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無くて普通

本日の株式は自律反発?なのか大幅高となったものの、それでも週末に続いて出来高・売買代金共に連日で今年の最低水準を記録となんとも冴えない。

なんとかこの体たらくに歯止めをかけたいところという事で、首相も内閣改造で就任したばかりの金融担当相に「貯蓄から投資への流れを作る為、税制含め検討して欲しい」と指示、これに週末の日経紙一面にも出ていたが金融庁は月内に纏める09年度の税制改革要望で、高齢者の500万以下の株式譲渡益、100万円以下の配当金を非課税にする優遇措置を求める事が明らかになっている。

しかしどうだろう?自民党幹事長の例の300万円案とてまあ大手どころの通常相場で1〜2%くらいの範囲と見積もってもせいぜい数千円程度の減税、先のガソリンではないが寧ろそれ以下である。

そもそも企業の配当はマトモなところならしっかり法人税を納めて出しているので、これを更に二重取りしている税金を止めにしますよという事を以ってして優遇を謳われてもよく考えればお笑いである。


さまざまな対決

いつもながら終りが近づかないとどうも後回しになってしまう美術館関係であるが、個人的に好きな伊藤若冲の作品も出品されているという事で過日東京国立博物館にて開催されていた「対決―巨匠たちの日本美術」を観てきた。

しかし、対決といっても何れも日本美術史上に輝く巨匠達、各々の色があるので並べて対決といってもその構成には始めピンと来なかったが、なるほど「静と動」、「現実と空想」、「色と線」等々感性に沿うという部分では個人的にハッキリと軍配が分かれ、なるほどとも思ったりした。

さて勿論のこと伊藤若冲作は見事であったのだが、面白かったのは俵屋宗達作の「蔦の細道図屏風」で屏風の左右を入れ替えても絵が繋がるように構図が計算されているが、これはその約100年くらい前のレオナルド・ダ・ヴィンチ作の「モナ・リザ」が先ず連想されるし、逆に例えば1880年代あたりの中期のエミール・ガレ作に見られたような歌を作品に配する物はその約200年くらい前の本阿弥光悦作の「舟橋蒔絵硯箱」などで既に確認出来る。

何れが意識したか当然定かではないが年代や国を問わず芸術分野でこうした物は多く今回も新たな発見であったが、同じ対決でも斯様な事例の構成でさせるのもまた面白いかなとも思う。


安かろう悪かろう

このところ既報の通り東証からは次々と上場廃止になる企業が続出しているが、昨日は中国本土系企業として鳴り物入りで上場一号となったあのアジア・メディアが上場廃止の決定に至ったとの報道があった。

まあ出ている以外にもいろいろと噂のあった株だったがこれが昨年の春であったからそれこそ一年半というスピード消滅、東証の審査大勢云々の報道が多く目に付くがこれに絡んだ証券会社等のイロイロな話は見事に出ていないというか封印されている。

数年前にも中国系企業一部は我々の常識と懸け離れたディスクロで可也リスキーとし、これがちょうど上場する頃、「〜最近外資参入の間口を広げたあたりもタイミングとしては可也怪しい〜」と警鐘を鳴らしておいたが果たしてといった感じだ。

しかしつい先日のアーバンもそうだが最近は外資大手でさえも消え行く企業にポジティブ評価する向きもあり、真の情報ソースに乏しい個人にとっては難解を極める、それこそ一番単純な株価が一番信頼出来る時期なのかもしれない。


澳門の可能性

昨日の日経紙夕刊で目に付いたのが、今年上半期にマカオを訪れた観光客数が隣接する香港を訪れた人数を半期ベースで初めて上回ったとの記事であった。

マカオといえば私も先月行って来たのだが、以前当欄でも書いたようにさすが40年もの財閥独占をラスベガスに開放しただけあって別の地へ来たかのような変貌を遂げていた。

玄関口からしてベガスサンズの巨大な金色の建物が目に飛び込んでくるがそれこそ約1兆円を投じたベネチアンマカオリゾート等は本場に負けず豪華絢爛、稚拙な表現だが東京ディズニーシーのホテルミラコスタを数倍派手にしたような施設であのシルクドソレイユのZAIAももうすぐ開催とそのままベガスを持ってきたようだった。

一方でショッピングモールは巨大ながらもディフュージョンブランド率が高いのが意外であったが、その直ぐ裏手でオープンを間近に控えた重厚なフォーシーズンズホテルにはシッカリと一流ブランドの冠が輝き荒涼とも思える更地にこの一角との対比が際立っている。

ところで今週マカオの行政長官は今後世界的な景気減速の為に賭博収入は減少してゆく可能性があるとの注意喚起していたが、一カジノの枠に止まらず世界最大のエンターテイメントシティが東洋発で誕生するかどうかファンド関係者まで含めて注目されている。


保身と犠牲者

週明けの日経平均は全面高の続伸であったが、そんな中でもやはり今年最大の破綻となったアーバンコーポの影響が大きいのか値下がり率上位にはいまだに不動産株がズラリと並ぶ有様、しかしまあ今年は公募普通社債が此処数ヶ月で3件のデフォルトに陥る等どう見ても異常な事態である。

ホンの一年前にはそれこそ絶好調の決算を計上し紙面を賑わせていた気がするが、最近の関係筋の話では先月「銀行が握る魔のスイッチ」とタイトルにしたように容赦無い剥がしや絞り込みは想像を絶するらしい。

さて一方で週末の時事には商品取引受託会員56社の08年3月期決算が出揃い果たしてというか約7割に相当する39社が純損失を計上、国内商品業界の疲弊ぶりが浮き彫りになっている旨の記事が出ていた。

何れも厳しさ真っ只中の業界であるが、失礼ながら真綿で首というよりも酸素供給を一気にストップという様で一部上場企業がバタバタと消えデフォルト続出を目の当たりに見ているとこちらの方が深刻にも見えるが、そんな折だからか上記企業ではとんでもないディスクロ偽装?が波紋を呼んでいる模様、この辺は後述するが商品業界においてもこうした負の部分が波及しない事を願うばかりである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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