126ページ目

破綻でも満額以上?

さて、連日ビットコイン関連の報が喧しいが、昨日の取引でその価格ははや14,000ドルを突破、11月初旬から1カ月強で実に2倍強と大化けし、今月の上昇率だけでもはや40%を超えるという破竹の勢いである。そんな中を一週間ほど前に2014年に破綻して世間をザワつかせた仮想通貨取引所マウントゴックスの一部債権者が、1日までに東京地裁に民事再生手続きへの変更を申し立てたという旨の報があった。

即ち上記の通り鉄火場と化したビットコインが急騰している事で、同社に残るビットコインの資産価値を考慮した場合破綻当時の時価で債権者への返還額を決めてしまう破産手続きよりも、民事再生に変更した上でビットコインによる受け取りを債権者が選択した方が利益も大きくなり、なにより残余財産が社長へ流れるというのは到底承服出来ないという理屈だ。

相場変動によって訴訟のシナリオが変った例として思い出すのが、これとは異質だが数年前に起きた関西の某市が基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債購入の事件か。購入後に相場が逆にいった事でリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損が膨らんだものの、その後のアベノミクス効果でこれが一気に解消したことから一転して訴訟を取り下げた一件であった。

ともあれ単純に弾いた計算で、当初は債権総額約456億円に対して約120億円程度しかなかったものが、今月アタマの段階で分裂によるビットコインキャッシュ付与含め約2,500億円超にまで倍々計算で化けている夢のような状況になっているワケで債権者としては毎日気が気ではないだろう。後は裁判所がどう判断するかという事になるが、債権者のみならずこの事例の帰趨がどうなるのか今後の行方が非常に注目される。


リスクを取れない本邦勢

経営再建中の東芝は昨日に第三者割当増資による計約6,000億円の払い込みが完了したと発表している。これでほぼ上場廃止を回避できる見通しとなったが、実に海外の60のファンドへの割り当てという思い切った手法でこの年末に来て一番注目を浴びたディールになったのは間違いないだろうか。

その顔触れといえばコバンザメ的な引き受け手も混在しているものの、もともと筆頭株主に浮上していた旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントを始めとして米サード・ポイント、米サーベラス、米エリオット・マネジメント等々の錚々たる面々であるが、エリオットは先月取り上げた日立国際電気のTOB劇にも登場したアクティビストである。

これが東芝にとって吉と出るか凶と出るのか、一先ずこれで残る懸念としては半導体メモリー子会社を巡る米WD者との対立のみとなるが、何れにしろこんなスピード増資劇を見るに裏を返せば今の日本にはこれだけ短期間に巨額のリスクの受け皿になれる投資家不在の証左で今の資本市場を如実に表している。


食の世相

さて、食に関する調査・研究を行っているぐるなび総研が昨日に2017年の世相を最も反映したという「今年の一皿」を選んだが、今年は「鶏むね肉料理」が選ばれることとなった。社会の高齢化や健康志向の高まりを背景に・高タンパク・低脂肪等が一般に認知され胸肉に注目が集まったという。

なるほど言われてみれば今年はコンビニで販売しているサラダチキン等がやたらとメディアに登場している機会を多く見かけたものだが、鶏むね肉といえばそのパサついた食感のイメージからあまり表舞台に登場するようなシロモノという感覚では無いが、糖質制限モノの流行等と並びそれだけ健康志向が高まったという表れか。

この今年の一皿、上記の通り世相を反映し優れた日本の食文化を人々の共通遺産として保護、継承する事を目的に14年からスタートしているが、昨年はパクチー料理が選ばれ当欄でも取り上げている。昨今のSNS流行から今年はもっと違った映えモノ系が選ばれると思ったが、ともあれ昨年のパクチー然り「今年の一皿」で脇役でも表舞台に躍り出るチャンスが増えるようになって来たか。


買収防衛策変遷

本日の日経紙法務面には「企業、買収防衛策に知恵」と題して、ここ数年買収防衛策を廃止する企業が増えつつあるなか、一方ではルール等を設定・公表する事前警告型を設け新たに導入に踏み切る企業や、新株予約権の無償割当など株式価値の希薄化に配慮するなど仕組みを工夫して維持する企業もある旨が書いてあった。

買収防衛策の廃止といえば二つのコード改定を睨み株主からの風当たりを気にして近年では廃止する企業が確かに増えており、導入社数のピークだった08年は569社あったが先月末時点では411社まで減少してきており9年連続での減少、とりわけ今年は5月にかけて過去最多ペースで廃止となった経緯がある。

近年ではROE重視も声高らかに謳われているが、確かにもともとこれが低水準な企業が防止策を導入するケースでは株主価値を毀損し所謂ゾンビ企業を延命してしまうというパターンが多い。過去にはニッポン放送やブルドックソース事件の攻防が記憶に新しく企業に対する影響力行使も線引きが難しいところだが、今後もガバナンス重視策は均衡点を探りながらの進行という事になるか。


食フェスの広がり

さて本日で霜月も終わりであるが、11月といえば食フェスのイメージが近年強い。日比谷公園では毎年恒例の子どもの食育体験を謳った「ファーマーズ&キッズフェスタ」が今年も盛況であったが、これが終るとはや翌週には日本全国から魚介料理が大集合する「フィッシャーマンズフェスティバル」が始まり、更にその翌週には全国の鍋料理を集めた「ご当地鍋フェスティバル」が開催されていた。

また代々木公園ではスペインを代表する料理や食材からワインまで集結した日本最大といわれるスペインフェスタが開催されていたが、代々木公園は上記のスペインフェスタのみならず日本最大級を謳うモノが多く、翌週からは日本最大級を謳う蕎麦や日本酒をキーコンテンツとした博覧会イベントである「大江戸和宴」が開催されていた。

食フェスの参加動機の6割以上を占める一番の理由は普段食べられないものが食べられる・飲めるとなっており、若年層のみならず団塊世代やシルバー層まで幅広い層を巻き込みこの大江戸和宴は昨年15万人を動員した実績があり、日比谷公園の「鍋フェス」も昨年実に17万人を動員した実績がある。

鍋でも蕎麦でも日本食はカテゴリーが多く、それらも廉価から高価まで細分化し易くこれらは洋食でもまた然り。来月も有楽町の国際フォーラムで開催される全国町村の自慢のグルメ・物産が大集合する「町イチ!村イチ!」の広告が過日の新聞折り込みに入っていたが食フェス増加の傾向はこうした日本の豊かな食文化の表れなのかもしれない。


2017年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月29日(水)から12月12日(火)の期間で実施しております「2017年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果を日々こちらにて掲載して行きます。


※アンケート調査のご案内については29日(水)10:00までに全社配信済みです。もし未達の場合はメールにてお問合せ下さい。

【アンケート回答企業一覧(返答順):11社】
岡地、フジフューチャーズ、豊商事、コムテックス、北辰物産、フジトミ、岡藤商事、日産証券、岡安商事、サンワード貿易、楽天証券
(12/15現在)


物価目標と出口

本日の日経紙経済面には「日銀ETF 時価20兆円」と題し、昨日公表の4〜9月期決算でETFの保有時価が3月末から4兆4千億円増え20兆3千億円になった旨が出ていた。株価がバブル崩壊後の高値を更新する水準まで上昇しているのも大きいものの、3月末の段階でもちょうど1年前と比べ1.8倍になっていたワケだからなかなかの進捗具合である。

日銀の自己資本8兆1千億円に対し保有ETFの時価は約2.5倍となっており、株価上昇の恩恵で9月末時点の含み益は過去最高の4兆2710億円に達しているが、当然ながら上昇し続けるなかを継続購入している分だけそのコストも上昇しているワケで同じく平行して損益分岐点もまた然り。

財務の健全性を危惧する声や市場構造上の問題、果てはコーポレートガバナンスへの影響も無視できなくなっている旨の批判も喧しいが、そもそもの2%の物価目標達成も未だ道半ばで手綱を緩める気配は無く、上記のように半年5兆円ペースの増加が継続すればそれこそ30兆円保有も見えてくるというものだが出口戦略が真剣に論議されるのは何時の日か今後も推移を見守りたい。


2017年度 商品先物ネット取引データアンケート調査について

毎年商品先物ネット取引を取り扱う商品先物取引会社を対象に実施している「商品先物ネット取引データアンケート調査」、18年目となる本年2017年度は10月末時点のデータを対象とし、11月29日(水)〜12月12日(火)の2週間で実施いたします。

▼2017年度 商品先物ネット取引データアンケート調査概要

11月29日(水)午前中に11月時点で商品先物ネット取引を行っている取引会社【12社】に対してアンケートのメールをお送りし、集計後12月下旬に全データを公開予定です。

尚、アンケート項目などは以下の通り。


【取引データアンケート調査内容(主要項目)】
※全て一般顧客からの受託を対象としたアンケートとなります。

1. オンライン取引 口座数:口座(2017年10月末現在)
※10月末時点でのオンライン取引総口座数(証拠金の預託されている口座数、否累計口座数)。
2. オンライン取引 実働口座数:口座(2017年10月末時点)
※上記総口座数のうち10月末時点で建玉のある口座数
3. オンライン取引部門 預かり証拠金総額:円(2017年10月末時点)
※10月末時点でのオンライン取引部署預り証拠金総額。
※2013年よりホールセール部分も加味した数値も項目追加。
4. オンライン取引部門 月間売買高:枚(2017年10月度)
※10月度のオンライン取引による月間トータルの売買高
※2013年よりホールセール部分も加味した数値も項目追加。
5. 一日あたり平均注文件数:件(2017年10月度)
※10月度取消し・不成立なども含む一日当たりの平均オーダー件数
6. 一日あたり平均約定件数:件(2017年10月度
※10月度一日当たりの平均約定件数(取消し・不成立などは除く)
7. 自社オンライン取引サービス内容の確認・修正など
※自社サービス内容について記入、及び追加・修正ください。

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


燻る思惑

今月中旬に当欄では「アクティビスト台頭」と題しTOBが難航している日立国際電気やアサツーDKを取り上げていたが、先週末の日経紙マーケット面にはこの日立国際電気へのTOB成立を試みている米投資ファンドのKKRが従来のTOB価格から約25%再引き上げする発表をした旨が載っていた。

KKRが一段の譲歩を迫られると当欄でも書いていたが、果たして異例の再引き上げ措置となった。イグジットのハードルが引き上がっただけにKKRはファイナルアンサーとしているが、反落となった本日の終値でもその再引き上げしたTOB価格を上回っており一般含め市場を下回る価格で応募する奇特な向きは如何ほど居ようかと疑問符が付く。

もう一つのTOB期限を一度延長していたアサツーDKの方はといえば、土壇場で筆頭株主のWPPが態度を軟化させ売却合意に向かった事で買い付け期間を12月6日まで延長という事で一応の決着を見た格好となっている。こちらも期限迫るなか三つどもえの構図がどう決着するか見ものと書いていたが、其々の思惑を乗せてまだまだ注目されるケースが続こうか。


ふるさと納税平準化

この時期になるとふるさと納税もそろそろ駆け込み消化が始まろうかというところだが、先週末の日経紙には「ふるさと納税 過熱一服」と題し、昨年のふるさと納税受け入れ額上位100自治体の今年の見通しが自治体の6割で減少を見込んでいる事が同紙調査でわかった旨が載っていた。

うち9自治体は受け入れ額が半分以上減ると見ており、中には受け入れ額が十分の一に縮小する見込みの自治体もある模様。8月に当欄でこの件に触れた際には好調な返礼品の受注で設備投資や雇用を増やしてきた関連企業こそ心中穏やかではないと書いていたが、果たしてというか彼方此方の返礼品納入業者も恨み節が聞こえて来る。

こんな梯子を外された納入業者や自治体の混乱を見て一括りで通達を出した総務省サイドの態度軟化の一部報道も出ているが、自治体サイドも返礼品が及ぼす経済効果はやはり無視出来なく、一度吸ってしまった甘い蜜の味は忘れ難いだけに苦心する誘致合戦も余計に本来の目的とかけ離れたモノも新たに出てきている。

とはいえ大手の仲介サイトでは受け入れ額全体では2割程度増加しそうとの見込みを出しておりふるさと納税の気運自体が萎えたワケではなさそうで、総じて今のところ総務省の一括り通達はこうした増加分と併せ首位減少分が他所へ分散する効力を齎した格好になっているものの何れ徐々に回帰してきそうな気がしないでもない。


連続破綻から20年

さて、今週で関係者に多大な衝撃を与えたあの山一証券破綻からはや20年が経過する。思い起こせばちょうど20年前の11月という月は四大大手の一角であったこの山一が破綻劇のトリを務めた格好になったが、その前に連続破綻の口火を切ったのが月初の三洋証券、そして中旬の北海道拓殖銀行があった。

この三洋証券といえばバブル期を象徴するかのような東証をも上回る世界最大とも言われたトレーディングルームが鮮明に思い浮かぶが、拓銀にしても一時は一蓮托生だった数万円の値が付いたカブトデコム株が紙屑になりウィンザーホテル洞爺の写真を見る度にこれらの事件が思い出される。

そして山一。日経・私の履歴書で元野村證券副社長が書き綴っていた通り今では金商法で真っ黒な「ニギリ」が横行、その派生で公然と「飛ばし」も横行し山一破綻のトリガーとなったのだがあれから20年、日経平均も25年ぶり高値水準まで回復した今こうして改めてひと昔を回顧する機会が多い。

当時はそもそも株式が持ち合いで成り立っていたのでわざわざ浮動玉相手にIRなどマトモに考える向きも少なく、投資尺度にしてもフューチャーバリューやQレシオなど異常株価を擁護する為?の指標が次々と現れた狂乱時代であったものだが、そう想い返すと現在進みつつあるガバナンス改革もこの山一破綻を教訓としている部分も少なくないか。


プラチナ選好

先週末の日経紙マーケット面には「プラチナ、長引く価格低迷」と題して、価格低迷が鮮明化し需給バランスの崩れから相場の低迷は今後も続くとの見方が強まっている旨が載っていた。そういえばちょうどこの時期になるとホリデーギフト等の案内が多くなってくるが、ジュエリーなど同じモデルでもプラチナ仕様のモノが極端に高いケースなど違和感を覚えるようになって来た。

一般的には宝飾品でも白モノの貴い輝き信仰は依然として日本人には多いが、お隣中国では昨年のプラチナの宝飾需要は40.4トンと直近ピークである2009年の60.8トンから34%も減少となっている。プラチナ信仰は投資用でも顕著で下鞘化の15年から16年にかけて本邦勢のみ買い向かった経緯があるが、今年の地金販売量は田中貴金属工業で1月から9月が前年同期比で5割近く減少と報じられている。

先月アタマの当欄では「クレジットカードなんぞもゴールドより格上のプラチナカードが肩身が狭い等との冗談も出てきそう〜」と書いたが、今月9日の日経紙・春秋でも「クレジットカードのグレードはゴールドより上級だが、見直しを迫られまいか。」と似たような事が書いてあった。不動のカードグレードやジュエリー価格へ名実共に即した価格に回帰するのか否か恒常化した鞘を今後とも見守ってゆきたい。