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卯月もまだまだ

新年度となったが、今年に入ってから月初めの当欄では今月から何が値上げになるかが恒例になってしまった。これまで食卓に上がる定番モノや日用品など順次値上げが為されてきたが、今月も首都高の料金が上がるほかカゴメがトマトケチャップを7年ぶりに値上げしハナマルキも味噌や即席みそ汁などをおよそ14年ぶりに値上げするなど○○年ぶりというモノが目立つ。

こうした波は街の嗜好品にも及びスタバが中旬から3年9か月ぶりに7割の商品を値上げ、コージーコーナーもケーキなど生菓子11品目、焼き菓子7品目の全18品目を値上げし、また国民的駄菓子の代名詞と言っても過言ではないあの(うまい棒)も遂に1979年の発売以来、価格を10円に据え置いて来たものを12円に値上げ、実に43年の歴史で初めてという。

こうした中で先の日経紙の全面広告にあったようにイオンがトップバリュなどPBの5,000品目の価格を6月末まで据え置く旨を発表した他、スーパーの西友もPB約1,250商品の価格を6月末まで据え置く旨を発表している。欧米のCPI急上昇と比較するに日本のそれは前年比でみて1%未満とこの差は顕著、遅々として価格転嫁が進まない状況では上記のようなPBの伸びしろに期待も出来るが、斯様な慢性デフレに犯されている状況下が生む商機を考えるに複雑な思いは否めない。


影のキーマン

本日の日経平均は米金融政策を改めて警戒し運用リスクを避ける動きから、グロースはじめとする幅広い銘柄に売りが出て3営業日ぶりに急反落の動きとなった。そんな中で一際目立っていたのがコスモエネルギーHDで寄り付きから買い気配で推移し約13%の値上がりで一気に年初来高値を更新している。

この背景には本日の日経紙一面にも出ていた通り、昨日に提出された大量保有報告書で旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンズが共同保有者とあわせて5.81%の株式を取得し大株主に躍り出た事がある。これまではUAEの政府系ファンドが大株主であったが3月に全株売却で入れ替わり実質的な筆頭株主になった事になる。

ところでコスモエネルギーHDといえば言わずもがな石油大手の一角だが、元売り業界と村上氏といえばかつての出光興産と昭和シェルの経営統合において泥沼化していた出光経営陣と創業家側の対立緩和に一役買った存在なのは有名な話。奇しくもこのシティインデックスイレブンズは現在富士石油の大株主にもなっているだけに、新たな業界再編への思惑も浮上しており今後の両者の行方には目が離せない。


高校生とビジネス

さて改正民法法施行により高校生でも成人年齢が18歳に引き下げられる他、高校の家庭科では今年から新しい指導要領に基づき金融教育の授業が始まる事になるが、そんな高校生を対象としたビジネスコンテストである「キャリア甲子園」のグランプリ決定の全面広告が本日の日経紙で掲載されていた。

同コンテストは協賛企業・団体が出題するテーマに高校生がチームを組んで兆戦するというものだが、挑んだメンバーの中には早々に起業の構想を練っている向きも少なくないだろう。ワタミの渡邊氏が理事長を務める郁分館夢学園などでは、高校生社長輩出を目的とし高校1年生のイベントに起業体験プログラムを設けるなど精力的な活動も見られる。

予てより日本は若年層の起業熱が盛り上がらないとされてきたが、確かに開業率など比較してみると欧米の10%超に対して日本のそれは甚だ心許ない感は否めない。起業も廃業も少ない構図では確かに新陳代謝も覚束無いだろうし、この辺の課題を見据えて早期からの起業家教育の裾野を広げてゆくのも重要なポイントかもしれない。


60年ぶりの市場再編

周知の通り本日は東京証券取引所の再編により誕生した「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の三つの市場での取引初日であった。ネット証券の取引画面も「東証P」や「東証S」等に表記が変わっていたが、結局日経平均は4日ぶりに反発となったものの1日のボラは今年最少を記録、その売買高も1~2月の1日あたり平均から2割程度低い低調スタートとなった。

予てより上場企業の絞り込みに期待をかけていた投資家勢とは裏腹に、基準未達でもプライムに噛り付いていたい企業勢の意を汲んだような骨抜き市場再編とも揶揄されてきた今回の措置だが、この辺は金融審議会でも挙がった投資対象としての機能性と市場代表制を備えた指数が存在しないとした問題点にも絡んで来る。

現在機関投資家の多くがベンチマークとしてきたTOPIXは東証一部全てを対象としているがここ10年で約3割増加と企業数が多すぎる状態は否めなく、同じベンチマークでも米のS&P500等と比較するにその水膨れ感が際立つ。日経紙には日々TOPIXはじめROEなどの基準をもとに銘柄選定したJPX400等が掲載されているが並べてみるとこの10年でもそのパフォーマンスは何れもほぼ差が無い。

今回の再編で東証一部が消えTOPIXも今年後半からは時価総額の小さい企業は順次段階的に外されてゆくというものの、その比率は1%程度とあまり意味が無く日本を代表するマーケットを表すベンチマークとして如何なものかという課題は残る。ただ玉石混合?の経過措置企業の中でも真剣に企業価値向上に目覚めた向きもあり、こうした向きの増加は日本株のパフォーマンスを劇的に改善させる起爆剤にもなり得、将来的にはMSCI等に相当するような” 使える”指数が出てくる可能性にも期待したいところ。


新たな共創

さて、昨年暮れには関西スーパーマーケットを巡るH2Oリテイリングとオーケーの司法まで巻き込んだ熾烈な争奪戦を伴うスーパー業界の再編劇を目の当たりにしたが、再編劇と言えば既に報じられている通りホームセンター大手のカインズが200億円超を投じて住まいと住生活部品の総合専門小売のホームセンターである東急ハンズの買収を発表しており本日をもって全株式の取得など諸手続きを完了している。

東急ハンズといえば学生の頃は渋谷店には今でいえばドンキに行くような感覚で通った思い出があるが、生活圏が渋谷から離れてからは空白期があったものの有楽町に店舗が出来て以降はまたちょくちょく顔を出すようになった。ただ昨年には渋谷店同様に待ち合わせまでの時間を潰していた池袋店のような大型店が10月末で閉店するなどなかなか状況は厳しかったようだ。

ホームセンターといえば一昨年も島忠を巡りDCMホールディングスとニトリが争奪戦を繰り広げた一件を思い出すが、この業界もここ20年くらい市場規模が横這いで推移する一方で店舗数は増加するなど所謂オーバーストアの状態。カインズとしてはアフターコロナを視野に入れた攻勢で次の経営にシフトする狙いが見え隠れするが、これに限らずドラッグストアなど他の流通業界の再編も今後ますます加速してゆくのは想像に難くないか。


米の分割熱

米テスラは一昨日に2022年内に株式分割を実施する計画を表明している。2年ぶりの分割発表だが、前回1株を5株に分割すると発表した際にこの発表月の末までその株価は実に約8割もの急騰を演じその後3年足らすで株価は実に3倍にも化けた経緯があり、その連想からかこの日も発表直後にこれを好感し株価は約9%の上昇を演じていた。

米大手の株式分割といえば直近ではアマゾンも9日に1株を20株に分割すると発表しており、同社の株式分割は実に23年ぶりのこと。また、グーグルのアルファベットも先月に1株を20株に分割する計画を発表しているが、アマゾンは加えて自社株買いの限度額を現行から2倍に引き上げる事も併せて発表しており株主重視姿勢を鮮明にしている。

確かに小口の個人投資家などからしてみれば株式分割により対象企業が大幅に買い易くなるだけに、経営陣が株主フレンドリーなスタンスを有しているという証左にもなる。株式分割で企業の市場価値が変るワケではないものの、ローコストで株式価値を高める手法の一つとして改めて評価される動きが広がれば今後更に分割熱が高まる可能性があるか。


アカデミー賞2022

昨日は周知の通り世界最高峰の映画の祭典「第94回米アカデミー賞」がハリウッドで開催された。2年前にはメーク部門で日本人が2度目の受賞と果たしたのが話題になったが、今年は日本映画史上初の4部門にノミネートされ注目されていた「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞に輝き、09年の「おくりびと」以来、13年ぶりの快挙となった。

こんな本邦勢快挙の裏で主演男優賞に輝いたウィル・スミスのMCへの平手打ち騒動など前代未聞のトピックもあったが、アカデミー賞といえばレッドカーペットでのセレブ達の装いもやはり必見。ニコール・キッドマンのアルマーニ・プリヴェやクリステン・スチュワートのシャネルにビリーアイリッシュのグッチ等々これぞレッドカーペットといえるハイブランドの見事な作品の競演であった。

2年前のレッドカーペットではハイブランドの豪華なドレスやスーツもリメイクしたものであったり、廃プラスチック等を再利用した素材とサステナビリティを訴えた服が目立ったが、今回は例えば(クィア)を公言している助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズの女性らしさや男性らしさを打ち破ったデザインのヴァレンティノのジェンダーレスな装いなど印象的であった。何れにしても全員ノーマスクでレッドカーペット復活と、さながらコロナ禍前に戻ったような束の間の華やかさが見る事が出来たアカデミー賞であった。


お台場名所の閉館

さて、未開の地であった臨海副都心の魅力を押し上げる一翼を担ってきたお台場の商業施設「ヴィーナスフォート」だが、トヨタグループの不動産会社による多目的アリーナの建設計画に伴うパレットタウンの再開発により、昨日で惜しまれつつも平成11年の開業以来、約23年近くに及んだ歴史に幕を閉じた。

開業当初に初めてこの施設に訪れた際には、中世ヨーロッパの街並みが再現された館内にさながらラスベガスやマカオのホテルにあるショッピングモールに来ているような感覚にも陥ったものだが、噴水広場なども幾多のテレビドラマに頻繁に登場しパレットタウンの発展と共に実に延べ2億人が来館したという。

思えば此処は商品を所有する「モノ消費」から、体験や思い出に価値を見出すという所謂「コト消費」時代の先駆けとして開業したと言ってもいい施設であった。今後も隣接の透明なゴンドラがあった大観覧車も8月末での営業終了から解体の運びとなり、また同じくチームラボによるあのアートミュージアムも一旦営業を終了するなど時代を駆け抜けてきた定番のデートスポットが姿を消すのは寂しい限り。


代替魚介の枝葉

さて、久し振りにお寿司を食べた際に一昨日の日経紙社会面で「魚介高騰 乱獲が影」と題し、世界的な乱獲や気候変動に伴う海水温の上昇も重なり烏賊や雲丹など寿司ネタの定番とされる魚介類が深刻な不漁に陥っている旨の記事があったのを思い出した。確かに都内の個人店では悲鳴に近いものが聞こえ、盤石な大手回転ずしチェーンでさえ値上げに踏み切ったところも少なくないのが現状。

上記の通り特に懸念されるのが中国の乱獲というが、この国の乱獲は今に始まったことではなくこの記事に書いてあったスルメイカの国内漁獲量の3.7倍にも相当する乱獲のみならず昨年はサンマの乱獲も話題に上っていた。こうした違法ともいえる乱獲で得た魚介類が中国で加工され一部は回り回って日本に輸入されているかと思うと何とも複雑な気持ちになる。

そんな中で日本では養殖魚やサステナブルシーフードに注目が集まりつつあるほか、植物由来の代替食品が肉以外にも広がりを見せイカやサーモンなどが続々登場している。驚異的暴騰を演じている雲丹など既に都内の高級ホテルでは大豆由来の雲丹が海鮮グラタン等に使用されているが、何れにしろ現在国際的に導入している漁獲規制措置は殆ど効果が無いといわれているだけに何とも歯痒く、こうした代替の枝葉が広がり易い環境は暫く続くか。


コロナで変貌 

昨日は国土交通省が2022年1月1日時点の公示地価を発表していたが、全国全用途平均は前年比0.6%上昇と2年ぶりに上昇、ほか住宅地は0.5%、商業地も0.4%の上昇とコロナ禍の影響が徐々に緩和される中で新たな需要取り込みにより上昇に転じる場所が出て来るなどいくぶん回復の兆しが見られた。

上記の上昇に転じた場所で身近なところといえば浅草駅周辺で、昨年は数地点で銀座8丁目あたりと並び10%を超える大きな下落を見せていたものだが、今年は若年層など中心とした観光需要回復を背景に1.1%の上昇と一転して上昇へ。一方で全国的にみると同じくインバウンド需要が高かった大阪などマイナスが継続し全国商業地下落率ワーストの多くを占めていた。

また住宅は依然として都心の一部地点で根強い人気を誇っているところがあるものの、このコロナ禍でのテレワーク急増など働き方変化に伴う生活の変化で郊外嗜好が顕著に表れその流れは東京都心から周辺に広がりつつある。こうした住宅事情は商業地にも波及する効果があるだけに、コロナを境に従来の構図が今後どう変貌し定着してゆくのか今後も注目される。


金融リテラシー向上へ

さて、先週末の日経紙マーケット面の大機小機では「金融教育、重要になった背景は」と題し、民法改正で成人年齢が引き下げられ銀行機能の変質や預金の位置付けの転換とも相俟って金融教育の必要性が高まったことなどを背景に2022年度から高校の家庭科で金融教育が本格的に行われる旨の重要性が書かれていた。

既に一部の学校では証券会社などから講師を招いて金融教育を開始しているところも見受けられるが、現場の教師の間では戸惑いも見られるようだ。戦後長らく続いた貯蓄増強の推奨が染み付いている世代では然もありなんだが、こうした若い世代からその親世代へも資産形成の重要性を波及させ「貯蓄から投資」と政府が予てより旗を振って来た流れを加速させる意味でも自然な流れか。

老後2000万円問題がかつて話題になったが、斯様な将来に対する不安から日銀統計では個人金融資産に占める預貯金は過去最高を記録している模様。政府も分配政策もいいがこうしたお金を有効活用して経済を回すのが本当の成長戦略ともいえるだけに、先ずは若年層と共に幅広い金融リテラシーの向上から資産運用等で老後不安を解消してゆく流れを作ってゆく事が先決か。