伸びるリユース市場と業態転換

先週末の日経夕刊マーケット・投資面では日経ヴェリタスから「リユース市場、物価高で追い風」と題し、物価高で家計の負担が強まる中、お金を節約しようと衣服や家電などのリユース日の需要が増えている旨の記事が載っていた。ここではリユース業界首位の「ゲオHD」が取り上げられていたが、ここもかつてのレンタルビデオ事業から今やすっかりリユース事業が主軸に変貌している。

またリユース品の真贋判定にAIを活用しているとして「コメ兵HD」も取り上げられていたが、同社といえばJフロントリテイリングと合弁で中古ブランド買い取り専門店の「MEGRUS」を旗艦店の大丸東京店内に開設しており、またブックオフGHDも業態転換組だが、同社もまた高島屋S.C.内に買い取り専門店の「hugall」を展開している。この辺は共に百貨店の持つ富裕層顧客基盤も狙いのうちか。

しかしリユース市場が年々拡大してきたのは上記のヴェリタス記事のように物価高で家計負担が強まりそのためにお金を節約しようという動きもあるが、加えて中古となった製品にも第2のステージを与えてそのライフサイクルを伸ばし更によりサステナブルな消費の在り方を促進するという社会価値の創造機運という部分もまた背景にあるだろうか。

いずれにせよ斯様なことでリユースの市場規模は近年右肩上がりで、ちょうど1兆円を超えたあたりの2009年から2017年にはこれが2兆円の大台に乗り、更に2023年には3兆円の大台をも超えてこの先も拡大基調が続き2030年には約4兆円にもなると試算されている。市場環境や消費者ニーズも変化するなか、上記のように企業も先見性と柔軟性で進化する向きが今後も増えそうだ。


トレンドを超えるか

本日の日経紙の国際・アジアBiz面では「米食品で健康シフト進む」と題し、近年流行りの糖尿病・肥満症治療薬の「GLP-1薬」利用者増を背景として炭水化物や脂質の多い所謂ジャンクフード市場が先細りになってきたことで、食品各社は健康維持に重要なタンパク質や食物繊維の多い新商品を開発し増産に力を入れ始めるなど商品戦略の変更を迫られている旨の記事があった。

当欄ではGLP-1受容体作動薬については一昨年のちょうど今頃に取り上げた経緯があるが、当時主流だったウゴービやオゼンピックを製造する製薬大手ノボノルディスクファーマは、時価総額がラグジュアリーブランドのLVMHやM7の一角でもある米テスラを抜いたりしたものだったのを思い出す。あれから2年、今や米国成人の8人に1人が何らかのGLP-1薬を使用しているという。

その辺は兎も角も、もともとコロナ禍で在宅時間が増えた事による体重増加などで健康に対する意識が大きく変わったことによる食市場の変化はあったが、この手の受容体作動薬の普及でより一層変貌している感がある。これらに合致する日本食への注目度もかつてないほど高まっているようだが、健康の捉え方は世代間で変わるもののこの傾向が一時的なトレンドを超えて一つの潮流となってくるかどうか今後の動向も注視しておきたい。


崩れるか現預金の山

先週末の日経紙総合面には「現預金ため込み是正促す」と題し、金融庁と東京証券取引所が取りまとめた上場企業に向けたコーポレートガバナンス・コードの改定案において、企業が抱える現預金を有効活用できているか取締役会に検証を求める項目を織り込んでいる旨の記事があった。こうした背景には企業がお金を抱え込み過ぎているという政府の問題意識がある。

昨年3月末の現預金合計は115兆円とこの10年で約4割増えている模様だが、高市総理はかつて企業の現預金に課税する案を謳ったこともあり企業の中でも近年では中期経営計画においてキャピタルアロケーションの方針を開示する向きも増えてきている。今回の件含めそういった機運の高まりで、新たな中期経営計画の発表に合わせ現預金雄活用方法を打ち出す向きがどの程度出てくるかも注目される。

この改定案はパブリックコメントを経て夏までに正式決定される見通しというが、インフレ下で現預金価値が目減りするのはなにも個人に限ったことではないだけにこうした企業の眠る現預金には投資家からの厳しい視線が向けられるのは想像に難くはなく、企業が従前の短期的視点の株主還元以外の成長投資を考えるよい機会になることに期待したいところだ。


宇宙関連模様

周知のようにNASA(米航空宇宙局)は先週に月の周回をめざす有人宇宙船を打ち上げたが、これが予定の軌道に入り打ち上げは成功したと報じられている。この月を周回する有人飛行としては1972年に月面着陸した米のアポロ計画以来54年ぶりのこととなるが、米主導で日本も参加する月探査計画で30年までに月面着陸構想を掲げる中国との覇権争いの行方が注目される。

この所謂「アルテミス計画」のイベントでは折に触れ宇宙関連銘柄が物色の矛先になるが、今回も地球観測衛星大手やロケと開発を手掛ける米プラネット・ラブズやファイヤフライ等が大幅高となっていた。宇宙関連と言えば東証でもグロース市場に上場する宇宙ゴミ除去技術を手掛けるアストロスケールHDがストップ高まで買われる場面があり、同じくグロース市場のアイスペースやQPSHDにも物色が波及した。

ただ翌日はアストロスケールHDが続伸する一方で、このNASA打ち上げ成功報道の前に次期米国ミッション計画の打ち上げ延期報道でストップ安まで売られた後遺症?でアイスペースは往って来いに売られるなど資金の逃げ足は速い。このポストの宇宙関連企業群は投資が先行し収益化のハードルが高いだけにどうしても上昇の持続性は安定しない傾向にはある。

収益というところでは数年前に本格的に黒字転換している宇宙関連企業の頂点に君臨するイーロン・マスク氏率いる「スペースX」が、いよいよ6月にも上場と報じられている。その時価総額は実に300兆円以上の時価総額を目指すというが、これが実現すれば間違いなく史上最大規模の株式公開となるわけでこの辺も注目しておきたい。


総会前哨戦

先週は12月期決算の上場企業の定時株主総会がピークであった。総会といえばもう近年は株主提案が切っても切れないが、今年のそれは3月の総会としては前年から1割増加し過去最多の33議案の株主提案が機関投資家からあった。とはいうものの大半は結果として否決が相次ぐが賛成比率が3割程度に達する提案も中には散見され、6月の総会を前にこの前哨戦もなかなか緊張感のあるものとなってきている。

アクティビストが大株主の企業は毎度の如く注目されるが、昨年に37期連続増配を発表した花王に社外取締役選任の提案を求めていたオアシス・マネジメントは小林製薬に対し社外取締役を取締役会議長とするための定款変更等を株主提案していた。この提案ははたして否決となっていたが、斯様に近年の提案内容はかつての株主還元一辺倒から斯様なガバナンス関連の議案比率の高まりが顕著だ。

株主提案といえば昨日の日経紙には「個人株主もモノを言う」と題し、アクティビストなどの株主提案に個人の過半が賛同している調査があるなど個人株主もアクティビストに変貌してきた旨の記事が一面を飾っていた。上場企業の株式持ち合い解消の受け皿として安定株主としての個人株主の開拓を株式分割含め進めた結果その数も急拡大している証左ともいえるか。

そういえばこの株式分割も個人株主獲得のため近年では大幅分割をやってのける企業も少なくないが、現行の要件が従前の適用としていることで上記の個人株主がアクティビストに変貌という“例え話”ではなく、実際に個人株主が提案を出せるハードルも大きく下がってきている。物言わぬ株主も大きく変化しているなか6月の株主総会もそういった目線で注意深く見ておきたいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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