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意気消沈の海外勢

さて、先月末の日経紙にはオランダING銀行が、東証の「TOKYO AIM取引所」の社債市場「東京プロボンドマーケット」を通じて資金調達する旨が書かれていた。東証AIMは昨年5月に同市場を開設したが欧州債務危機の影響で1号案件が出ていなかったという。

ところでこの「TOKYO AIM」だが、先に東証は英ロンドン証取が49%出資して設立したこの新興市場を解散し、同様の仕組みの市場を東証内に設ける方向で最終調整に入ったと先に報道されている。

「TOKYO AIM」に関して当欄では第一号のメビオファ−ム上場の様子を取り上げ、末尾に「先ずはこの第一号がどういった歩みをするのかが注目されよう」としたが、結局はVCの痺れを切らした投げ場提供の場となっただけになったのは否めない。

ロンドン証取といえば加TMXグループに食指を動かした経緯があったり多くの取引所と提携しているものの、これほど牛歩且つ提携効果が見えてこないパターンも稀。そんなことから上場第一号をトリガーにロンドン側は降りる観測が強かったが果たしてという感じだ。また、東証の海外合弁?といえば確か数年前にNYSEとの業務提携話もあったはずだが、これもすっかり熱が冷めてしまった感じ。目下目先の合併で手一杯だろうがこの辺が等閑になってしまっているのは惜しい限りである。


体制改正は焦眉の急

さて、新年度スタートだがいまだ混乱収まらない中で企業向け電気料金の値上げが始まった。ところで東電といえば3/30付けの日経紙春秋にも東電にはシロアリがたかっているとし、本業との関係がどれほどあるのかわからない高コスト体質の子会社や関連会社の数々に社員OBらが天下りしているとの指摘があったが、まったく酷い話だ。

天下りといえば以前にも度々触れているが、先週には厚生労働省が全体の3分の2にあたる366の厚生年金基金に、旧社会保険庁OBら国家公務員が役員として天下りしていたと発表している。この天下りした国家公務員OBの総数は721人、基金の資産運用を担当していた402人の9割が資産運用業務の経験がなかったというから年金不信も今後更に高まるのは想像に難くない。

そんな素人集団だから運用期間の選定では運用実績を重視とした基金が4割と最も多く、運用プロセスやリスク管理の方法を重視する基金は1〜2割程度にとどまり、高い利回りを謳う運用機関に飛び付き易い傾向がうかがえたという。強制的なものがこんな連中に委ねられている現実も信じられないがこれを機に金融系専門知識の有資格者しか担当者になれないようにするとか何らかの改正が必要だろう。

しかし厚生労働省でこの規模であるから他の省庁も一つ一つ見ていったら更に驚愕な構図が展開されているのが想像出来るが、改めてこんなシステムで国が回っていると思うとなんとも複雑な思いである。


箱の末路

本日は所用があり久しぶりに茅場町まで歩いていったのだが、東京証券取引所を通り過ぎると大手に混じって中堅含め地場証券の面々が乱立している。そんな中を歩きながらかつて活況であった頃の兜町を思い浮かべている折にふと気になったのはやはり先日に破綻してしまったあの丸大証券であろうか?

ココは仕手株好きならこの会員の名前を知らないものは居ないほどそういった筋の機関店として活躍した経緯があり、直近の特定銘柄の崩落はこの辺が大きく影響したという説も一部に出ている。それは兎も角も、既に登録抹消となっている同社の預かり資産の運転資金や給与流用で喪失した顧客資産は日本投資者保護基金が補償するという。同社は群馬桐生から東京に進出したが、そういえば同じ群馬出身の南証券なる会社も詐欺事件でこの補償基金による補償適用となった経緯があったなとこれまた思い出される。

ちなみに近所のメインストリートでも向いには老舗の十字屋証券も店を構えているがここも今月に証券業の廃業が決定している。まあ十字屋証券の場合は紳士的でこれらとはまったく違う背景だが、問題となった丸大や南は結局のところオーナーチェンジで箱にするにうってつけの会員であったというところだろうか。負債額は丸大とほぼ同額ながらあまり派手には報道されなかったものの、業界でもタイコム証券なんぞは広義ではこのパターンともいえるだろう。

金融緩和から一寸した過剰流動性相場で株式は久し振りに沸いている中でも、こうした件の露呈は何気に業界事情を物語っている。


オマケか主役か

本日のコモディティ市況は全般気迷いであったが、昨日の日経紙商品面には金への資金流入減少としてニューヨーク金先物市場へのヘッジファンドなど大口投資家の買い越し残高が約2ヵ月半ぶりの低水準となり、長期保有が多いETF残高まで減少に転じた旨が載っていた。

直近では気迷いの金だが、ところで金といえば業界でも金貨キャンペーンを張る企業など多いが、昨年は財務省まで復興財源に充てる個人向け復興国債で一定期間換金しなければ次期限定発行される記念金貨や銀貨がもらえる商品を発表していたこともあったなとふと思い出す。ブームに乗った格好で安全志向を刺激した抱き合わせ感は否めないが、実のところ日本国債というのは安全なのだろうか。

そんなわけでこの両者の取り合わせが何とも微妙な感だが、銀行あたりもパッとしない金融商品にこの手を多用してきそう。そうそうファッション関係でも今年はあのジャンポールゴルチエがデザインした金の述べ棒が限定発売されるとの報もあったが、はてこちらは完売したのだろうか?


株価から見る不動産市況

本日の日経紙経済面の「震災1年 底探る地価」には、「日本は割安」マネー回帰として震災直後に低迷した不動産市場にマネーが戻り始めた旨が出ていた。確かに最近外資系による大型成約が相次いでいる旨はしばしば耳にするし、この近所でも最近商業ビル含めた建設ラッシュが可也の勢いである。

しかしこれらを如実に表現しているのはやはり株価であろうか。もともと日銀の追加金融緩和以降眠っていた不動産セクターが軒並み息を吹き返したのは記憶に新しく、ワラントなんぞを見ていても週間上昇率は三菱地所やオリックスなどでやはりこのセクターで占められている。直近でこそ公示地価発表が短期的な材料出尽くしとなり一服していたが、本日は金融緩和メリットを享受し易いセクターとして再度物色の矛先が向かっていた。

また珍しく不動産業界紙等でも見出等には大手不動産各社の株価になぞらえて市場復活を謳っている旨が出ていた。上記の通り大型物件建設ラッシュともなれば並行して不動産2012年問題等が頭を擡げてこようが、バブルであれば懐疑をテコに育つのがこの手の特徴、そうなれば久し振りにこのセクターはまだ目が離せないということになるが。


3/26より商品先物情報アプリ「CX-LIVE」提供開始

日産センチュリー証券は、2012年3月26日付でスマートフォン(Android&iPhone)に対応した商品先物情報アプリケーション「CX-LIVE」を提供開始。CX-LIVEdeでは、国内外の商品先物市場の価格やチャート、口座照会、時事通信社ニュース等の情報が閲覧可能。

※アプリ内でモバイル版最適化ページより取引を行うことが可能、とのこと(同社確認済)

▼スマートフォン対応「CX−LIVE」のサービス開始について



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4/2より貴金属積立・現物取引(スポット)サービスを開始

ドットコモディティは、2012年4月2日より、貴金属積立・貴金属現物(スポット)取引「ドットコモ・オンライン・ゴールドクラブ」サービスを開始。

▼貴金属積立・貴金属現物(スポット)取引サービス開始



■ドットコモディティ貴金属積立・貴金属現物取引サービスおもな特徴
(1)ロンドン渡しでの積立、現物取引ですので消費税がかからず一般店頭より有利に取引が可能。
(2)取扱い銘柄は「金」・「白金」・「銀」の国内最多の3 銘柄をラインナップ。
(3)オンラインで口座開設後、即日より現物購入ができ最短1 週間で積立取引の開始可能。(※1)
(4)毎月1,000 円以上1,000 円単位の「定額積立」に加え、毎月1 グラム以上1 グラム単位で積み立てる「定量積立」を実現。(※2)
(5)1 日1回の売買価格ではなく、午前9 時より24 時まで、原則1時間おきの市場価格に連動した現物の売買(スポット取引)が可能。(※3)
(6)24 時間利用可能な即時入金サービスを利用することで、チャンスを逃さず現物の購入が可能。
(7)積立・現物購入日から1 年間は年会費無料。
(8)トレードツール「Formula(フォーミュラ)」にて、積立取引から現物注文、国内先物、海外
先物取引までをオンラインで直結。マーケットに関する投資情報も豊富です。


(※1)毎月25 日までに積立申込画面よりお手続きいただきますと、翌月第一営業日より積立
購入を開始できます。
(※2)銀は10 グラム以上10 グラム単位でのお取引となります。
(※3)朝9 時から深夜24 時まで、原則1 時間おきの価格更新を実施。お好きな時に、その時
の相場で取引が可能です。(注:急激な価格変動があった場合はこの限りではありません)

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ソフトサウンディング

本日の日経平均は手がかり材料難で方向感のない薄商いの中を僅かに反発して終了、業種別では石油ポストがしっかりな反面、証券ポストは軒並み安で値下がり率トップとなっていた。さてこの石油と証券のキーワードで先週話題になっていた件といえば、周知の通り東証一部の国際石油開発帝石が一昨年に実施した公募増資に絡み、インサイダー取引が行われたとして証券取引等監視委員会が中央三井アセット信託銀行に課徴金を課すよう金融庁に勧告した件があった。

この国際帝石株に関しては当欄では既に2年前に「懐かしや帝石」のタイトルで、「もともと同社には以前からファイナンス観測があり、これを読むかのように確信犯的なショートが直近で入っているあたりがなんとも怪しい」と指摘しておき、その3ヵ月後にはこうした物に絡んだ当局の調査に触れ、「出来高ひとつ取っても露骨な事例が存在するのに当局が重い腰を上げずに何時の間にか風化してしまうのが長年疑問であったが、はたして今回の調査では何処まで暴けるのか注目。」と書いた。

それから2年もかかって漸く一部が明らかにされたというワケで、信託銀行がインサイダー取引で課徴金処分されるのは今回初とか。先にAIJ事件でも信託の問題性を少し挙げたが、企業年金と毛色の違う公的年金などはこの手の件では行動が早いだけに今度は解約リスク等も台頭する懸念もあるか。しかしその辺の事情はともかくも、やはり何かこうこれでも小粒な感は否めない。

課徴金といっても運用報酬に基く算定で僅かに5.5万円であるから以前にも書いたようにヤリ得?の部類で、そもそも怪しい商いに占める今回の中央三井の問題玉はそれこそ数パーセントにも満たない割合だろう。スケープゴートよろしく信託銀行初摘発との喧伝だが、問題玉を占める海外籍は高みの見物であろうしまだまだ法改正も議論の余地があろう。


松井冬子展を観る

さて、18日にとうとう終了してしまったが、昨年末から開催されていた「松井冬子展-世界の子と友達になれる-」を過日観て来た。十年近く前だろうか、彼女の季節感が存在しないさまざまな花が咲き乱れるなかで解剖図の如く全裸で横たわる女性が描かれた「浄相の持続」を観て以来、彼女の世界に引き込まれてしまい以降ほとんどの作品を彼方此方追いかけて観ている。

今回は横浜美術館であったが、今回のような日本画であれば此処へは東山魁夷展以来の記憶であるから随分ご無沙汰である。それは兎も角、今回は代表的な九相図の作品から三点、また昨年の物含めた作品三点などの初公開モノが含まれ、加えて珍しいデッサン段階の絵も見せてくれるという垂涎企画であったが、果たして以前観た物も含めやはり何度観ても素晴らしいの一言、何れも最終形を諦観して生きるのでなく生きる為に最終形を想うという世界だろうか。

もちろん、今回の題目「-世界の子と友達になれる-」も圧巻、咲き乱れる藤と夥しい数のスズメバチが狂気に変わる直前の崩壊の予兆に絡めて見事な演出をしていた。彼女の作品は比較的賛否両論がはっきり分かれる方だろうが、お約束の解剖図の如き作品でも夫々の臓物を鮮やかな花の如くの描画で纏めており、こんな高等感覚と下等感覚を相互に覚醒させるような形で自己確認を引き起こさせるのは彼女くらいだろう。まあ、こんなややこしい表現の前にこれらを描くことで真実を見つめるということなのだろうか。

もうじき千鳥ヶ淵も桜が咲き乱れるだろうがそんな光景を見る機会があったら、途端にきっと彼女の見事なシンメトリーの桜を描いた「この疾患を治癒させるために破壊する」が瞬時に思い出され、目の前に展開する光景と重なるのは想像に難くないことだろう。


大学と企業

本日の日経紙社説は「人材の質損なう就活長期化の是正を」という見出しで、会社説明会の開始時期こそ2ヶ月遅くなったものの、企業や経団連は採用活動の時期を見直すべきとし併せて新卒一括に偏った採用を柔軟にすることが課題としている。

この辺の問題に関しては当欄では一昨年に「就活と一言でいってもいまや学生も企業も消耗戦の様相ともいえるか。〜考えてみれば大卒という肩書きだけの為に出もしない講義に費用を払っているといえば大袈裟だが、就職活動だけを見れば学生も企業も本末転倒になっている部分はかなり見受けられる。」と書いたことがあった。

また同紙一面の採用異変に出ていたが、経済同友会は東大が表明した秋入学への移行を支援するため「現行の新卒一括採用にこだわらず手法を多様化すべき」と企業に提言とある。確かにこの東大のグローバルというか「標準化」は今後を睨んでの行動展とも言えるが、これで外資系への就職また優秀な外人留学生を誘致するという流れの裏では中小企業には人が集まらないという構図も浮き彫りになってくる。

そういった現況で見ると国立大も企業も視点が外国に傾斜している構図も見え隠れするが、上記の通り国内事情も平行して勘案してゆくことも何処かの取引所ではないが今後の課題ではないかと思う。


指標としての資金調達動向

本日の日経平均は円の下落が好感されて3日続伸となったが、値上がりベストテンの中でも昨日新規上場のモバイルコンテンツ配信が主力のエムアップがストップ高と気を吐いていたのが目立った。注目の初値も昨日は朝方から買い気配値を切り上げ、公開価格を約76%上回る好スタートとなっていたが、直近組ではちょうど一週間前に上場したアイスタイルの初値もまた公開価格を約94%上回る好スタートとなっていたのが記憶に新しい。

これら含めた株による資金調達といえば調査会社のトムソン・ロイターの纏めでは、株式市場の環境改善から先月の上場企業による新株発行を伴う資金調達件数が先月は16社と昨年3月以来の水準で、今月の調達額は既に先月を上回っているという。

ところで当欄で昨年12月に「大手運用会社よりゲーム会社」として日興アセットがIPOを延期した旨を書いたがその時の末尾には、「各社思惑はさまざまだが、こうした取り止め・延期の傾向もまた市場のバロメーターともいえそうした動向は全般を測る上で指標にもなろうか。」とコメントしておいた。

さてどうだろう、ちょうどその頃に1兆円を割り込んでいた東証一部の売買代金はいまや1兆5,000億円を超え、日経平均もほぼ8ヶ月ぶりに引けで10,000円の大台回復となっている。公募増資組のツガミの堅調さやマツダの大商いも今後興味深いところだが、今回もまたこうした部分から見る指標が上手く機能したといえるだろうか。


混合解禁へ一歩

昨日一寸医師と混合診療の話に及んだのだがちょうど昨日の日経紙一面には、厚生省が重い病気にかかっている患者に対し国内で未承認の医薬品を使いやすくする制度を創設、これは新薬の審査・承認を待てない患者に投薬治療の機会を提供する狙いで、治療を受ける患者の経済的な負担を和らげるため保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」を新制度に一部適用することも検討と載っていた。

この混合診療について当欄では2009年12月に、「無知な机上論の危うさ」として漢方薬の保険外適用議論について書いた際に、「この混合診療とて現状は曖昧な一部解禁、医療分野の技術革新は日進月歩、一刻も早い混合診療の解禁も願うところである。」とコメントしたことがあった。

今後もこの混合診療に関してはいろいろと議論されようがそもそも何故原則禁止なのだろうか?貧富の差による医療格差の広がりというのが一般的だが、衣食住同様に患者や経営側は選択の余地が出て患者負担も軽減されるし、ある意味経営安定という側面もまたあるだろう。まあ、逆の見方をすれば自由診療の受け皿となる医療機関が圧倒的に少ないという構図もまた浮き彫りになってくるが、いずれにせよこれが混合診療拡大への一歩となるのかどうか今後の厚生省の動向を見守りたいところ。