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強者連合

今週気になった出来事といえば、やはり週明けに各紙で大きく報じられたキリンとサントリーという食品大手同士が経営統合を進めているという報道か。これで戦後続いた大手4社体制が崩れコカ・コーラを抜く大手誕生としているが、さて合従連衡が同業界他社の再編を促す事になるや否や。

このサントリーといえば三年くらい前だったか、「社是転換」として従来の非上場大企業路線から上場へと踏み切った出光興産を書いた時にこの類としてサントリーを挙げた事を思い出したが、これもとうとう実質的にはれて上場という形を取った事になる。

強モノというパターンでは昨年の新日石と新日鉱HDの経営統合があるが、これらはその脆弱な部分がある収益構造や国際的競争を睨み将来のメジャーという観点から踏み切られたもので、そうした意味合いからは統合後売上高は互角になるという外資よりもその最終利益がかなり劣るというこれも似たようなパターンか。

今迄挙げてきたモノにはオーバーストアという構造的な問題から業績不振がトリガーとなって再編が進行したという部分が大半だが、08年12月期決算で最高益を達成した両社の統合は上記のオイル系のように予兆があったものが更に他業種に広がってきた表れともいえる。


思わぬ弊害?

本日も日経平均は辛うじて続伸、しかしここ直近は昨日も一部触れたように環境関連モノも9連敗していた日経平均に歩調を合わせて値崩れが酷かった。漸く一服ついて続伸しているこれらの指標格のGSユアサも、つい一ヶ月前の高値1,200円台から昨日はあわや約半値水準の600円台を示現、環境双璧?の明電舎も先月の600円台の高値から週明けは400円を割ろうという勢いと正に崩落であった。

しかし電池バブルだか環境バブルだかまあよく此処まで伸びたモノだとつくづく。そうそう、他に電池モノで三洋電なんぞも例外なく株価が必要以上?に上昇してしまってこのままTOBが上手く運ぶのだろうか?確かこの辺は昨年のクリスマス頃に当欄で取り上げた覚えがあるが、さんざんとG・Sがゴネたものの上場来初の赤字という背景もあって100円そこそこで合意というか妥協した経緯から今は200円の大台替りである。

折しも直近でG・Sは第二Qの最終益が65%増になったと発表、輝きを取り戻した勢いでまた何かゴネて来ないか失礼ながらそちらの方に興味が湧く。斯様に最近で放り上げに使われたテーマはレーザーレーサーやら新型インフルやらあるが、これら普段から優良株なら兎も角そうした部分では疑問府が付く。

だからこそカラ売りも膨らんで取組妙味も出て来るのだが、昔と違って最大に溜め込み拮抗したところで大量現引きから逆日歩責めとか、何しろ担ぐ特定筋も居ないし当局も早々に潰し?に入るので逆に連日の売買代金上位が後々仇になる部分の方が強い。老境に入った物はまた別の使い道も出てこようがさてどうなるか。


時価総額下克上

さすがに9連敗していたこともあって本日の日経平均は10日ぶりに自律反発であったが、直近まで元気印であった銘柄の戻りに期待する向きは多く、この辺の高下でまた業種内での時価総額も変遷してくるのだろうか。

この辺に関しては先月末の日経紙に時価総額、相次ぎ逆転と出ていたように、テーマ別に堅調組・苦戦組と売上規模で数倍違うもの同士の時価総額の逆転・肉薄する銘柄が数多出ている。

ざっと挙がっていたのは環境からはGSユアサとマツダ、食品や生活からは王将フードとロイヤルやファーストリテイリングと百貨店4社、そしてブックオフと丸善、固定客からはキーエンスと日立、近鉄とJR西日本等々がそれだが、そうそう春先には03年に実質国有化されてから初めてりそなHDの時価総額がメガバンクの一角のみずほFGを上回った事が話題になっていたのも思い出した。

時価総額もそれならこうした現象が賞与にも出ており、ダイヤモンドでは新日鉄の賞与を子会社の大阪製鐵が上回っていた事を珍事として取り上げられたりもしていた。こうしてみると株に限らず昨年の金と白金の逆転現象など、商品まで含めてこれらは世相を反映した期待や構造変遷の表れとつくづく感じる。


デリバティブ性悪論

日曜日の日経紙特集では、検証・グローバル危機としてレバレッジの話がいろいろな視点で書かれていたが、そういえば週末にはガイトナー米財務長官が、金融危機の一因となった複雑な仕組みのデリバティブを扱うG・SやJPモルガンなど大手ディーラーに対する監視を大幅に強化するよう求めたばかり。

本来はこうした主力のプロがヘッジを掛けるからこそ市場からアラームも感じ取れるのだが、結局は過剰流動性と共にデリバティブを複雑に埋め込んだレバレッジの増殖が雪崩れのトリガーになった部分もあろうし、権限一任とか使う方の不備も問題があろう。

クラッシュした後は何時もの事ながら警告論が生かせなかったとか、デリバティブ性悪論が彼方此方で喧伝されその当たり先も規制という方向へ靡いてしまうもので、昔もバブル崩壊後などボロボロになりつつあるとき時の政府が先物手数料を倍にしたり、最近ではカラ売り規制なるものが台頭したりと記憶にあるが、リスク回避という本来の手段を雁字搦めにしてしまう事がはたして市場に取って健全な措置なのか熟考が望まれるところだろう。


一元化への道

本日の日経紙社説で目に留まったのは、金融・商品の監督一元化を急げという旨。商品先物取引法の成立から商品と金融の市場融合が進む中で消費者保護を徹底するには、監督体制も旧来の縦割り行政から脱し一元化を急ぐべきとする記事であった。

不招請勧誘問題に関しては以前から業界側では、取引所理事長がトラブル防止に努めるから導入は回避してくれとか、主力取引員トップなどもこれが導入されれば「業」としての経営は成り立たなくなる等を言い続けて来たが、パイの論理の提言もあって規制当局がやはりここ有識者に耳を傾けて来た影響は大きいだろう。

また昨今でもいETFやらワラントやら原資産のリンクを立てて証券系としてもコモディティーへの進出著しいが、これらも法整備からもっと進化してくるのは想像に難くない。仮にではあるが、一元化実現が現実味を帯びてくるのは先ずこうした市場間の競争がもっと熾烈を極めてきた時ではないかとも思う。

誰もが思っている事なのでこうした一元化など意見が出てくるのは至極当然なのだが、現状のところ政府内部の力関係の変遷は知る由も無いし、外圧から繰るのか上記の通り内部から競争という前段階を踏んでくるのかその成り行きが注目される。


必要性は?

本日は、中部大阪商品取引所では低迷する鶏卵市場の活性化を目的とした委員会を設置し初会合が開かれている模様。中部といえば今年春先からたしかアルミニウムやTSR20、そして軽油を順次休止していた筈だが、失礼ながらこの類の鶏卵も一括りにイメージしていた部分があったので未だ相場が立っていたかと改めて認識した。

しかし、活性化と簡単に言うもののはたして建設的な展望はあるのだろうか?そもそも前回の中部大阪商品取引所研究会報告書では「流動性が低下し発展が見込めない市場について、ニーズのある新規商品への集約を図る方向でその上場を廃止する」とする提言があったが、現状で一日の出来高がゼロ、全体の取組がたったの2枚という商品はこれらに合致しないのか。

さてもう一つ上記のニーズのある新規商品になるのかどうか此処は既報の通り今秋に金先物上場を狙っている。TOCOMとまた商品が被るものの取引単位は標準とミニとの間を取り、取引手法は板寄せにするとかだが、はて指定倉庫も同じでもう一つ金市場を作る絶対的な必要性はあるのだろうか?

この辺はまた後述したいが、此処も上場企業含めて取引員や一般会員の脱退も相次いでいる折、先に発表された決算は3億900万円の赤字を計上。取引拡大で財務基盤強化との目論みだろうが、新規上場含めてその成功の是非が注目されるところ。


経済危機と風物詩

本日はご存知の通り七夕、今年も何時もと変わりなくやってきたという感じだが、日本橋界隈も思い思いの浴衣姿の接客業の方々が暑さの中ホンの清涼感を添えていた。

この時期はちょうど下町の風物詩である入谷の朝顔市が始まったり、田中貴金属では恒例の貴金属の短冊が飾られたりとそうした機運も盛り上がってくるものだが、そういえばちょうど一年前の本日は洞爺湖サミットが開催されていたなと。地球温暖化について考え行動する切っ掛けにとし数時間のライトダウンなどやったものだがあれから一年、今年は高速1,000円乗り放題とやらで道路大渋滞の弊害を誘発しエコの論議は何処へ?

その辺はともかくこの七夕も終るといよいよ花火大会なんぞも始まるが、今年の場合は昨今の経済危機の影響で企業などからの協賛金の確保が難しくなり、全国規模で中止になるケースが広がっているという。

辛うじて開催するにしても従前より規模を縮小したりとかえって質の低下から荒涼感も出てこようというものだが、この辺はまだ元気な一部富裕層を絡めて何かアイデアもありそうなものだが。何れにしろ経済危機の影響が夏の風物詩まで蝕んでしまうというのは実に残念な事である。


国内石油製品スポットマーケットレポート提供開始

ドットコモディティは、7月7日よりギンガ・ペトロリアムによるの「国内石油製品スポットマーケットレポート」を取引ツール「Formula(フォーミュラ)」内の情報コンテンツにて提供開始。

「国内石油製品スポットマーケットレポート」は、エネルギーの取引仲介業を世界的に展開するGINGA 社が石油事業者や需要家などの当業者向けに提供している、国内石油製品の海上・陸上現物およびSWAPについての価格とコメントを掲載している独自の市況情報。

▼「国内石油製品スポットマーケットレポート」の情報提供開始について


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金商法の機能効果

週末の大手紙で一寸目に留まったのが、銀行や保険、証券などの金融の業界団体に寄せられた苦情が、08年度は3万3千件以上にのぼり過去最多を記録したという記事。お決まりのパターンで昨今の経済危機の影響で金融商品の損失が膨らみ、その販売方法を巡る問題が増えたという。

そもそもリスク限定商品とか安定運用なんぞは非常に使い勝手のよい文言で何処でも使っているが、これらを真に受け仕組み債やリンク債めいたモノを「目論見書」という漢字も読めない一部高齢者顧客層に売りまくった咎めが相場下落でジワジワ焙り出されての表面化か。

結局売り手や買うその顧客層によってこうした類の商品は後で欠陥商品などというレッテルを貼られるのだろうが、何やら第一類医薬品よろしく説明しないまでも全て理解したとして売る方も買う方も居るという部分、またその販売窓口や解約のカラクリこそ前段階で法としては考えるべきではないかと思う。

折しも株価回復等の影響もあって、5月度の投信への資金流入額は1年5ヶ月ぶりの高水準になったと直近でも報じられたばかり、はて投資家保護を謳う金商法は何処まで投資家を守れるか。


迷走と杜撰体質

さて、今週業界関係で目に付いた記事といえば昨日の日経紙商品面に載っていた東京穀物商品取引所がザラバ取引商品を全て板寄せに戻すという件であろうか。

新聞にはさすがに体よく取引手法を転換としているが、はてザラバから板寄せといえば最近では年末にザラバにしたら上手くいかなかったから板寄せに戻すという粗糖の話があったし、未遂?に終った件ではトウモロコシもザラバにすると発表した後やっぱりヤメましたとかのドタバタは記憶に新しい。

これをして「続く逆行」とタイトルした事もあったが、要は順次板寄せからザラバに切り替えていった作業を、トラブル続出な上にカネも喰うという事でまた順次ザラバから板寄せに戻すというなんとも労力と資金を無駄に垂れ流しただけという愚行にはまた呆れるばかり。垂れ流しといえば他にも此処は会員脱退の際の持分を資本余剰金から取り崩し過払い処理を繰り返しをしていたり、よくある官の杜撰さが随所に感じられる。

そんなわけで内側では既に法定準備金や積み立て金やらの取り崩しやら過払い持分も回収出来なかったりで、別な意味からも株式会社化は急務とも言えるがしかしどんな会社になることやら。公という事でこれまた幾つか蓋もされるのだろうが、しかし散々な目に遭った被害者の一つとも言えるのは、これらドタバタに此処まで付き合わされてただでさえ苦しい中を更に応分のカネも無駄にした取引員だろうか。


国策支援と自力増資

本日の株式市場で目に付いたのは、日経紙一面にも載っていたようにオリックスや全日空などの大型公募増資組の下げであった。

そういえばこの全日空、やはりというか例の日航支援に関して政策上公平性を欠くとして国土交通省に再考を申し入れていた件も昨日報じられているが、この支援に関しては直近で採り上げたように一企業への融資に政府保証が付くという異例の国策とも言える支援だろう。

スキームからして諸外国よりまだタチが悪そう?だが、こうした自国への支援を競うようになればまたぞろ保護主義が台頭で経済活性も失われようというもの。この日航と共に直近で話題になっているエルピーダも或る面そんな感じか、内外環境が変らないまま公的支援をバックに寡占等を目指すなら、形ばかりの事業計画はそれこそ意味を成さない。

さて日航支援は不公平としつつ自力で増資に臨んだ全日空だが、これや銀行や証券含めた主力の金融系始め続々と増資の傾向が目に付く。株価としては当初上記のように希薄化懸念で売られるのは致し方無いが、今後はこれらを如何にカバーする計画があるかどうか、これはこれで国策支援される企業の事業計画とは異質で形ばかりというわけにはいかないか。


今月目立ったもの

さて早いもので本日で6月も終り、そういえば過日銀座で降りたときそのメトロの柱には「MAUBOUSSIN」の広告が彼方此方に巻いてあったのを見たが、今月はこの老舗宝飾店が5,000円相当という0.1カラットのダイヤモンドを無料で先着5,000人に配るというキャンペーンで話題になった事を思い出した。

このモーブッサン、百貨店では見た事があるが路面店としては何時の間にかユニクロの隣にヒッソリと2月くらいだったかオープンしている。今回は大盤振る舞い?が画期的とかいう事で喧伝されたが同ブランドの知名度向上、新規顧客獲得が狙いとかいう事だが、当時の報道を見ていた限りでは失礼ながら凡そモーブッサンの顧客にはなり得ないであろう客層が何時間も長蛇の列に並ぶ姿や、費用対効果が逆鞘になるような遠方から来た等という輩には毎度やれやれという感じだ。

とは言ってもこのダイヤモンド、はたしてどの程度のクラスの物を配ったのか現物を見ていないので分らないが、使ったコストは単純に上記から2,500万円、他に警備関係も若干あるだろうが、この不況下でダイヤモンドをばら撒いて大手紙からスポーツ紙の紙面を賑わし、はてはTVまで放映されるとなると知名度向上という点ではこのコストでこちらの費用対効果はそれなりにあったのかなとも思えてくる。

フランス系ではつい最近にあのクリスチャン・ラクロワが債務不履行という衝撃的な報道があったばかり、銀座のこの旗艦店の立地は苦境の田崎真珠と飛ぶ鳥を落とす勢いのユニクロにちょうど挟まれている。さて、今後どちらに振れてゆくのだろうか。