それぞれのTOB

さて今週はイオンがダイエーを子会社化するとの発表が正式になされている。丸紅は負の遺産処理、イオンはスーパー1強政策の狙いということでその辺が昨日の日経紙にも載っていたが、この同じ企業欄には西武ホールディングスが筆頭株主である米サーベラスによるTOBに反対表明との記事も出ていた。

この話はもともと昨年末にかけて両者の関係悪化が伝えられていたなかでこういった行動に出た格好だが、ここ近年で敵対的?TOBのケースを振り返ってみると不成立に終わるケースが多く王子製紙が北越製紙に仕掛けたTOB然り、また最近では下馬評で完勝とされていたPGMホールディングスによるアコーディア・ゴルフに仕掛けたTOBも大どんでん返しで不成立に終わっている。

ファンドも慈善事業ではないからイグジットは可能な限り吊り上げたいのは解るが、今回の件も折しも上場申請中でもあり、メインバンクの存在もあってその辺の意味合いからすれば中途半端な感は否めなく有効性には疑問符が付くがさてどうなるか。

今月も新たなTOBの話は再建中企業等水面下でも彼方此方出ているが、それは兎も角も思えばこの両者、ダイエーが自主再建を断念したのと西武の大株主による有価証券報告書虚偽記載発表が同時期だったとの記憶がある。なんの因果かまた其々が転機を迎えようとしているが先ずはこのTOBの行方を見守ることにしよう。


未だざる法

本日も株式市場ではテーマ物の循環物色が旺盛だったが、そんなものに混じって業績の修正発表がなされたものも大きくその値位置を変えているものが多い。デイトレ連中も含めこんな決算情報はなんとか人より早く入手したいのが正直なところだが、そういえば今月中旬には20社を超える上場企業決算関連情報等を複数の投資家が公表前に閲覧していた事が発覚し問題になっていた。

連中は、東証の「TDnet」に連動する企業側の同時掲載でスタンバイしていたページに更新通知ソフト等を使い入り込んだらしいが、メジャーな銘柄などお宝情報だけに数百万円掠め取ったケースもあり弛まぬ努力?が報われたといったところだろうか。

企業側もこの手は兎に角担当部署を信用するしかないが、絞込みの難しい印刷関係など昔はインサイダーの宝庫だったこともありこんな新手は次代の流れを感じるが、実質はインサイダー取引ながら規制上では違法とはならずこれまた「やったもの勝ち」なのが現状。諸々の整備は焦眉の急だがその前にも先ずは情報管理の徹底も急務だろう。


リクイディティーこそ

本日の日経紙国際面には中国の大連商品取引所が先週末に原料炭先物の取引をスタートさせ、また上海先物取引所では石油ピッチの上場を視野に入れて準備が進んでいるなど、これら含めた中国の3つの商品先物取引所が上場品目を増やしている旨が載っていた。

中国の商品取引所といえば数年前から新規商品が上場する度に当欄でもその都度取り上げてきたが、世界の商品先物取引所の昨年実績の売買高ランキングを見てみるに、堂々の第1位に上記の大連商品取引所が躍り出ており前年の7位からの大躍進である。また、同じく上記の上海先物取引所も前年度から一段階順位を下げたもののインド・マルチ商品取引所に続いて4位にランクされておりベスト5に中国勢が二つ入っている構図。

斯様に新興勢の台頭は衰え知らずでこの大連などの大躍進も前年比で売買高が2.8倍にも膨らんでいることに起因するが、構造上は国内玉が牽引とかつての本邦に似ている。こんな光景を見るにリクイディティーに勝るものなしと思うが翻って本邦は新発足の東京商品取引所が同前年比で19%減、こちらは改革における思惑と裏腹の迷走を何処で打開するかが鍵になってこようか。


先導役復活なるか

ちょうど一週間前の当欄では不動産価格の底入れ期待からREIT市場への資金流入が加速している事を挙げ旅館REITなどの新顔も登場する旨を書いたが、これに絡んでは先週末の日経紙に「REIT時価総額最高」と題してやはり市場が急拡大している旨も載っていた。

東証に上場するREITの時価総額は同紙によれば週末現在で合計6兆9,136億円と7兆円に迫り2007年5月を抜いて過去最高を更新した模様だが、本日の市場を見ても好利回りとされる銘柄を中心として高寄り後も値を飛ばし年初来高値を更新組が続出している様を見るに今週も何処まで時価総額が膨らむかというところだろうか。

また最近の不動産取引には外資系の特別目的会社が、ちょうど上記の前回時価総額が最高であった2007年以来食指を動かしている例がポツポツと出始めており外資復活の雰囲気を感じる。外資といえばアベノミクス効果からこれ以外にもETFや商品までマネー流入が顕著で、東京商品取引所が纏めた先月の外国人売買高は約96万枚と単月の売買高でこれまでの最高を塗り替えており今後循環で牽引役に躍り出る復活の芽あるや否や一段と注目される。


日銀出資証券の春

さて、国土交通省の公示地価の発表を控えこのところこれをテコに期待先行で急騰してきたものに含み資産関連の所謂土地持ち企業群があった。ザッと挙げても東京都競馬に東京テアトル、よみうりランドに東京ドーム、それに帝国ホテルや松屋等々簿価の安い資産持ちがけっこう楽しませてくれた。

果たしてこの公示では地価に底入れの兆しが明らかになったものの、所謂材料出尽くし感から週末にかけてこれらは売り先行となっているが、上記銘柄以外にもう一つ含みという観点から急騰し抜群のパフォーマンスを上げてきたものに「日本銀行」がある。

最低単元でも1,000万近くとなり、最近は100万前後日中動く事で腕に自信のある向きしか参戦しないだろうが、此処は美味しいロケーションの土地もさることながら金融政策の一環として国債、ETF等々買い入れたものが今や莫大な利益になっており、その出資証券は昨年衆院解散時の30,500円から一昨日の年初来高値94,000円まで実に3倍以上に化けたことになる。

今月中旬の日経紙には「新・日銀 脱デフレへの道」として特集が組まれていたが、「白」から「黒」への交代劇で今後の政策もこの出資証券と併せ注目されてゆくことになろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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