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政策と構造の変化

昨日の反落から本日は反発ともうかれこれ一週間以上も「鯨幕相場」が続いている株式市場であるが、そんな中を本日目立っていたのは学研のストップ高や、城南進学研究社のストップ高といった子育て関連株群が軒並み急騰していた点か。

これらご存知30日の総選挙開票を控えて、大勝が予想されている民主党政策の期待買いに因るものであるが、この他にも前から高速道理無料化で宅配関係の物色やら温暖化ガス削減、農業関連やらと取り沙汰されては物色された経緯がある。勿論この裏でマイナス影響モノには売り物が入り好取組に一役買っている。

さて上記の中でも温暖化ガス削減であるが一部戦々恐々と云われているのが温室効果ガスの大量発生型産業である石油元売り業界、ただでさえマージンがキツい中を構造転換を迫られる可能性が強いともいわれる。

民主党が掲げる一段とキツい削減目標が達成出来るか否かは兎も角も、18日の日経商品欄に出ていた出光興産あたりは国内製油所の統廃合は避けて通れないとコメントし、産業空洞化で国内雇用も守れなくなると危機感も述べていたが、今月は昭和シェルと日産自動車が電気自動車向けの急速充電システムを共同開発する報も伝えられ、先月に挙げた収益構造の変化が着々と進行しているさまが感じられる。


よそうはうそよ

本日の商品市況は昨日から一転し再度全般安となっていたが、株式市場も然りでこのところは俄かにCTAに絡む商いへの思惑も出たり右往左往である。しかしこうも先週から続く日替わり相場の下では商いする度にちゃぶつく向きも多いと思うが、気休め程度にアナリストとかエコノミストの意見をと思ってもやはりハズレの嵐で酷いとか。

そういえばちょうど先週にブルームバーグの記事で、今年3月に米ウォール街のアナリストの助言に従っていたら、70年間で最大の上げ相場のなかで損失を被っていたとの結果が記事になっていたのを見掛けた。

ザッと引用すると1.5兆ドルを超える信用損失が発生した事で欧州金融機関や米銀株を、また失業率増加と住宅価格下落が消費者支出押し下げ要因として小売関係株のそれぞれを「売り」とし、新興国経済成長の見通しが明るい事からエネルギー株を「買い」としたが、果たしてその後の上昇率に倍以上の開きが出て損失勘定になったらしい。

これらアナリストはファンダメンタルズに囚われすぎていたとしているが、その通り要はこうした連中は事実のみから予想している部分が曲がりの根源、更に上昇相場は投資家の思惑を反映しているとも続いていたがそうした域まで読めないのも原因だろうか。

まあ、笑えるぐらい外してもそこそこ高給も貰え大手紙などからは依然コメントも求められる事でそれこそがハズレを助長しているのかもだが、目先でもどうかというものをそもそも更に先を予測する事自体がどんなものかとも思うが。


ETFとETC

本日は月初に報道があった通り、ETFの英運用会社大手ETFセキュリティーズの日本進出により、貴金属に連動するETFが東証に晴れて上場となった。

コモディティ系としては直近で取り上げたように、今月3日に大証が原油ETFを上場させ他にも数本既に上場しているが、今回新しい銘柄としては貴金属でもPGM系や所謂バスケットものというような顔ぶれが出てきたところか。

そんなわけで1,600番台も次第に品揃えが増えてきたが、同社のコモディティでも業種別に絞ったバスケットなどなかなか魅力的な成績を達成しているし、今後大相場になっていてもその板の薄さや執行リスクが大きくなってしまっているような国内商品先物に上場しているような銘柄等に狙いを付けて続々上場という可能性は大だろう。

しかしここ最近で個人的に感じるのは、その承認の早さというかコモディティ系の増殖が加速してきたという点か。同社は別にコモディティなどの現物価格に対し、オプションや現物現物へ投資をせずに連動するように構築された担保付償還期限無指定ゼロクーポン債も数多く運用しており、レバレッジなど含め今後の市場インフラ絡めその規模拡大に興味のわくところ。


和製アール・デコ

過日、ホテルニューオータニ「禅」にて打合せがあったのだが、たまたま前から気になっていたデザイン画家、「小林かいち」の作品がニューオータニ美術館に来ており、今週末までという事もあってしばし鑑賞の機会を得た。

一般に知られているものでは葉書や封筒のデザイン画が有名だが、なんといっても惹かれるのは和風ながら実にアール・デコのテイストを持つその作風である。またこの時代は背景に所謂出始めのモダンなモノへの憧れのようなものもあり、トランプからヨット、果てはダンス等とそのモチーフも時代を反映していて興味深い。

またそのモチーフも面白いのはその組み合わせか、例えばリップにクローバー、また鈴蘭に蝋燭や蜘蛛の巣等々、その色彩にしても淡い物と濃い物との使い分けで可憐さから危うい情念のようなものまで大きく世界観を異にし表現している。

しかしどの解説も指摘していないが、個人的には作品の一部からはどうしても他の作者が思い浮かんでしまう。例えば、「幻想の女」はエルテ、「孔雀」の羽は伊藤若冲、「蝶」は丁紹光などなど国もジャンルも違うものがあれこれ出て来る。これらの人物に影響された部分がホンの一部でもあるのか否かあれこれ勝手な想像をめぐらすのもまた面白いものである。


相場連動転職事情

週明けにはCRB指数が半月ぶりの安値と全般で一押しといった感の商品市場であるが、それでもリーマンショックを受けて低迷した国際商品市況は2月に比べて約2倍に上昇、そこで俄かに売買益で業績拡大を狙う欧米の大手金融機関がトレーダー集めに血眼になっているという記事をブルームバーグで見掛けた。

主力どころではG・Sが4-6月期でコモディティ含む売買で最高水準の収入を計上、バークレイズやRBS上期などもコモディティ関連収入で大きな伸びを示しており、ブルームバーグによれば人材斡旋会社の弁で100万ドルクラスの賞与保証やら引き抜きやらが相次いでいるという。

しかしこれで思い出したのが、当欄で約半年ほど前に「人材バーゲンセール」として米ウォール街からの有能な人材獲得を本格化という事を取り上げた件、国内でもこれと似たような件を同時に挙げたが、日本の場合その報酬格差がウォール街の足元にも及ばない事からまた相場にリンクしての大移動という現象も顕著化しようがないか。

というか国内のコモディティの世界ではもともとこうした記事になるような規模も存在しなかったし、しいていえば数年前に一部で辣腕ディーラーを揃えたところもその宿を変えながら数年経過した今では個々で独立やら、また海外に活路を見出して流出したりというのが現状、これはこれである意味寂しい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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