他人事ではないジェイコム事件
さて、直近でも「くりっく365」で起きた南アランド・円が僅か1分間そこそこで暴落してしまった事件をコメントした際にジェイコム事件などにも少し触れてみたが、そのちょうど4年前の今頃に起きたジェイコム事件の判決が先週末に東京地裁で言い渡された。
今でも当時のパニック状態になった市場の様子が鮮明に蘇るが、会員が取引所を訴える前代未聞のこの訴訟、結審まで3年掛かりその司法判断が注目されたが、果たして東証の重過失を一部認定し約107億円の賠償を命令する結果となった。今後控訴審まで持ち込まれるか否かは兎も角として、またも気になるのが当欄でも触れた事のある同所の上場計画であろう。
社長は早期上場計画に変更は無いとしているが、ディスクロされている09年3月決算は税引き後利益が36億円の赤字、今回のこの約107億円の引き当てをすれば余程の事が無い限り次期も赤字になる可能性は大。二期連続赤字で再三引き伸ばしてきた上場計画がまたも延期になるかこれを当て込んでいた関係者の心中も穏やかではないだろう。
さてそんな個別の上場計画は兎も角、今回の判決は先に当欄で書いた「在り得ない事も在り得る」に対して「故意にほとんど近い」と司法がメスを入れたサンプルケース。取引所がことシステム関係においては第三者からの意見に聞く耳を持たないという話しは今迄無数にあったが、今後上記の東京金融取引所や先週触れた商品取引所に取っても他人事ではなく、市場開設者としての責任という物を重く認識させる重要な一件になろうか。