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日経・東工取商品指数上場

周知の通り、本日は東京工業品取引所において「日経・東工取指数」がはれて上場の運びとなった。

本日の日経紙朝刊でも広告が出ておりそこにはこの指数のメリットとして、1.分散投資による資産運用、2.物価変動リスクをヘッジ、3.取引期限のない限日取引で長期投資に活用とあるが、今回の売りとして注目はやはり3の「限日取引」の部分か。かねがね業界活性化論上において一部には限月取引のデメリットを指摘してきた向きも多く、ここ近年のFX取引の台頭なども更にこれらの限日取引待望論を増幅させていた面もある。

まあ、限月があればこそスクイズその他の旨みも多いのだが、近年の取組や参加者誘致の趣旨?からはこうしたものの上場が急務だったのは事実だろう。しかし株式でいうところの日経平均やTOPIXのような指数がそもそも今迄取引されてなかった事自体もおかしな話である。そう考えるとこんな大型商品の初モノ上場はもっと喧伝されていて然るべしであるし、全社が参加していて当然という視点で現状を見るとなんとも静かな感は否めない。

ともあれ、次の展開としてはこれに連動するETFやらブルベア物の投信の登場はもうお約束のようなものだろう。更に年金など機関投資家等をも視野に入れた場合、これを利用してくれるかどうかはベンチマークとしての要件を満たしているか否かに懸かってくるワケで、市場管理含め今後の運営がいろいろと注目されるところでもある。


世論と文化

さて、13日から中東のカタールで始まったワシントン条約締結国会議も大詰めだが、前にも一度触れたように西洋クロマグロの取引規制を巡っての思惑が飛び交っており、輸出禁止の場合、クロマグロの国内流通量は半減するとも一般的にはいわれている。

ただそこは悲しいかな、長引く景気低迷からの消費落込みで現在では2万トン超の在庫があり、パニックなどという懸念はないとの指摘も多い。確かに昨今の低価格志向を背景に、これら高級食材を取り巻く環境は激変している感もある。この手の魚モノでは年明けのフグの初セリは4割も安かった模様だし、いつだったか高級食材の卸値と前年同期比での下落率等を見た時には特にこの水産物が酷く、クロマグロやカニなどで3割近い下落となっていたのを思い出した。

そんな中でこの世論、昨年の秋にも書いたようにクロマグロ食材に関しては既に英「ゴードンラムゼイ」のレストランやら「NOBU」などは代替魚若しくは提供中止の措置を取っている。高級レストラン勢が加盟する協会「ルレ・エ・シャトー」でも不使用宣言を出し、「エノテカ・ピンキオ−リ」や「トロワグロ」など錚々たる面子がサイン済みとか。

さて、こういったインターナショナルに展開する向きの一方で、同協会には日本も有名旅館やレストランが加盟しているが、こちらは「オテル・ドゥ・ミクニ」始めとして殆どが同宣言に反対に回っているとか。この問題、賛否両論あるものの、ちょうど先週末にも書いた通りひとつの文化だけに、やはり画一的に測れない部分もありおいそれと承諾しない態度には安堵感さえ覚えるのも正直なところである。


一つの布石

FUTURES PRESSでも既報の通り、昨日には東京工業品取引所と東京穀物取引所が取引システムを2011年度をメドに統合することで基本合意したと発表している。この件も漸くという感あり。

さて、この世界最高水準の処理速度を誇るTOCOMシステムでヘッジファンドなど海外マネーを取り込むと東穀取の鼻息も荒いが、一方の東工取も2010年度から3ヵ年の中期計画を纏めている。大まかな内容では5億円以上の経常利益を目指し、事業戦略では上場商品の検討対象からA重油をはずしLNGを加えるとしている。

この辺は市場連動の値決め方式で比率の低いモノが外されたなという感じだが、それは兎も角もLNGはかねてより当業勢から上場の要望が強かった商品である。こうして両者見てみるとヘッジファンドやら当業者やらと、やはり誘致したいターゲット層は一般からどんどん離れてゆく感は否めないが果たして方向性は変わることはないかなともつくづく。

さて話は戻るが、この東穀取、過去にも書いたようにザラバ移行のドタバタ劇でいい思い出は何一つ無かったが、イニシャルコストからランニングコストなど担保余力一つ絡めてもこれまた難題、自ずと合併(吸収)論もまたぞろ浮上してくるのも必至か。


上場機運

さて、先週末には米大手ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)がニューヨーク証券取引所への株式上場計画を明らかにしている。発行済株式数の約3割を売り出す予定で、上場規模は推定で約22億ドルに上るという。

そういえばこのKKR、3年近く前にも当欄では上場予定に触れた事があったが、リーマン・ショックの影響も大きく延び延びになっていた模様。大手ファンドの上場事例としては昨日書いた中国の資源メジャーへのM&A案件の背後に一部絡んでいたとも指摘されているブラック・ストーン・グループがあったが、そういえばKKRも日興プリンシパルなどに食指を動かしていた時期もあったなと思い出す。

何れも既に国内には根をおろしており、このKKRの方は数年前にはあの資生堂の福原名誉会長をシニアアドバイザーに任命しているあたりが面白い。ちょうど今も銀座で「私と蘭」なる写真展を開催するなど文化人でもある同氏の視点からあらたな展開があるか、またこの上場でLBO事業など顕著化してくるかどうかである。

さて、新規上場といえば今年は国内でも大型モノとしては間近に控える第一生命、そして大塚HDなどが期待されている。上場効果から一般的には大量のマネーが市場に流れ出てGDPを押し上げるとまでいわれているのに加えて、昔のマンモス企業上場効果の連想で証券人口増加から証券会社の期待も其れなりに大きい。世界的にこうした機運が盛り上がりを見せ、景気回復の一助となるか注目される。


資源メジャーと市況

本日の株式市場は重要日程を控えてまたも膠着状態であったが、その中でもここしっかり推移なのは海運系か。海運といえばやはり穀物などのコモディティー同様に落とせないのがBDI(バルチック海運指数)で、週末も前日比190ポイント高の3506ポイントと急伸、この辺の連日の年初来高値がこれらのポストを刺激しているのは明らかだろう。

そういえばここ最近の日経紙各面などには日本郵船や商船三井の社長インタビューが載っているのを見掛けたが、昨日記を見れば実際の海上輸送量でいえば鉄鉱石は09年に前年比7%増えてリーマン・ショック前を抜いているらしい。まあ、数年前に当欄でこのバルチック海運指数に触れた当時は、実に10000ポイント超の史上最高値更新などというのを考えれば確かに伸びしろも期待出来そうなものである。

ところで輸送量が増えたという上記の鉄鉱石、世界の海上輸送の要となるのは当然ながら中国だが、今期大幅値上げが予測されている中、低コストのものを法外な値段に引上げようとしていると資源メジャーへの見方は厳しい。折しも昨日の日経社説など、現物市場で売買する鉄鉱石の価格は今年度の国内鉄鋼各社契約価格より9割高いと指摘され、資源高による景気失速に警戒を怠るなとしている。

こうした資源モノの物色など海運ポストの動意からさて次は商社関係などとその連想がいわれそうなものだが、それ以前にそういえば以前触れた豪州での鉄鉱石先物等この辺はどうなっているのだろう?資源メジャーへのM&Aも上記の経緯もあって中国大手が食指を伸ばしているし、取引所創設やM&Aもこうした事態に鑑み経済に支障をきたさないような整備が望まれるところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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