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脇役の脚光・2

昨晩のNY市場では金がまた最高値を更新していたが、メタル系では5日付け日経紙一面にも同市場で先週末の銀の国際価格が約30年ぶりの高値水準にまでなっている旨が載っており、週明けもまた続騰である。これもまた今迄述べて来たように米国の追加金融緩和で投機資金が流れ込んでいる影響が多分にあり、実物資産が次々とターゲットになっている。

さて、銀といえば先の10月にも取り上げた通り、先行する金を引き合いに金銀比価論や史上最高値までへの伸びしろなども取り沙汰されていたが果たしてこうした割安?感が奏功し消去法的な買いもそれを押し上げている。ファンダメンタルズとスペキュレートの両面でコモディティーはその値を形成しているが、工業メタルなどはファンダメンタルズが褪せると逃げ足も速い。ただ今回は金とのリンクがいわれている中、そうしたサポートもあって下値は堅いとの見方もある。

ところでこれに限らずサブ的なコモディティーの逃げ足が速いという部分には、かつて破綻したファンドや投機筋などが買占めを謀った例にも見られるように当然その市場規模という問題も背景にある。昨日は出来高を伴い住友鉱など物色されていたが、これとて銅絡みではLME在庫の半分以上を一部トレーダーが押さえているとかで警戒論も一部にある。

またここ数年ETFが増殖しているが、当初はこの市場規模云々で警戒論が其処彼処で飛び交ったものだ。事実水面下では上記の銅など地金不足で対応不可なケースも出てきているものの、それでも現在ではラインナップが続々と続く。結局その手当て買いも広義では上記の筋に近いものがあろうが、産業界では依然として警戒論が強いのも当然といえば当然か。


JASDAQ-TOP20

さて、ETFについて直近ではパラジウムETFや新規モノではVIX指数を対象にしたものなどに触れたが、新規モノといえば先週末には「JASDAQ-TOP20ETF」が先月16日の上場承認を経て大証に新規上場の運びとなった。

ご存知の通りJASDAQ-TOP20は、ジャスダックとヘラクレス(旧)の市場統合と共に算出が始まった新指数であるが、果たして初値は基準値1,597円を上回る1,623円で寄ったもののあと売られていたが、本日は全般膠着の中で新高値と順調な滑り出しとなっている。

しかし、やはりモノは新興市場だけに個別で時価総額の小粒な物はそのインパクトが大きい。組成の為に前日までに買い付けの用があるものの、上場承認時の先月16日から例えば「ベクター」は80,000円から152,500円、「ユビキタス」は143,000円から289,000円などそれぞれ株価は一週間そこそこで倍化するなど急騰、まさに新興市場の本領発揮といったところか。

斯様に当のETFが上場する前に目敏い向きは単発で一回転が利いたといったところだが、このETFなど安定してくれば機関投資家などのベンチマークとなる可能性が一段と現実味を帯びて来る。またこうした組成もそうだが他との差別化という意味合いも含め新市場の真価が問われてくるのはこれからだろうか。


現物志向色々

さて今週は週初の日経紙上で、絵画など美術品のオークションが長引く景気低迷により落札価格が下がったことから、これに参加する一般の人が増えている旨が載っていた。同紙には絵画や陶磁器の「投資適格順位表」なる物も載せてあったが、斯様にこの押し目?を投資対象として捉える側面も書かれている。

さて、こうしたパブリックなものから有名芸術家作品が続々登場するのはクリスティーズやサザビーズなどやはり大手どころ。今週はまた作品価値66億円を超えるといわれるパブロ・ピカソの未公開作品が大量に見つかった旨が報じられていたが、このピカソなど「ヌード、観葉植物と胸像」は美術品最高額の約100億円で競り落とされたのが話題になっていた。

上記のパブリック系ではまだまだ手頃な出物が出て来ているようだが、こちらは名品を手放す向きがある一方で主要国の金融緩和で大量に出回った過剰流動性がこれらを呑み込み、作品全般で価格も急上昇という。

近年コモディティーがより一層金融商品の色彩を濃くし始めたのは周知の通りだが、そこで受け皿から溢れた一部は美術品という現物への志向も強くしている。以前当欄で書いたようにリーマン・ショックの二年前にはサザビーズがピカソの名作「アルルカン」の出品を市況低迷から延期するまでに至った経緯があるが、金融緩和はアート市場の冷え込みまでも転換させるか。


脇役の脚光

月替りから世間ではクリスマスのイルミネーションが其処彼処で目を楽しませてくれるが、ジュエリー関係も売り込みに余念がない。GINNZA TANAKAなども明日からフェア開催とか案内が来ていたが、今年はノーベル化学賞の受賞対象研究の触媒に使われたとかでパラジウムがにわかに浸透してきているらしい。

PGM系は日本では工業用と並んで特にジュエリー需要も強い国だが、本流のプラチナとは違い値も半額なら重さも6割程度と手軽なのが人気らしい。そんなこともあってTANAKAと同じ銀座の和光では、パラジウムジュエリーコレクションとして専門コーナーも設けた模様。

さてジュエリーも斯様に人気化し始めてきたようだが、当の相場も600ドルの大台に乗せてからはや700ドルの大台へコマを進めるなど急上昇しており、このところは特にETFなど上場当時からするとなかなか活況になってきている。

ETFSモノや、三菱UFJ信託モノなど当欄では先に取り上げた通りだが、金の影に隠れて?ここ数ヶ月は可也の上昇ぶりを見せ三菱UFJ信託モノなどは夏場の上場からはや約5割も上昇している。これで商いが安定してくるようであればしめたものだが、コモディティーも証券モノだと定着が早いなとつくづく。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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