浸透してきたコモディティー系

本日の日経紙グローバル市場面では「オルカン買い意欲衰えず」と題し、新NISAを起点に投資の波が広がり25・26年の純流入額で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、所謂“オルカン”が不動の首位となっている旨が出ていた。これに続くのが「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」であったが、4位には「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」のコモディティー系が顔を出している。

特に貴金属系は近年稀に見る驚異の上昇率を昨年に演じたことで俄然注目度が高まった模様だが、そのパフォーマンスも昨年末から先週までで首位のオルカンの6.6%の倍近く上回る12.3%を叩き出している。ゴールドものでは9位にも「三菱UFJ純金ファンド」がランクインしていたが、先週末の日経紙でも世界のETFが直近1週間で21億ドルの純流入を記録し前週から2週連続で買い越しになった旨の記事があった。

この金ETFも相場が異常な高騰を演じた昨年には、受益権1口あたりの市場価格が純資産額にあたる基準価格と比べ異常乖離するなどの場面が何度かありその都度注意喚起がなされたのを思い出す。直近で今年の日本の第一四半期のETF資金フローが報じられているが、資産クラス別での金関連は継続的な需要がみられるという。地政学的な不確実性が払拭されないなか引き続き投資家のポートフォリオ分散の姿勢が継続されるか。


春の丑の日

本日は春の「土用の丑の日」、“一の丑”である。夏の丑の日はよく知られるところだが、この夏にあやかって春も商機とする向きも最近では増加傾向にある。ところでこのウナギだが今春は前年同期比でところによっては約2割前後安くなっているのも散見され、この物価高に追い打ちがかかっているなか消費者にとってちょっとした朗報でもあるか。

日本は言わずもがな世界最大のウナギ消費国だが、この消費量のうち約7~8割を中国からの輸入が占めている。この安価傾向になってきた背景の一つとして言われているのが豊漁で飽和状態にあった屋内養殖場の買い付け絞り込みと併せ、この中国が昨年の春に上限を3倍近く超える数の稚魚を捕るなどしたことで供給過剰状態となり輸出価格が急落しているという構図だ

昨年末だったか当欄でEUが提案していたウナギの国際取引の規制強化案を取り上げた先に、「乱獲の疑義かかかる中国はじめ資源管理の強化は欠かせない」と書いた事があったが自業自得だろう。それはさておき今月から新年度、そして新生活を送る中ではや疲れが出ている向きもいるとは思うが、斯様な事情でお手頃になったウナギでスタミナを付けるのも良いかもしれない。


FOMOが作る強気

さて、イランがホルムズ海峡の開放を表明したことで週末の米株式相場は大幅上昇しダウ工業株30種平均は米国がイランを攻撃する直前の水準を回復し、ナスダックに至っては13連騰で最高値を付けている。週末のシカゴ日経平均先物も一時6万円の大台超えを演じていたが、米、イラン共にこの報道を額面通り受け取れない続報もあり週明けの東証は反発こそしたものの6万円は一旦お預けとなった。

まあそれでもMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスも最高値を付けてきており世界的な株価の回復が鮮明だ。取り巻く環境は双方の食い違う報道合戦もあり実際のところ何も変わってはいないどころか悪化している感さえあるが、マーケットはFOMO(FearOfMissingOut)の動きもありもうほぼイラン情勢の解決を先取りしたような格好になっている。

好感材料として確かに諸々の報道で原油価格も大幅下落となっているが、それでもこちらは攻撃前水準の60ドル台まで降りてきていない。現在の米EIA見通しでは今年の原油平均価格は前年から3割程度の上昇を見込んでいるが、2月の当欄でも書いたように今年10~15%増益がコンセンサスとなっているTOPIXのEPSにどの程度この辺が影響するのかどうかが焦点だろうか。

この辺はそれなりにバッファーがあるためにこの原油高が足枷とはなってもある程度の増益は確保出来るとの一部指摘があるが、この辺はフタを開けてみるまでわからないだろう。それにしても今回は今までの“TACO相場”とは違うという警戒論にも耳を貸さずに“TACO投資”に賭けた向きはまたも正解だったということになるが、FOMOが蔓延するTACO相場は何時まで続くのやら正常化の道はまだ遠いか。


ドンキが買ったお値打ち?品

先週の全市場の週間値上がり率ランキングのトップに躍り出たのは東証スタンダード市場の「オリンピック」の75.93%であったが、これは言わずもがなドン・キホーテ運営のPPIH(パンパシフィック・インターナショナルホールデイングス)が同社の買収を発表したことによるもの。かねてよりこのオリンピックが狙われている噂は燻っていたが、結局PPIHが同社を手中に収めることになる。

今月に入ってから某月刊誌のリークでフライング的に同社に買いが殺到したかっこうだったが、商いもマバラな急騰前の値段でPBRは約0.5倍程度、PPIHによる取得額は約250億円と報じられているところからすると単純に現店舗数から弾いて1店舗あたり2億円台で手に入ることになる。店舗の立地と地価、資材価格など諸々考慮すれば金額としてはかなり“おいしい”案件であろうかというもの。

イメージ的には繁華街に強いドンキに対してオリンピックは住宅地という感じであったが、ドンキといえばこれまでかつて東証一部に上場していた長崎屋や、同じく東証一部に上場していたユニーを買収してきた経緯がある。共に経営不振であったスーパーでそれぞれ狙う部分があっての買収劇だったが、今回の買収ではドンキが手薄であった住宅立地を破格の条件でカバーすることになるか。

これまで大型再編で目立った動きがあった業界ではホームセンターや近年で目立ってきたのはドラッグストア業界であったが、この買収も人口が減りつつあるなか小売業の企業間格差が如実に現れた一例か。この業界では昨年にもトライアルHDが旧セゾングループの西友を買収しているが、引き続き業界の勢力図がどう変わってゆくのか今後も注目しておきたい。


金の卵、旧東芝メモリ

昨日の日経紙投資面では「東芝株主銘柄に物色」と題し、東芝が擁する「キオクシア株式」の急騰によりかつて東芝に出資した企業に投資家が物色の矛先を向けている旨の記事があった。この頁ではロームはじめ4社が載っていたが、なるほどこのうちロームは昨日に急反発して年初来高値を更新、また日本特殊陶業も本日はザラバで上場来高値を更新してきている。

またこの物色要因になっているところのキオクシア株も破竹の勢いだ。昨日は米市場でサンディスクが上昇したのを背景に大幅続伸してこちらも年初来高値を更新してきている。この株、今年の大発会が11350円であったから4か月目に入ったところではや株価は3倍に化けている。しかし思い返せば一昨年に上場した際の初値は公開価格をも下回るたったの1440円であったから“テンバガー”どころの騒ぎではないだろう。

それは兎も角もこうなると当の東芝が再上場した時の胸算用で思惑が出てくるのも自然な流れだろう。同社の再上場は今のところ最短で2028年と想定されている模様だが、こうしたケースで間接的に“お宝”を擁するという視点で見れば出資先からの恩恵にあずかっている企業も少なくなく、東芝再上場の暁には再度この手の企業に物色の矛先が向かう可能性もあり今から種を蒔いておくのも面白そうだ。


ナフサが株価も直撃

昨日の株式市場では後場からTOTO株が後場に入ってから急落を演じた。これは中東情勢緊迫化でナフサ等の供給が滞る中、商品に使われる原材料の一部が不足している事から昨日付けで同社が取引先にユニットバスとシステムバスの新規受注を停止したことによるもの。ナフサに絡んでは一昨日の日経紙でも住宅価格や建材メーカーの在庫に影響が出る可能性を報じている。

建材メーカーではタカラスタンダードも同日に原材料の調達が不安定な状況で、こうした事態が長期化した場合はあらゆる方面に影響が出るとしており同社株も本日は大幅続落して年初来安値を更新していた。また住宅設備大手のリクシルも生産コストなどが上昇し自社努力の範囲を超える状況となっていることで出荷制限や価格改定の可能性に言及、こちらの株価も週明けは急反落し年初来安値を更新している。

また旭化成もサランラップの値上げは避けられないとの認識を示しており、ガソリンやら軽油やらといった原油価格が直撃するモノから化学素材を通じて実体経済に波及してきた感じだ。政府側は少なくとも国内需要4か月分を確保など時間軸で報じているが実際の在庫は如何ほどなのいか?諸外国では既に消費抑制の動きが活発化しているが、関連各社の動向と併せて身構える動きが続きそうだ。


インサイダー天国?

先週末の日経紙オピニオンでは「軍事を賭ける市場の危うさ」と題し、イスラエル当局が昨年のイラン攻撃を巡り米予測市場のポリマーケットでインサイダー取引をしていた2人を起訴した旨の記事があった。ポリマーケットについては当欄でも昨年末から取り上げているが、上記のイスラエルの件の後も今年に入ってからはベネズエラ攻撃を巡っても不自然な取引が報じられていた経緯がある。

直近ではパキスタンが仲介した米とイランの停戦協議も合意に至らず物別れに終わりまた事態は混沌としてきたが、既に先月には原油の先物取引においてトランプ米大統領がSNSにイランと生産的な対話を行ったと投稿し価格が急落した際に、この投稿の15分前に取引が急増した旨も報じられている。FTではWTIと北海ブレントの先物で計6200件、約920億円相当の取引が行われた他、天然ガスや米主要株価指数先物取引でも同じタイミングで取引急増した旨を報じている。

斯様な不自然な取引が相次いで報告されていることを受けて米政府は職員に対し予測市場や先物市場などでインサイダー取引をしないように警告した旨も報じられているが、先月末には超党派の上院議員たちが連邦政府職員や議員らが公務で得た非公開情報を使って予測市場で利益を得ることを禁じる法案が提出されている。

しかしこの予測市場、二者択一に賭けるシンプルさやその対象となる予測の多彩さを見るに市場の急成長も頷けるところだ。しかしこれもスポーツ賭博の“八百長”の如く結果を左右出来るようなある程度巨大な“闇の力”を持つ向きが挙って参加してくるとなるとなんとも恐い。定量的なデータに一役買い大手取引所も予測市場に出資するまでになった一方、上記のような部分の警鐘も自ずと出てこようか。


伸びるリユース市場と業態転換

先週末の日経夕刊マーケット・投資面では日経ヴェリタスから「リユース市場、物価高で追い風」と題し、物価高で家計の負担が強まる中、お金を節約しようと衣服や家電などのリユース日の需要が増えている旨の記事が載っていた。ここではリユース業界首位の「ゲオHD」が取り上げられていたが、ここもかつてのレンタルビデオ事業から今やすっかりリユース事業が主軸に変貌している。

またリユース品の真贋判定にAIを活用しているとして「コメ兵HD」も取り上げられていたが、同社といえばJフロントリテイリングと合弁で中古ブランド買い取り専門店の「MEGRUS」を旗艦店の大丸東京店内に開設しており、またブックオフGHDも業態転換組だが、同社もまた高島屋S.C.内に買い取り専門店の「hugall」を展開している。この辺は共に百貨店の持つ富裕層顧客基盤も狙いのうちか。

しかしリユース市場が年々拡大してきたのは上記のヴェリタス記事のように物価高で家計負担が強まりそのためにお金を節約しようという動きもあるが、加えて中古となった製品にも第2のステージを与えてそのライフサイクルを伸ばし更によりサステナブルな消費の在り方を促進するという社会価値の創造機運という部分もまた背景にあるだろうか。

いずれにせよ斯様なことでリユースの市場規模は近年右肩上がりで、ちょうど1兆円を超えたあたりの2009年から2017年にはこれが2兆円の大台に乗り、更に2023年には3兆円の大台をも超えてこの先も拡大基調が続き2030年には約4兆円にもなると試算されている。市場環境や消費者ニーズも変化するなか、上記のように企業も先見性と柔軟性で進化する向きが今後も増えそうだ。


トレンドを超えるか

本日の日経紙の国際・アジアBiz面では「米食品で健康シフト進む」と題し、近年流行りの糖尿病・肥満症治療薬の「GLP-1薬」利用者増を背景として炭水化物や脂質の多い所謂ジャンクフード市場が先細りになってきたことで、食品各社は健康維持に重要なタンパク質や食物繊維の多い新商品を開発し増産に力を入れ始めるなど商品戦略の変更を迫られている旨の記事があった。

当欄ではGLP-1受容体作動薬については一昨年のちょうど今頃に取り上げた経緯があるが、当時主流だったウゴービやオゼンピックを製造する製薬大手ノボノルディスクファーマは、時価総額がラグジュアリーブランドのLVMHやM7の一角でもある米テスラを抜いたりしたものだったのを思い出す。あれから2年、今や米国成人の8人に1人が何らかのGLP-1薬を使用しているという。

その辺は兎も角も、もともとコロナ禍で在宅時間が増えた事による体重増加などで健康に対する意識が大きく変わったことによる食市場の変化はあったが、この手の受容体作動薬の普及でより一層変貌している感がある。これらに合致する日本食への注目度もかつてないほど高まっているようだが、健康の捉え方は世代間で変わるもののこの傾向が一時的なトレンドを超えて一つの潮流となってくるかどうか今後の動向も注視しておきたい。


崩れるか現預金の山

先週末の日経紙総合面には「現預金ため込み是正促す」と題し、金融庁と東京証券取引所が取りまとめた上場企業に向けたコーポレートガバナンス・コードの改定案において、企業が抱える現預金を有効活用できているか取締役会に検証を求める項目を織り込んでいる旨の記事があった。こうした背景には企業がお金を抱え込み過ぎているという政府の問題意識がある。

昨年3月末の現預金合計は115兆円とこの10年で約4割増えている模様だが、高市総理はかつて企業の現預金に課税する案を謳ったこともあり企業の中でも近年では中期経営計画においてキャピタルアロケーションの方針を開示する向きも増えてきている。今回の件含めそういった機運の高まりで、新たな中期経営計画の発表に合わせ現預金雄活用方法を打ち出す向きがどの程度出てくるかも注目される。

この改定案はパブリックコメントを経て夏までに正式決定される見通しというが、インフレ下で現預金価値が目減りするのはなにも個人に限ったことではないだけにこうした企業の眠る現預金には投資家からの厳しい視線が向けられるのは想像に難くはなく、企業が従前の短期的視点の株主還元以外の成長投資を考えるよい機会になることに期待したいところだ。


宇宙関連模様

周知のようにNASA(米航空宇宙局)は先週に月の周回をめざす有人宇宙船を打ち上げたが、これが予定の軌道に入り打ち上げは成功したと報じられている。この月を周回する有人飛行としては1972年に月面着陸した米のアポロ計画以来54年ぶりのこととなるが、米主導で日本も参加する月探査計画で30年までに月面着陸構想を掲げる中国との覇権争いの行方が注目される。

この所謂「アルテミス計画」のイベントでは折に触れ宇宙関連銘柄が物色の矛先になるが、今回も地球観測衛星大手やロケと開発を手掛ける米プラネット・ラブズやファイヤフライ等が大幅高となっていた。宇宙関連と言えば東証でもグロース市場に上場する宇宙ゴミ除去技術を手掛けるアストロスケールHDがストップ高まで買われる場面があり、同じくグロース市場のアイスペースやQPSHDにも物色が波及した。

ただ翌日はアストロスケールHDが続伸する一方で、このNASA打ち上げ成功報道の前に次期米国ミッション計画の打ち上げ延期報道でストップ安まで売られた後遺症?でアイスペースは往って来いに売られるなど資金の逃げ足は速い。このポストの宇宙関連企業群は投資が先行し収益化のハードルが高いだけにどうしても上昇の持続性は安定しない傾向にはある。

収益というところでは数年前に本格的に黒字転換している宇宙関連企業の頂点に君臨するイーロン・マスク氏率いる「スペースX」が、いよいよ6月にも上場と報じられている。その時価総額は実に300兆円以上の時価総額を目指すというが、これが実現すれば間違いなく史上最大規模の株式公開となるわけでこの辺も注目しておきたい。


総会前哨戦

先週は12月期決算の上場企業の定時株主総会がピークであった。総会といえばもう近年は株主提案が切っても切れないが、今年のそれは3月の総会としては前年から1割増加し過去最多の33議案の株主提案が機関投資家からあった。とはいうものの大半は結果として否決が相次ぐが賛成比率が3割程度に達する提案も中には散見され、6月の総会を前にこの前哨戦もなかなか緊張感のあるものとなってきている。

アクティビストが大株主の企業は毎度の如く注目されるが、昨年に37期連続増配を発表した花王に社外取締役選任の提案を求めていたオアシス・マネジメントは小林製薬に対し社外取締役を取締役会議長とするための定款変更等を株主提案していた。この提案ははたして否決となっていたが、斯様に近年の提案内容はかつての株主還元一辺倒から斯様なガバナンス関連の議案比率の高まりが顕著だ。

株主提案といえば昨日の日経紙には「個人株主もモノを言う」と題し、アクティビストなどの株主提案に個人の過半が賛同している調査があるなど個人株主もアクティビストに変貌してきた旨の記事が一面を飾っていた。上場企業の株式持ち合い解消の受け皿として安定株主としての個人株主の開拓を株式分割含め進めた結果その数も急拡大している証左ともいえるか。

そういえばこの株式分割も個人株主獲得のため近年では大幅分割をやってのける企業も少なくないが、現行の要件が従前の適用としていることで上記の個人株主がアクティビストに変貌という“例え話”ではなく、実際に個人株主が提案を出せるハードルも大きく下がってきている。物言わぬ株主も大きく変化しているなか6月の株主総会もそういった目線で注意深く見ておきたいところだ。