鑑賞初め
さて一昨日の日経「旬の人時の人」では同紙連載小説「等伯」で直木賞を受賞した作家が載っていたが、この安土桃山時代から江戸初期にかけて活躍し数々の傑作を残した長谷川等伯と双璧と称される巨匠に円山応挙が居るが、同氏の屏風が見られるのもあとわずかということで過日は三井記念美術館の「ゆくとしくるとし」を観に行ってきた。
応挙といえば「孔雀図」などどことなく伊藤若冲のタッチに似ており以前より興味があったのだが、やはり国宝にもなっている「雪松図屏風」の実物は圧巻、展示替えで昨年までの「雲龍図」は見ることができなかったものの、これをも凌ぐその荘厳さはやはり実際に観てみないとわかるものではない。
もともとパトロンが三井家だったということもあり同館で展示されるのは自然であったが、今回は併せて茶道具の展示が有り、昨年の「正午の茶事」に続き今回は冬季ということで長い夜を楽しむ「夜咄しの茶事」をテーマにしていただけあって趣のある行燈など初めて見る物が多数有り、昨年観た重要文化財である俊寛の「黒楽茶碗」もまた観ることができ毎度ながら構成の素晴らしさを堪能した次第であった。