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市場も省エネ

本日の日経平均は欧州債務問題再燃に対する警戒感からリスク回避の動きが出て大幅続落となったが、そんな中でも本日も派手にジェットコースター相場を演じていたのが先週新規上場のワイヤレスゲートか。この株、上場初日こそ一次ストップ安まで急落となったものの、上場2日目は一転ストップ高まで急伸、本日も一時197円高まで続急伸した後に後場は一転257円安まで急落するなどなんともボラタイルな展開が続いている。

さてこれに限らずもともと今年の上期に上場したIPOモノは化けたものが多く、1〜6月に上場した17社のうち今月時点で約7割が公開価格を上回る好成績となっていたわけだが、先月あたりからこの辺は顕著で6/20上場のEAJは初値1,400円が3週間ほどで4,570円へ、また6/26上場のモブキャストは公開価格800円に対して初日は買い気配で値が付かず2日目に2,301円とその約3倍近い値段で初値形成となった。

欧州問題を巡ってちょうどこの期は主力が総模様眺め、東証一部の売買代金も1兆円割れが珍しくなくなり、この辺に物色対象の矛先が向いた感もある。そんななかで明日はいよいよネット系のIPOとして人気化必至と見られるエニグモが上場予定。本来なら大化けが続出するのは個人にも朗報だろうが、上記の通り本家不振の裏返しともいえる資金の逃げ足の早い活況は手放しで喜べない側面も併せ持つ。


平仄の合わない珍税制

さて、昨日の日経紙・一目均衡には「貯蓄から投資への教訓」として、この政策の目玉であった株式投資の優遇税制について書いてあったが、ご存知これは金融・経済情勢の激変がない限り13年末で終了となる予定である。

ところが東日本大震災やギリシャ危機に続くユーロ不安、長期にわたるデフレで悪化する一途の日本経済を取り巻く環境の中で軽減税率延長が終了しようとしていることで、先月あたりから大手ネット系証券からのメールやら最近では口座にログインすると先ず署名にご協力の画面が現れるようになっている。

しかし斯様に期日が近くなると何かと理由と付けてジャンプする方策を採るのもよいが、理想形をいえば暫定でもいいから優遇云々でなくいっそ廃止にしてしまえば市場も活性化に向かうのは明らかだろう。活性化すれば消費は間違いなく増え他の部分でこの程度の税収の埋めは幾らでも可能であるし今後を考えるにより健全とも思うが。

しかしこういったリスクを取るものに対しての課税制度は本当にいい加減という思いは長年消えない。冒頭の軽減税率もそうだが、もっと可笑しなモノなのは配当課税。同じ課税対象に法人と個人の税金が二重に課税されるという世にも可笑しな制度で、税逃れで海外に移転する企業も出るくらいの法人税を毟り取っている現況下、更に搾取してやろうというのだからこれは酷い。

「貯蓄から投資」を標榜しあれこれ然程意味のないものを小出しにするなら、先ずはこうしたところから制度改革すべきだろう。


プライドも何時まで

本日の株式市場は軟調なアジア株を映し小反落であったが、市場では225種の新候補銘柄を巡って思惑が交錯していた。本日新安値に沈んだヤマダ電機等もそのひとつであったが、さてこのヤマダ電機といえば直近で業界7位のベスト電器を子会社化する旨を発表している。

家電業界ではつい最近ビックカメラが同業のコジマを買収し業界2位に躍り出たのが記憶に新しいが、なんとも再編のスピードが加速してきた感がある。このヤマダ電機が子会社化することにしたベスト電器といえば、結局今回縋ることになったヤマダ電機の誘いをかつて断りもともとは上記のビックカメラと縁があったところというのも面白い話だが、共同店舗も僅かでその提携効果に疑問符が付いていたところであった。

とはいえ一度フッた相手にブラ下がったとはいえ店舗再編等でここからが棘の道、子会社化を好感して急反発した株価は早くもその発表前の水準に沈んでいる。ベストは市場が縮小で経営環境が厳しくなっているなかで自主路線を貫いてきたが、その背景にあったのがかつての業界首位だった頃の栄光物語と言われている。結局のところはそういったプライドと一枚岩になりきれない社内態勢が転落の主因であったが、こんな構図を見ていると似たようなパターンとして何故か東穀取がふと浮かんでくるものだ。


今年の時価総額

先週末の日経紙には6月末時点の世界主要株式の時価総額ランキングが出ていたが、ざっと見てやはり浮沈激しい資源メジャー系の後退が目立った感がある。ところでちょうど2年前のこの時期にはマイクロソフトとアップルの時価総額逆転を書いた記憶があるが、依然アップルが上鞘なのは当然としてもこのアップル1社で世界の時価総額1%を占めてしまうのだからなんとも凄い。

さて、直近の国内企業の浮沈はどうだろうか?連休明けの日経平均は小反発であったが、そんな中でも海運セクターの弱さが依然として目立つ。唐突なファイナンスを発表した川崎汽船は受渡期日を控えるなかをその公募価格を割り込んでの推移が続き、商船三井は郵船と共に連休明けの本日も下げ止まりを見せず先週には時価総額が3,000億円の大台を割り込んでいる。

もうひとつ国内の時価総額といえば先週末の日経紙(まちかど)に12日の株式市場でJTの時価総額がホンダを抜き、製造業でトヨタに次ぐ2位に浮上した旨も出ていた。世界的景気減速の影響を受け易いホンダに対して、JTは国内事業が安定し海外成長力も高いとの表れらしい。両者の引け値ベース逆転はリーマン・ショック直後の08年12月以来というが、当時との背景の違いは新興国まで景気減速感が出て世界経済回復のけん引役が見当たらない点という。

両者の逆転は世界的な不況が長引くと悲観する投資家の多さを表していると書いてあるが、上記の海運なんぞもまたこの辺の表れでこういったところの本格回復が無いとまだ厳しい場面が続きそうだ。


ジブリにはショート?

さて、昨日は一寸したアノマリーめいたものを書いたが、其れに続いて本日も一部の関係者が注目しているアノマリーものがあるが日テレ系で放映する「ジブリ」モノがそれ。これは金曜ロードSHOWにてスタジオジブリの作品が放映されると、その後は例外なく円高になり株価も殆ど下落するというものでそこそこよく担ぎ屋には人気で使われて?きたモノ。

ちなみに昨年の例では「魔女の宅急便」、「ゲド戦記」等があったが、前者の時は為替が一気に1円ほど急騰する円高になり日経平均も10,000円の大台割れへ下落、また後者の時も為替は「海の日」を挟んで79円台から76円台へと急騰し、日経平均も10,000円水準から8,000円台へと崩落していった経緯がある。で、今年はといえば4月の「虹の豚」があったが、この時は為替が81円台から下旬には70円台へとやはり急伸、日経平均の方も翌日には142円安を演じ、更に今月6日には「千と千尋の神隠し」が放映されたが果たして今週は本日まで6日続落の好実績を誇っている。

こんなアニメモノのアノマリーとしては、数年前に当欄でも書いたことがあったと思うが他に「サザエさん」もある。この視聴率が上がると株価は低迷、逆に視聴率が下がると株価は上がるというものでその相関係数は実に0.86、ニューヨークダウ工業株平均とTOPIXのそれが0.56であるから単にアノマリーと笑えない。

ということで、明日(13日の金曜日)にはいよいよ「となりのトトロ」が放映されるがこの株式市場連続安が前哨戦なのか否か、今回の放映に賭けてショートした向きは既にそのポジションには利が乗る水準までになっているが、さて来週はここから更に加速してしまうのかどうか、今回も非常に興味深い。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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