沼るボラティリティー

本日の日経紙投資面には「株価の乱高下、新常態に」と題し、AI・半導体関連株にマネーが集中しボラティリティーが高まったことで日経平均の取引時間中の値幅が1000円を超える日が相次ぎこれが“新常態”となっている旨の記事があった。日中値幅が1000円以上になった日数では今年は昨日迄で41日と最多を記録、月間変動率も昨年10月以来、半年ぶりの高水準という。

上記の通りこれらを創り出しているのが一部のAI・半導体関連株で、筆頭格はやはりキオクシアHD株だろうか。本日も上場来高値を更新した後は反落となっているが、この値段だけに値幅も悪魔的で昨日は寄り付きで最低単元買っただけでも引けで約15万円の値洗い益が、反対に今日の寄り付きで最低単元買っていたら大引けの値洗いで約35万円が飛んだ計算になる。

こうした動きは若年層をも呼び込み本日の日経紙の別の頁ではバイトでためたお金でキオクシア株を買った高校生の話も出ていたが、これを見ていると分割ラッシュと話題性で沸いたかつてのライブドア株を小遣いをためて買ったという小中学生の映像を思い出す。その後同社は上場廃止の憂き目に遭ったわけだが、勿論キオクシアの方はしっかり裏付けもあり全く別物とはいえマル信枠で目一杯張っている向きなど見るにチャレンジャーだなと感心する。

まあ余計なお世話だが、今のAI・半導体株はかつてのまだ上昇半ばにあったビットコインの如くなのかどうか?期待値から株価が業績に見合わないケースは多いが、今のこれらは逆で業績に株価が追い付いていないとみられている。なのでバリュエーションからまだまだイケるという理論だが、宴の行方をいましばらく見させてもらおう。


お茶の明暗構図

本日は抹茶を点てていただく場に招待いただいたのだが、抹茶といえば先週末の日経紙夕刊では「抹茶、海外向け増産」と題し、欧米を中心とした日本食の広がりや健康志向の高まりを背景に抹茶の引き合いが強まっている事で製茶問屋などが海外向け抹茶生産を増やしている旨の記事があった。そういった事も背景に農水省の方でも先にこれを増産する方針を発表しており、大手企業などでも生産能力を倍増させる動きも一部出てきている。

以前も書いたと思うが、一昨年の荒茶の価格は煎茶が1㎏1197円、対して抹茶の原料のてん茶は1㎏3278円と約2.7倍となっており生産量も10年前から2.7倍に膨らんでいる。そういった事で抹茶を含む緑茶の輸出額は約10年前の2015年で100億円くらいだったものが以降右肩上がりが続き、2024年には364億円、昨年2025年には前年比98%増の721億円にまで拡大している。

こういった事で国の動きもさることながら東京都も煎茶から抹茶への生産切り替えを支援し、茶農家の間では煎茶からの転向組が急増してきている。とはいえ茶葉に直接日光を当てる露地栽培とは違って、抹茶の生産では畑でカバーをかけ日陰で葉を育てる被覆栽培というカバーをかける手間がかかる作業が必須で高齢農家には厳しい環境になっている側面もある。

加えて若年層の茶離れや冠婚葬祭向け需要の減少など煎茶消費は縮小傾向になってきており、これと相俟って製茶業者の休廃業は過去最多になっている。抹茶人気の裏でこうした陰の部分も露呈しつつある構図だが、サプライチェーンの縮小に対し加工に注力など生き残りをかける動きもみられるが、いずれにせよ抹茶ブームが業界に多大なる影響を与え転換期に差し掛かっているのは間違いのないところだろう。


政府売上高目標と課題

さて、昨日からモスバーガーでは一部除く全国の店舗で「米粉入りバンズのアボカドバジルバーガー」なる新商品の販売を開始している。主要原材料に動物性食材を使わず植物由来の主原料を使用したモノというが、これまで同社ではバンズの代りに具材を野菜で挟んだ商品を展開し数年前からはソイパティ商品の販売をしているがこのラインナップに新顔が加わったかっこうだ。

ところで植物由来といえば、これらを使った食品やビタミンなどをバランスよく含む機能性・栄養食品について政府は2040年までに3兆円に売上高を伸ばす目標を作る旨の記事を昨日の日経紙経済・政策面で見かけた。高市政権が掲げる戦略17分野に含むフードテックの中に新規食品として位置付け、植物工場や食品製造機と並んで集中的に支援する意向という。

3月に東京ビッグサイトで開催された「FOODEX JAPAN」においても日本勢からはプラントベースフードの類が多数開発され出展されていたが、東証プライム市場に上場している食品大手も早くからこの分野に参入し売り上げ目標を計画に掲げている。これらに見られるように世界市場でもこのマーケットは拡大の一途にあり、数年前の約3兆円から2030年には5兆円超えの予測が出ている。

とはいえ国内の課題として“美味しさ”に加え価格面など解決すべきものは多いか。著名な料理人が商品をジャッジする某バラエティー番組があるが、かつてプラントベースフードを使ったメニューでは味の壁が立ちはだかり全員が不合格判定をした場面を見た事がある。日本は発酵調味料など素晴らしい食文化を持ち海外勢からも非常に注目されているだけに、健康志向という大義名分を超え“味”で選択される商品を如何に開発出来るかが焦点になろうか。


過去最高純益見込みでも年初来安値

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが29年半ぶりの高さまで上昇しているなかで株式市場では不動産系が軒並み弱含み、今週はTOPIXの不動産業や東証REIT指数が揃って年初来安値を更新してきている。これらセクターには有利子負債の観点から売りの矛先が向いてしまうが、加えて建設費の高騰や中東情勢緊迫化で建設資材供給への影響も重なり新築マンションの引き渡しにも影響が出ている模様だ。

建設費高騰といえば先週は帝国ホテルが建設費やエネルギー価格高騰のあおりを受けて立て替えを予定している本館についてその時期を未定とすることを発表している。また西武ホールディングスも同じく先週に再開発のために今年中に営業を終えるとしていたグランドプリンスホテル新高輪の営業を建設費高騰のために計画を精査するとのことで来年4月以降も継続すると明らかにしている。

他、都内では各所での再開発が建設費高騰によって頓挫してしまったパターンも少なくないが、各社純利益が過去最高になるとの見通しのなかで先週は三井不動産、本日は住友不動産が年初来安値を更新している。REITも投資口価格の下落で分配金利回りが高水準になっており、いずれも補正予算財源やら中東情勢など不透明な環境の影響による業績への懐疑心の現れだろうがこの安値拾いが奏功するのか否か見極めも難しい局面だ。


早くも猛暑日続出

ちょうど1週間前に気象庁は夏までに地球規模で豪雨や干ばつ、高温といった異常気象をもたらすエルニーニョの発生確率が90%に高まっていると発表しているが、昨日に続き本日も都内はかなりの暑さに見舞われ東北でも今年初の猛暑日を記録している。既に今月の真夏日地点は5月中旬としては過去最多を記録しており、早くも熱中症対策に欠かせない“暑熱順化”の準備やエアコン使用の推奨と喧しい。

エルニーニョといえば先週末の日経紙ではさらにNOAA(米海洋大気局)で“スーパーエルニーニョ”が10年ぶりに発生する可能性が高まりを発表した旨の記事もあった。これまでにこれが発生した時期には特に豪雨や干ばつなどで作物の生産に甚大な影響を及ぼしているが、加えて足元では中東情勢の緊迫化で生産や輸送を頼る尿素肥料も値上がり急となっておりアジア圏ではこの肥料が不可欠なコメ作り本格化を控え世界の供給量に暗雲が漂う。

気温が上昇することによる経済効果もあるが昨今の猛暑や酷暑は経済損失の方が遥かに多く、上記の農産物への影響は24年以降の5年間で世界規模で5兆ドルの損失が試算されており、また労働生産性への影響では2030年度には2兆4000億円の損失との試算も出ている。上場企業なども開示項目でこれらに絡んだものも義務付けされているが、今年も未知の異常気象に身構える動きが続きそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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