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初の70万人割れ

週明けには団塊の世代が後期高齢者になると共に想定されるであろう現役世代の負担への懸念を取り上げたが、高齢化と合せて深刻なのが少子化か。先に発表された「人口動態統計」によれば、昨年の出生数は前年比5.7%減となり統計のある1899年以来初めて70万人割れとなった旨が報じられていたが、加えて自然減も減少幅が拡大し過去最多となるなど想定を上回る人口減少となっている。

コロナ禍で出会いの機会が減ったとかそもそも若年層の結婚観が変化し意欲低下がいわれているとか所説あるが、一部婚活会社の調査では結婚したくない又は関心が無い割合が適齢期の男女共に4割を超えてきているのを見るに少なくとも一昔前とは隔世の感がある。また、そもそも適齢期となる人口の層そのものが失われつつある人口縮小フェーズに日本は既に入ってしまっている構図もある。

斯様な少子化でインフラに歪も表れつつあり、先のTVのバラエティー番組で学校を舞台にした企画モノをたまたま見たが、番組中にテロップで「少子化等の理由で統廃合する学校は全国で300校を超える・・」と出ていたのが印象的だった。こうした足元の生活インフラへの影響はもとより更に長期で見れば生産性への影響や年金の問題にもつながって来るが、今後の社会的配分を考えるに国全体での広範な支援など喫緊の課題となるか。


コモディティ明暗

懸念された中東情勢だが、朝方にトランプ米大統領が「イスラエルとイランが停戦で合意した」とSNSに投稿したことでマーケットも各々反応している。148円台まで軟化していたドル円は一転して144円台まで急伸、日経平均も一時600円を超える上げ幅を演じ39000円台まで指呼の間となる場面もあった。またコモディティは原油が停戦合意に先駆け約14%も下落していたが、金もNYで2週間ぶりの安値を付け国内先物も2%以上の下落を演じた。

ところでこの金といえば3000ドル大台突破後にいち早く3500ドルシナリオを出していたのはマッコーリーであったがドンピシャの予測であった。先週にはシティグループも金価格に関するリポートを出していたが、2025年第3四半期は3100~3500ドルで推移するものの、米中間選挙を控えるタイミングで経済政策強化がなされ米と世界全体の成長見通しから市場はリスクオンに傾き、26年下半期までに2500~2700ドル台まで下落するとしている。

足元で金は目先のポジション巻き戻しから一服したとはいえ年初からまだ2割以上高い水準にある点で原油との違いは鮮明だが、この辺はやはりドル離れなどを背景にした各国中銀の旺盛な買いによるところが大きいだろうか。WGCによれば各国中銀は昨年まで3年連続で年間合計1000トンを上回る金を購入しており、今年も歴史的な高値圏で推移した1-3月期でも過去5年間の四半期平均を24%上回る規模の買いがあったという。

とりわけ近年は更に米国とバチバチ?な関係でその依存度を引き下げてきている中国の買いが安定しており先月は約1.9トン購入しているが、これで金の買い越しは7か月連続となっている。外貨準備に占める金の比率は既に3年で2倍にもなってきているが、他の新興国も其々余力はあるとみられこの辺は今後も相場にとってのサポートとなり続けるか。


“お薬”受診

過日久し振りに整形外科で湿布薬の類を処方してもらったのだが、この手の市販薬と効果が似る所謂「OTC類似薬」に関して政府は保険適用の見直しを進める旨の記事が先週末の日経紙経済・政策面に載っていた。現行の自己負担額の1~3割を10割にすることで、医療費を数千億円削減出来るということから現役世代の負担を軽減する狙いという。

例えば上記の湿布薬でいえば市販薬では数枚入って2000円前後だが、OTC類似薬では診料や処方箋料に調剤技術料こそかかるものの40~50円程度の負担で済んでしまうし、インフルエンサーが美容効果を謳った事で美容クリームの代替需要が殺到するなどいろいろと問題になった保湿剤のヒルドイドは市販薬であれば1本1500円前後だが、OTC類似薬では1本当り負担が100円未満といずれも市販薬の数十分の一で済んでしまう。

病院ではしばしば待合室が例えば高齢者が他の高齢者と日々の交流の場と化している光景も目にするが、一部医療ジャーナリストによれば後期高齢者が医療機関にかかる回数は30回以上と諸外国の5~6回と比較して日本は突出しているという。こうした背景にはそもそもが日本の医療の特長として安価でかつ手厚い医療が自由に受けられるというのがある。

なるほどそういった事から政府の見直し論も出て然るべしとも思う一方で、これが適用になったら一部受診控えなど出て来ないだろうか?医師の診断で判明するケースが素人判断で見つかるものが見落とされるリスクも孕む。なんとも難しいところだが、いずれにせよ団塊の世代がこれから後期高齢者になり医療費も今後更に膨らむ事を考えるに保険範囲を再考すべき分岐点にあるか。


ビットコインに賭ける企業

さて、2024年11月の米大統領選以降は米ストラテジー社(旧マイクロストレテジー)などを筆頭に企業がビットコイン投資に賭ける動きが加速しているが、直近ではCB発行後の5月下旬にビットコインを購入したミーム株で有名なゲーム販売の米ゲームストップが新株予約券付社債を発行するとの報に、またもビットコインを購入するのではとの思惑が嫌気され同社株が大きく下落する場面も見られている。

ちなみに米ストラテジー社は今月も10万ドル台で約160億円相当ビットコインを更に買い増ししており、これで同社が保有するビットコインはビットコイン総供給量の3%近くにもなる58万ビットコインを超え、日本円にして実に9兆円を超えてきている。もはやビットコインそのものともいえるが、欧州勢でもビットコイン関連企業であるザ・ブロックチェーンGもビットコイン取得拡大のためファイナンスを行うと発表している。

では日本企業はどうか?当欄で先月に取り上げた東証スタンダード市場のメタプラネットは取り上げ後に3日連続でストップ高を演じたが、今週はじめにビットコインの追加購入を明らかにしたことでまたも株価が反応、本日も年初来高値を更新し先月末比で80%高と破竹の勢いを演じ、同時に取り上げていたリミックスポイントも今週はこれに連れ高し先月末比で一時40%高と急騰した。

メタプラネットの時価総額は4月安値では1500億円にも満たなかったものが、本日段階でプライム上場の日清食品や住友林業をも抜いており、年初来高値局面では1兆円倶楽部も指呼の間の水準に化けている。まさにビットコイン並みだが、そのビットコイン保有額に対しこの時価総額が妥当かどうか賛否も分かれよう。今後もフルベットな企業はビットコイン価格に一喜一憂の展開となろうが、オルタナティブとしての賞味期限にも注意しておきたいところ。


米IPO復調

先月末にBIS(国際決済銀行)が公表したリポートでは米国債の買い手として法定通貨等に価値が連動するステーブルコインの発行企業が存在感を強めている旨が明らかになっているが、このステーブルコインといえば今月は5日に発行大手のサークル・インターネット・グループがIPOをはたし公開価格に対し上場初日は168%高で取引終了し、その後4営業日では3.4倍に上昇するなどロケットスタートとなっている。

また、サークルの後に上場した防衛・宇宙事業を手掛ける米ボイジャー・テクノロジーズの初値は公開価格比で約2.3倍に急騰、初日は公開価格を82%上回る水準で取引を終え、この翌日には米新興フィンテック企業のチャイムファイナンシャルがナスダック市場に新規上場し公開価格37ドルに対し初値は43ドル、一時高値は66%高の44ドル94セントまで上昇するなどいずれも好調だ。

これらIPO復調の背景には米関税政策の先行き不透明感の後退が挙げられているが、そうなるとこの関税政策を嫌気し市場が急落した影響でIPO延期検討に入っているフィンテック決済大手のクラーナや、チケット再販を手掛けるスタブハブなどには再度期待が高まろうというもので、今後もこれらの動向には注目しておきたいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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