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TOB乱戦模様

さて、青果物ネット販売のオイシックス・ラ・大地が給食運営のシダックスに対し先月末からTOBを始めているが、これがなかなかの乱戦模様となっている。そもそもの買付価格が開始時点の株価を大幅に下回るという稀なパターンで筆頭株主とも応募契約を結んでいないという何とも不透明なケースであったが、果たしてというか当のシダックス側からこのTOBへの反対意見が発表されている。

予てよりオイシックス以外の企業から協業の提案があり比較検討が必要な事や、株式の取得価格が時価より低い事などを理由に挙げていたが、この企業こそコロワイドを指しておりフードサービス事業買収の提案が為されていた。しかしこのコロワイドといえば2年前の大戸屋に対する敵対的TOBが記憶に新しいところで、大戸屋側の抵抗虚しく資本市場に長けたコロワイド側が粛々とTOBを成立させた経緯がある。

おまけにその過程で大戸屋側が苦し紛れの業務提携を発表した相手もオイシックスであったのも何かの因縁でこの参戦が注目されたものだが、つい昨日この買収提案をコロワイドが撤回するという意外な幕引きとなった。今後は取締役会や大株主の投資ファンドの対応が焦点となるが、何れにせよ株主間契約の有効性含め企業統治の在り方が問われるケースとして今後の動向にも目が離せない。


サプライズのコア上昇

注目された8月の米CPIが発表され果たして前年同月比8.3%の上昇となった。前年比ベースでの伸び率は前の月からやや縮小し2ヵ月連続で鈍化したがたが、前月比ベースでは横這いからプラスになった。コア指数は前年比、前月比共に前の月からは伸び率が拡大、ガソリン価格は下落するも指数全体のおよそ3割を占める住居費等コア指数が0.6%上昇したのは懸念すべき点となった。

下馬評ではインフレ上昇のピークが来た事を示す数字が出て、ピークアウトから鈍化に向かう方向に期待がかかっていたものだが斯様にこれが見事に裏切られた格好となった。これで次の市場の関心は来週のFOMCということになるが、大方が予想しているところの利上げ幅0.75%も今回の発表で一部証券会社など1%の大幅利上げへの可能性を指摘する向きも出て来た。

FRB議長は先のジャクソンホール講演でも「痛みを伴っても」という表現をしていたが、今回サプライズだったコア指数の項目が下がる程度まで景気が悪くなっても利上げ継続を敢行することになるのか。先の8月雇用統計も極めて強かっただけに、利上げで多少の雇用が失われても容認されるとも取れ痛みを伴うステージへの下地も整いつつあるか。


鎖国から開国へ

本日の日経紙マーケット面では、昨日の東証プライム市場で年初来高値を付けた銘柄の数が148銘柄と前営業日から32銘柄増えて6月8日以来、3か月ぶりの多さとなった旨が書かれていた。円安のプラス効果が意識される製造業などの輸出産業と並んでとりわけインバウンド関連の強さも際立つ展開となっている。

この頁の一覧でも挙げられていた小売りからは三越伊勢丹HDに高島屋の百貨店の双璧が年初来高値を更新し、旅行関連からはJALやハナツアージャパン、JR九州などがいずれも本日も続伸しこちらも年初来高値を更新していた。これらの背景にはいわずもがな日経紙一面にも載っていた政府の水際対策の上限撤廃報道がある。

しかし他のG7並みに円滑な入国が可能となるように水際対策を緩和すると首相が宣言したのが今年の5月のこと、その後新型コロナの新規感染者数が統計上世界最多と記録するに至り水際対策が如何ほどの意味を持つのか誰もが疑問符だったが、この期に及んで漸く上限撤廃への道筋が見えてきたか。

ともあれ足元の円安で海外からは日本はモノが安い国に映っているのは事実。今の円安にブレーキをかけるには金融政策の正常化か開国?しかないワケだが、意固地になっている金融政策が当面動きそうもない今、急激に進む円安対策という意味でもこの開国での爆買い復活に期待したいものだ。


動くに動けず

さて、歴史的な円安水準が続くなか先週末にかけては日銀に財務省と金融庁など情報交換の三者会合を開催し為替市場の動向や今後の対応についての意見交換をしている。これに絡んでは財務省の財務官が斯様な相場の動きが継続すれば必要な対応を取ると明言、更に翌日にも日銀総裁と総理大臣が会見を行い急激な動きを牽制している。

後者はトップ同士の会見ということで介入警戒感からやや円を買い戻す動きが出たものの、威勢よく明言した財務官のように果たして実際にこの段階で円買い介入に踏み切る現実味は如何ほどだろうか?円買い介入に際しては外貨準備を取り崩して介入に充てる事になるが、米国債なども絡むためにかつてよく行われていた円売り介入とは桁違いのハードルが控える。

また周知の通り日銀は頑なに金融緩和を続けているが、これだけ頑なな緩和継続の一方で円安は困るから何かしようという事自体にそもそも無理がある。マクロ政策が円安になるような時に介入を敢行すれば目敏い投機筋の格好の獲物になるのは火を見るよりも明らかで、この辺は90年代後半にやった円買い介入の結果が物語っている。

しかし近所でミサイルを飛ばされたり軍事演習をされたりのやりたい放題に「断じて容認できない」とか「誠に遺憾」とのコメントを繰り返す事しか出来ない日本だが、この為替市場でも必要な対応を取る準備があるという表明も空虚感漂う。このまま為す術なく98年安値さえ更新してしまうのかどうかだが、何れにせよ先ずは明日の米8月CPIに注目というところか。


還元の在り方

さて、先月の話になるが某名門宴会場の株主優待バイキングに行って来た。個別に此処のレストランで食べれば一皿4~5千円する品がいずれも食べ放題で伝統の味を存分に堪能してきたが、この株主優待といえば先週末の日経紙夕刊一面には「株主優待、3年で50社減」と題し、自社製品の送付などの株主優待制度を廃止する企業がここ3年で50社減るなど廃止企業が相次いでいる旨が出ていた。

当欄でも7月末に「還元の軸足」と題して書いた際に末尾で少し取り上げていたが、優待廃止に関しては株主総会でのお土産廃止と共に数年前から度々報じられているところで、2019年まで増加の一途を辿っていたものが19年をピークに3年連続で減少となっている。この背景にはこれにかかるコストや投資家の公平性もさることながら、4月の東証再編で株主数規定が緩和されたという事も一因か。

これまで個人株主増加ランキング企業など飲料大手キリンHDやJALやANA等の大手航空会社、オリックス等がランクインしているあたり何れも優待狙いが窺えたものだが、廃止の流れでオリックスなどは再来年には不動の人気を誇ったカタログギフトの廃止意向を示しており、他の企業もこうした動きに倣う動きが出て来るか否かその動向が注目される。

上記にも書いた通り個人株主の確保策としての優待制度の優先度が下がって来たとも取れる事で、今後は企業側も還元の軸足が配当や自社株買いに移ってゆく動きが顕著化するかどうか、先月の自社株取得枠の設定は8月として過去最高となった模様だが個人投資家もこれらから認識の変化が出て来るか否かとも併せこの辺の動向は注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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