世論と文化
さて、13日から中東のカタールで始まったワシントン条約締結国会議も大詰めだが、前にも一度触れたように西洋クロマグロの取引規制を巡っての思惑が飛び交っており、輸出禁止の場合、クロマグロの国内流通量は半減するとも一般的にはいわれている。
ただそこは悲しいかな、長引く景気低迷からの消費落込みで現在では2万トン超の在庫があり、パニックなどという懸念はないとの指摘も多い。確かに昨今の低価格志向を背景に、これら高級食材を取り巻く環境は激変している感もある。この手の魚モノでは年明けのフグの初セリは4割も安かった模様だし、いつだったか高級食材の卸値と前年同期比での下落率等を見た時には特にこの水産物が酷く、クロマグロやカニなどで3割近い下落となっていたのを思い出した。
そんな中でこの世論、昨年の秋にも書いたようにクロマグロ食材に関しては既に英「ゴードンラムゼイ」のレストランやら「NOBU」などは代替魚若しくは提供中止の措置を取っている。高級レストラン勢が加盟する協会「ルレ・エ・シャトー」でも不使用宣言を出し、「エノテカ・ピンキオ−リ」や「トロワグロ」など錚々たる面子がサイン済みとか。
さて、こういったインターナショナルに展開する向きの一方で、同協会には日本も有名旅館やレストランが加盟しているが、こちらは「オテル・ドゥ・ミクニ」始めとして殆どが同宣言に反対に回っているとか。この問題、賛否両論あるものの、ちょうど先週末にも書いた通りひとつの文化だけに、やはり画一的に測れない部分もありおいそれと承諾しない態度には安堵感さえ覚えるのも正直なところである。