コメ先物上場1年
さて、今月でコメの先物が東京穀物商品取引所と関西商品取引所に上場して1年が経過した。72年ぶりの復活上場と鳴り物入りで登場したものの、果たしてメインの市場であった東穀取に至っては何度もその杜撰経営を取り上げてきた通り経営不振から解散の挙句に擁していたコメ市場を来年2月に関西へと引き継ぐことが決まっている。
同所経営陣がまったく場当たり的な経営を続けてきたのは、その他の商品を東工取へ移管決定した後の記者会見にて社長が「〜度重なる勧誘規制の強化が取引減少の理由〜」とその辺の三流マスコミレベルの答弁をしているあたりでも窺えたが、三菱地所のパークハウス基礎工事が粛々と行われている剥き出しの取引所跡地もまた目に入る度に資産食い潰しの酷さを物語っている。
そんな迷走も足を引っ張り上場からこの1年の1日あたりの平均売買高は約370枚で、国内上場商品の売買高ランキングでは14位である。これだけでも東穀取社長の「全限月が揃ってからが本番と考えてくれ」とか「1日5,000枚」というのが如何ほどの大風呂敷かという事になるワケだが、この移管が決まった関西商品でも板寄商いとなるなかで異銘柄共存の相乗効果は未知数と明確な展望があるわけではない。斯様にコメのゆくえも気になるところだが他を引き継ぐ新生「東京商品取引所」もまた然り。
世界の商品先物取引所を見てみると2011年取引高ランキングはNYMEXが3年ぶりに首位に返り咲き、このベストスリーでは2位にインド・マルチ商品取引所、そして3位が上海商品取引所となっている。その後にはCBOTやらLMEが続くが、はたして新生「東京商品取引所」は何位くらいになるのだろうか?おそらく売買高ベースでは首位比較で数%程度と見られるが、先の日経紙には東工取の先月の外国人売買比率が最高の31%になった旨も載っていた。今後彼ら主力含め他をどう誘致してゆくか、先を見れば日本取引所グループの骨子がはっきりしてくるあたりでまた新展開も考えられるが何れにせよまだまだ安穏な道ではない。