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.COMバブル?

さて、先週はスイスの商品取引大手「グレンコア」がロンドン市場に上場したが、もう一つかねてからの話題株「リンクトイン」もはれてニューヨーク証券取引所に上場となった。このリンクトイン、上場初日に今ひとつ肩透かしであったグレンコアと違って公開価格45ドルに対して終値はその公開価格の2倍以上の94.25ドルと大化けしたが、ザラバの高値では実に120ドル超まで急騰する場面もあった。

一体、売上高の何倍まで時価総額を買うのだろうという点で、グーグルのそれが約6倍なに対して早くもここは数十倍水準。こうなるとかつての国内ネットバブル当時を彷彿させるが、それこそあの当時は経営側も時価総額こそ全てとの思いで株価に一喜一憂していたのを思い出す。

そんなわけでここが口火を切ってはたしてまたネットバブルの再来となるのだろうか? このIPO熱に関して米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は資産バブルの懸念を招くものではないとの認識を示していたが、この後にはリンクトインの6倍のメンバーを抱えるあのフェイスブックやグルーポンなどの有力どころが軒並み予備軍として控えている。

既にこうした大手の前にIPOを急ごうとする中小も見られるというが、こうした予備軍の関連株群は早くも「KDDI」など日本企業にまで先回りの物色が広がっている。QE2終了で警戒感が漂っている市場だけに、この辺が絡んで今後の市場にどう影響してくるのかその動向が注目されるところ。


ヨウ素と株価の半減期

さて今週の日経平均は膠着感の強い展開であったが、そんな中でもボラタイルな動きだったのがやはり東電。一服していた株式の方は賠償スキームやら今更ながらに出て来た福島原発の炉心溶解を巡ってまたにわかに動意付いており、今やディフェンシブ的な優等生からすっかり投機株に変貌してしまったなと。

レーティングの世界でも、みずほ証券のように「アウトパフォーム」据え置きで目標価格を900円!に設定するという特異なところ以外は何処も揃ってそのレーティング対象から外してしまっている。こうしてバリュエーション評価が不可能となった一方で今のところ一応は株式上場を維持し社債も保護ということになり、JALのように紙屑にならない妙な安心感?からこの高いリクイディティーを背景に商いが集まり易いか。

今のところは株主責任は免れたとはいえ今後株価は市場が然るべき値段に誘導するだろが、社債など先に一度書いた事があるが新規で引き合いなどあるのだろうか?この賠償スキームで通常であれば格下げ圧力が緩和されるはずだが、現状そうした動きとなっていなのはやはりその信憑性の問題だろうか。

ところで株価といえば事故当初は約一週間で株価が半値水準に暴落し、株価の半減期も放射性ヨウ素とほぼ同じなどと揶揄されたものだったが半減といえばもう一つ、原発事故の責任を踏まえ役員報酬も半減努力とか議論されているが、それでも3,600万円とか。こちらは相場じゃないが半値八掛二割引にしてもまだまだ高いだろう。


可否待ちのコメ

本日の日経紙には、現在農水省に東穀と関西商取がコメの試験上場を申請している件に絡んでJA全中が先週の理事会で反対を表明した件について東穀の社長が共通認識を得られていないと発言した旨が載っていた。

先にも書いたとおりで前回申請では全農OBの突然の辞任など政策的な動きも見られ、やはりいろいろ絡んでいる分全中の反対は想定内であったが、この震災以降は市場も一層政府介入色が濃くなっているだけに気になるところ。

そういえばコメといえば、政府が原発事故で放射性物質が基準を超えて含まれた水田でのイネの作付けを制限する方針を明らかにしたことで、今後の生産量低下に伴うコメ価格の上昇思惑が先行する格好で株式などはヤマタネなどが商いを集めたことも先月はあった。さて商品先物はどうなるかだが、何れにせよ7月下旬までその可否が待たれる。


既存概念の脆さ

株式市場では本日も東電株が大幅続落、その性格上金融機関の保有も多く事実上の筆頭株主であった第一生命などは株価下落に因る評価損が甚大となった。また此処に限らず既報の通りで他の金融機関も今回の急落で巨額の減損処理を余儀なくされている。

ところでこんな公益株だけに投信系も挙って組み入れていたワケだが、判明しているだけでとっとと全株外したところは「住信日本株SRIファンド」、「住信アセット(グッドカンパニー)」、「住信アセット(すみしんDCグッドカンパニー)」、「STAM SRI・ジャパン・オープン」、「生物多様性企業応援ファンド(生きものがたり)」、「ニッセイ日本勝ち組ファンド」等々。

ブラックロックや日興AMもかなりヤラれた模様だが、その性格からやはりアクティブ系は見切り、一方でパッシブ系などはトラッキングエラーの観点からもなかなか外しきれないかと。しかしこうして並べて見ると「SRI」、「生物多様性企業」、「勝ち組」とか其処へ東電があると恥ずかしくなるようなネーミングばかりだが、逆にそこから震災前の優等生ぶりが窺えたというもの。

名門ブランドの優等生も既にJALを堺に投資対象足りうるのかという観点ではますます常識が通用しなくなってきている。


曖昧加減とスケープゴート

さて、かつては山本モナさんと不倫騒ぎで有名になった原発担当相は今更ながら東電原発のメルトダウン確認で事実認定甘かったなどと認めていたが、この東電といえば先週末に政府が枠組みを決めた賠償スキームでは、新機構が東電に資金支援を行うことで破綻させないかわりに賠償総額の上限は設定せずに賠償は東電が負う事になった。

途中段階とはいえ一連の動きには大きすぎる公益企業の扱いの難しさが垣間見られる。今のところ株主責任は免れた格好だが、4/21付けの当欄では、「日本社会の構造は官民揃って責任の所在が曖昧になりがち」と書いた事がある。モラルハザードや詳細はまた後述したいがこのままゆくとそれこそ責任所在が曖昧なままなし崩し的な税金投入の穴埋めが膨らむ恐れがある。

また政府介入といえば直近でも中部電力があった。浜岡を止める話は全国の原発で30年以内に震度6強以上の地震が起きる確率が浜岡原発で84%と突出しているからとの事だが、福島第一原発は日経紙などにも載っていたが0.0%にもかかわらず今回の大惨事となったワケで、こう考えるとなにやらスケープゴートのようにも思える。事実、浜岡は原発依存度が比較的低く止め易いワケで、誰が絵を描いたのやらパフォーマンスに利用されただけか。

しかし法的な根拠が曖昧なままで政治が介入するのなら、電力だけでなく放送・通信など規制業種全般もいろいろな側面で再考する必要が出て来るし、もう一つ今後気になるのは外国人投資家のスタンス。こうも市場ルールを逸脱した発言が度々繰り返すのを彼らがどう解釈するかだが、周知の通り売買での大きなウエートを占めるだけにこの辺は注意しておかねばならないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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