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火事場泥棒?

本日の日経紙経済面には東日本大震災を受け、震災後も日本でのビジネスを継続してゆくことをアピールする狙いもあって、米ゴールドマン・サックス始め米モルガン・スタンレー、米JPモルガン・チェースなど欧米の大手金融機関の間で経営幹部が日本を訪問する事例が相次いでいる旨が載っていた。

しかし外資系といえば今回の震災では行動の早さが目立った。自動車、家具、アパレル、ソフトウェア、たばこ、ヘルスケア、ジュエリー等々本社機能を関西に移転したり大半を出国させたりで、上記の金融系など一頃は幹部含めた人員引き揚げの用でプライベートジェット需要が増しているとの話も浮上したことがあった。

漸く戻ってくる動きも見られるが外資系金融といえば、震災後のパニックに陥ったマーケットにおいて、これを抑える為に一時的に市場を閉鎖するよう東京証券取引所に要請する動きがあった事も表面化したが、そんな中でもゴールドマン・サックスは市場流動性を提供し、顧客投資家ニーズに答え続けるのが責務と一貫して主張してきたという。

15日の市場ではサーキットブレーカーが2回も発動となったが、その間に個人は売りたくも無いものまで已む無く吐き出され、いざ敗戦処理が一服してみれば外資系はこの混乱の一週間で約1兆円近くも買い越しが膨らんだことが明らかになっている。なんでも物は言いようだが、これも当局の協力?無しには実行出来ない事もあり猜疑心も出て来るのは自然なところか。


権利付き最終日

週明けの本日は配当権利付き最終売買日、これによって明日の日経平均株価の配当落ち分は約86.24円と試算(TOPIXで9.21ポイント)されているが、この落ち分が現況の環境下で妥当か否か一部では減配リスクが懸念される中を、全般ではこの落ち後に改めて資金流入がどの程度あるかが今後の焦点となろうか。

さて今回も高配当モノや定番人気の株主優待モノなどは、やはりツナギが入っている様子が見受けられたが、今年の場合は状況が状況だけに配当落ち後に想定外の変更があってもなんら不思議ではないところが実に微妙、早々に未定を打ち出したところもあるが別な意味で高くついた等となるケースも出るか。

だいたい定時株主総会にしても、毎事業年度の終了後一定の時期に召集しなければならないと会社法では規定しているものの、通例の通り数ヶ月以内に召集されるかどうか今回の震災によって全て予定通り開催されるか否かこちらの方も不透明である。

もう一つ、先週末には市場デリバティブ取引に係る注意として各社重ねての注意喚起が為されている。先週始めに少し触れたが、各社大幅な証拠金引き上げ措置により本日の夕方に実施される値洗い処理によって、既存建玉を保有している向きでも追証が発生する可能性が当然出て来るケースも想定される。各々周知徹底しているだろうが、日中相場のみでイブニングを見なかったゆえに一晩で値洗いが一変していた等の冗談のような話も実際にあったワケで、こんな再来でまた一寸した混乱が生じないのを願うばかりである。


2002年の再来?

さて日銀が連日大量の資金供給をする中で、金融系では週末から問題になっていた件でみずほ銀行の大規模のシステム障害が今週も続いた。公共・公益性のある銀行業務で数日間に亘って障害が続くのは忌々しき事態だが、昨日も滞っていた振込み関係は処理を終えたとの発表後に未処理報告が続々と出ている。

よりによってこんな重要な時期にライフラインの役目を円滑で実行できない様はとんだ失態だったが、ここ一連の頭取の説明を見ていても上記の如く復旧に関するディスクロが二転三転し、さながら東京電力の原発事故や計画停電発表について関係者が右往左往している状況に酷似している。

しかし、これで思い出すのはこのメガバンク統合時の初日である。折しも新年度から大規模なシステム障害が発生し、たしか数週間程度預金者の混乱を引き起こした記憶があるが、こんな洗礼を受けているはずの同行がまたしても同じ事を繰り返しすなど、はたしてその教訓を生かせなかったのか?

金融インフラが脅かされた例としては、ライブドアショック時に大量の注文を処理しきれず全銘柄が取引停止になってしまった2006年の東証があったが、この震災下で頑なに取引続行を謳う取引所とて投資家側から言わせればまだまだオペレーションに疑問符が付く部分もある。風評被害が相次いでいるが、こと金融システムへの信頼が揺らいでしまうようなこれら事例もまた恐く避けなければいけないものである。


個別も仕手化

さて、週末からデリバティブ市場での異常値のさまに触れてきたが、今回のマーケット直撃では個別でもなかなか普段見られない動きが起きた。復興関連のゼネコン系が買われるのは阪神の時同様であったが、対極にあったのが原発関連で各々好業績や年明け早々に出た個別の好材料を囃して食い付いていただけにガチガチに売られた。

東電も然り、インフラ産業の特異性ということやこれまでのJALや破綻銀行の連想で彼方此方から「国有化説」がやはり実しやかに出たが、当然株価も3日連続のストップ安から1,000円の大台割れは分割等も考慮して実に27年ぶりであった。震災前の相場ではこの時期柄、配当狙いの観点で見直されこれまた食い付きがあっただけに、インカム狙いで買ったつもりがその配当も急遽未定、逆にとんでもない仕手株に化けたパターンか。

毛色の違うところでは、TOBを実施中の銘柄まで異常値が出ている。当欄でも最近触れた、エノテカやCCC、それにアートコーポもTOB価格を下回るなど、合理性云々で説明のつかない株価出現で裁定云々を超越した現象なのだろうと改めて実感。

他にも通常は逃避資金の逃げ込み先になるディフェンシブ物まで全滅したものの、原発復旧の進展状況や大量の外人買いが好感されてほぼ戻るものは戻っているがこの一巡後が正念場、ダメージや今後の影響が未知数なだけに今の復興関連総買いの様相が一段と不気味に映り個別でもまた取組内容が変わってくるのは想像に難くない。


阿鼻叫喚

週末には「歴史に残る異常値」として末尾に「阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。」としたが、果たしてネット系証券では目下オプション取引を中心とした?足?が続々と問題化している。先週発表しているところでは、松井証券が35億円の貸倒損失を計上、カブドットコム証券は39億円、マネックス証券は13億円の未収が発生している。また業界ではデリバティブに特化していたひまわり証券が早々にこの分野からの撤退を表明した。

証券各社もここから未収の回収で大変だろうが今回は投資家も地獄、なにしろ玉詰といっても受入証拠金範囲でのロスカットしか出来ないので、それをはるかに上回るプレミアムの暴騰ではロスカットもいたちごっこである。それこそ必要証拠金の10倍くらい一挙に入金して見合う具合で、殆どの投資家はもともとの証拠金使用率がこれ以上なワケだから受入がロスカット予定以下の口座のケースでは、脱出したくても刻々と値洗いマイナスが拡大してゆくのを何も出来ずに見ているしかないまさに阿鼻叫喚の状態であったと思う。

損失といえば、日曜日の日経紙にも今回の円暴騰でFX取引でもロスカットが続出し、わずか5分間で60万円の損失を被ったという話が載っていたが、オプションは週末にも書いたように最悪の場面に当たってしまったケースでは、たったピンでも4万円そこそこの証拠金でも1分間で100万円以上の損失も出せるのであり、それからすれば5分間で60万円程度の損失などまだまだかわいい?ものだ。

連休明けも東証と大証は揃って不測の事態が起こらない限り取引継続しているが、斯様にマーケットの事故も未曾有の事態となりつつあり、やはり各社としての対応は事実上取引停止に近いものとなる。既にオプションのショートに関しては建玉上限を数百枚からゼロとし、先物では従来の半減、またSPAN証拠金に対する掛け目は既に震災後アップさせていたが、これも更にアップさせるなどの措置が各社続々と取られている。

FXなど協調介入で相場急回復となったが、ロスカット後では時遅し。オプションも残存日数を考えればここからが面白い場面なのだが、上記のような措置でリカバーのチャンスまで暫くおあずけとなんとも厳しい終戦処理である。


歴史に残る異常値

さて、本日で東日本巨大地震からちょうど一週間が経過したが、あらゆるシーンにおいて今回の件は歴史に刻まれよう。この辺はマーケットにおいても当然そうであり、1995年4月に付けた史上最高値を一気に16年ぶりに更新した円相場も、株式市場でも昼に立て続けに2度もサーキトブレーカーが発動となった事態もまた然りであろう。

株式市場といえば、数ある前代未聞の事態でも今回のオプション市場の狂乱も間違いなく歴史に残ろう。事件?が起きたのが週初めのイブニングセッション、通常であればアウトものの4月物の7,000円プットは序盤以降から値を飛ばし午後8:43に105円を付けていたが、その1分後には踏み?が殺到し、なんと1,340円まで暴騰、あと踏んだら終いでその3分後にはたった90円まで今度は暴落、ショートしている向きは4万円ちょっとの証拠金がたった1分間で123万5千円ものマイナスになり、その3分後には逆に1万5千円のプラスになった計算である。

これに近い4月物の7,500円プットも午後8:43分に130円を付けていたが、その1分後にはやはり1,320円まで暴騰、その3分後にはたったの110円まで往って来いの暴落するなど同様な事態が起きた。しかし、行使価格の低い方の高値が高くなるなど何処を取っても理外の理、この暴騰時に合致した7,000円プットの111枚、そして7,500円プットの109枚の出来高に参加した向きは売り方、買い方いずれも忘れられない日となろう。

そんなワケでマーケットもある意味被災した向きが続出、一部証券会社など先物取引からの撤退を早々に表明していたが、斯様にもデリバティブ系は皮肉にも新システムでスピードも変わったところへこの辺の事情も考慮出来ないディスクロをやった官邸の失態と併せて、阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。


情報戦と恐怖心

週末の東日本巨大地震発生から数日経過したが、依然として計画停電や原発を巡って情報が交錯し被災地の混乱した様子が一日中報道されている。しかし原発はモノがモノだけにどう捉えたらよいのだろう?長い間原子力をエネルギー政策の柱に置き、その利用を享受してきた歴史の帰結という表現もあるが問題自体が大き過ぎて一言で表現するのは難しい。

放射性物質放出に絡む、無数にある不安情報やコメントを真に受けて恐怖心から外出も控えているのだろうが街に出てみれば心なしか人も少ない。SSではガソリンありませんの札が並び、コンビニやスーパーでは保存の利く食品や生活必需品が見事に棚から消えたままの一方で、生鮮物が大量に買い手の付かない様子は何時もの通りだなとつくづく。

こんな行動は日本人独特だろうと思ったが、動けるうちがチャンスとばかりに、早々に日本を発った外国人の知人も多数。おそらくではあるが、仏大使館あたりの影響が大と思うがまあ国土の広さを考えるとあながち笑えない部分もある。しかし大使館関係は兎に角ネットワークというか流石いろいろ長けているなと。

しかしこんな未曾有の事態でも、義援金詐欺とか何れデッドストックになる生活用品などに法外な値札を付ける商売が横行するなど何時も通りの商機と捉える輩が居るのはほんとうに情けない。おそらく今後出て来るのはバイアグラよろしく「ヨウ素剤」の類だろう。経済停滞の長期化が言われる一方、こんな部分の経済活性は国難を如実に物語る。


Black Friday

先ず、このたびの地震および津波の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

なんといっても直近の話題は上記の通り、引け間際のマーケットも直撃した観測史上初の「東日本巨大地震」である。個人的には「備えあれば憂い無し」とはいうものの、数年前に用意した防災グッズも埃を被り非常食等の賞味期限切れと共にリスクに備える感覚が薄れてきたタイミングでの不意打ち?で、まさに「天災は忘れた頃にやってくる」といったところか。

しかし戦後生まれなど、間近に「有事」を経験していない世代など、テロやデモ含めて今迄の対岸の火事的概念が一気に無くなった瞬間ではなかっただろうか。未曾有の事態だけに早速というか地震発生から数時間後には、東京23区内の停電決定とか、損壊した某石油施設からの有毒物質に注意とか、怖いモノでは原発関係の不安を煽るような実しやかなメールがいろいろなところからひっきりなしに届く。加えて報道関係でもこんな情報社会の世の中、いざ有事になると呆れるくらいにディスクロが遅く且つ不正確なのが歯痒いところ。

一方では、毎度お決まりで携帯が機能しなくなる中、活躍したのがFacebook等か。欧米始めそれこそ世界中の知人から安否を気遣う声が届いたが、瞬く間にこちらの状況が詳細に満遍なく伝えることが出来るなど本当に便利な時代になったものだと改めて実感。先の京大カンニング事件を当欄で取り上げた時にネットは「諸刃の剣」としたが、まさに使いようだなと。

ところで相場関係もさっそく各方面が集まって各々市場展望を展開しているが、所詮はイマジネーションの世界。阪神大震災の時の憶えでまたデリバティブはもとより個別でも震災関連がお決まりで物色されているが、原発問題が案じられるなど既に銭金の問題も超越している有事。世界中から続々と支援が寄せられている最中だが、関係者各位共々これらに感謝しつつ一刻も早い復旧を祈りたい。


東日本地震に対する各社からのお知らせ・対応

2011年3月11日午後2時46分ごろ、三陸沖を震源に国内観測史上最大のM8.8の地震が発生。また同日長野県北部を震源とする地震も発生。広範囲で大きな被害が出ています。それに伴う各社からの当該地震に対するお知らせ・対応を発表などをこちらではまとめておきます。


取引会社名お知らせ・対応など
東工取3/11の立会は通常通り、17:00-の夜間立会も通常通り
ドットコモ計画停電による当社の対応について
ドットコモ東北地方太平洋沖地震及び長野県北部を震源とする地震により被災されたみなさまへ
岡藤商事東北地方太平洋沖地震及び長野県北部を震源とする地震により被災されたみなさまへ
北辰物産東北地方太平洋沖地震及び長野県北部を震源とする地震により被災されたお客様へ
エイチ・エス・F東北地方太平洋沖地震及び長野県北部を震源とする地震により被災されたみなさまへ
日産C証券東北地方太平洋沖地震、長野県北部の地震により被害を受けられたお客様へ
フジトミ「東北地方太平洋沖地震」の影響に関するお知らせ
エース交易東日本大震災に関連して(PDF)

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危機から生まれる技術革新・2

さて、今週は乱高下の株式市場の中で途中個別物色された物には住友精化等があったが、3/8付日経紙にも載っていた通り、同社は東京大学教授と共同研究で温暖化ガスの二酸化炭素を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発したことが背景となっていた。ちょうど今はこの記事の直ぐ隣に載っていたように、原油高騰が最大のリスクとされている中、石油系合成樹脂の代替期待の思惑が出た格好となった模様だ。

しかし、最近はこの手の新技術開発発表の報道がやけに目立つ。先週末の日経紙一面では住友電工がリチウムイオンに代えて価格が約十分の一と安価なナトリウムのイオンを使う新型の蓄電池を開発したと報じており、また同日の企業面ではレアアースの価格上昇により代替技術への関心が高まる中、戸田工業が東北大学との共同研究でレアアースを使わない磁石材料の大量合成に成功したと報じられていた。

このレアアース関連については、先月も芝浦工大が微生物を使って効率よく回収する技術を開発した件や、日立金属やDOWAホールディングスについても同様の件で書いたが、これと並行して一方ではこの素材自体を使わない上記のような新技術も既に成功するなど更にその次のステージまで捉えておりまさに日進月歩の感である。

一昨年の6月には「危機から生まれる技術革新」のタイトルで各企業の巨額な先行投資の模様を書いた事があったが、このときも書いたように今迄環境の変化を拝啓とした危機における産業界の崩壊の度に、何らかのそれを乗り切る革新的技術の普及でそれらを克服してきた経緯があるが、そうした一端が上記のような報道に感じられ、M&A熱も高まるなか各企業が立ち止まっていない安心感を覚える瞬間である。


3/15より証拠金計算方法を一部変更へ

北辰物産は、3月14日(月)の夜間立会より、委託者証拠金制度における商品内スプレッド割増額の計算を0円に変更。

▼委託者証拠金、一部変更について=北辰物産


これまで、弊社では同一商品・異限月間の「売り」と「買い」双方の建玉を行った場合、片建分(片側枚数の多い方の枚数分)の証拠金額と「売り」と「買い」の組み合わせに応じて、(株)日本商品清算機構(以下「JCCH」)が定めた商品内スプレッド割増額を必要としておりますが、 上記期日より片建分の証拠金のみで建玉を維持することが可能となります。

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カンニング変遷

さていまだに紙面をにぎわせているのが、京大始め複数の大学の入試問題が試験中に流出した例の事件か。この事件を受けて直近の公立大二次試験関係では携帯電話を封筒に入れさせて回収している光景など見られたが、当初一般的には想像もしていなかった被害届とか逮捕にまで発展するに至り事は穏やかでない。

この騒ぎで株式市場でも不正受験監視関連銘柄が突飛高し、池上通信機や三精輸送機等が物色された。特に池上通信機などは発行済み株式が7千万そこそこしかないところに先週末はまるまるこれが回転してしまう1億株以上もの出来高となる異常人気を呈した。その辺はともかく容疑は偽計業務妨害としているが、これが杓子定規な適用かどうかいろいろ論議も出そうだ。

基本的に入試関係というのは暗記を問うのが殆どと長年認識しているが、捻る部分の無い中で時間も限られる形式行事と考えるなら効率を図ってしまうのも違法行為という面を除外すればある面頷けなくもない。逆に入試問題も暗記色の薄いものへ変わればもう少し「考える」という部分で本来の姿になるのではないか。

しかし先の海上保安庁の尖閣諸島ビデオ流出事件といい、今回のカンニング?事件といい、まさにネット系の縦横無尽。便利な一方万人が使い方一つで犯罪にまでなってしまうに諸刃の剣でこんな黎明期?にはいろいろと考えさせられる事例がまだまだ続くだろうか。