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プライドも何時まで

本日の株式市場は軟調なアジア株を映し小反落であったが、市場では225種の新候補銘柄を巡って思惑が交錯していた。本日新安値に沈んだヤマダ電機等もそのひとつであったが、さてこのヤマダ電機といえば直近で業界7位のベスト電器を子会社化する旨を発表している。

家電業界ではつい最近ビックカメラが同業のコジマを買収し業界2位に躍り出たのが記憶に新しいが、なんとも再編のスピードが加速してきた感がある。このヤマダ電機が子会社化することにしたベスト電器といえば、結局今回縋ることになったヤマダ電機の誘いをかつて断りもともとは上記のビックカメラと縁があったところというのも面白い話だが、共同店舗も僅かでその提携効果に疑問符が付いていたところであった。

とはいえ一度フッた相手にブラ下がったとはいえ店舗再編等でここからが棘の道、子会社化を好感して急反発した株価は早くもその発表前の水準に沈んでいる。ベストは市場が縮小で経営環境が厳しくなっているなかで自主路線を貫いてきたが、その背景にあったのがかつての業界首位だった頃の栄光物語と言われている。結局のところはそういったプライドと一枚岩になりきれない社内態勢が転落の主因であったが、こんな構図を見ていると似たようなパターンとして何故か東穀取がふと浮かんでくるものだ。


今年の時価総額

先週末の日経紙には6月末時点の世界主要株式の時価総額ランキングが出ていたが、ざっと見てやはり浮沈激しい資源メジャー系の後退が目立った感がある。ところでちょうど2年前のこの時期にはマイクロソフトとアップルの時価総額逆転を書いた記憶があるが、依然アップルが上鞘なのは当然としてもこのアップル1社で世界の時価総額1%を占めてしまうのだからなんとも凄い。

さて、直近の国内企業の浮沈はどうだろうか?連休明けの日経平均は小反発であったが、そんな中でも海運セクターの弱さが依然として目立つ。唐突なファイナンスを発表した川崎汽船は受渡期日を控えるなかをその公募価格を割り込んでの推移が続き、商船三井は郵船と共に連休明けの本日も下げ止まりを見せず先週には時価総額が3,000億円の大台を割り込んでいる。

もうひとつ国内の時価総額といえば先週末の日経紙(まちかど)に12日の株式市場でJTの時価総額がホンダを抜き、製造業でトヨタに次ぐ2位に浮上した旨も出ていた。世界的景気減速の影響を受け易いホンダに対して、JTは国内事業が安定し海外成長力も高いとの表れらしい。両者の引け値ベース逆転はリーマン・ショック直後の08年12月以来というが、当時との背景の違いは新興国まで景気減速感が出て世界経済回復のけん引役が見当たらない点という。

両者の逆転は世界的な不況が長引くと悲観する投資家の多さを表していると書いてあるが、上記の海運なんぞもまたこの辺の表れでこういったところの本格回復が無いとまだ厳しい場面が続きそうだ。


ジブリにはショート?

さて、昨日は一寸したアノマリーめいたものを書いたが、其れに続いて本日も一部の関係者が注目しているアノマリーものがあるが日テレ系で放映する「ジブリ」モノがそれ。これは金曜ロードSHOWにてスタジオジブリの作品が放映されると、その後は例外なく円高になり株価も殆ど下落するというものでそこそこよく担ぎ屋には人気で使われて?きたモノ。

ちなみに昨年の例では「魔女の宅急便」、「ゲド戦記」等があったが、前者の時は為替が一気に1円ほど急騰する円高になり日経平均も10,000円の大台割れへ下落、また後者の時も為替は「海の日」を挟んで79円台から76円台へと急騰し、日経平均も10,000円水準から8,000円台へと崩落していった経緯がある。で、今年はといえば4月の「虹の豚」があったが、この時は為替が81円台から下旬には70円台へとやはり急伸、日経平均の方も翌日には142円安を演じ、更に今月6日には「千と千尋の神隠し」が放映されたが果たして今週は本日まで6日続落の好実績を誇っている。

こんなアニメモノのアノマリーとしては、数年前に当欄でも書いたことがあったと思うが他に「サザエさん」もある。この視聴率が上がると株価は低迷、逆に視聴率が下がると株価は上がるというものでその相関係数は実に0.86、ニューヨークダウ工業株平均とTOPIXのそれが0.56であるから単にアノマリーと笑えない。

ということで、明日(13日の金曜日)にはいよいよ「となりのトトロ」が放映されるがこの株式市場連続安が前哨戦なのか否か、今回の放映に賭けてショートした向きは既にそのポジションには利が乗る水準までになっているが、さて来週はここから更に加速してしまうのかどうか、今回も非常に興味深い。


8/1より売買手数料を改定(引上げ)へ

北辰物産は、2012年8月1日(7月31日夜間立会)より、D-stationの売買手数料(ミニ取引除く)を改定。標準取引通常片道28円(税込)の値上げへ。なお、この改定においても、7/11現在手数料設定は業界最安値が維持される見通し、とのこと。

▼商品先物オンライン取引「D-station」売買手数料改定のお知らせ(PDF)


拝啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より弊社商品先物オンライン取引「D-station<ディ・ステーション>」をご愛顧賜
りまして、誠にありがとうございます。
さて、平成 24 年 8 月 1 日(7 月 31 日夜間立会)より、D-station の売買手数料(ミニ取
引を除く)を下記のとおり改定させていただくこととなりましたので、お知らせ申し上げ
ます。この度の改定により、標準取引通常片道 28 円(税込)値上げとさせていただきたく
お願いするものでございます。今後も、更なるオンラインシステムの機能拡充と安全性を
高め、お客様がより安心してお取引いただける環境のご提供に努めてまいる所存でござい
ますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。なお、この度の改定におきまして
も、手数料設定は業界最安値が維持される見通しでございます。(平成 24 年 7 月 11 日現在)
弊社は今後とも、お客様からのご信頼にお応えするためサービスの向上を図り、更なる
進化をしてゆく所存でございますので、この度の手数料改定につきまして何卒ご理解を賜
りますよう重ねてお願い申し上げます。

改定前(平成24年7月31日まで) 改定後(平成24年8月1日から) 比較
 日計片道 168 円(税込)     日計片道 182 円(税込)   +14 円
 通常片道 336 円(税込)     通常片道 364 円(税込)   +28 円

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ほこ×たて効果

本日の日経紙財務面・新興のところには、竹内製作所の2012年3〜5月期連結決算で経常利益が前年同期比3倍にもなった旨が出ていた。まあ、個別企業の業績記事なんぞは普通飛ばしてしまうのが常だが、この竹内製作所は5月にフジテレビの「ほこ×たて」で三菱農機と「ぬかるみ重機No.1決定戦」をやったのが記憶にありつい目が留まってしまった。

この番組、当欄でも昨年末にウォーレン・バフェット氏の投資先企業を番組が対戦させた話をコメントした事があったが、今年も他にあのスプーン曲げで有名な超能力者といわれるユリ・ゲラー氏が曲げることが出来なかった製品には全国から注文が殺到し、同番組で連勝を重ねて負け知らずの好成績を残している東証二部の日本タングステンには新卒採用の応募者が前年の1.5倍に急増するなど彼方此方で其れなりの反響が出ている。

また登場した上場企業の株価動向もなかなか面白い。直近では上記の竹内製作所は番組での勝負には敗北したものの、ジャスダック上場の株価の方は放映後の翌日から既に20%以上上昇しており、今の冴えない市場環境を考えれば充分な投資成果であろう。この手のパターンでは東証一部の酒井重工業も同様、同社は「どんなものでも踏み潰すローラVS絶対に潰れないポール」なる同番組の対決で残念ながら敗北したものの、その株価は放映後の翌日168円から5月には363円まで急騰し株価は2倍以上に化けている。

裏付けありか新しいアノマリーかというところだが、そんな一面も併せて見るのもそれはそれでまた面白いものだ。


次期トレードシステムをMT5に決定、商品にも

日産センチュリー証券は、「日経225先物取引」「大証FX」の次期フロントシステムとして「Meta Trader5」(以下、MT5)の採用を決定。今後は、取扱対象を「海外証券先物」「海外商品先物」「国内商品先物」と広げ、ワンプラットフォームで取引可能な環境の提供を行う予定、とのこと。

▼国内初、次期トレードシステムを『Meta Trader5』に決定!!



この度、当社では“日経225先物取引”、“大証FX”の次期フロントシステムとして「Meta Trader5」(以下、MT5)の採用を決定しましたことをお知らせいたします。

MT5は、FX業者の多くが提供するMeta Trader4(以下、MT4)の後継版で、ロシアのメタクォーツ社が開発したトレードシステムです。国内では当社が初めての採用となりますが、非常に拡張性に優れた世界最高レベルのツールで、海外ではすでに20社以上の企業に採用されております。

MT5では、従来のMT4にはない板画面が新たに追加され、自動売買と取引所デリバティブを中心に提供する当社にとりましては最良の取引ツールとなります。

また、その他にもExpert Advisor(EA)と呼ばれる自動売買機能、高度なテクニカルチャート、売買検証機能、デモトレードなど豊富な機能が標準装備されております。

今後は、取扱対象を “海外証券先物”、“海外商品先物”、“国内商品先物”と広げ、ワンプラットフォームで取引可能な環境の提供を行って参ります。

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フレンチに中華

本日も日経平均は方向感を欠く展開で4日続落となっていたが、そんななかで先週末から急に動意付き、昨日は揃ってストップ高まで買われていたのが精養軒、東天紅のレストラン株。本日も両者勢いを継続させ前場は年初来高値更新となったものの、そこから後場は急反落と乱高下でまさにジェットコースター相場となっている。

ご存知の通り両者共に本拠地を上野に据えたレストランということで、精養軒等は既に「祝!!赤ちゃんパンダ誕生」なる特別メニューも登場させている通り、先のパンダ出産で連想ゲームの如く一気に火がついた格好。たしかに出産した「シンシン」来園後の一般公開時にはパンダフィーバーとなり、中華の東天紅が人気を集めた経緯があったが、今回はさしずめフレンチが火付け役となったというところか。

しかし当初は無反応だった東天紅まで波及するとはやはりヤルものが無いのだろう。上記の通りこの手の仕手系は後場には萎んで打ち上げ花火になってしまったが、この商い薄いなかこれ以降の物色対象は如何に。野村HDやネット系証券でも直近下げがキツくなってきているものがあるが、この辺の手詰まりを象徴している感は否めない。


LIBORはケタ違い

金融スキャンダルといえば国内では目下のところファイナンスに絡んだインサイダー問題でお茶を濁しているが、直近で世界を舞台にした問題になっているのが周知の通り国際的な短期金利市場であるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作問題で、既に自行に有利になるよう金利を導いたとして英銀バークレイズが罰金支払いと経営陣辞任に追い込まれている。

しかしこれだけ幅広い指標だけにこのLIBORを使った金融取引の額が5京円を越えるというから凄い。京という数字は余程のネタでない限りなかなかお目にかかれないような単位だが、そんな規模の取引が一連の不正で歪められていたとしたらやはり問題であろう。が、これもまた以前より不正懸念が報じられていたにも関わらず漸く今になってというのもまた問題か。

これにはFSAの金融機関に対する従前の緩い姿勢が踏襲出来なくなってきたという噂も関係者の間には出ており率先して手を挙げたバークレイズなんぞがこのせいで逆に災いしたという意見も一部にはあるが、国内のAIJの年金詐欺然りファイナンスのインサイダー疑惑然りで、誰が見てもおかしいと感じる報道から当局が腰を上げるポイントは何処にあるのだろう?

ここへきて週末にはドイツの金融監督当局もこの不正問題を巡り、同国銀行最大手のドイツ銀に対する調査を開始したと報じているが、インサイダー問題のように芋づる式に出てくるのかどうか聞き取り対象行は邦銀も入っているだけに今後もその成り行きに注目したいところ。


「米穀」及び「軽油」の取扱いについて

北辰物産は、同社取扱銘柄の「米穀」及び「軽油」について、下記のとおりの対応を発表。

▼「米穀」及び「軽油」の取り扱いについてのお知らせ=北辰物産


1.「米穀」の取り扱いについて
先般お伝えいたしましたとおり、弊社が加入する東京穀物商品取引所が2013年2月8日(金)の日中立会をもって、同取引所における立会を終了することになりました。関西商品取引所に移管される「米穀」の取り扱いにつきまして、以下の対応となります。

弊社は関西商品取引所の会員でないこと、また同銘柄の流動性が非常に低い状態であることから、7月23日(月)に新甫発会となる2013年1月限以降の限月につきましては、取り扱いをいたしません。
従いまして、弊社における「米穀」の取り扱いにつきましては、2012年12月限が納会日を迎えた段階で終了させて頂きます。

尚、2012年12月限迄の限月につきましては、通常どおりの取り扱いをいたしますが、当限につきましては当月限納会日の属する月の15日(休日である場合は前営業日)の日中立会終了までに決済頂きますようお願い申し上げます。

今回の取引所の建玉移管等の決定を受け、さらなる流動性低下の可能性もございますので、ご注意くださいますよう、お願い申しあげます。

2.「軽油」の取り扱いについて
弊社にて取り扱いを行っております東京工業品取引所に上場されている「軽油」につきまして、現在、流動性が低下傾向にあることから、相場状況によっては値段が大幅に変動して約定する危険性があります。このため、2012年7月31日(火)の日中立会を持ちまして、取り扱いを休止させて頂きます。

尚、東穀取立会い停止に伴う建玉移管関連各社発表については以下でまとめてありますのでご参照ください。

▼東穀取立会い停止に伴う建玉移管関連まとめ


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岡地に業務改善命令の行政処分

農林水産省及び経済産業省は、商品先物取引業者である岡地株式会社(本社:愛知県名古屋市)について、立入検査を実施した結果、「商品先物取引法(昭和25年法律第239号以下「法」という。)」の規定に違反・該当する事実が認められたため、行政処分を行いました。

処分の概要は、以下の通り。

▼商品先物取引業者に対する行政処分について=農水省・経産省
▼当社に対する業務改善命令について=岡地(PDF)


1. 処分内容

法第232条第1項の規定に基づく業務改善命令
商品先物取引業の運営の改善のため、以下の措置を速やかに講ずること。
1.外務員による委託者資産の着服が発生したことに関し、その経緯及び原因を踏まえ、業務監査の実施等再発防止措置を講ずること。
2.法令遵守の徹底を図ること。

2. 処分理由

法第232条第1項の規定に該当する事実
外務員による委託者印鑑登録票の偽造及び委託者資産の着服があったことが確認されたことから、再発防止及び法令順守の徹底に向けた業務改善の必要があると認められたこと。

◎FactualFutures行政処分・制裁などまとめ
http://factualsite.com/hp/index5.htm


脆いチャイニーズウォール

さて今週も国内の証券会社、こと大手においては社内調査が酣である。周知の通り野村は増資インサイダー問題、大和も同様に蜜月のジャパン・アドバイザリー社が証券取引等監視委員会から金融庁に課徴金を課すように勧告された問題、そして日興ではメガバンクの公募増資に絡んでの問題の他に直近ではまた新たにTOB情報の流出問題も発覚してしまっている。

増資銘柄のカラ売りにTOB銘柄の買いと、まさに「インサイダー天国日本」の名に恥じぬ?売り買い縦横無尽のヤリタイ放題であるが、目標達成には手段を選ばずというのは証券でなくとも金融系営業の根幹を成す精神。昔懐かしい仕切り、二階建、露骨な餡子玉等は表面上姿を消しても、一部顧客へのこの手の餡子的営業は脈々と受け継がれていたということだろう。

ところでこの餡子玉といえば直近の日興のTOB情報漏洩のケースなんぞは、オイシイ情報を目の前にして自分では張らず、以前に迷惑をかけたとされる顧客への確実に取れる情報提供であったワケでインサイダー取引というより実質は損失補填の色彩が強いと感じる。この辺は裁く側がどう結論付けるかで変わってくるが、今後もどうせ魔女狩り的に出てくるだろうから夫々の判断がまた興味深い。

しかし、今回の件で個別では機関投資家営業部廃止やら果ては録音機能付きの携帯電話を貸与云々といろいろ発表しているが、こんなのは大義名分でこれまでにもコンプライアンス論を語った文書の読み回し等の定期行事を各社で行っているのと変わらないのである。結論から言えば証拠残しの地道な作業とも言え、この手の不祥事は結として個人の問題で処理されるのが常、そういったことから真の意味での浄化作用を望むほうが現状では難しいのである。


モラルハザードと境界線

本日報道されていたもので目に留まったものにあの低価格レストランのサイゼリアが、2007年と08年に結んだデリバティブ取引の契約で損失が出たことで、BNPパリバ証券など同証券グループ3社を相手取り計168億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした件があった。

今も記憶に新しいが当時同社は業績絶好調を誇っていただけにこの報道で急落したところはとても美味しい買い場になったのを思い出すが、こんな大手でなくとも食品会社では直近ではエビフライで有名だった神戸のエスケー食品が同様の為替デリバティブ取引によって先月に破綻するなど依然としてデリバティブ被害?が継続している。

さてこのBNPパリバといえば業界では別の意味で有名、悪名高きEB債に絡んで三菱電機の株価操作をやってのけたり、近年記憶に新しいのはこのサイゼリアとほぼ同時期にやったあのアーバンコーポレーションの詐欺的なCB発行契約だろうか?なかば隠蔽工作でディスクロされていないこの取引を信じ、当時は証券マンのなかでも手張りでアーバンコーポを買った向きも居たようだったが後出しジャンケンのパリバの仕業であえなく紙屑と化した。

しかしこの手のデリバティブ契約、便利そうに見えてもちょっとよく見てみれば素人でも相当リスキーな取引であるのは解る筈。相手がパリバだけに同情票も多いだろうが、外部に意見を求める手もあっただろうしモラルハザードの観点からこれをもって100%パリバに責を求めるのも筋違いだろうともまた思う。