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大山鳴動して鼠一匹

さて、今週は周知の通り欧州や米国の債務問題への警戒感などから、金が10日続伸の末に史上初めて1,600ドル台に乗せた。大台クリヤの度に当欄でも何度か取り上げているが、押し目らしい押し目も入れずに急ピッチな上昇が依然続いている。

そういえば今月の七夕の日には先の4月にCCCP(商品バスケット)の買い推奨打切リポートで話題になったゴールドマン・サックスが、コモディティに対する投資比率を引続き「オーバーウェイト」とするように推奨、投資期間は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月で今年後半から2012年に掛けてコモディティのリターンがさらに高まると予想していた。このうち金価格に関しては、米国の低い実質金利を背景に2011年は上昇が続くとの見通しを示している。

今回より一層ナーバスになっているのは欧州というより期限のある米連邦債務の上限引き上げ問題か。これが合意出来ない場合リーマン・ショック以上のパニックが想定されるというが米国債は極めて安定、現実問題として東電じゃないがデフォルトしたらその影響は計り知れず国債増発のプロセスである程度の緊張を持たせたというところか。

危機を煽れば其れなりにマーケットは動きそこでまた商機も出て来るというものだが、そういえば上記のゴ−ルドマン・サックスは直近で第2・四半期の債券・通貨・コモディティ部門のトレーディング収入は53%減少して16億ドルにとどまり、2008年以来の低水準と大幅に落ち込んだことを発表している。同社アナリストが事前にコモディティ価格の下落を警告していた筈だが、トレーディングデスクにはそれが生かされていなかったという事になるか。


8/1より新トレードシステム「FITS」提供開始

フジトミは、現在サービス展開している「フジトミオンライン」を7月末を以って終了し、8月より新たに新トレードシステム「FITS(フィッツ)」の提供を開始。「FITS(フィッツ)」は、Fujitomi Internet Trading System の頭文字を取った造語で、トレードシステムはフラクタルシステムズと共同開発。

▼新トレードシステム「FITS(フィッツ)」導入についてのお知らせ
▼新システムにおけるルールの相違点と手数料体系



また新システム導入に併せて手数料体系も変更。手数料は通常・日計りとも往復一律787円に、また新たに不足金未解消の場合や保有期限を迎えた場合など、強制決済にて建玉を決済した場合、発生する手数料強制決済手数料を新設。


■新サービスのお知らせ
新トレードシステム「FITS(フィッツ)」2011年8月1日よりサービススタートこのたび、株式会社フジトミ(JASDAQ 上場8740、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:細金英光)は、オンライン商品先物取引システムにおいて高品質システム設計に定評のあるフラクタルシステムズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中川正弘)と共同開発した新トレードシステム「FITS(フィッツ)」のサービス提供を開始する運びとなりましたので、お知らせします。

■新トレードシステム「FITS(フィッツ)」
「FITS(フィッツ)」とは、Fujitomi Internet Trading System の頭文字を取った造語です。弊社では1998 年5 月よりオンライン商品先物取引のサービス提供を行ってきましたが、「FITS(フィッツ)」は、発注までのスピード、相場表やチャート画面の使いやすさ、すべてにおいて過去に提供したサービス内容を上回っています。より操作にストレスを感じない快適な取引環境を実現するよう設計してありますので商品先物取引は初めての方からベテランの方までご満足いただける「FITS(フィッツ)」を是非お試しください。

■新トレードシステム「FITS(フィッツ)」の概要
1.サービス開始日時
・2011 年8 月1 日(月曜日)
2.特徴
・チャート上に現在のポジションが表示されます
・価格ボードから発注できます
・デイトレや銘柄専用など自分だけのレイアウトを作成できます
・トレール注文により、効率的な運用が可能になりました
3.売買手数料
通常取引 往復787 円(税込)
ミニ取引 往復367 円(税込)
※通常取引にて8 月1 日から9 月2 日日中立会終了までに決済した取引はキャンペーンにつき往復525 円(税込)になります。
※不足金対応や建玉期限などにより当社において建玉を決済した場合、別途1,575 円(税込)の強制決済手数料が掛かります。

■その他
「FITS(フィッツ)」に関する詳細につきましては以下のページをご覧ください。・http://www.fits.cx/announce/0624/fits.html

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現実味を帯びる日本脱出

昨日の日経紙経済面には「エネルギーを問う」として、IEA(国際エネルギー機関)によると、産業用電気料金の日米の差は2.3倍、日韓では更に2.7倍に広がっているなど国際的に見て日本の電気料金は高い旨が載っていた。

目下のところ電力不足がいわれる今夏、この電気料金に関しては値上げやらペナルティー論も出ているが冷静に外から見てみればこれも酷い話で、先ずはまだまだ関係者の私腹が肥えるシステム中心に無駄の削減ありきが筋だろう。しかし今年は直近の円高も相俟って、数年前にもいわれた日本の企業群の脱出論がいよいよ現実のものとなるとも喧伝されている。

こうも試練が重なると今迄何とか目を瞑っていた物まで耐え難くなってくるものだが税金もその一つ。当欄でも何度か触れたが法人税は先進国中で最高、これだけの足枷がありながら逆にいえば今迄海外勢と競争してこれたものだと感心するもの。

斯様に電気料金、為替、法人税と企業を取り巻く環境は非常に厳しい。既に諸外国では人材含め企業誘致等に躍起になっており、こんな素地が用意されている中で政府の場当たり的な対応如何では更なる環境悪化も考えられる。そうなれば恰好の口実を得た企業群の海外移転が思った以上に加速する可能性は現実問題として有り得るケースであるのも認識しておかねばならないか。


AIM第一号

さて、2年前の2009年6月に鳴り物入りで開設したものの、以降まったく上場実績が無かった東証傘下のプロ向け市場「TOKYO AIM取引所」だが、先週末にはオランダ大使館の近所にある創薬ベンチャーのメビオファ−ムなる企業が同所に第一号としてはれて上場となった。

以前にも書いたように同所は労多くしてナントカの見方が肝心の国内証券会社勢に根強く、何処も審査引き受けに二の足を踏んでいた経緯があったが、果たして今回の主幹事もシンガポール系のフィリップ証券。75万株の新株発行を行う予定であったが、これが直前にマルになった事もあってか注目の初日は900円の売気配で差引約55万株の売物を残していた。

これで連休明けの動向が注目されていたが、前場段階でその売気配は600円台にまで切り下がっておりこの辺は改めてロックアップの重要性を物語るか。しかしもともとのブックビル仮条件が1,200〜1,600円でその前の想定発行価格が1,500円であったことを考えればなんとも厳しい船出となった格好で、マーケットこそ違うが明日はラクオリア創薬が上場を控えておりこちらもどうなるのか気になるところ。

バイオ系は夢のある材料が思惑を呼び易く新興市場などでも既に株価が大化けしたモノもあるが、ポストに加えてベンチャー系は超が付くくらいの浮動玉だけにその辺の管理も課題になってくるだろう。AIM社長は「上場第一号でイメージが出来た。技術、人材、サービスを軸に世界で競争出来る企業を呼び込みたい」としているが、先ずはこの第一号がどういった歩みをするかが注目されよう。


Hommage 

さて、ちょうど一週間前までフランスでは2011年秋冬パリ・オートクチュールコレクションが開催されていた。ラガーフェルド氏手掛けるシャネルの新作始め、ジャンポール・ゴルチエの今シーズンはあの「Black Swan」の世界からインスピレーションを得たというチュチュや羽飾りなどバレエ色の強い作品を発表。余談だがモデルのイヴ・サルヴァイル、やはりカッコ良すぎである。

一方で伊の大御所ジョルジオ・アルマーニは大震災に見舞われた日本へのオマージュとして、大輪の花をプリントした着物風コートや帯のベルト、梅花の刺繍を鏤めたジャケットなど和風の美を取り込んだ華麗な作品を発表していた。

ジョルジオ・アルマーニといえば、高島屋のアニバーサリー絡みの「ヘリテージ・コレクション」で、東証上場の川島織物の生地を使い日本の帯を思わせる柄をあしらったバッグも発表しているが、この手のコラボモノでは昨日まで京都の金閣寺方丈にてグッチが設立90周年記念の催しで、「時の贈り物」としてバッグを展示する催しも行っていた。

そういえばドルチェ&ガッパーナも先のインタビューでは日本の震災に絡めてファションを語っていたが、斯様にイタリア勢の日本傾斜が目立つ。勿論重要な戦略拠点というのもあるが、上記のアルマーニ氏は東北の被災地で就学が困難になった小中学生を支援する奨学金制度も設立する予定で、文化や技と共にこうした部分も共鳴出来るのは素晴らしいことである。


それぞれの御家芸

さて、先週末のNIKKEIプラス1では「中国の新幹線、海外で特許取れるの?」として、最近話題になっている例の中国鉄道省による高速鉄道車両の特許出願の件が取り上げられていた。

しかし「(パクリ)モーターショー」や、ちょっと前の「上海(パクリ)万博」に続き今回はコレを持ち出したかという感じだが、もう一つ一つ挙げるとキリが無いくらいのパクリ疑惑技もその毎回同じテーマから一つの御家芸というかブランドとしてこれはもう独立しているだろうか?

しかし、どの問題を取ってみても大真面目に開き直って?其れなりの理由もこじ付けているという事で、ここは立場を変えて別の視点で眺めてみると産業の空洞化が問題になったようにローコストな人件費に惹かれこうした国へせっせと技術を流していた方もワキが甘かったのかも知れない。

近年では老舗の商標を続々押える暴挙も目立つが、そのくらいのテクもある意味見習うべきであっただろう。まあ、国際社会でこんな姿勢が何処まで通用するのか見物なものの、ある意味賛否両論。そういえば本日の日経紙では、海外市場で上場する中国企業の会計不信が拡大している旨出ていたがこの辺はまた後述したい。


やはり体質

本日は日経平均が再度10,000円の大台割れとなる中を電力株は総じて小動きの引けであったが、電力会社といえば周知の通り運転停止中の九電玄海原子力発電所2.3号機の再稼動を巡り経産省が6月に県民向けの説明会を開いた際、九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の社員に一般市民を装って再稼動を指示する意見メールを送るように依頼していたことが先に明らかになっている。

問題の依頼文を見たが、「会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅のPCからのアクセスを御願い致します」等と九電関係者と分かりにくくさせる姑息な一文も。日経紙社説ではこのメール事件に触れ「情けない」と書いてあったが、会見で社長が「そんなに大きい問題ですか?」とも発言したり常識的に情けないレベルの話では済まないだろう。原発を巡る一連の対応を見ていると、東電然り今回の九電然りやはり前にも書いた通りその体質が非常に解り易い。

何処の企業でも大小問わず過去を捜せばこの手の話の素地はあるが、取り扱い要注意?メールの漏洩を考えていなかったというか一部暴走組に裁量を委ねていた怖さが露呈された一件。一頃コンプラが問題になった時期があったが、またその業種問わず各所の話題としてコンプラが蒸し返されそうな雰囲気である。


頭隠して尻隠さず

本日の株式市場では東証一部のエルピーダメモリー株が後場から増資報道によって急落したのが一際目立っていたが、この株といえば直近でまたまた出てきたのが周知の通り経済産業省の審議官だった資源エネルギー庁の前次長による同株式を巡るインサイダー取引容疑だ。

経産省絡みといえば、05年にも産活法を担当していた係長が米コダック日本法人のTOBに絡んで東証二部のチノン株でこっそり小遣いを稼いだインサイダー取引で摘発されているが、またまたスケープゴートなのかどうなのかこれらが表面化した格好だ。余談だが自分でイニシアチブを取れるならしっかり仕込みそうなものだが得た利益が数百万とか、前の係長も仕込んだのが4万株一寸となんとも慎重なのが役人キャラを表していて面白い。

さてこんな部分に慎重な一方で、前回の係長事件に触れた当時の当欄で「情報は一流であったが妻の口座を使う等、張り方が三流もいいところで未だ未だ素人〜挙げられるのは大方このパターンが多い」と書いた通り、一番気を付けなければならない部分がマヌケでやはり今回も妻名義の口座を使ったパターンで見つかってしまっている。

しかし5月くらいから今頃になってあの破綻したスルガコーポレーション株式やらジャストシステム株式やらのインサイダー事件が取り沙汰されているが、増資絡みのヤツとか依然としてなかなか規模の大きなもモノは表に出せない事情もあるのかなとも感じる。そうそう、最後に上記のジャストシステム株式もやはり妻名義の口座で発覚していたが、こちらは女優の菊池麻衣子さんというからこの辺もなんともなあという感じだ。


株主総会

さて先週は株主総会のピークであったが、今年の場合は決算期終了間際に起きた未曾有の国難で多数の企業業績に大きな影響を及ぼしたことや、この流れからの利益配分も今年は義捐金等絡んで一部変化もあるなどで例年とは一寸その色を変えた総会も多かったようにも思う。

一方で震災に絡んで渦中の企業ははたしてかな個人株主から厳しい発言が相次いだが、厳しい発言といえば議案提出を通じて彼是物言うファンド系などはすっかり影を潜めている。当欄でも何度か取り上げたこの手の代表系の「米スティール・パートナーズ」は昨年末にサッポロHD株を全て売却して以降すっかり噂も聞こえてこないが、3月末ベースの株主名簿でも外資系ファンドが日本企業の株を買い増す動きは目立たないという。

これら外資系ファンドは一部新興国市場へ舞台を移しているという話も聞くが、先月はあの「村上ファンド」を率いた村上世彰氏の有罪判決も最高裁で確定している。ココも所謂アクティビストとして有名であったが、法を犯した実質の部分は兎も角も一連の過程での利益至上主義全ての部分を否定してしまっている部分は現社会においてなんとも矛盾を感じざるを得ない。

裁く側からすれば水が清くなったのだろうが、外から見れば特異な非常識を日本に感じている業界関係者は多数。彼らがいい意味での緊張感をもたらしていた当時から比べるに、現在の株式市場は売買代金ひとつ取ってもその凋落ぶりが著しい。株主の変遷を見るにつけそんなことが頭に浮かぶが、水清ければ魚住まずもまた市場か。


非連動の売買高

本日の日経平均は7連騰となり東日本大震災以来4ヶ月ぶりの高値水準で引けた。この7連騰というのは2009年7/14〜7/27の9連騰に継ぐ現象であるというが、しかし先月でQE2は終了となったものの大方の弱気とは裏腹に値段だけは殊の外強いという感。

この値段だけという感がするのも、やはりこの10,000円大台超えの局面でも大手証券株の低迷が物語っているように売買代金が1兆円そこそこに依然とどまっているからに他ならない。依然海外勢頼みだが一部ストラテジストは新興国を中心としたウェートが上昇し、相対的にウェートが低下した日本株にリバランスの買いが入っているとし、バリューに着目したというよりは機械的な組み入れだという。

今迄は海外相場の写しで昨日のように休場であれば凪のような展開になり、昨晩のNYのように小動きなら本日14時頃迄のようにやはり凪のような相場が通常であったが、本日14時頃からの独自な動きは国内独自で相場構築の兆しが出て来たのか?はたまた上記のリバランス要因なのか単なるSQに向けての演出なのか政局を睨みつつも今暫く注視したいところだ。


市場の足枷

さて、NYが休場となった本日の日経平均はまさに凪のような相場で狭いレンジで小動きとなった。個別では出遅れモノが物色される一方で、超節電型データセンター関連を囃し暴騰した日本ラッド等が反動から昨日のストップ安に続き本日も続落となっていた。

しかし最近は材料だけで食い付きが凄い。昨日は週明けの日経紙一面でレアアースの巨大鉱床が太平洋海底で発見との報材料に、海洋資源開発の日本海洋掘削は14%高、ボーリングの鉱研工業が17%高、石油・ガス生産設備の三井海洋開発も急伸など軒並み高、当該会社側からは市場の思惑が大き過ぎるとの戸惑いの弁も出ているが、民間のみの実施には難題も多く戸惑うのも当然だろう。

他にも先の小笠原諸島の世界遺産登録の報を受け、グループで此処への交通手段を独占しているということから株主優待連想も絡んで東海汽船がストップ高まで暴騰したが、そもそもこの優待は小笠原航路では使用不可な上に世界遺産でここまで買い上げてしまうのが凄い。業績への影響が未知数という意味では昨日書いたヤマタネのコメ先物上場を囃した急伸も同様、同社ではあくまで試験段階の話、すぐに業績への影響はないとしている。

何れも主力の部類でなく一日天下というモノも混在であるが、やはり主力に腰を据えて取り組めないのは当の国会が脆弱なままに他ならないからだろうか。本日も松本復興担当相が被災地での失言を理由に辞任の報があったが、つい先月末の就任からわずか一週間そこそこのスピード辞任というお粗末さ。よくもこう次々と阻害する材料が出て来るものだが、この辺が解決しない限り本質的な主力の立ち直りは先延ばしになりそうだ。


悲願のコメ

先月末あたりから農相などが「認可しない考え方に立つのは難しい」とほぼその方向が固まってきたコメ先物の試験上場であったが、周知の通り月替わり1日には、農水省が東穀取と関西商取に対してこの試験上場を認可することとなった。6/20付け当欄では「どちらのバンザイか?」としたが、東穀取と関西商取側が認可取り付けで一先ずは万歳となった格好だ。

株式市場でも一連の報道に絡んで先月末からコメ関連でやはりお約束のヤマタネなどが賑わっていたが、05年の申請で一度退けられたこのコメ先物も1939年以来、実に約72年ぶりの実現が見えてきた。それでは早速と商取系にありがちな遣っ付け作業も懸念されたがとりあえずは9月下旬が予定されているようでこの辺の調整も成功の鍵となるので重要か。

しかし新商品上場で毎度の事ながら意見が分かれるのは当然で、一部大手紙では投機資金の流入がコメ価格の乱高下をもたらす等と懸念するところも見られるが、TPPもしばしば論点に上る中を市場開放と自由化は政策の課題。何れ避けて通れない問題ならその一歩としてもこうした価格変動リスクを回避する手段を提供する市場の意味はやはり大きく、そういったことも懸かっているだけに軌道に乗せられるかどうかその責任もまた重い。