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絶好のタイミング

本日は経済財政相発言による円安一服から日経平均こそ後場は多少ダレたものの、相変わらず個別の回転が凄まじい。大型ならまだしも中、小型なんぞで一寸仕手化したものなどは数回転でそれこそ発行済株式をこなしてしまうケースが多数散見され個人含めたデイトレーダーの存在感が浮き彫りになる。

そういえば先週末の日経紙にはマル信の取引が急増している旨が出ており、大手ネット系7社の今月の1日平均(4〜9日)売買代金は先月平均の約2倍になったという。周知の通り規制緩和で証券取引所が受け渡し前の証拠金使い回しが可能になり、マル信利用が急増したという構図だが昨年後半からの金融緩和期待の好材料出現もあって絶好のタイミングに乗ったという感じか。

売買代金も不振を極めていた頃は商取のプロップのように狭いパイでの食い合いが多かったが、こんな甘い香りに釣られて新参者が急増すればリクイディティに大いに貢献することになり腕に覚えのある向きにはまた一段と取り易い環境になるというものだ。

ところで取ったら取ったで収めなければならないものだが、政府は個人が投資から得た配当や譲渡損益を通算して課税する仕組みを拡充、損益通算対象を公社債等債券にも広げる方針を固めた。上記の件も含め個人の眠っている資金が動き出すように税制面からも環境を整えるという事だが、それこそ先ず配当・売買益課税軽減措置は恒常化し最終はやはり全ての損益通算体制ということになろうか。


卓上論者でも当たる年?

さて、本日の日経平均も政府・日銀の連携強化による強力な金融緩和策への期待から続伸しての引けとなった。一昨日の日経紙にも株価見通し上げ相次ぐと出ていたが、こうなると上がってきたから上方修正、上方修正されたから上がるのスパイラル現象となり楽観ムードが蔓延してくる。

見通しといえば日経恒例の「経営者に聞く今年の見通し」は、昨年の大納会を年初来高値で締めた株式の急騰によって判で押したような年末高という大半の回答が当たってしまったという珍事?となった。

こんなまぐれ当たりから今年の見通しもどれだけ風呂敷が広げられるのかと思っていたのだが、意外にも年明けの日経紙のそれは大手証券など恒例の年初安・年末高という数年間続いてきた「お約束相場観」が今年は一寸違っていたのが印象的。有望銘柄にしてもアベノミクスにおけるその経済人脈から、昨年まではキャピタルゲインという観点からは相手にもされなかった重厚長大銘柄等これまたどの程度をもって有望というのかどうかだが当たってしまう?かもしれないなと。

ともあれこうした機運で長年眠っていた資金や口座が喚起され血の巡りが良くなるのは悪いことではない。劣悪環境下での企業努力から強靭な体力を構築しリバウンドでも経済も回るようになれば、あれだけ散々云われていたリーマンショックやら欧州危機まで必要悪だったとの論が出てくるから面白い物だ。


時価総額再浮上

週明けから調整色が続く日経平均は本日も朝方は続落歩調であったものの、窓埋めからは一気に切り返しとなり個別も高値更新が目立った。しかしアベノミクスが囃され年末年始だけでも主力のコア物など時価総額の増加が著しいのは想像に難くはない。

こんなコア物の時価総額を昨年比で見てみると同じ業界でも個別で明暗がわかれていてなかなか面白い。円高や中国異変やらの環境変化もあったが、主力事業や補完など上手く振替えられた向きは全体相場の温まりで戻った以上のプレミアムがはっきり付いており解り易い成績表となっている。

ただアジア全体でのコア物の時価総額ランキングを見てみるとやはり韓国や中国勢の躍進が目立ちこちらではまた別の構図となる。数年前はベスト10圏外であったものが躍進し、トップに君臨していた日本企業はベスト3にも入っていない。長らくの円高で更に生産体制の見直を進め強靭な体質になっているとは思うが、成長戦略を深め変革の取り組みの手綱を緩めないことが再浮上の条件になるのはいうまでもないか。


費用対効果

さて、昨日の当欄でも冒頭で一寸触れたが威勢のいい大発会と共に同じ中央区ではマグロの初競りで億の大台に乗った話題でまだ彼方此方騒がしい。1999年以降でマグロが最高値を付けたと騒がれたのが2年前でこの時は3,249万円、それが昨年「喜代村」の登場で5,649万円と跳ね上がって最高値を更新したが、今年は一気にこれが約3倍であるから尋常ではないだろう。

こんなものを真面目に計算しても仕方ないが、本マグロの歩留まりは約50%としても寿司ネタでシャリの上に鎮座するであろうモノは原価で数万円、ここから販売価格ということになるとそれこそ一貫10万近くになってしまうが、これが通常価格の数百円で提供されたというから社長の「話題作りを期待しているわけではない」という発言はなかなか信じ難く苦しいものがあろう。

日本橋で老舗の寿司店を営む知人もこの異常さには閉口、ウチも勿論だが一発のセリに資本金を上回るような投資は普通出来ないでしょうと苦笑していたが、この値でも費用対効果は抜群であろうし、競り上がったこの値で更にそれは倍増といったところか。民放やら新聞やら彼方此方騒ぐであろうし、そういった意味では芸能人の派手な結婚式と同じようなものか。

競り合う相手が居なくなれば何処かで終焉を迎える狂想曲だが、はて来年はどんな光景が築地で展開されるのであろうか。


辰巳天井後編

皆様、新年あけましておめでとうございます。

ここ数年何処でも初商いは堅調傾向が続いているが、今年も例年通りの堅調というより景気のいい暴騰発会。初商いといえば日経の春秋にも書いてあったが、築地のマグロもとうとう億の大台に乗りなんともこちらもバブリーなスタートとなった2013年である。

今年は「辰巳天井」も後半ということでこの年末年始の爆騰を見ているとますますこのアノマリーもシナリオに沿って動いているなという感じがしてくるものだが、このジンクスを破れるか否かはやはり金融緩和強化はじめとした、所謂相場が先喰いしてきた部分が現実のものとなるかどうかだろうか。

相場といえば周知の通り、1月1日付けで東京証券取引所グループと大阪証券取引所が統合し、JPX(日本取引所グループ)が発足している。この経営統合によって株式売買代金ランキングでは世界第3位に躍り出ることになるが、デリバティブでは17位と大きく下がる。そんな訳で同所CEOはデリバティブ市場のテコ入れが急務との考えを折に触れ表明しているがこれに絡んではやはりコモディティーが気になるところ。

この辺に関しては対象を従来の株式や債券等に加え商品先物等にも広げ海外取引所との提携も視野にともしているが、総合取については「文化」の違いが大きくまだ時間がかかると漏らしている。一方でTOCOM側は今年半ばか遅くとも年内には結論を出すと明言しておりこの辺がどういったランディングになるのか引続き注目事項となる。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。



終りよければ全てよし

恒例の日本漢字能力検定協会が発表する今年の世相を一文字で表す「今年の漢字」は、先に報じられた通り「金」であった。確かに今年はこれに掛け易いものが多く、先ずは5月の金環日食、6月の金星通過、そして7月からのロンドンオリンピックでの史上最多金メダル、そういえば2000年の今年の漢字も「金」であったが、この時もシドニーオリンピックの金メダルで湧いたなと。

一方でその裏では、消費税からAIJまで金(カネ)絡みの問題も健在?そして金融といえばコモディティーのGOLDも欧州問題、QE、そして財政の崖に揺れた一年であった。直近では当社企画の「TOKYO GOLD FESTIVAL2012」も今月開催されたが、足元の劇的な円相場の転換もあり来年もますます「金」は目が離せない存在になるのはいうまでもないか。

この円高基調の転換がもたらしたリスク選好は株式市場もまた然り。終りよければ全てよしではないが疑心暗鬼の連中には買う隙も与えないほどスルスルと上昇しアッという間に大納会を前にし年初来高値を更新である。長年眠っていた証券株など何処にそんな軽さがあったのかと思うような浮上を見せているが、こちらもまた裏では既に廃業を選択した老舗会員も多く出た。

ちょうど一年前には「業界の地を想う」として商品の地である蛎殻町一帯の風景が、取引員移転や東穀取の取り壊しで急速な変貌を遂げた旨を書いたが、境目の鎧橋の向こう側、証券の地である兜町も大手証券が軒並み本社機能を他へ移し、今年はメインストリートの老舗中小も廃業続出、証券会館もJASDAQ−OSプラザが閉鎖とこの一年でこちらもまた変貌を遂げている。

来年は年明けから東京証券取引所グループと大阪証券取引所が統合し、「日本取引所グループ」が発足する。またその後には「東京商品取引所」も発足の運びとなるが、景色の変貌と共に一旦諸々な物がシャッフルされこれらの創造がまた新たなものを齎すのか、この辺に思いを巡らせつつ今年は筆を置きたい。

皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様も良いお年をお迎えください。


IPOラッシュ

今月12月のIPOは14社、今年の新規上場が46社であるからまさに今月は上場ラッシュということになるが、直近のものなどミドリムシの研究開発を手掛けるベンチャー企業のユーグレナは先週上場から2日目にして公開価格の2.3倍となる初値形勢となったが、本日も2日連続のストップ高と破竹の勢い。

もう一つ、同様に先週上場を果たした地盤ネットも公開価格の約2倍で初値形成し本日で3日連続のストップ高とこちらも更に凄い勢いである。全般総嵩上げのなかでもこれだけ派手な動きをすれば目立つものだが、上記の今月モノの公募価格からの初値の上昇率は平均59%と可也のパフォーマンスとなっている。

ちょうど日経平均も大台回復し、個人の余力が上昇し回転が利き始めたおりでありタイミングの重要性をつくづく感じるといったところだが、昨今は銘柄や地域のバラエティ−が増え企業の若年化も復活歩調にあるという。一方ではそれだけ玉石混合ともいわれるが、確かにラッシュの後は煮え湯を飲まされる例が過去何度もあっただけに今後は選別眼が必要となろう。


年末の再編劇

さてこの年末にきたところで先週はNYSEユーロネクストの米ICE(インターコンチネンタル取引所)への身売りの方が入って来た。デリバティブに強い米ICEとの統合効果により同分野で規模が最大といわれるCME(シカゴマーカンタイル取引所)グループの牙城を崩そうとする動きとも報じられていたが、取引所といえば直近の成約例では今年夏の香港取引所によるLME(ロンドン金属取引所)の買収が記憶に新しい。

ダントツの知名度を誇る上に200年以上の歴史があるニューヨーク証券取引所を擁するNYSEであるが、売上高こそ米ICEの2倍以上軽く売り上げるもののその売上高営業利益率は直近のもので米ICEの3分の1にすぎなく、設立僅か数十年という新興勢?の傘下に入る下克上劇もこの辺の収益力を見るに自然な流れとも映る。

ところでこのNYSEユーロネクストといえば、かつて当欄でも取り上げたことがある通りドイツ取引所との統合話があったものだが、欧州委員会の壁が立ちはだかり立ち消えになった経緯がある。他にもシンガポール取引所の件や、LSE(ロンドン取引所)の件など国際間の物は国益が絡むだけになかなか難しいものもある。

そんな渦のなかで、本邦も東京証券取引所と大阪証券取引所がはれて経営統合となるが国際的な再編劇前の布石なのかどうか、先ずはこれで地盤強化なるや否やその行方を見守りたい。


百貨店ストラテジー

さて、巷の百貨店などついこの間までお歳暮商戦酣であったが矢継ぎ早に今や御節商戦が酣となっている。ミシュランガイド発売後とあって例年通りその関連店舗から出すモノには強気な値段が並ぶ光景は例年通りだが、今年は三代が楽しめる「家族型」と逆に少量ニーズを取り込んだ「個食型」の二極化もいわれている。

こうした商戦ではあの手この手で各店舗共に個性を競い合うが、お歳暮、御節の師走が過ぎると今度は早々に冬物セールのイベントが待ち構えている。ところでセールといえば今年は夏物のセールで大手各社が例年より遅らせる形を取った為に混乱をきたし、結果的に各社軒並み減収が顕著となり見事に空振りとなった経緯があるのは周知の通り。

そんなことからもう横並びで追随は懲り懲りとばかりに、夏の反省から大手どころは先送りの先陣を切ったところを除き冬物セール開始は例年通りという向きが大半を占めるが、百貨店側と共に夏物のセール先送りを仕掛けたとされている大手アパレルも冬物では年初からと平常通りの動きになる見込みで、やはり前にも書いたところである麻薬の如きセールの扱いは難しい。

デフレ長期化のなかでのアパレルの位置付け、家電と共に回復期でのホテル等との違いを前にも書いたが、冬の時代はまだ続くのか否か顧客利益と自己利益の天秤での試行錯誤はまだ終りそうにもない。


建前論と核心

昨日の日経紙、風速計では「大手主導の日証協に反旗?」としてネット系および中小証券が日証協の中に立ち上げた「個人投資家応援証券評議会」なるものが、大手の意向を反映した日証協運営体制への反旗ではないかと業界で波紋を呼んでいる旨が書かれていた。

同評議会の議長はマネックス証券社長だが、同評議会参加については「主たる顧客基盤を個人投資家とする証券会社という評議会の性格付けに適った証券会社に集まってもらいたく、参加証券会社を一定の基準で絞り込むことも大事なことだと考えている。」としている。

となれば大手・銀行系は事実上参加が難しい狭き門?となってくるが、その議題にしてもファイナンスの実施に絡む問題点など大手のプライマリービジネス等の核心に触れる部分が多く真っ向から論議ということになると仮に大手と議論の場を設けても個人投資家の視点からすれば当然の如く大手には分が悪い。

他にもアップティック・ルールの是正まで含めた議論まで範囲は広いが、相場も年内に年初来高値を抜くかどうかまでにわかに熱くなってきているおり、市場活性化の使命を背負う日証協が均衡点を見出せるかその采配が今後注目されるところ。


在庫豊富の調達難?

政権交代を囃してこのところ円安・ドル高が進んでいることもあって、国内の商品先物全体の値動きを示す日経・東工取商品指数は昨日には4月中旬以来約8ヶ月ぶりの高水準となった。本日も続騰となっており商品高の好感から商社株や別子こと住友鉱も高いがこれを含む非鉄系もこのところ堅調が目立つポスト。

この非鉄といえばLMEで決める地金価格にメーカーなどが運賃や手数料を加味するプレミアムが高水準になっている旨を日経産業紙で見掛けた。アルミ地金等の国際在庫は過去最高水準ながらLME指定倉庫からの引出予定量昨年末の10倍以上に増加し、地金を取り出しの煩雑さと相俟って出回りが品不足になっているという。

LMEといえば当欄でも度々取り上げた通りけっこう驚きな値で香港取引所が買収手続きを終えたところであるが、参加する多くの金融機関は地金購入と併せ先物に絡めて利鞘を稼ぎ系列の所有倉庫に保管というパターンが定番、彼ら主力勢は買収前の大株主であった向きが多く買収後も尚影響力があるところなど先ずは円滑さを狙う香港側の目先の試練となってくるか。