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J―GATEの課題

さて、先物やオプションをやっている向きなら今週は週明けの商いでおやっ?という感じになったと思うが、周知の通り日本取引所グループ傘下の大証でこの日はシステム障害が発生、上記のオプションなどデリバティブの取引が最大約4時間にわたって出来なくなったという一件があった。

同システムはナスダックOMXグループ製で2011年に導入したものであったが、トラブルの原因は日経平均オプションの売買に関する処理プログラムやら、サーバートラブル云々ということであったが停止したのは今回が初めて。

これで影響が出たのは現物との裁定が出来ずボリュームに変動をきたした点などだが、直近では昨年に東証で起きたデリバティブのトラブルや、その前のアローヘッドの障害等でも現物のトラッキングエラーで先物との裁定に影響が出た経緯がある。

この日経平均先物は米CMEやシンガポールでも取引されているだけに、それこそこの辺の信頼回復に時間がかかることなどになれば下手をすると取引の流出懸念も台頭し、またこれと同様に新興国への輸出等にも影響が出る恐れがないわけではない。

市場ではモルスタ世界株指数に組み入れられるとの事からTOPIX買い需要120億円同様の資金流入が想定されるとしてここ急伸してきた日本取引所株であるが、来年には大証にデリバティブを集約する予定となっており、他のアジア取引所との競争に勝ち抜く為のデリバティブ強化を打ち出している時だけに更に万全な大勢が求められる事になろう。


百貨店も啓蟄

本日で日経平均は5日の続伸となり引け値での11,900円台回復は08年9月以来、約4年5ヶ月ぶりのこと。東証業種別株価指数は全33業種中、31業種が上昇したが、業種といえばこのところ堅調が目立つもののひとつに百貨店株がある。

三越伊勢丹HD、Jフロントリテイリングなどは約2年11ヶ月ぶりの高値で本日も年初来高値を更新、昨日は約2年9ヶ月ぶりの高値を付けた高島屋や松屋も年初来高値更新しているが、上記の大手含めた4社が月初に発表した2月既存店売上高は高額品の販売が上向いている事でこの辺をテコに物色が向かった模様だ。

ちょうど先週初めの当欄では「円安駆け込み」として値上げ前の駆け込みでルイ・ヴィトンの売上が前年同期比2倍に膨らんだ旨を書いたが、株高効果はジワリ浸透し高級ブランド系は全般でも前年同期比で25%前後の伸びを見せており、この辺も時計や美術品等と併せ相乗効果が出ている。

ところで上記の百貨店株の中には最近の倉庫株よろしく売り上げ云々より含み資産モノとして買われているものもあり、今更ながらかつてこんな部分に目を付けられ株を集められた経緯などが思い出される昨今の光景である。


ニッチな株365

さて、株式市場同様にアベノミクスの影響で為替も急速に水準訂正?が進みボラタイルな動きとなってきた事でFXの方も投資家回帰から温まっている感じであるが、FX同様に株価指数も品揃えに顔を出す東京金融取引所ではこれも同様に売買が活況になっている模様だ。

先月の月間売買高は38万4,697枚となり、これは上場来の取引数量という。前月比では6.4%の増加だが前年同期比では161.5%の大幅増加であり、個別で内外4種類あるなかでやはり馴染みがあるのか「日経225」が主力となっておりそれの前年同月比は176%増と急増している。

同一指数でもどの商品に取組むかは人それぞれだが、これはなかなか痒いところに手が届くというか例えば深夜の大証先物のナイト・セッションが終了した後も更に3時間ほど取引可能でこの辺は高ボラティリティーな時ほど重宝するだろうし、またこれと近いところで祝日も扱える点などある意味ニッチな部分のニーズのいい受け皿となろう。メジャー指数は他にも数多く今後の拡充にも期待したいところである。


撫子銘柄

春一番も吹き、昨日は女子の健やかな成長を祈る年中行事の雛祭りであったが、ちょうどそんな時期に因んでかどうなのか先週は東証から女子社員を積極活用し経営効率も高いという、女性が活躍出来る企業としての所謂「なでしこ銘柄」17社を選定している。

東証がこうした特定のテーマ毎に関連する銘柄をピックアップして公表するのは今回が初めてではなく、これまでには「ESG」(社会的要請)とか「特許価値」などのテーマで選定されてきた経緯があるが、今回のものなどザッと見てみるにやはりこれまで女性絡みの記事で取り上げられた記憶のある企業が多い。

中には全くこの手のイメージが湧いてこない企業も混じっていたが、それとは逆に真っ先にこの手で思い浮かぶ真ん中だろうと思われる企業がエントリーされていなかったりしたのも意外であった。この辺は指標項目が多岐にわたり業種で1つの選定ということもあったのかもしれないが新しい発見でもあった。

こうした取り組みは投資の新しい尺度になる切っ掛け作りとのことだが、商品開発の観点からもETFそのほかの組成など枝葉が広がる余地があり、こういった部分でも裾野の広がりに期待したいところ。


日本版ISA

月末の日経平均は305.39円高と3日ぶりに急反発、売買代金は2兆円を超え特に本日は野村アセットの上限2,000億円規模投信2本の設定があったのも後押したようだ。何れにしてもこれで月間ベースでは7ヶ月連続の上昇となり、上記の投信関係含めここからでもまだまだ個人資金の流入等が続きそうだ。

さてこの個人に関連しては、毎年100万円までの株式や投信等からのキャピタルゲインや配当について最長5年の間非課税にするという所謂「日本版ISA」が最近の話題になっている。来年からの導入を前に今年10月に口座が解禁されるが、三菱UFJFGなど早速同制度向けの専用投資信託を開発する姿勢を見せている。

その専用口座は当初4年間は1つの金融機関にしか開けなく、上記のような銀行グループ始め顧客争奪戦の様相となるかどうかだが、証券界の反応は販促費や手数料等々考慮するに下手をすれば持ち出しにさえなりかねず、中小など対面系ほどこの辺は今ひとつ及び腰というか乗り切れないというのが実情らしい。

業界総出で盛り上がるという機運にならないこの辺がある意味ジレンマだが、これで思い浮かぶのがETFか。これまた手数料など採算性の問題から似たような状況であったと思うが、「貯蓄から投資」を実現させるまたとない好機云々の前にこうした壁の存在もまた課題になってくるか。


お国柄いろいろ

週初の日経産業紙には「息の長いタイの成長」として同国の昨年の経済成長率が年初予想の4%台を上回る6.4%に達した旨が載っていた。一昨年の大洪水試練を経ての伸びだけに今後にも期待がかかるが、最近のもう一つ緩い話題ではタイ政府系の格安航空会社ノック・エアが制作した水着女性のカレンダーに文化庁から物言いがついた一件もある。

見たところ別段不快に感じる部分など何処にも見当たらないと感じるが、当局によればつまるところ「女性の尊厳を無視している」ということらしい。一部特定向きが多いだけに航空会社のカレンダーは折に触れ話題になるが、この手ではメキシコの某航空会社はCAらのビキニカレンダーを出し、アイルランドの格安航空会社もインナーを纏ったCAのカレンダーなど出し、スペインの某航空会社に至っては更に進化?した物を出した経緯もある。

そういえば昨年だったか、ベトナムのジェットエアなど、ホーチミンからリゾート地へ飛ぶフライトのなかで女性によるダンスを機内で乗客に提供したところ、航空局から不適切なパフォーマンスとして形ばかりの罰金を科されたそうだが、この手の件こそお国柄が出るといったところか。賛否両論あろうが、まあ総じて築地のマグロじゃないが損して得取れでいいプレスになったのではないか。


機が熟す

昨日は財務相から政府が保有するJT株のうち約三分の一相当の3.3億株を来月中旬に売却するとの正式発表があった。幹事団に野村が入っていないのをみるに改めてファイナンスを巡るインサイダー疑惑の汚点が思い出されるが、その辺は兎も角も政府が一般への売却を行うのはこれで4度目。

その総額だが今の時価から換算するに約1兆円に迫る規模となるが、当然今年度で最大規模となる見込みで前回のNTT株売却が思い出される。これだけの吸い上げだけに市場への影響を気にする声も聞こえるが、自社株買取状況や今のボリューム如何で受け皿十分との声もあり蓋を開けてみてといったところか。

胸算用といえば、東日本大震災からの復興財源に計上したのは5,000億円となっているが、この放出報道で直近急落した経緯があったとはいえそれでもコアの一角だけに、アベノミクスによる株高効果から当初見積もっていた額からは倍増と大きく上回る。他の経済効果含めこの辺は実に政策の力を感じる。


円安駆け込み

周知の通り政府は、次期日銀総裁として金融緩和に積極的な現アジア開発銀行総裁を起用する人事を固めている。この報でドル円は一時2010年5月以来の94.77円まで上昇、お約束のように日経平均も年初来高値更新と高いが、こんな急激な円安によって高くなるのは何も株に限った事でなく輸入モノもまた然り。

高級ブランドなどこの手の為替動向(いつものことながら特に円安方向)には極めて機敏に対処し、仏のLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは日本のルイ・ヴィトン・ブランドの一部商品の価格を中旬に平均で12%引き上げている。

これで駆け込み需要あるや否やと注目はしていたが、某大手百貨店では同ブランドの今月1〜14の売上高が前年同期の2倍に膨らんだという。ただ全般でも主力の大手百貨店では今月に入ってからの高級ブランド売り上げが前年同期比で25%前後の伸びを、見せ何れも1月の伸び率を上回るという。

この辺の数値を見ても株高効果の力を感じるが、しかしこんな高級ブランドに限らず一般モノでも身近なところでガソリンは11週連続高、輸入小麦の買い付け価格も3週連続高となっており、値上げが全く気にならない向きは扠措きそうでない向きもそれなりに円安の恩恵を享受出来る投資関係など防御策?に嫌が応でも関心が高まってこようか。


隕石の真贋

さて最近のニュースでは、ロシア中部ウラル地方のチェリャビンスク州周辺に隕石が落下したとの報があった。被害地域は10地区に上り落下の衝撃で多数の負傷者が出た一件だったが、隕石といえばほとんどが海に消えるために地上へ来るのは希で落下の予測も天気予報のようにはいかないらしい。

これだけ大きな破片が落下したということでその捜索の方も気になるところだが、同州副知事によって隕石捜索は1日限りで週末には既に捜索を中止したことが明らかにされている。騒動沈静化の狙いとの見方もあるが、やはりというかその直後からにわか隕石ハンターによる偽物の出品がネットに相次いでいる模様。

一部にはロマンを誘う貴石だけあってロレックスのメテオライト等にも隕石が使われているが、世界初の隕石素材を配し時計の中心には太陽系を模したプラネタリウムが取り付けられているルイ・モネのメテオリスなど3億7千万円の値札が掛かる。また米大学にアマチュアが持ち込んだ隕石に85万ドルもの値が付いた件もあってこれに引っ掛け一稼ぎを狙う輩が出るのも自然なところだろうか。

昨日は金を取り上げたがモノによってはこの金の数十倍の値が付くわけだから凄い価値だが、ところで隕石といえば日本でも約一ヶ月ほど前に茨城県を中心に関東の広範囲で大爆発音を伴う先行が多数目撃されたとの報があったが、あれは結局何だったのだろうか?


金レパトリエーション

昨日の日経紙商品面には「独連銀、保有金を自国へ移動」として、ドイツの連邦銀行が先月に国外に保管している保有金のうち674トンを、2020年末までにフランクフルトにある連銀金庫に移し国内保管率を50%まで引き上げると発表した旨が載っていた。

この独といえば公的な金保有量では米国の8,133トンに次ぐ3,396トンで第二位となっているが、これほどの規模でなくとも、この記事を見て思い出したのが一昨年だったか外貨準備の中で金の保有量を増やしつつあるベネズエラが、その国外の銀行へ預託している金準備211トンを国内へと引き上げる動きが報道された件である。

このベネズエラ、国内の金産業を国有化するとの法令にも大統領が署名しているがそれは兎も角も、もともと上記の独は昨年の秋くらいに連邦会計監査院が独連邦銀行の海外に保有する金準備についての検査を行う旨の事が昨年の秋くらいに言われていた経緯がありその辺も絡んでの決定なのだろうか?

翻って本邦、日銀からは保管場所の公表さえなくまずこんな話は出てこない。この独が外貨準備に占める金の比率が70%を超えるのに対して日本は僅かに3%台。独は1973年以降は金の売却をしていないそうだが、日本の場合は40年も日銀金輸入実績がないばかりか逆に金の輸出は最高水準という純輸出国という特異な存在が際立っている様は色々なことを考えさせられる。


今年は何社

米市場が休場とあって本日の株式市場は手掛かり材料に乏しい中を小動きで推移し、東証一部の出来高は26億株と今年初の30億株割れとなっていた。後場は凪のような状態で、結局値上がり1075銘柄、値下がり496銘柄、変わらず128銘柄であったが新興市場など依然として値動きは荒い。

今年一発目のIPOとなったメドレックスなどがそんな例で、公募・売り出し価格の2倍以上にもなる買い気配値を切り上げ初日には値が付かない人気で昨日には3,560円の年初来高値まで急騰したものの一転して本日は2,515円の安値引けと急落、また次に続いた買取王国も然りで初値2,000円から翌日には3,000円まで急騰し本日は安値2,206円と往って来いである。

未だ赤の企業で回転が急がれるのは想像に難くないが、先に上場していたミドリムシ生産のユーグレナ等はこれらのIPOの時にはストップ安まで売り込まれその背景には換金の用もチラつく。ところでIPOといえば今年は60社〜70社との予想が多いが、アベノミクスで地合いが劇的に改善されてきているだけに今後のIPOインデックスがどう推移してくるかこの辺にも自ずと関心が向かうところ。