消える産業のコメ
さてAIJ投資顧問の問題がいまだ世間を騒がしている最中に、昨日引け後に今度は「日の丸半導体」ことあのエルピーダメモリが会社更生法の適用を東京地裁に申請したとの報が駆け巡った。そんなワケで本日の日経紙一面にはこのAIJとエルピーダの記事で仲良く二分されていたがいやはや突然の報には驚き、ちなみに国内製造業の破綻では過去最大規模となる模様。
ところで、同社といえばつい先週に減資と株式発行枠の倍増を発表したばかりでありパンクさせる予定にしては極めて不可解、このタイミングは一寸想定外といえるだろう。想定外といえば株主も同様でこの減資発表の日、奇しくも同社株を米ゴールドマン・サックスやクレディ・スイスが大量保有していることが判明、オリンパスの連想もあってザラバ急騰したがここで飛びついた向きはほんとうに目が点という感じだが、この破綻で戻ってこない公的もこれまた国民負担ということになる。
しかし今回の件で政府の国を挙げて蘇生し外国勢に対抗するという産業政策も頓挫、繰り返しになるがこの公的資金300億円が注入された産業活力再生特別措置法適用第一号となった同社の一連の行動というか破綻劇には些か不可解な点が多過ぎる。また、特定企業に肩入れが許されるのかという議論が当時は起こったものだが、そろそろいい加減に政府責任の議論も起こるだろうし、今後控えているエルピーダと同様の背景の大手企業らによる事業再編から作られる企業に出資される案件には厳しい視線が集まりそうだ。