3ページ目

抑え込みの限界

さて、日銀は昨年末の政策決定会合で長期金利の上限を従来の0.25%程度から0.5%程度に変更し金利上昇余地を広げるサプライズ政策を発表したが、先週末のマーケットではこの長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇、一時0.545%と日銀が上限とする0.5%程度を上回った。水準としては2015年6月以来、7年7か月ぶりの高水準となる。

国債といえば当欄では昨年の6月くらいから日銀VSヘッジファンドの対立構造を書き、ジョージ・ソロス氏が英イングランド銀行にポンド売りで挑んだ一件が思い出されるとしたが、連日の指値オペなどで昨年の購入額が6年ぶりに100兆円超えるほど大量の国債買いで日銀の防戦が続き長らく劣勢が続いた海外勢も漸く報われたという感じだ。

そもそも投機筋の挙っての参戦でイールドカーブが歪み企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼすとの理由も背景に年末の修正となったワケだが、なお足元では債権市場の歪みが解消されたとは言い難い。早々の上限突破でこれの撤廃も視野に再度の修正に動くか否かというところだが、前回の例もあるだけに明日からの金融政策決定会合が注目されるところだ。


経営者が占った2022年

さて先週は都内で経済3団体の新年合同祝賀会が開催され、各社のトップが今年の注目事やリスク等についてインタビューを受ける恒例の光景が見られたが、恒例といえば日経紙の「経営者が占う」シリーズを今年も振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想平均は32,850円でその時期は10~12月が多かったが、年間を通して3万円の大台を超えることは一度も無い厳しい結果となった。

一方で安値予想平均は27,175円でその時期は1~3月が多くを占めたが、ロシアによるウクライナ侵攻で時期こそ当たった格好だが安値は24,681.74円とこちらも大きく沈んだ。それに伴い個別の予想も昨年はボロボロで、有望銘柄3年連続でトップに挙げられたソニーは大発会翌日の15,700円台を高値に下げトレンドを形成し10月には9,200円台に沈むなど40%以上も下落の憂き目に遭った。

またこちらも毎年ベストスリーにランクインし2位に推されていた信越化学工業も、大発会の20,600円台を高値に一貫してダウントレンドを形成し、9月には14,000円台に沈むなどこちらも30%以上の下落を演じた。この銘柄以外でも需要増が期待された半導体セクターだったが、フタを開けてみれば景気悪化で世界的に半導体需要が弱まるとの懸念が株価を直撃した格好になった。

というワケで改めて今年の見通しでは日経平均の高値平均が31,200円でその時期は10~12月、安値平均は25,000円台でその時期は3月が最も多く、有望銘柄では判で押したように4年連続でトップに挙げられたのがソニーであった。いずれにせよ世界的なインフレやそれに伴う金融政策、米中摩擦に各所で顕著になっている分断、顕在化し得るまさかの地政学リスク等々今年も昨年以上に目が離せない身構える年になりそうだ。


総じてリバウンド

本日の日経紙商品面には「白金買い越し高水準」と題し、英国際調査機関のWPICから2023年の世界需給が3年ぶりに供給不足になると予想されている白金が中国需要の拡大観測も背景に米先物市場の買い越し幅が前週比24%増の3万503枚と2週連続で増加し、約1年9か月ぶりの高水準となった旨が出ていた。

確かに足元で約10ヵ月ぶりの高値を付けてきているが、これに限らず金も銀も総じて貴金属はここ切り返しの動きを見せている。世界的にリセッション入りの懸念が燻るなか安全資産へ資金が向かったか金も2022年5月以来、8か月ぶりの高値を付けてきている。そうした空気を感じ取り商魂逞しい業者などの金の買い取り強化という類の広告が最近また増えてきたようにも感じる。

また先週には米雇用統計の発表があったがその中で非農業部門の雇用者数は市場予想を上回る伸びを示したものの、民間平均時給の前月比上昇率は市場予想を下回っていた。人件費の影響を受け易いサービスのインフレが鎮静化に向かうとの期待が高まり米長期金利の頭打ち感が出てきたのも金利の付かない金にとっては追い風だろうか。明日に米消費者物価指数の発表を控えるが、結果次第でまたホットマネーが動く事になるかどうか注目だ。


循環実現のハードル

本日マックの前を通って思い出したが、日本マクドナルドは先週に原材料費や物流費の上昇、円安等の影響で16日から約8割の商品の店頭価格を10~150円値上げすると発表している。かつてコカ・コーラを買うと無料引換券が付いていた時期もあったハンバーガーなど110円だったものが去年3月に130円、去年9月には150円へ、そして今回の170円へとこの1年で約60%近く上がった事になる。

マックに限らずこの1月も食品・日用品等で値上がりは続く。今月出荷分から日清製粉ウェルナはパスタソース製品、パン粉製品等を約3~25%値上げ、はごろもフーズも同缶詰など計65品目を値上げ、ピエトロもドレッシングを最大で7.1%値上げし、王子ネピアなどはトイレットロールを20%以上値上げする。

帝国データバンク調査では2022年末までに決定した23年中の飲食料品における値上げ品目数は4月までの予定を含め累計7390品目に上るといい、ペースとしては去年の1.5倍以上で再値上げや3度目の値上げも目立つ。この1月単月の値上げは580品目というが、来月は22年以降で2番目に多い規模となる4000超の品目で値上げが控えるという。

生鮮食品を含む消費者物価の総合指数は年末で前年比3.8%の上昇で31年10ヵ月ぶりの高さになったというが、一方で同じ3.8%という数値ながら減少となったのは厚労省が今月に発表した22年11月の1人あたり実質賃金。この実質賃金は既に最低の水準に沈んでおり、これに政府側はインフレ率を超える賃上げを要請しているが一部大手以外の中小には縁遠い話で物価上昇の影響を賃上げで吸収する循環の実現は容易ではないか。


年始の風物詩

さて今週から2023年の初売り商戦が本格的に始まったが、3年ぶりに行動制限のない新年を迎え初日の都内大手百貨店では開店前から多くの客が並ぶ光景が見られ入店客数は前年比で約20%ほど増加した模様。また売り上げも公表されている主要店では松屋銀座の前年比50%増をはじめ新宿高島屋が同約40%増、新宿京王百貨店で同約20%増、西武池袋本店で約10%増といずれも伸びた模様。

何処も物価高のなかでお得感を謳ったセールや福袋が好調だった模様だが、この福袋もここ数年のコロナ禍での巣ごもりに焦点を合わせたモノから今年は円安や物価上昇に抵抗すべく食品など家計応援的なモノへ焦点を合わせたモノへ変化し必需品への意識が高まっていることが表れている。

ところで初売りと並ぶ年初の風物詩、マグロの初競りも豊洲市場で本日行われた。今年は大間で水揚げされた212キロのクロマグロが、去年の1688万円から2000万円近く高い3604万円で競り落とされた。2019年の過去最高額から見れば約3億円も安い値段とはいえ、昨年からは約2.1倍でコロナ禍以降では最高額の競り落としとなる。

共同で競り落としたのは一昨年、昨年に続いて3年連続で銀座おのでらと仲卸のやま幸であったが、お祭り視点としてはやはり好勝負を繰り広げてきたマグロ初セリの代名詞的存在であったすしざんまいの喜代村の戦線離脱は寂しい気もするのは否めないところ。これまたコロナ禍を機に変わってしまった光景の一つといえるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2023

2

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28