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プロの売却

本日の日経で「オフィスビル高額売買相次ぐ」なる記事を見かけたが、外資系の知人の間でも先のHSBCロンドン本社ビルは話題になっていた。

同社の場合5年程度で1,000億円以上を?利食った?計算となるが、国内でもフォーシーズンホテル丸の内を擁するパシフィック・センチュリー・プレイスが2,000億円で売れる等、先月モルガンの件で書いた通りの巨額なマネーが飛び交っている。

株や商品に限らずあらゆる相場には必ず天井が訪れるのだが今回は金融大手だけにこの辺は思惑で、そういった意味では同じロケーションでやはり売りの意向を示している野村あたりも注目で、?プロ?が売ったその後の動向もまた非常に興味深いところだ。


半人前

本日の株式市場は平均こそ後場には伸び悩んだが、銀行中心に金融セクターの活況が昨日に引続いて見られた。

昨日トリガーとなったのは過去最高益を更新していた住友信託銀行が、07年3月期で税務上の繰越欠損金を解消し法人税の納付を再開する件、実に13年ぶりに大手行のトップを切っての事とか。

ところで欠損金残額と今後の収益から考慮するに、気前よく元頭取に退職慰労金を支払う予定のメガバンクあたりは数年先に再開となる見込みで、公的資金から黒字の相殺までけっこう使い放題だなという印象。

少し前まで国債の例えで大量の信用残高と不良債権を抱えた銀行株の如き存在に似ていると書いた事があったが、本質の負の部分は本当に脱却できたのかどうか疑わしい。


再始動

ロイターにて見かけたが、曰く米景気下振れ観測後退から再びリスクマネーの台頭が見られるが、これまでの受け皿である商品市場から新興国や通貨系への流れと未だ限定されているようだ。

昨日の欧米株はマチマチとなったがブラジルやメキシコでは最高値を更新、ここでも見られるように従来はBRICsが主流であったが、ポストBRICsで“VISTA”あたりが俄かに活況とも言われている。

実際に単発で前者以上に面白そうな国は確かにあるが、リスク許容度でマーケットが形成されこれも過剰流動性により次第に荒らされるのは目に見えているか。


個別の事情

カウボーイも15日(火)付けで少し触れていたが取引員の2007年3月決算が厳しい状況となっている。

これを先取りしてかここ数ヶ月でも取引員株は可也調整していたのだが、業界関連では本日は先週触れたアストマックスが年初来安値を更新する一方で第一商品がこの株にしては纏まった買いでストップ高張り付きと爬行色の展開であった。

決算で左右されるのは何処も同じだが、取引員株については何度も当欄でコメントしている通りでやや他とは違う毛色がある。

一部の向きには或る程度情報も行き渡りいろいろと思惑が出来そうなものだがここにリクイディティーの問題もあり、この辺は昨今の取引所事情と皮肉にも似た物があるか。


指定席

さて今週は東穀取の理事長退任会見があったり、東工取の新専務理事就任の報道も目に付いた。

東穀取の理事長後任には元農林水産事務次官、また東工取の新専務理事には元経産省審議官とほぼいつもの指定席というコースであるが、先に東証が自主規制組織トップに元財務省事務次官を推した時に様々な物議を醸し出したのが記憶に新しい。

天下り人事もまた証券とは事情が相違する部分があるにせよ、先の経済財政諮問会議のワーキンググループでは監督官庁と取引所の関係を規律あるものにする為に、取引所への天下りを制限すると共に上場商品に関する主務大臣認可を廃止、取引所の自主規制に任せる等の抜本的改革が必要であるとしている。

市場間競争の厳しい状況を創造する機運が高まる中を、この辺が動かないことにはグローバルな流れから取り残されるのは必至と見られるが、その道のりは遠いか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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