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活況の裏で

本日の日経紙マーケット面には「ETF3本 新規設定停止」と題して、野村アセットマネジメントが日経レバ型と日経インバース型、そして日経ダブル型の日経平均株価の数倍の値動きを目指すタイプを含むETF(上場投資信託)3本の新規設定を16日から一時停止する発表した旨が書いてあった。

この野村アセットに関しては9月のあたまにも2万円大台を割ったあたりからの純資産急増が影響しETF新規設定一時停止の措置を取ったばかりであったが、この時もそうであったように特にこの中では日経レバレッジ型の存在感が大きく純資産急増時には先物市場に与える影響が大きい事で相場の振れ易さ等が目立っていたという。

確かに直近までレバ型の売買代金は主力のトヨタ自動車を抜き、かれこれ営業日で1ヵ月以上も首位の座を譲っていない。現物の売買が細るなか短期偏重が台頭する構図は以前にも書いたがもともと中長期投資家が用いるETF本来の姿とは特異な存在となり、今のレバ系の活況は海外での日本株ETFからの資金流出傾向と併せ裏では先行き一段の警戒感を台頭させる格好となっている。


実用品との境界線

さて、本日は某サイトでファニチャーの案内を見かけたが、その中にはノルウェーのストッケ社が販売しているトリップトラップそっくりな椅子があったのが目に付いた。ちょうどこれに関しては先週の日経紙で「椅子デザインにも著作権」と題して椅子デザインに著作権を求めた知的財産高裁判決について書かれていた。

渦中の実用椅子がまさにこのトリップトラップだったのだが、日本に輸出販売しているストッケ社といえばこの椅子より大人目線の両面式のストローラーが有名だろうか。出始めの頃はその斬新なデザインから街中でもこれを押しているママなどけっこう注目されたものだが、今でこそ世界中のメーカーがこの高い目線のデザインを採用している。

しかし、この手のジェネリック品は同社に限らず例えば有名なヨーゼフ・ホフマンのソファーなどは今や多くのメーカーが「風」なデザインを無数に製作しネット上でも彼方此方で販売されている。裁判を巡ってはオリジナル側と所謂ジェネリック側で反応が対照的になったが実用品の区分をどう持ってくるのか、この辺は国でも解釈のカラーがあり一筋縄ではいかぬようだ。


休火山?

さて、先週末の日経紙マーケット面には「ひとまず去った嵐」と題して、週末のVI(変動制指数)が25.6となり8月21日以来の低水準に、また米国株のVIも節目の20を割るなど8月からの相場急変の嵐が一先ず去った旨が載っていた。

しかし当欄では先月に「変動率に商機」と題しリーマン・ショック以来の高水準を記録しているVIXを鑑み大手金融機関も変動率に注目した商品上場を検討する動きも出ている旨を書いたが、この手の話が盛り上がったところで一旦沈静化は定石通りか。そんな背景には米では年内の利上げ懸念が和らいだ上に、国内では先の緩和見送りで時価の月末会合では政策変更に動くともみられている事などがある。

全般に緩和トレードもいわれるなか個別も判で押したように緩和に敏感なポストが急速に息を吹き返し、またETF系でも8月中旬から9月にかけての近年稀に見るダイナミックな動きから、9月末から今月は急速に値を消し沈静化を辿っている。結局材料への感応度が都度の地合いでどの程度変わってくるかだが、今週も米中の重要経済指標発表や7-9月期決算が本格化する事もあり中央銀行政策期待と絡めその耐性が試されようか。


高島屋ウォッチメゾン

さて、8月末に当欄で「特定層への戦略」と題して高島屋が国内最多規模となる80強の国内外の時計ブランドを集めた時計専門店を日本橋地区で開設する旨を書いたが、はれて昨日に同店がオープンした。此処はたしか三井住友信託銀行があった場所だったと思うが建物の優美で重厚感のある外見はそのまま温存された格好になっている。

店内はさながら三越ワールドウォッチフェアが常設展?となったような感じにも見えるが、展開する全83ブランドのうちスナイパーはじめ3ブランドが日本初進出という。二階は所謂ハイブランドが揃い、フランクミューラーのコーナーには三越のワールドウォッチフェアでも見た事が無かった3億6千万円を超える値札が付くエテルニタスメガ4が鎮座するケースも聳えるが、その隣にはこれと裏腹に親近感?のわくリペアコーナーがある。

こうした部分から顧客のターゲットとして国内層を見据えての意図も感じられなくもないが、実際に高島屋は直近の6〜8月に前年比48%増にまで伸びた時計売上げのうち貢献したのが殆ど日本人で意外にもインバウンドは2%程度という。

確かに浮沈の激しい新興国勢の購買力も水モノともいえ本邦勢の安定感こそ重要なポイントとなろうが、それでも国慶節で再度爆買いが報じられているようなインバウンドの追い風があるうちに国内需要をどう取り込んでゆくのか、そういった次の展開を見据えた同社戦略の行方を注視している向きも多いだろうか。


次期システム

本日の日経紙マーケット面には昨年11月に上場したJPX日経400先物の累計売買高が昨日は1,000万枚を超えた旨が載っていた。投資指標として同指数を活用する投資家が増え9月の売買高は過去最高になった事が書いてあったが、内訳は海外投資家が72%、証券会社が24%を占めるという。

ところでこの先物といえば同紙週明けの風速計の頁にも「取引所システム、来年も難所」と題し、先の5年ぶりのアローヘッド刷新にホッとする間もなく来年夏にも導入のはこびとなる開発の難易度が高い次期システムへ焦点が向けられている旨が載っていた。

この辺に絡んでは同様のシステムを導入したシンガポール取引所が昨年末に2度の取引停止事件を起こした件が浮かぶが、コモディティーも視野に入れてとりわけデリバティブ分野の強化に関しては新CEOが世界標準に並ぶのを見据え課題として常々挙げてきただけにその動向が注目される。


回転鈍化

さて、昨日の日経紙マーケト面には「広がるリスク過敏症」と題して、急落から戻りを入れている日経平均においても海外発の材料に相場が振り回され、リスクを取っても運用成績が上がらないなかで年金等のお金の出し手も安定志向を強めている旨が載っていた。

全般でもMSCIオールカントリー世界指数は年初来で6.6%低下し、7-9月はこの4年で最大の下落率となった旨をブルームバーグが報じている。もう一つ、MSCIといえば上記日経紙の文中には同社が算出した相場全体より値動きが小さくなるよう設計されている最小分散指数も登場していたが、同指数連動のETFは日経平均を上回り格差が年初来で最も大きいという。

この辺を鑑みてブラックロックは再来週にも日本初となる同指数のETFを上場するというが、ここへきて米利上げ観測が遠のいた事もあって日経平均は約2週間ぶりに18,000円大台を回復。とはいうものの大台回復の昨日の商いは1ヶ月ぶりの低水準となりアクティブ系がチャブつく動きの典型ともいえるが米利上げ、日銀追加緩和何れかが実施されるまでこんな地合いが継続されるか。


現代の黒船

週明け本日の日経紙一面を飾っていたように、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する12ヵ国が大筋合意に達する見通しとなっている。この合意によりはれて域内の大半の関税が撤廃され、アジア太平洋地域に世界全体のGDPの約4割を占める巨大な経済圏が生まれることになる。

国内市場の縮小に直面する日本企業も近年増加しているなか域内市場でこれまでより自由な活動が広がり海外市場開拓の機会が増えるのが期待されるが、消費者側も食品がモノにより安価になる等のメリットが今後期待できる反面その裏では食への安全やら一部農業関係者の不安が募る一面がある。

とはいえ一先ずは蒸し返しでも歓迎ムードで反応するのが株式市場で、6月末にも一度当欄で取り上げた六甲バターなどは本日再度動意づいて急反発し上場来の高値をほぼ3か月ぶりに更新。同じ食品系では他にプリマハムや林兼、井関農機から日本農薬まで一斉に動意づいていたが、この辺が新たに市場の矛先を変えるような事になるのかどうか今暫く注目したい。


因果

今年の3月に当欄では「今更ながらの風説流布とか」と題して、インターネットサイトを元に風説の流布の疑いがあるとして、バブル期に大物仕手筋として知られた人物の関係先を証券取引等監視委員会が金商法の疑いで強制調査した旨を取り上げていたが、本日の産経紙には同委員会がこの人物を金商法疑いで東京地検特捜部に告発する方針を固めた旨が報じられていた。

あれから約半年を経て今回の告発に至ったワケだが、同紙ではこれまでに得た売却益が約60億円という。確かに大証時代の新日本理化は株価5倍化まで育て上げ、これに続くルックも比例配分に潜り込む隙が無いほどのストップ張り付きだっただけにこの辺も納得だが、銘柄によってはもともと大量に保有していた向きの解体作業と取れなくもないモノもありこの辺は魑魅魍魎としている。

しかし東京地検検特捜部といえばこの人物の1980年代の所得税法違反での逮捕劇が記憶に新しいが、真の狙いともいえる顧客等名前を最後まで吐かなかった事で揺るぎない信頼を得てその後の活動に繋がったというのは兜町では有名な話。あれから30年を経てまた因縁の対決となるかなんとも因果なものである。


資源受難

さて、昨日に引き続き日経紙一面からだが本日の紙面を飾っていたのは「資源安 企業に打撃」のタイトル。中国の景気減速の悪影響が先進国に波及し、業績の悪化に見舞われる資源関連企業が日米欧で相次いでいる旨が書かれてあった。

昨日の日経平均など大幅続落し01月16日以来、約8か月半ぶりに節目の17,000円大台を割り込んだが、斯様にこれに関して市場を揺るがしたのは直近ではスイスの資源大手商社グレンコアであろうか。恒常的な資源安を背景に経営危機観測まで台頭し、同社のCDS(クレジットデフォルトスワップ)5年物保証料率は7%に跳ね上がっている。

スイス最大級の商社がこんな事態になれば当然ながら国内勢も冴えない展開を強いられるワケで、昨日は首位の三菱商事が年初来安値更新、これと並ぶ三井物産も揃って年初来安値を更新している。VWの次はグレンコアと一難去ってまた一難の展開が続くが、商品低迷の恒常化を予測する金融大手各社の見通しには常に注意しておきたい。


沈没

さて、本日の日経紙一面を飾っていたものに第一中央汽船の民事再生法適用申請の報があった。運賃低迷で経営状態が悪化しその負債総額は簿外も含めると2000億円を超える可能性があるというが、曲がりなりにも商船三井傘下の住友系であっただけに降って湧いたこの報はけっこうな驚きがあった。

これで今年の上場企業のパンクは年明けのスカイマーク、その後の江守商に次いで3社目となったワケだが、国内五位とはいうもののバラ積み船はやはり景気連動型と改めてまざまざと見せつけられた破綻劇で、大手にぶら下がった再建とはいえやはりいつまでも安穏というワケにはいかないという事か。

しかしこれまでも低位だけに比較的大商いし易い銘柄だったが、かつてリーマンショック前に仕手化し大化けした頃が懐かしい。低位のパンクといえばかつて殖産住宅等に見られたようにショート筋の思惑は当たったもののそれまで逆日歩でヤラれたとシャレにならない話もあったが、これまた完全合致から祭りが始まるか。


盛者必衰

さて、先日はランボルギーニの新型スポーツカーであるアヴェンタドールSV限定モデルの発表記念パーティーが都内で開かれていたが、今回もまたこのお披露目時点で既に完売状態であった模様。ところでこのランボルギーニを擁する独フォルクスワーゲンだが、周知の通りディーゼル車の排ガス試験を巡る不正の報で連日紙面を賑せている。

この報によって当のフォルクスワーゲンはもとより自動車関連株が一斉に売られたのが目立ったが、これとは対照的にガソリンシフトと触媒の連想で24日の東京商品取引所のパラジウムは期先で176円高と急伸、貴金属の中でもこれに矛先が向かい一際堅調であった。

欧州は、例えばスキポール空港前などにはベンツのタクシーがズラリと並んでいるがほとんどがディーゼル車である。今回の件で斯様な欧州のディーゼル車一辺倒に変化が起きるとすれば上記のパラジウムとは対照的にプラチナは更に低迷が恒常化する可能性もあるか。

しかし、8月末に関係悪化から資本提携を解消したスズキもとんだとばっちりだ。保有するVWの発行済み株式約1%はこの事件で期末比約700億円も目減りしたというが、それでも取得金額の倍で売れる見込みというからこれはこれで不幸中の幸いか。ともあれ自動車界のLVMHともいわれるVWの余震が何所まで株式や商品に影響を及ぼすのかしばらく注目である。


5年目の刷新

さて、連休明けの本日は株式売買システム「アローヘッド」が約5年ぶりに刷新された。今回も初代に続いて富士通が請け負った模様だがポイントとしては注文処理のスペードや件数が現在の2倍に、また呼び値単位の適正化や気配値表示本数の増加、それに発注証券会社のシステム障害時に自動取消機能を設ける等の信頼性の向上といったところか。

5年前に刷新された当初はいくつかの銘柄で僅か数十秒の間にストップ幅近くの急落急騰を演じて早速個人が翻弄される光景が話題になったものだったが、今回の新システムは売買ルールに見直しが入り野村の試算では1分間の株価変動率が平均で上下4%を超えないようになる見通しとか。

これに関してはアローヘッド稼働後に当欄でも「二次的な乱高下に対するセーフティーネットのような物の必要性が問われてくるのは必至か」と書いた事があったがこの辺に対応してのものか。また呼び値も縮小傾向でここまで来たが、今回はさすがに縮小し過ぎた分の見直しがTOPIX100構成の一部で行われる。

しかし5年前のアローヘッド開始時に「はやこんなところまで来たとは時の流れを感じるが、これでも日進月歩だけにまた古くなる日が何時の時代か来るのだろうな。」と当欄では末尾で書いたが5年目で刷新、都度ディーリング等も変遷を強いられてきたがいたちごっこのHFT業者と容易には太刀打ち出来ない個人の共存がまた継続されてゆくこととになる。