質との両立

今週は身内を迎えに成田空港まで行ってきたが、滑走路を眺めていると昔よく使ったエアラインの懐かしい機体が目に留まる。そんななかでもちょっと前まで見たことがなかった特異なカラーの機体も目に飛び込んできたが、これら所謂LCCの類である。

近年台頭めざましいLCCだが、日本では拠点となる空港がこの成田含めて2箇所しかなくこうした空港成約等が壁になり、また最近では合弁で複数のLCCを手掛けるANAが経営を巡る路線の対立からこのうちアジア最大のLCCであるエアアジアの合弁事業を解消するなどまだまだ根付いているとはいえないものがある。

上記の合弁解消はサービスという部分において両者が歩み寄れなかった部分が大きかったのだが、確かにサービス面で日本は他と一線を画すものがある。今では搭乗手続き等はセルフサービスでカウンター脇に何台も設置してある機械でさっさと済ませる事が出来るが、これとて常に案内の女性が常駐し最後まで自ら機械に触れず終いで済ます事が出来るのは日本くらいだろう。

そんな一方で最近では羽田空港跡地など国家戦略特区構想が浮上した経緯があったが、同空港の発着枠見直しとか国を挙げての議論のなかでこのLCCの位置付けも徐々に明確になってくるだろうか。


新興勢も模索

昨日の各紙報道では、2005年創業の私設電子取引所運営のBATSグローバル・マーケッツが同業の1998年設立のダイレクト・エッジと合併するとの件があった。これまでの米国株での市場シェアは両社共に約10%強なものの、合併の暁には20%強に高まり、長らく米国株で2位の座にあったナスダックを抜く見通しという。

そういえばナスダックといえば先の上海事件に続きちょうど1週間前には同市場の全上場銘柄が約3時間のも間取引停止に陥った一件があった。株価データを送るシステムの障害ということであったが、他の会員の誤発注も然りで近年の超高速化に伴い副産物?の不具合も増加という構図になっている。

これらの障害と付き合い大手どころも国益の壁こそあるもののしのぎを削りつつ統合模索の展開が近年続いているが未公開の新興勢も事情は同じ、最先端の取引システムや安い手数料で既存勢力を切り崩す構図も次第に鮮明になってきたといったところか。


ガラスの華

さて、昨日はワールドウォッチフェアについて触れたが、この催しのほんの少し前にはすぐ下のフロアで「ガラスの華 アールヌーヴォーからアールデコの世界 ガレ・ドーム・ラリック展」が開催されていた。今年のは三者が一堂に展観ということでこれも作品の確認に行ってきたがここ数年で出ていなかった珍しい品もありなかなか楽しめた。

このガレといえば思い出したのが日経紙の一番最後の頁にある文化面に先月これについて触れてあったことか。「ガレ作品下絵でたどる」と題した北澤美術主席学芸員の記事であったが、名門としのぎを削りコピー商品に悩まされながら次々と独創的な作品を世に送り出す様や、憶測が下絵の記述で改めて真実が明らかになった点等々興味深い文章であった。

アール・ヌーヴォーの一時期、活動していた期間はそう長くはなかったものの現代でもガラス器においては他の一流といわれるブランドとは今でもその扱われ方が違うこのブランド、昨日記のブランド構築の重要性があらためて感じられる。


ブランド構築の重要性

ちょうど今の時期は毎年恒例で大手百貨店ではワールドウォッチフェアを開催しているが、週末は例年通りというかちょっとこれを覗いてきた。ブースの入れ替わりはあるものの今年は雑誌でしか見たこともない新しいモデルも幾つか投入され昨年とはまた違う光景という感じであった。

今年のトークショーでは「何故今MEDE IN JAPANなのか」と題し、セイコーのなかなか見る機会の無い歴代モデル等も並べられたりしていたが、それを横目に当のブースの状況は欧州勢の集客とは対照的に国産勢の閑散が目立っていた。

この光景で思い出したのが、数週間前の日経紙社説か。「世界に羽ばたくブランドを増やそう」と題して冒頭に時計の話が出ていたが、同市場の金額シェアはこの足元の日本でも国産勢の23%に対してスイス勢は66%と、技術で勝る日本勢の影は薄くやはりスイス勢が圧倒的な地位を確立している旨が書いてあったが、この辺を如実に表す光景である。

この辺は時計に限ったものでもなく自動車あたりもそうした範疇に入るだろうが、技術力こそ他の追随を許さない素晴らしいものではあるが所謂世界ブランドの構築が日本勢の場合未だに課題でこの辺がなかなか確立出来ない。欧米勢がそれらどう構築していったのか、もう一度原点に帰って再考の余地があるのはいうまでもない。


システムの影響力

さて、お盆休みが終われば取引参加者も市場に復帰し商いも増えるだろうかという淡い期待に反し、概ね今週も株式市場は薄商いの日々が続いている。というワケで依然先物が主導する展開が続いているが、先週末の株式市場ではランチタイムの225先物が急速に下げ幅を縮小する場面があった。

これは上海総合指数が一時約6%の急騰となったことに反応したものであるが、報道されているようにこれは光大証券なる会員が引き起こした誤発注によるもの。当然売買再開後には同社はストップ安となっているが、つい最近にもジェイコム株誤発注事件で東京高裁の判決を不服とし最高裁に上告したみずほ証券を彷彿させるような出来事である。

しかし一会員の誤発注とはいえ時価総額がトップの企業群が軒並みストップ高まで値を付けてしまうあたりもまた凄い。もともと個人比率が日本の倍くらいある新興市場のようなマーケットとはいえこうした点含めてA株市場の特異な構造をあらためて感じる。

ともあれ報道では人為的な操作ミスは見当たらなかったとしているが、この事件後に同社は更に国債でも誤発注を起こしておりやはりシステム管理の問題が浮き彫りにされた格好。システムトラブルは何処でも起こり得る問題ながら今や一会員が国際市場をも動かす影響力がありこの辺は対岸の火事というわけにはいかないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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