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頼みのアジア勢

本日の日経紙には「奮発消費 世相映す」として、依然として厳しい個人消費を取り巻く環境下で貴金属や美術品、輸入自動車など高額品の売れ行きが好調な旨が載っていた。同紙によれば日本百貨店協会が昨日発表した9月全国百貨店売上高は前年同月比2.4%減と3ヶ月連続のマイナスであったものの、美術・宝飾品・貴金属は同1.1%伸びて6月から4ヶ月連続のプラスとなった模様。

詳細で自動車では英ロールス・ロイスや独メルセデス・ベンツ等も出ていたが、他にも価格帯で更にこれらを上回る伊ランボルギーニの「アヴェンタドール」も多数の予約で納車まで1年半待ち、英マクラーレン・オートモーティブでも3,000万円近い新型がロールス・ロイス並みの60台近く入っている旨を他紙でも見かけた。

この手は先立つ物がないと手も出ないワケだが、アッパーミドルクラスを見込んで百貨店各社は宝飾品等の販売を強化、外商も強化しより高級な商品を求める消費者に応えるとしているが、自粛反動というスポット的な国内より根強い期待はやはり一時のバブル期にある中国勢あたりが視野に入っているとの見方もある。

この中国、月初から株式市場が一週間もの間休場となった国慶節では、期間中の小売、飲食業の売上高が前年同期比で17.5%増になったと発表されている。伸び率は鈍化した模様だが全面的に売れ行きが良く、特に金価格下落で値下げされた宝飾品が売れたという。欧米ブランド株式は直近でキツイ調整に見舞われたが、日本の百貨店と共に目先の年末商戦で彼らに対する期待は依然大きい。


コマばかりの日足

昨日も一寸触れた「オリンパス」が怪しげな内情に本日も引続き乱高下となり、その売買代金も1,100億円超と商いの方もまたスゴイ。これだけで東証一部売買代金の軽く1割を超えているワケだが、こんな1銘柄で1割を超えられてしまう東証売買代金の方は8,400億円弱と連日で今年の最低を記録している。

この薄商いで動かないのが日中取引、毎度海外をそのまま映す形でマド空けのスタートが恒例で、引けてから日足を見てみれば一目瞭然でコマがパラパラと点在する有様。結果上記のオリンパスのような一部個別に一極集中してしまうワケだが、これらが平均を決めるというものでもなく要は海外が日経平均を決めているようなものである。

この辺に関しては、先週の12日付け当欄で「続く夜間の伸び」として末尾に「イニシアチブを取れる参加者が不在で、日本市場が自力でトレンドを形成することはないのが日中の実情であるとすれば、活況な夜間取引はその裏を見せられているようでもある。」としたが、まさにこれが実情。

しかし自国で動かない株というのも考えもので、この辺が改善しない限り証券各社の苦悩もまだまだ続きそうだ。


10/17より海先取引対応版「Formula」提供開始

ドットコモディティは、2011年10月17日より、ニューヨークやシカゴ、ロンドン、シンガポールなど海外の取引所に同時に注文が出せる、海外先物取引対応版「Formula(フォーミュラ)」のサービスを開始。これにより取引ツール「Formula(フォーミュラ)」の1つの画面で、国内・海外の54銘柄を全て日本語表示にて取引可能に。

▼海外先物取引対応版「Formula(フォーミュラ)」サービス開始のお知らせ


「Formula(フォーミュラ)」のおもな機能は以下の4点です

1、注文機能:国内に限らず、海外商品も迷わず注文できます。
2、情報機能:国内商品先物、海外商品先物の価格情報(相場表・板・チャート)がリアルタイムで更新されます。
3、口座管理機能:国内商品先物、海外商品先物の口座状況(資産・証拠金・値洗い)が一覧で確認できるほか、国内口座と海外口座間の資金移動は即時に画面へ反映されます。
4、言語表記:画面内の表示はすべて日本語表記です。

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商習慣の壁

先週の日経紙一面には13日から「M&Aに賭ける」としてここ最近のM&A事情が載っていた。確かに恒常的な円高の影響もあって一寸したM&Aブームにもなっているが、週末の方の項にはこうした機運の中では外国勢の日本企業売りもまた誘発とも書いてあった。

斯様に環境で思わぬ出物が出て来るのはオークションと同様だが、この辺は株式市場で最近話題になったのが米投資ファンドのサーベラスが筆頭株主になっている「あおぞら銀行」か。相手として噂されているのが「ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)」で、その株価も思惑で一寸前には乱高下した経緯がある。もう一つこれも同紙に載っていたが、8月末に日本事業を撤退すると発表した英小売最大手「テスコ」等。

当時は鳴り物入りで登場したものだったが本国流経営方針が合わずに8年で撤退、また同じスーパー業界からこの手のパターンで撤退していったのが仏大手の「カルフール」がある。これもまた卸しを飛ばし直接仕入れを目論んだものの、上手くゆかずに撤退していったパターンだ。そうそう、本日も週末に続いてオリンパスが外国人社長の解任騒動で暴落しているが、これも相容れなかった部分があるのだろうか?

また上記のあおぞら銀の話とて今迄外銀が日本で大成功を収めた例が無く、こう考えると日本固有の商習慣とどう付き合うかが非常にキーとなってくるが、これは何も企業に限ったことでなく、例えば商品先物の新規上場商品なども或る面同じだなとフト思ったりもする。


新ジャスダック一年

さて、今週で大阪証券取引所のジャスダック市場とヘラクレス市場を統合させた「新ジャスダック市場」が発足してからちょうど一年が経過した。当時もこれについて当欄では触れたが読み返してみると発足当時1,005社あった企業数は直近で970社に減少、これは2001年8月末以来10年ぶりの低水準という。

週明けには増加傾向にあるMBOについて触れたが、このMBOはもとより震災後の株価低迷で時価総額基準額が未達になったりまた財務悪化ありでIPOを横目に上場廃止もまた多くなってきている。そのIPOだが、リーマン・ショック後に失速したものの今年は上場予定を含め9月末迄で全取引所合計は25社へ増加。うち約半数がジャスダック市場であり斯様に近年では漸増傾向にあるものの、やはりピークから比較してみれば9分の1以下と心許ないのも事実。

また月曜日記の話に戻るが「フランフラン」を展開するバルスは、他のアジア市場での再上場意欲に関して時価総額が東証の3倍は見込める感触というのも理由の一つとして挙げている。他のアジア市場に活路を見出し流出組が増加、結果として上場企業数が減少の一途というのもダイレクトに活力が削がれよろしくないのは一目瞭然。

一年前に当欄では「今後IRやスタープレイヤーの発掘が非常に重要になってくる。」と末尾に書いたが、この辺に関しては日経紙ではジャスダック市場が未上場企業対象に独自に成長性や上場意欲を調査し上場予備軍発掘を強化しているという旨が載っていた。誘致も大切だがこうした撤退企業鑑みるにその後のケアもまだまだ再考の必要性があるのではないかとも思う。


続く夜間の伸び

さて、約一ヶ月ほど前に株式先物やFXの夜間取引について当欄では「グローバル化の波」としてこれらが急増している旨を書いたばかりだが、先週末の日経紙一面でも「個人マネー夜に動く」として、株式先物やFXなど揃って個人マネーの夜間シフトが鮮明になっている旨が載っていた。

今月に入って大証が発表した平成23年度上期の売買状況によれば、デリバティブ取引高が22年度上期に継いで過去2番目の多さであったが、日中取引に対する夜間取引比率は過去最高の37.9%になった模様。この辺は先月も書いたが、当時比較した8月の過去最高水準が更新されていることになる。

同紙では「欧米金融市場の不安定な展開が続き、翌朝の東京市場が開く前に一国も早く売買したいという個人投資家が増えているためだ。」と夜間の活況要因を挙げていたが、この辺はどうだろう?知人のトレーダーの多くは結局日中取引を見てもその値動きが二桁程度、恣意的な板の中で個人が戦うにはトレード妙味が薄いとしている。イニシアチブを執れる参加者が不在で、日本市場が自力でトレンドを形成することはないのが日中の実情であるとすれば、活況な夜間取引はその裏を見せられているようでもある。


10/17より時間限定・少額証拠金の「アクティブ口座」リリース

日産センチュリー証券は、2011年10月17日より取引時間を限定し、少額証拠金システムを導入した、商品先物オンライントレード「アクティブ口座」をリリース。「アクティブ口座」の取扱銘柄は、東京金(標準)、東京白金(標準)、東京ガソリンの期先2限月のみとし、例えば金であれば取引時間中の一定時間内において、2分の1となる9万円の証拠金で取引が可能に。

▼商品先物オンライントレード「アクティブ口座」のリリースについて


■アクティブ口座の概要

商品先物オンライントレード「アクティブ口座」のトレードツールは、弊社海外デリバティブ取引で実績のある専用アプリケーションの「NC TRADER(リッチ版)」、ウェブ画面から簡単操作の「NC TRADER(ウェブ版)」、外出先でも取引可能な「NC TRADER(モバイル版)」を、利用料無料でご利用いただけます。海外デリバティブ口座をお持ちのお客様であれば、国内銘柄と海外主要銘柄のリアルタイムチャートや板画面を同一画面上でご覧いただきながら取引が可能となります。

◎取引時間=夜間立会時はAM3:00、日中立会時はPM3:00までに建玉決済が必要
◎取引手数料=1枚あたり片道250円(税込)
◎FIFO(先入先出法)を採用
◎ロスカットライン=アクティブ証拠金合計額の60%を超える評価損発生で自動ロスカット

※アクティブ証拠金は、相場の著しい変動が予想される場合などに、弊社の判断で大幅に引き上げることがあります。
※ロスカットラインは、損失を限定するものではありません。商品市場における相場変動により預り証拠金の額を上回る損失が発生する可能性があります。
※アクティブ証拠金は、相場の著しい変動が予想される場合などに、弊社の判断で大幅に引き上げることがありま

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MBOでも地盤沈下

さて、忘れた頃にポツリポツリと挙げられるが、先週には去る8月に上場廃止となったワインのエノテカのMBOを舞台にして、SMBC日興証券の執行役員がインサイダー取引の疑いで証券取引等監視委員会から強制捜査を受けた旨が報道されていた。

まあ、やはりこのMBOやらTOBというのは会社破綻と同様にインサイダー取引の中でもとりわけリスクが殆ど無い情報だけに甘い匂いに集まり易い。ところでこのMBO、先に日経紙に出ていたところによると今年1-9月のMBOは15社と昨年実績を上回り2011年暦年では3年ぶりに過去最高を更新する公算が大きいという。

前にも一度触れたがこうした動きには上場維持に必要なコスト負担も大きく絡んでいるし、長年株価の不当評価に嫌気がさしている企業も出てきた。同じ上場するならと、MBOで現在買い付け期間に入っているあの「フランフラン」のバルスなどは東証から脱退して他のアジア圏での上場を予定しているし、他の含みを持つ企業などもこれを追う動きがないとも限らない。

また近年の株安で長いこと東証はPBR1倍割れ云々と彼方此方から割安がいわれてきたが、所謂二番手、三番手の銘柄などの中には保有資産との絡みでどう見ても説明が付かない低水準のまま放置されている銘柄も少なくない。こうしたモノにもまた防衛策の一環でMBO案も出てこようが、そんな動きが次々と活発化すればそれはそれでまた投資家の株離れを助長させそうである。この辺は当の企業、また上記の通り取引所も人事で片付けないで双方の課題と考えるべきであろうか。


本年度のネット取引データアンケート調査について

商品先物ネット取引を取扱う全取引業者に対し、2000年より毎年実施している「ネット取引データアンケート調査」ですが、本年も11月上旬に実施を予定しております(12年目)。対象となるデータは2011年10月末時点のデータとし、アンケート期間は2週間となります。

▼商品先物ネット取引各社データ「一目瞭然2」

例年通り取引データアンケートと同時にサービス内容アンケートも行いますが、現在項目の追加・修正、及びポイント配分を検討、スマートフォン・取引関連項目などについて調整を行う予定です。


もし「追加希望項目」などのご意見・ニーズなどございましたら、その理由と共に
futures @ factualsite.com までご連絡をお願いいたします(10/18頃までを目処に)。

どうぞ宜しくお願いいたします。


今年の日本伝統工芸展

さて、東京では今週初めに終了となったが毎年恒例の「日本伝統工芸展」を過日観てきた。今年で58回目になるこの展も、毎回作者が得意の技巧で少しずつ変化を持たせながらもシリーズで出してくるからお気に入りが居る向きには次の作品が待ち遠しいというものだ。

さて今回の展では個人的に惹かれたのが、漆芸の世界で有名な鳥毛清氏の沈金飾箱「緑風」。氏といえば確か知人にある絵本を見せてもらった際にその原画が氏の沈金作品だった覚えがあるが、これら全て動物のモチーフだっただけに今回の作品で「イトトンボ」が描かれ静謐な和の空間が展開されていたのは新鮮であった。特徴的であったのは通常は沈金加工するのが文様の部分なのをこれは背景部分に沈金を施すという反転というか逆転のデザインに仕上げておりこれが実に溜息が出るほど美しい。

象嵌なども逸品揃いであったが、この他にも原清氏の鉄釉草花文扇壺は上記の「緑風」と併せてエミール・ガレの世界を彷彿させ、また薮内江美氏の乾漆蒟醤箱「樹雨」はこれまたドーム兄弟の木立文を連想させるが、おそらくは西洋の彼らもこうしたジャポニズムへの熱い情景で幾多もの後世に残る名作を手掛けたに違いない。

昨年見た柴田是真の漆の数々も感動的であったが、今やこの蒔絵など世界に君臨するトップブランドが挙って取り入れ始めており、急速にライフスタイルが変化する中でもこうした世界に誇れる技術が絶えることなく伝承され続けているのは本当に素晴らしいことである。


割安しかし逡巡

さて、ここ最近ではメタル系暴落騒動の次は穀物も暴落商状となり商品は相変わらずボラタイルなマーケットとなっている。昨日は「証券投資の日」であったが、株式市場でもさすがにこれらを反映してダラダラと弱地合いであった関連銘柄も今週は安値から下っ放れ、底割れの商状が続出となっている。

ざっと挙げれば先ずは今週年初来安値更新が続出している商社株。三菱商事、三井物産、住友商事等主力中心に何れも3月安値をアッサリと割り込み続急落、非鉄系もかなり酷いが別子こと住友鉱なども今週から下げが加速しリーマンショック以来久しく見なかった4桁の大台割れと崩落している。

しかしこれら、投資尺度から見ればいずれもPERで4倍から5倍前後まで低下してきており思わず食指が動きそうなものだが、過剰流動性が作り上げた昨今のコモディティ相場を前にして見えないリスクの存在にまた逡巡してしまうといった感か。

まあ上記のPERもそうだが、同時にPBRで見てもメッタ売りにされている日本を代表するコア系銘柄並みの水準にまで低下している物も少なくない。コモディティといえばあのジムロジャーズは直近で現在最も適した投資対象は農産物としており、また現実味には欠けるだろうが既にM&Aするには可也魅力的なゾーンに入ってきた銘柄もある。何れ落ち着けば何処かで注目しなくてはならない局面がまた来るだろう。


証券投資の日

本日は10月4日ということで「証券投資の日」である。というワケで本日の日経紙にも「株式投資の意味を問う」などと全面広告で謳ってあったが、昨年を思い返してみると主力の金融株が揃ってこの時期年初来安値更新していたのを思い出す。奇しくも今年もまたメガバンクは、ギリシャ早期デフォルト懸念からの欧米金融株暴落の影響で昨年同様安値低迷となっている。

まあ本日も日経平均は大幅続落となり今年はこのポストに限らず主力のコア系中心にして年初来安値更新組が続出だが、中には数十年ぶりの安値更新に沈んでいるものも一つや二つではない惨状。大手証券投資情報部などが出すコメントは判で押したように「日本株は割安」としているが、既にこうしたコメントが出始めてから個別銘柄は軒並み2割3割急落、中には半値以下にまで暴落した銘柄もある。

上記のメガバンク群は往って来いで昨年の証券投資の日の水準を割り込み、昨年の当欄で投資の日に触れた際に挙げた東電などはファイナンスをやった上に今や株価は約十分の一である。今の環境を見ればやれる時にやってしまったファイナンス敢行組はしてやったりだろうがこんな政策一つ取っても投資離れを起こさせているのは明白、因果応報で何れ竹箆返しに遭うのは想像に難くない。