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歩み寄りの逆さ合併?

お盆休み真っ只中で薄商いの本日の株式市場で、久し振りに元気印だったのは大証と大阪がマザーの主力物であった。これは先週末に一部報道の通り、統合交渉を進めていた東証と大証の間で東証がTOBをかける形で大証を子会社化する方向で大筋合意、公正取引委員会との事前調整に入る旨が明らかにされたことに因るもの。

この両者、最近まで東証のIPO案などあったものの大証はそれが前提では交渉続行は不可能としていた経緯もあったが、直近まで知られるところでは三案浮上していた。すなわち株式交換案、TOB案、TOB案(上限付き)の三つであったが、株式交換案を除いては大証側がこれまた難色を示していた過去があることからすると大証側がここで歩み寄ったという格好にも見える。

ただ、報道されているものは上限付きTOB案で一致しているものの、その出資比率についてはいまだ不透明感漂う。50%なのか66%なのか、後者なら重要案件決定の際に大きく影響力を持つことになるがこれをも大証側がはたして呑むか、また東証とてこれだけ抑えるとなると時価でもざっと700億円以上、これに当然TOBにはプレミアムが乗ることになるから1,000億円前後にも膨らむ金額が財務を圧迫することになる。

加えて既に上場している大証が存続会社となるならこれは所謂逆さ合併、株主からも見方によっては裏口上場との批判が出ないとも限らずまだまだ予断は許せない状況。世界的な再編気運で国内でも危機感は想像に難くないが、この手の取引所モノは海外でも大型縁談が破談になるケースが続出している昨今、今年に入ってからも思惑が出ては消えまた出るというような繰り返しを続けてきた両者の縁談が現実の物となるかどうか、今後の調整等が焦点になってくるだけに注目したいところ。


牛の時代も・・・

さて、今週は和牛オーナー制度の資金調達で有名だったあの「安愚楽牧場」が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し保全命令を受けるはこびとなった。今月始めには肉牛の放射性物質汚染問題で、政府は栃木県全域を対象に牛の出荷を制限したと発表していたが、ココの本拠地であっただけにこれが止めを刺した格好になったか。

既にこの牛の出荷制限発表の前日にはオーナー等への支払いを停止している旨が報道されていたが、かつて利殖を謡うこの手のモノは幾つもの怪しい業者が乱立した時期があっただけに、残った最後の砦もいざこうなるとまたぞろあちこちアラ探しが始まるだろうか。

ところで、栃木県といえば肉牛出荷では全国5位のシェアを誇っており、レストラン等でもそのブランド名がそこそこ定着し始めた矢先であった。そんなワケで利殖の方はともかくも、かつては那須へ出掛けた際にはココでよく食事したものだが本当にどれも美味しい思い出があるので何とも残念な件ではある。

しかし、この「安愚楽牧場」といえば、リーマン・ショックの傷が癒えず株式市場が低迷していた頃には電車等で、「株の時代は終った・・・牛の時代が始まった」というようなキャッチコピーの広告をよく目にしたものだがあれから3年、原発ショックのあおりで早くも「牛の時代」も終ってしまったか。


指数と企業事情

昨晩の米株式は、終盤に再び突っ込むも異例の超低金利政策を13年半ばまで継続との声明を手掛かりに一転して急騰、それを受けた本日の日経平均も若干はしっかりであったが昨日後場に喰っている分があったのでそこそこの上げにとどまった感。

しかしコアものなど見ているとなんとも弱々しい印象は否めないが、先週入れ替えになった日経平均構成銘柄の新顔もまた然り。アマダにソニーフィナンシャルホールディングス共に揃ってマイナス、やあおぞら銀行はプラスといっても1円高にとどまっていた。

ところでこの入れ替えによって当然ながら除外も出て来るワケだが、みずほFGによる統合・完全子会社化で外れの規定路線であったみずほ証券とみずほ信託は果たしての除外、この手の完全子会社化では先にパナソニックなどがあったが集約された一社にかつての企業群がブラ下がるという構図は今後も増えてくるのは想像に難くはない。

まだ現実のものとなっていないながらも新日本製鉄と住友金属工業も経営統合の予定があり、直近では一部フライング記事?ともいわれている日立と三菱重工の縁談話もあった。しかしこんな調子で次々にメガ企業が誕生するとなると、日経平均などその指数の性質も従来とは変わったものになってくるかもしれない。


約70年ぶりといえば

昨日のコメ先物取引の復活は実に72年ぶりの復活であったが、周知の通り先週末にはほぼ同じく70年ぶりに米格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が米国債の長期信用格付けを、現在最高水準の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引下げている。

既に欧米経済を懸念して新聞の見出しには大きく「株安 世界で連鎖」とのタイトルが踊る最中のタイミングで実際に格下げしてきたワケだが、米株式など先週からたった3日で1,000ドルを超える暴落など見るに、出ると解っているオバケがいざ出てここまでなお市場が崩壊するものかと改めて驚きを覚える。

しかしここ最近の金融パニックは資金の逃避先も時として不在になるから一層不透明感が漂う。コモディティとて経済減速懸念でエネルギーから穀物まで全面安、ロイター・ジェフリーズCRB指数は先週6月下旬に付けた直近の安値を下回り、約半年ぶりの低水準。まあゴールドなどその性格から乱高下の中にも買われ易いが定番の逃げ先も定まらないのも不気味ではある。

こんな受け皿不在を狙っての叩きには「プロシェアウルトラショートETF」の横行も噂されていたが、ヘッジファンドの45日ルールやら絡めて来週の15日前後まで不安は尽きないとの声も。VIXなど次?のオバケ登場を示唆しているようにも見えるが、何も起こらないのを祈りたいところ。


コメ先物復活

周知の通り本日は「コメ」先物が実に72年ぶりにはれて復活となった。注目の寄付は買い気配からいきなりのCB発動、過度な投機性排除の目的もあってCBも当初予定を頑なに固持し初日は値が付かない状況に終った。もともと汚染米の懸念が底流にあったものの、超大物に対するご祝儀なのかどうなのかこの基準値にしてこの気配はけっこう高めに買いが集まったなとの印象。

基準値といえばかつて上場時に出し値そのものが異常に安かった石油製品などフト思い出したがこれもそのパターンなのかどうなのか、先物が買えぬなら「ヤマタネ」や「木徳神糧」の株でも買うかということでこれらは寄付から値が急伸していたが、こんな株式で例えればこの間書いた初値形成に二日かかったIPOモノの「モルフォ」のような展開になるのだろうか?

それは兎も角も、TOCOMの「金」に対して東穀取の「コメ」という位置づけなのだろうか、主務省の取り組み方もこれまでと違いが感じられる分やはり其れなりの主力に育ってゆく素地はあるのだろうか?メディアにしても最近では昨年のTOCOM指数上場の時など報じるところはそれこそ寂しいくらい僅かであったが、今回は何処も商品先物関連では近年に無いくらいの取り上げようである。

マネーゲーム呼ばわりで先物を敵視してきたJA全中の反対も虚しく今回の上場となったが、卸会社の何割かは先物へ参加したい意向を示している。その収益構造からコメが要の一つだったJA全中の猛反対も解らぬではないが、もっと広い意味で農業改革を視野に入れるならこの手の市場は不可欠、市場管理もまたそういった意味で大きく問われよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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