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売り切れ狂想曲

さて、今週は田中貴金属工業が今年10月までの投資用地金型金貨ウィーン金貨ハーモニーの販売量が、既に昨年一年間の販売量の2倍に達したと発表している。

この田中貴金属工業、先週には10月の投資用プラチナ地金の販売量が過去最高になったと発表しているが、なるほど改めて同社のHPを見てみると世界的な金融危機で貴金属投資需要が盛り上がった結果製造が追いつかず、モノによっては在庫が無くなり販売を停止しているものがある旨の「お詫び」が掲載されていた。

さてプラチナ、なんでも1980年以来の7,000円台高値から一気に半値以下にまで叩かれた事に因る割安感こそ買いが殺到した原因らしいが、大手の今がチャンス的な広告も目にする昨今、確かにこうした媒体も縁の無かった向きを一段と後押ししているのかもしれない。

ただ気になるのは僅か数ヶ月で高値から半値以下にまで値を下げられるモノに対して、大手紙などで事ある毎に「安全な資産」なる一文を見る度に違和感を覚える部分も。

ところで売り切れと言えば、先月末の当欄に外貨両替商の外貨が何処も底を尽き売り切れ状態になっている光景を目にした経緯を書いた事があったが、これもまた右へ倣えのセンチメントなのだろうか?


新興市場再編開始

本日から12/17まで大阪証券取引所は一株7,000円のTOBにてジャスダック証券取引所の買収を開始、年内にも子会社化した上で二年後をメドに同大証のヘラクレスと統合する方針を伝えている。

ここまで紆余曲折はあったもののいよいよ行動開始といった感じだが、直近でジャスダック指数がピークの約三分の一、ヘラクレスに至っては約十分の一にまで落ち込むなど新興市場が極端に低迷してしまっている事が概ね背景となっている。

まあ彼方此方でインチキが横行した咎めも無いと言えば嘘になるのだがそんな事から再編は焦眉の急であったとも言えるし、一方で報道にもあるように大証にとっては主力のデリバティブに加えて時価総額でダントツの新興市場を傘下に収める事で同市場の主導権を握りたい思惑もあるのは確か。

そうそう、デリバティブといえば今月の初旬から既に噂になっていた駒澤大学のデリバティブ巨額損失であるが本日は各紙でこの記事が散見、こうした金融危機時には競売などでもそうなのだが思わぬところで思わぬ名が突如として浮上したりするものだ。


将来より目先

本日は閣僚後会見にて中川財務金融相が自社株買いの緩和と空売り規制の強化について追加の市場対策を公表しているが、金融サミットを受けた株式市場が弱含みとなっている事に対応した物とか。

さてこの空売り規制なる物だが当欄では先月末に触れた経緯があり、愚策?ながら一般への売り叩きは悪という感情も相俟っての解り易さから各国へ倣えで発動したような格好になっているが、先にも書いたように将来の受け皿の一つを排除しリクイディティを奪ってでも選択した背景にはやはりその場しのぎ的な焦りは隠せない。

また、そもそも株券の事後調達云々を今更掘り返したところで過去の不正履歴の再確認程度、とにかく直ぐに考えろ的な要請からか当の金融サミットにしても今回の此れにしても対策の羅列というイメージが濃厚だが、何れにしても範囲を広げれば未だ未だファイナンスに絡む物は矛盾点が彼方此方に存在する。


アンフェアな言い値商売

先週あたりから街を歩いていると旅行絡みのパンフを配っているスタッフの姿がやたらと増えてきたような気がするのだが、先に大手紙一面でもこの為替の急変で割引の動きが広がっている旨の記事があったように一つの商機なのか。

旅行業界といえば先週は近ツーリストの08年12月期連結決算見通しが発表されていたが果たしてなかなか厳しい数字、景気低迷は何処の業界も直撃しているが加えて燃料サーチャージの高騰から海外旅行が減少しているとのコメントであった。

さてこのサーチャージには8月だったか当欄でも触れているが、ここ原油価格の急落を背景に今月に入ってから直ぐにあのシンガポール航空が2回目の引き下げ、その後には格安航空アジア最大手のエア・アジアに至っては全ての便で廃止にしてしまっている。

一方の国内勢は四半期改定やら何やらの旧態依然の影響で正に原油暴落に拍車が掛かっているのを横目に最高値レベルの値上げ敢行で下げは来年とか、元売りの製品卸値も週単位導入が出て来ている昨今そろそろ一般が納得し易いものにどんどん変えてゆかないと自分の首を絞める事になるのは必至と思うが。


サブプライム本命国

さて、もともとが15日に設定された段階から何でそんなに先なのとの声が関係者から多かったが、いよいよ週末には金融危機対応を協議する国際的な緊急首脳会合、所謂金融サミットが開催される。

今回の金融サミットには中国・インドなど新興国も参加する予定となっているが、先にニューデリーで開いたインド含めた首脳会議では「我々は富裕国が引き起こした金融危機の犠牲者」等と欧米金融機関や金融行政不備を痛烈に批判、一方の中国も直近で発表となった7-9期GDP成長率が実質で9%と10%を超えていた前期までと比べて大幅に落ち込んでいる事が明らかになり、何といっても要の不動産が急速に怪しくなって来ている。

そんな訳で上記会議で採択した宣言も金融危機にあえぐ新興国も苛立ちを全面に出した内容となったが、実質的にサブプライム層のローンが米国を数の上で凌ぐこれらインドや中国の存在は考えてみると怖い。

今迄住宅価格の上昇で問題にならなかった中国のこの手のローンの綻びや、格差社会が広がるインドでの貸し倒れ率がバカにならなくなって来た金融機関の問題等々、余力も各国で差があり何処までこの大世帯が合意出来るか、潜む地雷まで見据えた具体策が果たして会議で協議されるか否か注目である。


上場交代?

本日付けの朝刊で見掛けたがマンション分譲大手の今期連結業績は不動産不況が業績を直撃する見通し、不動産といえばこの土砂降り市況の中を日経朝刊に全面広告を出していた不動産事業のヒューリック株式会社が昨日東証一部に上場の運びとなった。

敢えてこの凄い時期に上場敢行したのは先に触れたFXプライムと同様だが奇しくも主幹事は同じみずほインベスターズ証券、一部への直接上場は昨年のソニーフィナンシャル以来だったと思うがこの業種にして吸い上げもそこそこの規模だっただけに開けてみればやはり買いハナスタート、月を跨いでここ公開価格割れの初値形成が連続している状況にまた続く事となった。

昨日触れた自動車業界も酷いが不動産も今迄触れてきたように推して知るべし、昨今煩いので迂闊な事は言えないがヒューリックのように上場企業の仲間入りするものあれば、上場企業でもこのままでは年を越せない既にカウントダウンに入っている云々もいろいろと耳に入ってきており対照的に消えゆくモノもありといったところか。

しかし数えてみれば今年に入って上場企業の破綻は28社にも上る、先月末にはこの市場急変から東証がとうとう上場廃止基準を緩和、時価総額の適用を初めて停止する事態となったが猶予期間が延びた事による延命がはたして良いのか否か、いろいろと考えさせられる。


真意

トヨタショックのほとぼりも冷め遣らぬまま様子を窺っている市場であるが、本日の日経紙の一目均衡欄にはこのトヨタ関連で「トヨタグループ株式ファンド」についてそのディスクロ絡めて「これってどうなの?」と問題提議をしている記事が目に留まった。

しかしこのトヨタショック、確かに一兆円減額はサプライズで改めて彼方此方震撼させるには十分な効果があったとは思うが、半ば公約的な配当政策を取ってきた日産も中間ではまさかの減配等々それにしても自動車業界に対する悲観の眼はこの時世恐ろしい。

勿論これらと同一視出来るはずもないが昨日はドイツ銀行のレポートショックからGM社が62ぶりにたったの3ドルまで暴落、たとえ米政府の救済策があっても株主に利益無しで株価はゼロまで下落と謳われたら堪らないが実際他業種の大手含めてそのまま否定出来ないだけに厄介だ。

さて、この暴落時に新規口座開設した向きの人気だったか金額ベースだったかで筆頭格とも言われるこのトヨタ、上記紙の同欄には予想を大きく外したアナリストらの「会社側予想は極めて堅め」との分析は言い訳めいているとも書かれていたが、実際のところ勘繰れば会社側もこれ以上もう修正したくない事の表れかも知れぬ。


マザーマーケットのミニ

本日10日はTOCOMで白金先物ミニ取引がスタート、このミニ取引としては昨年7月に上場した金先物ミニ取引に次ぐ第二弾となる。

昨年金ミニが上場する際に、「創設目的の一つに期近のリクイディティー向上とあるようにオプション取引よろしく期近から並べているがこれとてまたかという感じ〜」と書いたが先に述べたように期近誘致が不発に終り今回の白金でも六限月制が標準化の道を辿っている。

そんなわけで本日も果たして実質的に参加があったのはご覧の通り先限のみ、とは言っても曲りなりにもTOCOMの白金は取引高においてはマザーマーケットを誇るわけで金と比較して著しく閑散になる事はないか。

さて、こちらは新設なので一寸ニュアンスは異なるが、東穀取では先の大豆ミニ化でそれ以外のリクイディティー低下が顕著になったり設計変更から既存商品出来高の減少を招いているとの時事の記事で見掛けた事があったが、新設より設計見直し等々の論議がまたぞろ出てくるだろう。

また新設モノでPRも力が入ろうというものだが、これまた金先物ミニ取引上場時に懸念した通りの錯覚効果満載の公表はもういい加減辟易してくる頃か。


Yes we can!

さて、今週のビッグイベントであったのはやはり米大統領選、もう周知の通りで民主党のバラク・オバマ上院議員が共和党のジョン・マケイン上院議員を大差で破り、第44代は米建国後初めて人種の壁を破って黒人初の大統領が誕生した。

これらの絡みで前週から各マーケットは追加景気対策期待やら不透明感の後退等々で株式・商品共に沸いた部分もあったが、明けて昨晩の株式市場は大統領選翌日としては過去最大の急落を記録するなど日替りで洗礼を浴びる格好となっている。

ところで北京オリンピックの時には当欄で「メダルと株価」なる件について書いた事があったが、早速民間の調査センターあたりが民主党大統領1年目の勝率が高い云々のコメントも散見、実際にこの米大統領選前後で株価の関係を見てみるとやはりサンプルの取り方によって如何様にでも解釈が可能で参考にはならない。

もう一つ商品の方はといえば、昨日は時事にフィスココモディティの「大統領選挙と商品価格」なる記事を見掛けたがこれによればコーヒーやシュガー等のソフト物が勝率高し、他は個別で何とも判断付かないものであった。

やはり総じて時世の前にはビッグイベントもファクターとしては隠し味程度、ましてや100年に一度の危機などと言われている現状ではアノマリーが通用するか否か甚だ疑問、混沌としているだけに「ご祝儀相場」で騒いでみたい一時のセンチメントか。


金融危機のバイプロ

本日の日経紙には消費者心理の冷え込みから日米欧での自動車販売が急減速している旨の記事が大きく出ていたが、昨今特に高級車不振が酷く昨日発表のBMW・7-9期は純利益前年同月比63%減という事で新たに4万台の追加減産の意向、同じ独系ではポルシェも年末年始に減産との発表が相次いでいる。

さて、このポルシェといえば相場の方へ話が逸れてしまうが最近で話題になったのは、ここが大株主になっているフォルクスワーゲンの出資比率引上げを発表した為にショートしていたヘッジファンドが我先のカバーに動きこのVW株が前代未聞の暴騰劇を演じた事か。

なにせ200EURそこそこだったものがたった二日間で1,000EUR以上にまで暴騰し、一時は時価総額があの米エクソンモービルをい抜いて世界一にまでなったのだからこれは凄い。

世界的なロスカットに因って株式も通過も暴落模様の中、踏みによる暴騰も当然事例としてはアリだったのだろうが昨年もっとも魅力に欠けると揶揄されていた円もその類だったか、金融危機の珍事?は彼方此方にその芽が存在する。