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日進月歩なリサイクル

さて、この度の新政権発足による大臣交代に伴って前小泉環境の政策であった「レジ袋有料化」を見直そうかという議論が浮上しTV等でも取り上げるところが各局あったが、昨日の日経紙・特集面ではプラスチック廃棄物の削減に繋がるリサイクル技術や代替素材の開発、実用化が進んでいる旨の記事があった。

このリサイクル問題に絡んでは石油業界に続く世界第二位の環境汚染産業といわれるアパレルなど、大手百貨店の中では高島屋が先行して要らなくなった服から服由来の再生ポリエステルを使いリサイクルされた服の販売・取り組みを行っているが、この記事の冒頭に出ていた資源リサイクル事業スタートアップ企業の日本環境設計はこの高島屋が提携し資本提携している。

未上場の企業ながらココは従来のリサイクル方法では熱を加える段階でポリエステルが損傷しリサイクル回数にも限界があったものを、ケミカルリサイクル手法で損傷せずに何度でもリサイクルが可能という完全循環型を実現させている。そういった事から飲料や日用品メーカーなども関心を寄せている模様。

但し現状のコストでいえば石油で1から作るよりまだ高いのがネックという事だが、この辺はこれまでも書いて来たように廃材を利用した他のプロダクツにも見られるところで課題の一つでもあるが、何れにしろサーキュラーエコノミー気運でこうした向きは循環型社会のハブ的存在になりつつある点には今後注目である。


後出しジャンケン?

SBIホールディングが新生銀行に対してTOBを実施すると発表してからはや1ヵ月、新生銀行側はこのTOBに反対の意向を表明する方針を固めた模様。臨時株主総会で買収防衛策導入の是非を問う運びだが、従前の買収防衛策はこれまで平時に導入されるパターンが通常であったものの昨今の株主総会ではこの承認が得られ難くなってきている事で今年は斯様なケースが少なくないようだ。

この有事のパターンでポイズンピルなどの買収防衛策は、以前では昨年に当欄でも取り上げた事のある旧村上ファンド系のシティインディテックスイレブンズからTOB意向を受けた東芝機械の例や、更にその前にはスティール・パートナーズからTOBを仕掛けられていたブルドックソーズの例があったが結果は何れも辛勝している。

但しTOB価格を軸にして防衛側の経営陣が描く将来の株価像との比較機会が阻害されてしまうのは否めないところで、上記の東芝機械(現・芝浦機械)は当時ファンド側が提示したTOB価格から本日終値でも800円以上安い値位置に甘んじている。今回は株主判断に十分な時間を確保する必要があるとして相手側のTOB期限延長に応じているが、単なる時間稼ぎにするのではなく株主の支持が得られるような具体策を今後示せるかどうかが焦点となってくるか。


10年目の教訓

さて、周知の通り先週末に首都圏が最大震度5強の地震に襲われた。東京23区で震度5以上を観測したのは10年前の東日本大震災以来の事であるが、消防庁はこの地震で東京や神奈川等5都県で400人以上が負傷と発表、JR東日本でも新幹線と在来線16路線で約36万8000人の足に影響が出たとしている。

そんな状況からこの地震では10年前の東日本大震災でも問題となった都内から都外の自宅に帰れない所謂帰宅困難者が一時8万人以上居た可能性があることが分かったが、混乱は一夜明けても続き首都圏を走る鉄道では始発からのダイヤの乱れで入場規制等の動きも合さり通勤や通学に大きな混乱が発生、駅前のロータリーなどではバスやタクシー待ちなど長蛇の列が見られた。

新型コロナウイルス感染者数拡大一服?でまさに経済活動を戻そうかといった矢先の出来事、今回の地震では改めて首都圏のインフラの脆弱性が浮き彫りになったが、はたして10年前の教訓が生かせていたかどうかの課題も残る。一方で東日本大震災時には量販店等に自転車を買い求める人の光景が記憶に新しいがあれから10年、今や街中で自転車を借りて好きな場所に返却できるシェアサイクル等が普及しており今回も話題になった。

また配車サービスアプリのタクシーGOなどの利便性も注目され日々進化する移動手段が話題にもなったが、漸く通常ダイヤに復旧したと思った矢先の昨日も今度は変電所トラブルで首都圏JR10路線がストップ、約23万人に影響が出るなど大混乱となった。気象庁は揺れの強かった地域では今後1週間は最大震度5強程度の地震に注意するよう呼びかけているが、改めて平時からの点検を徹底し備えておきたいところ。


本来の楽しさ

さて、先週末の日経紙地方経済面には「木更津でポルシェ感じて!」と題し、ポルシェジャパンが今月、千葉県木更津市に日本国内では初めての運転体験施である「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」を開業した旨の記事があった。千葉でありながら東京と付けるのはディズニーランドも同じだが、要は魅力として都心や国際空港からのアクセスの良さという点か。

レストランやカフェ等も併設しドライブやレクチャープログラムなどを通じポルシェブランドを体験出来るというこの施設、日本国内では初めてというが同社は既に御膝元のドイツはじめロスやアジアでは上海など世界中でこのエクスペリエンスセンターを開業しており、日本の前には直近でもイタリアで開業したばかりである。

この手では先月16日付の当欄でも取り上げたあのコーンズが、同じく千葉に完全会員制ドライブコース(THE MAGARIGAWA CLUB)を建設中で来年末の開業を予定している。そのコースは世界中のF1サーキットを手掛けた名門のドイツの設計事務所に依頼し高台に建つクラブハウスには天然温泉、富士山を臨むプール、宿泊棟もあるという。

ちなみにこちらの会員権価格は2850万円、開業までに250人の正会員を募集としているとう事だが、脱炭素社会の気運で年々排ガス規制に騒音規制も厳しくなって来る社会の中で走る楽しさを感じられるような場所を提供したいという。同じ施設でもこちらはセカンダリーで冒頭のポルシェとは毛色を異にするが、何れにせよ斯様な場所を創設しクルマ文化が生き続けられるよう啓蒙している点では共通しているか。


上場意義を問う

本日の日経紙投資情報面には「コロナ下、経営改革狙う」と題し、今年1月から9月のMBO件数が前年同期比約2倍の15件と同期間で過去最多であった2011年に並ぶなど経営陣が参加する買収で株式を非公開化する動きが活発になっている旨の記事があった。背景にはこのコロナ禍で経営環境が悪化する中、金融緩和で資金調達のハードルが下がった側面もある。

思い出せば上記の2011年は前半の段階でザッと挙げても知名度の高いところでワインのエノテカ、幻冬舎、レンタル屋のCCC、引っ越しのアートコーポレーション等々次々とMBOのラッシュとなり、エノテカを巡ってはSMBC日興の役員がこれに乗りインサイダーで強制捜査を受けたオマケまで付いたが、商品業界からはユニコムグループホールディングスもまたMBOによってジャスダック市場からその姿を消した経緯がある。

ところでMBOといえば予てより指摘されてきたものにその買収価格の低さがありこれまでも経営陣と大株主のアクティビストとの間でこれに絡んだ物言いも少なくなかったが、ガバナンスの観点からもディスクロ含めた透明化が求められよう。もっともこれを選択する企業は直近の例を見ても長らく低PBRで放置されてきた向きも少なくないあたりこうした素地もあったワケだが、上場の意義を見直すうえで来年の東証の市場再編が背中を押す切っ掛けとなった部分もあろうか。


重点フォローアップ国

昨日の日経紙法務面には「仮想通貨、申告漏れにメス」と題し、暗号資産を巡る税務処理に国税当局が監視を強め大規模な税務調査などを手掛けている旨が出ていた。今や暗号資産の取引は日本でも急増し、日本暗号資産取引協会によれば3年前に8千億円強であった取引額は今年の5月には実に5兆円を超えていた模様だ。

暗号資産に関する税の専門家も黎明期だけに少ないのを逆手に取り法的にグレーと見られる節税策などを謳う業者も増殖している模様だが、この手の暗号資産はマネーロンダリングにも格好の素材として予てより挙げられている。マネロンといえば公表されているリスク・ランキングでは19年に米の一つ下の73位に位置していた日本だが、昨年には69位へと順位を上げ前回から100位に改善した米との格差が開いてきている。

こうした順位の変動を裏付けるように日本のマネーロンダリング摘発件数もここ10年右肩上がりで推移しているが、上記の暗号資産やスマホ決済などの普及でその手口も次第に複雑且つ巧妙化してきている事もあり、リスクランキングの順位が上がった事を軽視せずに踏まえ欧米並みの危機意識を改めて喚起するところだろうか。


捲土重来?

さて、周知の通り本日招集された臨時国会で自民党総裁の岸田氏が第100代首相に選出された。先の総裁選は下馬評を覆す?ような結果とも取られたが、結局は異端?ともいわれる河野氏を以てしての改革路線よりも安定路線を今回は取った感は否めないところで、その辺はこれまで明らかにされている所謂「3A」の意向が色濃く反映されそうな旧態依然の人事にも見られるところ。

斯様な政治イベントではマーケット関係者もヤキモキするところだが、週を通じて続落した先週の日経平均は既に菅総理が退陣表明をする前の水準にまで沈み結局往って来いとなっていたが、本日もこの流れは変わらず6日大幅続落となった。この背景には外部環境の悪化もあるものの、冒頭の通り新政権に対する改革への期待が後退し上昇を牽引した投資家中心に資金を引き上げる動きもあるのは否めないところか。

投資家目線では政治に安定より変化を求めていた証左でもあるが、確かに新総理のいうところの財政再建も突っ込みどころはあるし金融所得課税強化なども捉え方によっては「貯蓄から投資」の掛け声に逆行する悪手?とも取れないでもない。何れにしろ3年の任期、新総理には同じ轍を踏む事の無きよう各所の舵取りをお願いしたいところである。


オルタナティブでウイスキー

さて、今月アタマの日経紙・プラス1の「何でもランキング」はウイスキー知識であったが、この低正答率の4位には昨年8月に香港で行われた英競売会社ボナムスのオークションに出品され日本のウヰスキー1本の落札額として当時の世界記録となったサントリーホールディングスの「山崎55年」の落札価格を問う問題が出ていた。

世界的な日本のウイスキーへの評価の高まりでその輸出額は2010年の約17億円から2020年には約271億円とここ10年で16倍に。そのため国内では手に入り難くなった素地のところに、世界中に溢れた過剰流動性資金を背景に図らずも投機の対象となりその熱は上がり続けるばかりだ。ちなみに冒頭の落札価格、答えは驚きの8500万円であったが昨年6月に発売されてからわずか2ヵ月でその値段が約25倍以上に大化けした計算となる。

そういえば16日付の当欄で書いた「逸品会」でも同会限定で「希少ウイスキー4本セット」と称し、山崎25年に竹鶴25年それにクラウニングカスクとマッカラン30年のセットが約130万円で売られていたが、山崎25年だけでも巷の相場はだいたい140~170万円で流通しているワケであるからこれまた投機目線で見たら即買いのそれこそまさに「逸品」だろうか。

今から3年ほど前にも当欄では世界初のウイスキー・インベストメント・ファンドが設定1年で30%を超える評価益を上げていた旨を書いていたが、個別の銘柄では知識も必要になる為にメーカーの株式に投資する動きも見られ、MSCIワールド指数を米英仏の主要ワイン・ウイスキーメーカー5社の平均株価は10年前を1として見た場合、既に5を超え大きく上方乖離しておりオルタナティブ投資の枝葉もまだまだ伸びしろがあるといったところか。


自助努力

今年もふるさと納税で早くもおせちの案内が多彩になってきたが、先週末の日経紙一面には「ふるさと納税 勝者は」と題し、総務省が返戻品競争バブルを重く見て所謂3割ルールなどの規制厳格化を打ち出して以降、一時は制度変更に伴う減収がみられたものの2年連続で増収となった自治体もあるなど特産品を売り出す好機とみて新制度にうまく適応し知恵を絞り受け入れ額を増加させた「勝者」の工夫などが取り上げてあった。

この記事の中には書いていなかったが、返戻品を巡っての総務省と遡及適用などを問うたバトルで記憶に残っているのはやはり大阪の泉佐野市か。昨年は特産品の泉州タオルなどを推していた記憶があるが、直近ではふるさと納税型クラウドファンディングで外部企業を誘致しそこで創られた製品を返戻品とするというふるさと納税によって企業支援をし新たな地場産品を生み出す取り組みなどをスタートさせている。

辛勝した訴訟のその後の動向が注目されていたものだったが、これまで地場産品を「持てる者」だけの有利性が不公平感を燻らせていた問題を斯様な取り組みによって新しい特産品作りというところで格差を埋めてゆく制度になるという期待感はある。一方でこの夏に認定要望を出した関空拠点のLCCで利用できるピーチポイントについては大阪府から認定されなかったようだが、果敢に攻める企画力を背景にした同自治体の動向は今後も目が離せない。


腐っても銀座

先週は国土交通省が纏めた今年7月1日時点の基準地価が発表されていたが、全用途の全国平均は0.4%の下落と2年連続の下落となっていた。住宅地が下げ幅を縮めたのに対し商業地は前年度から下げ幅を広げており、コロナ禍の打撃が大きい飲食店やホテル需要の減退が続き全国で55%にあたる2846地点で下落、大阪圏など中心に下落が目立っていた。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大の最中所謂「夜の街」と名指しされ前年比5%のマイナスとなった新宿歌舞伎町が長期にわたる緊急事態宣言などが響き10%以上の下落率で首位に、またコロナ禍によるインバウンド商売の直撃を背景にこちらも前年比5%以上のマイナスで下落率上位二つにランクインしていた銀座もこれに続く2位、3位にランクインしていた。

特に7丁目あたりは飲食街が犇めき合っているだけに下落が最も大きくなっており1年前に比べ地価は9%下落、その下落率も昨年の5.9%から拡大していた。とはいえ路の数本でその光景はがらりと変わり、メインストリートに近い好ロケーションの空き物件は賃料の値下がりを好機と見て勝ち組?の手当が進んでいるのを目にするが銀座ならではの下方硬直性が改めて感じられる。


コロナ禍のスタイル変化

さて、総務省が先週末に発表した8月の全国消費者物価指数は前年同期比で横這いとなり、前月まで12カ月連続で下落していた物価は13ヵ月ぶりに下げ止まった。しかし依然として上がらぬそれが欧米を恒常的に下回っているのが改めて鮮明になるが、同指数といえば先に行われた5年に一度の調査品目の入れ替えで約30品目が追加除外されている。

今回はやはりというかコロナ禍における消費スタイルの変化が見え、ザッと挙げても追加項目にはソファ、クッションが入り、料理の時短傾向という事なのかシリアル、味付け肉、カット野菜、更にはオリンピックで大人気となった冷凍餃子も追加され、コロナ禍によるイベントの中止などを背景に写真撮影代も追加となっていた。

他に目立ったところでは相次ぐ自然災害も多発している事で屋根修理費が追加となり、超高齢社会を反映し葬儀料も追加、近年のジェンダー問題の観点から女児スカート、それに男児用ズボンが除外されこちらは子供用ズボンに統一された。また女性の社会進出で公立・私立の幼稚園保育料が除外され学童保育料が追加されている。

また今月はアップルが恒例のイベントで新型アイフォーンの発表を行っていたが、こうしたスマホの普及で除外項目の方には固定電話や携帯型オーディオプレーヤー、ビデオカメラ、電子辞書、料理の講習代まで除外となっていた。依然としてデフレ脱却は遠い道のりだが、また5年後どういった物が追加され何が除外されているのか気になるところ。


育たない土壌

さて、本日21日は今年7月に米グーグルが主要株主と合意していたところのスマートフォン決済のスタートアップ企業であるPring(プリン)の買収が完了となる日だが、斯様な海外勢による日本のフィンテック企業買収が相次いでいる旨が「国内フィンテック青田買い」と題し先週末の日経紙・金融経済面にも載っていた。

本邦勢の決済サービスといえば頻繁にテレビのCMなどで目にするpaypayはじめとしてd払いや楽天ペイ等々大手の乱立状態にあって、上記のプリンは決済サービスの中では失礼ながら今一つ抜きん出た存在感に欠けるというのが個人的な印象だったが、決済ビジネスへの伸びしろへの高い評価と割安感を背景にガリバー的存在が目を付けて触手を伸ばしたというところか。

ところでグーグルによる本邦勢の買収劇といえば、数年前に日本企業に出資を仰ぐも評価が認められなかったロボット開発スタートアップ企業のSCHAFTを同社が買収したのが記憶に新しいが、斯様に積極的にリスクを取れる国内投資家も少なく足元の利益や実績を重視する根強い傾向にあり、M&AやIPO時の企業価値評価も低くなり易く成長企業が国内で育ち辛い土壌にあるといえるか。

同頁には直近であった米決済大手ペイパル・ホールディングスによる後払い決済のペイディ買収も載っていたが、このペイディもわずか数社という日本の数少ないユニコーン企業の中の一社であった。実際に同社以外のユニコーン企業の中にも既に米有力ベンチャーキャピタル数社から資金調達している向きもあり、今回の相次ぐ買収劇はSCHAFTの事例から数年経ても旧態依然としている日本企業の目利き力の課題が改めて問われるケースであると考えさせられる。