禍根を残すファイナンス
さて、連休明けの日経平均は円高圧力に潰されて9,400円割れと一週間ぶりの安値で終った。この依然円高の中ではハイテク系との格差でNT倍率の変化にも注目だが、TOPIX系でも先週は金融庁がメガバンクに対して国際基準を上回る資本の積み増しを求める事を検討との報道から、先週は4日の「投資の日」から翌日にかけて主力の金融株群が揃って年初来安値更新となっていたのが印象的であった。
目先で見れば「投資の日」がまさにこれらの絶好の仕込み場となったワケだが当初でこそ権利付き取引最終日には中間配有無ではこう色が見られたのも束の間、今月に入ってからは一緒くたに叩かれていた。中でも低位のみずほFGなどは下げがキツイ、今でこそ若干戻りを入れているが先の新安値では110円ドタまで売られ先のファイナンスに応じた向き全体ではこの段階で総額1,000億円以上もの値洗い損を抱えたことになる。
直近では同庁が上記の件を否定した事でショートカバー等からこれらの戻りがここ目立つ動きあり、金融政策決定会合での日銀のゼロ金利政策復活の報ありで、銀行は収益増加期待も加わり株価にとってはいいトリガーになった筈だが、ここからが正念場。現在の好環境が消化し尽くされてしまうとまた上げ拗れを先導する事になりかねないが、その辺は公募価格奪回から更に上に持っていけるか否かに掛かっているだろうか。
しかし、それにしても今年7月に取り上げた国際石油開発帝石のファイナンスに続き、直近では東京電力のファイナンス実施の報があった。今月6日付け日経紙財務面では「問われる資金の活用」とのタイトルがあったが、ここに出ていたように納税資金などという用途に充てた企業あり、また同紙には書かれていなかったが使用目的も無いのに1,000億円以上も調達した企業もあった。
今後これらの批判もクローズアップされてこようが、東電などが今日もまた年初来安値更新しているように株価への批判も益々顕著になってくるのは想像に難くないか。