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下鞘は異例か?

本日のTOCOMは金・銀の先限が年初来高値更新、白金もここ棒上げしているが午後にはドル建て現物相場が約8ヶ月ぶりの高値を付け一段高となっていたのが印象的であった。

この白金、昨日の日経紙商品面にてGMに対する米政府の財政支援方針が好感されて白金が国内外で上昇している旨の記事が載っていたが、一方でGFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社)あたりは自動車向け需要は弱く、GMにしても不透明感が強く白金相場の上昇は短期間で収束するとの見方をしている。

そういえばこの白金相場、昨年末は久し振りに金を下回った場面があったが、過去の例よろしくこれら下鞘は短命に終っている。百年に一度の危機とやらでGM筆頭にした斯様な自動車業界の惨状を見るに、今回はある種経験則も通用しないかなとも思ったりしたものだがそれも杞憂?に終ったか。

ただ、これから先を展望するに本日の日経一面にも出ていたように構造的な転換が訪れた場合は業界ランキングの入れ替わりや、こうしたコモディティーにしてもアノマリーが崩れる時がいずれ訪れるのだろうか。この辺はまたもう少し触れたい。


過剰流動性復活?

昨日も触れた原油だが先物はまたも大幅続伸、これで6営業日連続で急伸と破竹の勢いとなっている。

石油製品中心に需要期入り云々取り沙汰されているが、材料云々よりは以前にも書いたように単なるコモディティーというより金融市場としての性格に強く変遷しつつあり、懸念される国債あたりからの逃避マネーがこうした実物資産へとシフトしてきているのは間違いのないところだろうか。

これらコモディティーが倍化しているとなれば足元でのこれら関連株の方も推して知るべしだが、連想される代表的な商社モノからエネルギー比率の高い三菱商事などは本日前場で年初来高値更新、対象コモディティーとはきれいにリンクしているがこれも含めてモノによっては一足先に底入れしており今回もその指標性を発揮していたといえる。

ところで上記の通り材料が辛うじて後から付いているとはいっても、依然として相対的に在庫は多くまた足元の需要はお世辞にも旺盛とは言えないままである。こうしたマネー率いるヘッジファンドも、数年前のような投資余力というわけにはいかないだろうなど考慮するにいずれ現実を見る相場もあるだろうが、その辺の見極めもまた各種指標がいろいろヒントを出してくれようか。


原油投信

週末の原油市況は5営業日続伸し昨年11/5以来の高値へと躍り出たが、さてこの旬な原油を使った投資の新しいところとしては先に大証のETFを挙げたが、週末の日経紙経済面には大和が原油先物に投資する初の国内投資信託の販売を開始する旨が載っていた。

同商品、WTIリンクのロング・ショート選択型となるが、その運用は投資信託委託会社の伊藤忠系ITCインベストメントによりアストマックスが投資顧問会社として採用された模様。同社はご存知ジャスダック上場企業で、これが好感されたのかどうか本日は序盤以降はストップ高まで買い進まれていた。

これまでAMCI(商品INDEX)運用などを手掛けその辺の実績が高く評価された結果としているが、やはり幹事関係、株主構成やら2年ほど前だったかの第三者割当増資然りで役員絡めた系図の方が機械的に先ず最初に思い浮かぶものだ。

そういえばここも一寸前にはあのグローバリーが握っていた時期もあり、他の消えていった上場企業も絡めて株主構成の変遷もいろいろチェックすると面白い時がある。


感染した相場

今週も引続き新型インフルエンザの情報が各所交錯していたが、この規模の話題ともなるとその関連モノの景色もつくづく相場というものを感じる。

いままで「無いもの強請り」というウイルス?が蔓延した際に無くなったモノには古くはトイレットペーパー、最近ではバナナや納豆等の食品から始まって昨年末にはドルやユーロ等の外貨までが姿を消した事があったが、さしずめ今はマスクがそれでネットオークションでは数倍から果ては10倍の値で落札があった等も聞こえてくるから呆れる。

むろんその形態から買おうとする向きが出て来る以上は法外だろうが値が付くのは相場の常だが、展開する側も出展店舗への品の無い表現での仕入れ推奨サポートメールが問題視されるような煽りも一役買っているか。

さて物品相場の他はどうだろう、今週の日経平均は200日移動平均線突破云々が取り沙汰されていたようだが、そんな動きの中で週初からどうにも冴えなかったのがインフルエンザ関連株。上記のマスク関連などこれら数年前から何度も使い回されてきたが、今は逆に巻き戻しの動きも一部には出てきている。

今後起こるや否や第二波は更に深刻等々の見方も出てきているが、三度目、四度目の各相場を迎えるにあたり今後どのように各々学習効果が発揮出来るのであろうか。


国際標準には遠い全体像

さて、他の決算ラッシュに埋もれて商品業界でも上場企業の決算が先に出揃っているが、果たして商品先物受託業務を行っている企業は軒並み赤字計上となっていた。

思えば株価も昔は未収の加味等もあって万年低PBRといわれていたものだが、今や別な要因でPBRも物差しで無くなってきているという意見もある。今回ざっと見ると各社共に市場規模縮小が進む中で収益寄与というか緩衝材の役目となっていた物にディーリングがあったが、今後も収益の多様化という課題の部分で各社試行錯誤が続くか。

ところで昨日の日経紙経済面には東証の取引参加者が減少し、売買高も細って東京市場の地盤沈下が懸念される旨が載っていたが、まさに商品取引所も同様の状況に置かれているのは直近に始まった事ではない。同じ会員数の減少で地盤沈下を謳っていても証券と商品ではその影響度も全く違う物となってくる。

世界標準を目指しそこそこ纏まった投資を足元ではしていたとしても、世界標準で起きている巨大取引所の再編という構図は今の縦割り行政も複雑に絡みまだ当該取引所にとっては他人事で、各取引所サイドと会員組織との間の温度差が縮むのは何時の事になるのだろうか。


楽観論と実態

本日の日経平均株価は米市場がメモリアルデー祝日で休場であった事などもあって手掛り材料難から小動きに終始したが、そんな中を直近で増資発表していたテイクアンドギブ・ニーズなどがストップ安まで叩かれていたのが目立っていた。

むろん新株発行によっての株主価値の希薄化、株式需給悪化が嫌気されたのは明らかであるが多くの企業はそんな目先?の事よりバランスシートの問題が重く圧し掛かり背に腹は変えられないといったところだろう。

先週末の日経紙には資金調達が最悪期を脱するとの旨が載り、日銀総裁も記者会見では「緊張感が後退している」ともしているが、一方でここからは決算が過ぎた後の格付け動向が気になるところ。昨年からの不動産業界を見るまでもなく格付けなど一寸の信用低下で市場からの資金調達の景色はガラリと変る。

資金調達が最悪期を脱したとした同紙にはまた三菱UFJの劣後債が個人マネーに人気で完売した様子も書いてあったが、こうした一部個人マネー回復期の恩恵を享受出来るのもこうした一部のみ。こうして起債出来る向きはいいが、一通り嵩上げしてきた株式相場同様にここからは格付け絡めて今後もこの雰囲気が維持されるかどうか注視しておこう。


給付金0点

昨日フジTVが報道した番組に与謝野財務・金融・経済担当相と08年ノーベル経済学賞者のポール・クルーグマン教授の対談があったが、その中で例の2兆円の定額給付金について言及する場面があり「他の国では失敗しており、米国では歴史的にみて給付金は使われずほとんど貯金される」と否定的な見方を示していた。

定額給付金については期末に一度触れた話題だが、先の「キッズリサーチ」の調査によればこと小中学生に関して使い道は先に書いたように本来の意としない「貯金」というのが一位であったとする報道があったが、その使い道については親が決めたというが最も多かった。

別なところで日経産業新聞が行った調査によればその使い道は、消費に回すというのが7割近くになり貯蓄というのは約2割くらいであったがこの辺をどうみるか、まあ来たる消費税引き上げで今回バラ撒いたカネは回収しますよという算段を考えると教授の言うように結局は消費にまわらないという部分も自然なところか。

ところで株式市場では本日も家電のコジマが二日連続のストップ高と破竹の勢いであったがこれは一応エコポイント制度の影響で販売額が急増した事を囃したもの、斯様に株式市場の反応はいいもののこの省エネ家電買い替えを優遇するエコポイント制度に対しては「現時点でポイントが何に使えるのか分らないのに、ポイントが与えられる理由がよく解らない」としていたがこれまた然りであろう。


TOCOM新システムに併せポイントテーブル改定&アンケート実施

当工取新システム稼動に伴い、5月18日付けで項目・追加修正を行い、併せて「評価ポイントテーブル」を改定、トータル192ポイント(これまでは185ポイント)に。

▼商品先物ネット取引/一目瞭然:評価ポイントテーブル(5/18改定)

今回のポイントテーブル改定・項目追加は、

1. コスト>証拠金ルール等(証拠金特別ルールを追加)
2. 取扱銘柄>取扱銘柄数(流動性低下より評価基準変更)
3. 利用時間>東工取・夜間取引対応(新項目)
4. 利用時間>注文締め切り(項目を細分化)
5. 注文関連>一般注文(項目を細分化)
6. 注文関連>特殊・条件付注文(板画面からの発注を追加)
7. 受渡・当限建玉・不足処理(当限建玉を細分化・不足対処追加)
8. 情報サービス>価格情報(海外相場表・情報を追加)
9. 企業の信用面でのリスクウエイト>判断期間を修正

となります。詳細につきましてはポイントテーブルにてご確認下さい(変更点は赤文字で表示)

サービス内容アンケート調査については、来週前半までに5月時点で商品先物ネット取引を行っている取引員19社(受託廃止企業は除く)に対してアンケートのメールをお送りし、終了後に再集計しランキングを行います。

どうぞ宜しくお願い致します。


原油ETF

昨日は関西商品取引所の話を書いたが、さてここもそうだが商品取引所が挙ってMOUを結んでいるところに大阪証券取引所がある。今週はこの大阪証券取引所が先物取引で運用するETF(上場投資信託)を上場できる制度を7月に導入すると発表、第一弾として原油先物に連動したETFの上場を図る模様だ。

金銭信託型ETFは現物交換型ETFの交換に相当する行為として投資信託の一部解約を認める他、其の他の上場審査基準、適時開示、上場廃止基準を現物交換型と同様とするなど上場制度を整備としているがこうしていよいよ銘柄も加速、上記の通りMOUを交わし各取引所の上場商品が続々と上場してゆくという事になると、この先は所謂コモディティー投資のスタイルも変遷してゆく事になるのだろうか?

ボンヤリとそんなイメージを考えると、昨年商品先物の受託から撤退していったマネックス証券が当時言っていた「金ETFなど商品と連動する金融商品が登場して来た事で、今後はそれらの方が商品先物より活発になると見て打ち切り決定した。」という言葉が急に思い出されるものだ。


5/21より「Commodities Insight」レポート提供開始

三菱商事フューチャーズ証券は、5月21日よりユーザー向けにT&Cフィナンシャルテクノロジーズの米国金融・商品先物市場レポート「Commodities Insight」レポートの提供開始。

▼Commodities Insight(米国金融・商品先物市場レポート)提供開始


「Commodities Insight」は、日々の市場動向や関連ニュース、発表データや今後の見通し、注目すべきポイントなどを掲載しております。

どうぞ、お取引にお役立てください。

●配信タイミング 日刊(デイリーマーケットレポート) 毎営業日  8:30頃 全般
週刊(Weekly Market Outlook)  毎週月曜日9:00頃 エネルギー、農産物
週刊(ウィークリー スペシャルレポート) 毎週火曜日9:00頃 経済
●提供 :株式会社T&Cフィナンシャルテクノロジーズ
●開始日 :2009年5月21日(木)

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あれから3年

昨日は東工取が08年度決算を出していたがなんだかんだで減収減益となった模様、その前にはローカルなところで関西商取が同じく08年度決算を出していたが事前予測通りここは5期連続の赤字となっていた。

ところで昨今上場企業で3000番台の繊維ポストとはいえ中身は既に業態転換し不動産がメインとなっている企業は少なくないが、この関西商取も比較的赤字幅が安定?してはいるものの収益の6割を不動産収入に依存し仮にポスト割りしたら実質は8000番台の仲間?に入る類ではないか。

それも其のはず新年度を前に既報の通り日本ユニコムや岡藤、また岡地など主力どころが続々と同取引所の受託業務を廃止の方向に持っていっており、全国4取引所の売買高に占める割合は今や1%にも満たない現状。そんな中、昨日は東穀取に対して合併を視野に入れた連携強化を目的とする共同研究会を設置する提案書を出しているが、コメ上場という共通の悲願がボンヤリとイメージされる程度しか浮かんでこない。

そのコメ上場も農水省に不認可として蹴られてからもう早くも3年以上が経っているが、再度トライと言っても昨今の政局、また足元ではこのリクイディティを見るにつけこれまた紆余曲折か。


有名無実なコンプライアンス

本日はセシールとLDHが資本・業務提携契約解消の運びとなったが、直近でフジテレビが旧ライブドア傘下であったこのセシールを買収すると発表した事によるもの。

この買収は放送業の広告収入が落ち込む中を放送外収入の増加を狙ってのものだが、ライブドアといえばフジテレビ傘下のニッポン放送株買占めでこのフジテレビとはさんざん争った経緯は周知の通りで、時は過ぎて今度はフジテレビがライブドア傘下のセシール株TOBとなにやら因果を感じる。

さてこのセシール、別なニュースでは家電屋で問題になった例の障害者郵便割引制度の悪用が直近で発覚しており、本日はこうした件から日本郵便支店長ら二人に逮捕状が取られる事態となっている。

しかし広告会社から「法的に問題ない」と説明され利用したとは言うもののこんな吹き込みをそのまま受けるなどコンプラ体制は存在していないも同然、それは企業側のみならずそのままスルーさせていた郵便事業会社もまた然りか。たまたま上場企業だから大きなニュースになっているが、金融系でもコンプラは徹底させていますというところほどある部分だけ躍起になって他は全く穴だらけという企業が多いのが現実だ。