ファイナンス銘柄の錬金師
さて、今週はまたぞろファイナンスの動きが活発化してきているのが目立った。先月も新興市場の主力モノではそういった動きがあったが、今週は先ず日本冶金工業が42年ぶりに最大55億円強を調達、これによって新株の追加発行分まで入れると発行済み株式数は25%増える。また翌日には日本カーバイド工業と太平洋セメントが21年ぶりに公募増資を発表、これまた発行済み株式数は前者が最大で22.3%、後者が最大で30%それぞれ増えることとなる。
これら当然の如く株価は即座に反応することになったが、翌日は日本冶金工業は一時東証一部値下がり率トップの急落、日本カーバイド工業は同東証一部値下がり率第4位、太平洋セメントは東証一部値下がり率第2位と何れも大きく値を崩している。震災復旧の用や新規事業の用やらで已む無しの資金需要は理解出来るが、株主は値下がりで大きく損失の弊害を受けることとなる。
この辺に絡んではやはり外資勢中心としたプロ連中と個人の限られた情報力の違いが改めて浮き彫りになる。直近のものでも復配発表やら震災復興需要というテーマを囃して個人が食い付いてきた企業など並行して有力外資勢のショートが異様に急増しておりしかもロングも上手く咬ませているから巷のポジショントークでも材料を良い方へと傾斜させ易い素地まで出来上がってしまう。
ファイナンスに絡んではいろいろ新規制も施行される予定ではあるが、引き受け等の利害関係が常に背景に控える為に、この辺の不公平さは残念だがそう容易には改善しないだろうか。