもその発端と指摘されているP&Gの40%安など異常現象で、そのNYダウ日中足からどう見ても誤発注だろうと日本のジェイコム騒動の時よろしく犯人探しから某銀の名も挙がったりしていたが、ショートが増幅されたのは自動取引システムがその一因ともみられている。

周知の通り先進国では今やアルゴリズム取引等この手の取引は外せないものとなっており、機関投資家誘致やその注文量増大から取引所や証券会社も潤うと真に好都合であるが、遠隔操作用の肉体を持つアバターの如く人間の指示で執行が既にコンピューターに取って代わっているところが怖い一面でもある。

さて当欄でも年明け早々に東証が「アローヘッド」を稼動した事を取り上げたが、この東証も早期の黒転を視野にまさに今後の期待事項としてこのボリュームキープ系のアルゴリズム取引からの売買高倍増計画がある。今回の件でナスダックOMXグループは異常変動した取引無効を発表しているが、ジェイコム騒動から時は過ぎこの辺も含めた各種対応が高速システムを擁する取引所には自ずと求められ、インフラの進化と共に規制関係も出て来ようがその辺の兼ね合いも含めどう方向性を見出してゆくのか明確にしてゆく必要がある。


連休分散化の功罪

さて、過ぎてみればあっという間に終ってしまうゴールデンウィークであるが、今年は5連休が入る日並びのよさから各地、各国への人出も一段と多かった模様である。

ところでこのGW、周知の通り先に政府からは需要の平準化を通じ混雑緩和などから観光など産業生産向上を狙う意味で、日本を5つのブロックに分け春秋・週末を絡めてこの集中している休みを順番に連休にする案を示し、早ければ来年か再来年にもスタートさせる旨が出されている。

なるほどこれであれば観光産業などにとっては生産性向上や雇用安定化、また旅行コストの低減など其れなりに効果がありそうだが、こと業界の事を考えると取引所などどうだろう?まさか東西で順番に休みというワケにはいかないだろうし、これに則する証券会社や取引員なども推して知るべし。これに限らず他企業でもかえってGWを奪われてしまう事例も続出するかと。

そんなワケでどうだろう、この手は欧州一部では既に施行されているがもともとゆったりとバカンスを満喫する文化を持たない?日本で上手くいくだろうか。それに名前だけ残し休日にならなくなる祝日というのもシックリこないし、まだまだスンナリ事が運ぶとは考え辛いような気もする。


契約者給付金

さて、本日は「第一生命保険」が今月中旬での株主数が約137万1千人に達したと発表していたが、今月のビッグイベントといえばやはり相互会社の看板を外したこの第一生命保険の上場だっただろうか。上場前のグレー・マーケットでも既に公募価格を上回っていた事もあってか、注目の初値は公募価格の14万円に対して16万円とまずまずの滑り出しであったが、それにしてもこの値で計算した時価総額は1兆6千億円となり、売買代金にしてもさすが凄いものが弾き出されている。

このマンモス規模だけにさかのぼっても張り合えるのは90年代のドコモか80年代のNTTくらいしか見当たらないが、株主数は軽くこれらを上回り勿論国内最多。ところでこのNTTといえばあの抽選結果に沸いた当時を思い出すと、証券界がかける期待も想像に難くはないだろう。まあ、証券界といっても目先オイシイのは幹事の役得でやはりガリバー野村、また割当といってもNTTのような欲しい向きの応募ではないため株式投資の道へ入るのは如何ほどか?

むろん証券界に限らず数百万人の株主には、前政権時代のあの2兆円規模の定額給付金に迫るカネが付与されるわけで、これらが財政を傷めない景気対策?とばかりにGDPの押し上げ効果まで試算されるなど各方面の期待も大きいものとなっている。

しかし景気対策効果にしてもこの情勢下、上記の如く投資に回すよりサクサク現金化し貯蓄に回ると冷めた意見も一方で在る。そもそも同社の株式化自体が先に「再編途上」の項で書いたように内需縮小で収益の成長が楽観視できない事からの戦略転換の意味合いも濃い。他の大手勢は静観の構えも、こうした機動的な資金調達から出て来る新たな戦略に対抗手段を打ってくるのかどうかこの業界も一つのケースとして注目される。


異常気象と商機

本日は天気もよく非常に暖かい一日であったが、思えば今月の所謂「三寒四温」はとにかく極端であったなと。宮崎では4月の観測史上1位タイの低い気温を記録したかと思えば、関東地方でも都心では41年ぶりの積雪となり、桜に雪景色というなんとも風流?な光景が見られた。

そういえば馴染みのクリーニング店へ行っても今年は冬物の持ち込みが極端に減少し保管依頼も今のところ昨年の半分以下との話しであったが、先週末の日経夕刊でも一面はこれらの影響による野菜高騰が載っていた。他にも相場モノではこの時期灯油のスポット相場も4月に入ってからガソリンとほぼ同鞘に並ぶ場面が出現するなどの異常事態も見られた。

昨年の夏には冷夏の影響で各種の仕入れ目論みが大きく狂った経緯があったが、今回も行事の中止やら売れ線の変更やらで各所の苦労は想像に難くないところ。季節感がなくなってくる影響は計り知れないが、はてこれらの対策としてのヘッジを考える向きが如何ほど居ようか。

TOCOMでは石油製品先物が上場しているが、本来であればこんな時にこそもう既に東穀取が取引休止にしてしまった野菜先物など大賑わいして然るべきなのだが、まあしかしこれも放置されたままなんとも不発に終ってしまったのは残念。ただ、行く先天候デリバティブの必要性を考えればマーケットは大きく、商品取引所や損害保険会社などにとって商機なのはいうまでもないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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