春闘2026

昨日は経団連の会長と連合の会長が2026年の賃上げについて東京都内で会談をもうけ、今年の春季労使交渉が事実上スタートしている。昨年はベースアップと定期昇給合計の平均賃上げ率が連合集計で5.25%であったが、5%超えは2年連続。連合としては今年も5%以上の賃上げ率を目標としているところだが、プライム上場の大手一角ではこの連合が掲げる目標を上回る賃金を打ち出しているところが続出している。

これらの中には円安を追い風に輸出でガッツリと稼いだり、或いは内需企業でも強気の価格転嫁で利益を積み増す企業が多いわけだが、一方で中小企業はというとこうした大企業のような恩恵が及ばず取引先にも十分な価格交渉が出来ていない等苦しい状況にあるところが多い。この辺は1月に施行した中小受託取引適正化法などに期待がかかるものの、賃上げにはどの程度の効力があるか未知数だ。

ちなみに昨年の春季労使交渉では連合が上記のような大手企業との格差是正を目指し6%以上の目標を掲げるも結果としては4.65%止まり、今年は更にインフレも加速する見込みで賃上げ余力など含め懸念が残る。政府が悲願としている実質賃金のプラス定着にはこうした中小企業の成長が欠かせず、大手との二極化の是正から中間層も恩恵を受けられるようになるかどうかが焦点だがその兆候が今年は見えてくるか否か注視しておきたい。


脱依存が急務

本日の日経紙グローバル面には「テック向け希少金属 最高値」と題し、中国が生産シェアの大半を占めるEV(電気自動車)向け半導体に使うガリウムやタングステンなどのテック産業を支えるレアメタルが、日中対立の影響で輸出規制の対象懸念などから2002年以降で最高値を付けるなどこういった方面にも波及してきた旨の記事があった。

こうした中国によるレアメタルの輸出規制が懸念されるなか、重要鉱物を手掛ける中国のタングステン企業など24年末からその株価が3倍の水準まで上昇した旨も書いてあったが、国内でも上記のガリウム関連では豪州で生産に向けた調査を始めた双日が今月は上場来高値を更新し、タングステンのリサイクル事業を強化する三菱マテリアルも昨日は日経平均が急落するなかで年初来高値を更新している。

また直近では米政府が米レアアース企業の株式を1割取得し政府から計16億ドルの資金援助を受ける方向で合意との発表から同社株も急騰しているが、先に書いたように日本でもレアアース開発実験に伴い探査船を南鳥島に出航させているほかレアアース不使用の技術に挑む企業も少なくない。斯様に脱中国依存の機運が高まってきており、折に触れこれら関連株も物色対象として資金の矛先が向かう展開になるか。


逆風下での逆行高

さて、フジサンケイグループへの圧力をじわじわと強めている旧村上ファンドの村上氏の長女だが、先週末のマーケット引け後にはサンケイリアルエステート投資法人の持ち分を7.36%取得したことが明らかにされている。ココは既に年明けに子会社が一任契約で運営管理するファンドのTOB実施が伝えられ同価格にサヤ寄せする格好で急騰を演じた経緯があるが、この報を受け本日は年初来高値を更新しこのTOB価格を上回る急騰を演じている。

ところでこのREITといえば有利子負債を多く抱え教科書的には近年の金利上昇圧力が逆風になるはずだが、当のマーケットは各市況の好転や資本効率の改善などを背景に、東証REIT指数は約4年ぶりの高値圏で推移しており先の日経紙では低迷する米はもとより豪州、シンガポールのパフォーマンスをも上回りきれいな上昇トレンドを描いている模様の旨が書かれていた。

こういった中で、上記の村上氏もそうだが国内のREIT市場にもアクティビストの手が伸びてきている。今からちょうど1年前にはシンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズがNTT都市開発リートに対してTOBの発表をしており、さらに同ファンドは翌月にも阪急阪神リート投資法人に対してもTOBを実施する旨を発表している。

ちなみにこのTOB劇はその後いずれも不成立に終わっているが、株式市場で親子上場解消の動きが進むなかこうした動きは今後も活発化してくるか。株式市場のみならずREIT市場でもアクティビストがカタリストとしてその存在がクローズアップされてくるか否か、今後もその動向に注目しておきたい。


宝飾品にも波及

今週はグリーンランドを巡るトランプ政権と欧州の対立が警戒されるなか投資家のリスク回避姿勢が強まり金価格が急騰、ニューヨーク先物は中心限月で初めて1オンス4800ドルの大台を突破し史上最高値を更新、国内価格の指標となる田中貴金属工業の小売価格も遂に1グラム27000円を超え史上最高値を更新した。斯様な状況で米ゴールドマンサックスGは直近のリポートで今年末価格見通しを5400ドルへと上方修正している。

さて、上方修正は価格見通しだけでなく斯様な急騰を背景に今週はやはりというか挙って宝飾品も値上げが開始されている。ラグジュアリーブランドではカルティエがアイコンともいえるトリニティリングを約8.5%、戦々恐々の噂があったダムールに至ってはやはりというか30%以上もの値上げとなっている。銀の小売価格も史上最高値を更新するなかティファニーも人気のオープンハートが約9%の値上げ、平均で約5%ほどの値上げが今週から始まっている。

今週はこの手のラグジュアリーブランドに限らず国内でもスタージュエリーなどは全体の6割にあたる約1800点を10~15%値上げする。ハイブランド等はこれまでも対ユーロでの円安を理由に年数回の値上げを繰り前してきたが、これらと合せるとここ数年から10年で価格が2倍、モノによっては3倍以上に化けた商品も少なくない。背伸びして何とか購入してきた向きにはいよいよ高嶺の花になりつつあるか。

昨年の8月頃だったか1~6月期決算においてエルメスとLVMHモエヘネシー・ルイヴィトの両者で増収増益と減収減益の明暗が分かれた旨を取り上げた事があったが、その時に「~ある程度手が届く領域はそれだけ顧客の分布も多い~」と書いていたが、上記のティファニーなどこのLVMH傘下にあるだけにこの値上げの影響がどちらに転ぶのか今後の決算関係には注目しておきたいところ。


市場退出が増加傾向

本日も日経平均は続落しこれで5日続落となったが、奇しくも昨年もこの1月中旬に5日続落を記録している。衆院解散を手掛かりに上昇してきた銘柄勢の売り物が目立つが、日経平均上昇に関係なく置き去りになっているのが東証グロース市場か。先の日経紙でも22年4月の3市場再編以来、プライム市場とスタンダード市場が最高値圏にあるのに対し、グロース市場は発足時を下回るアンダーパフォームと不甲斐ない状況となっている旨が書かれていた。

そんなグロース市場だが、先週末の日経紙ビジネス面では「グロース企業のM&A最高」と題し、成長に向けM&Aを活用する新興企業が増加しそのM&A金額は昨年には前年比で63%増の7495億円と過去最高になった旨の記事があった。また件数も247件と15%増加しこちらも過去10年で最高というが、所謂“小粒上場”を減らすという東証改革の影響で大手への傘下入りやMBOを選択する企業が増加している模様。

確かに先月も建設業のドラフトがMBOで市場からその姿を消し、その前にはDX教育支援のアイデミーがアクセンチュア傘下に、更に遡れば人材紹介のトライトはカーライルに買収され、投資用マンション販売のLeTechも住友林業傘下となり市場から姿を消している。上記の通り30年以降の時価総額基準を見据えた動きともいえるが、グロース以外のポストも東証要請を背景に退出組の増加は今後も続くことになるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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