隠れ蓑さまざま

直近の当欄では「魑魅魍魎対決」として、手口が巧妙になってきた証券詐欺について触れたのだが、周知の通りその翌日の日経紙一面には「年金2,000億円大半消失」のタイトルで国内独立系投資顧問会社であるAIJ投資顧問が、企業年金から運用受託していた約2,000億円の大部分を消失させていることが証券取引等監視委員会の検査で判明、金融庁が業務停止命令を出す旨の記事が載っていた。

こちらはまた随分とスケールの大きな詐欺?に見えるが日本橋高島屋のほぼ向かいに位置する同社は、確か痴漢やら何やら二度も迷惑防止条例違反で逮捕、起訴されたことのある某経済評論化がかつて顧問をやっていたところか?そのHPには「お客様の資産運用に係わる者として、常にコンプライアンスに努め、良識ある行動体制を確立してお客様の信頼に応えます。」と謳ってある。同紙によればオプションで相場変動に左右されずに安定して高い収益を上げる「絶対収益」の獲得を目指す運用戦略とのことであったが、セルボラ中心であったようにも一部報道されていることで昨年の大震災でヤラれたか?一方で流用説もあり何れにしろ続報が待たれる。

しかし近年でこの手は2008年のナスダック会長によるヘッジファンドの詐欺事件等もあったが、今回はアドバンテストや安川電機など東証一部の名門企業も引っ掛かっていたところを見るに思い出すのが、やはり一世風靡したプリンストン経済研究所だろうか。規模は今回の約半分ながら当時も東証一部の名門が何社も嵌り、帝国ホテルで行われる恒例の同社セミナー当日には同ホテル近所が上場企業の役員車で溢れていたのが思い出される。

このプリンストン経済研究所はクレスベール証券(懐かしい!)、そしてAIJはアイティーエム証券がフィルターになっていたワケだが、これで金融庁は他の同業に加え管理側の信託銀行も一斉調査に入ったようでとんだとばっちり?か。とはいえ、まあ至極マトモなことを言っている真面目な運用会社も含めやはり全てに共通しているのは資産を減らそうが信託報酬なんぞ無情にも徴収されるワケで、その辺の整合性やいろいろな受け皿にされる素地というものもこの辺で一度見直される時というところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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