今年は「倍」

さて、今年の世相を1字で表す恒例の「今年の漢字」は「輪」に決定となっているが、個人的には昨年の「金」も2000年に続いて2度選ばれた経緯もあることで、やはり先月初旬に書いたように2007年に続いて「偽」もありかと思っていたのだがそれは8位。ちなみに2位は「楽」、3位は「倍」であった。

この3位の「倍」も人気テレビドラマの名ゼリフで一般も馴染みがあったが、業界関係者の人気はやはりこれが1番高かった模様。アベノミクスに終始した1年であっただけにこれに絡むがマネタリーベースの2倍目標、それらの後押しで枯れ木に花が咲いたようになった株式市場でも時価総額が2倍以上になった企業が約500社にのぼり、それらと共にボーナス倍増企業も増加しそのアベノミクスを推進する安倍首相の字も倍という具合。

上記の通り日経平均は1年で約6割急騰し、直近の水準も約6年2ヶ月ぶりの高値水準。先の日経紙によればバブル崩壊以降、日本株で積立投資を継続していた場合の累計成績がプラスに転換するまでになったという。こんな好地合いからIPOも7年ぶりの高水準となり、初値も55社目に途絶えるまで負けなし記録を更新の快挙となった。

こうした株高効果で百貨店等では高額消費がすっかり戻り、贅沢路線が其処彼処に復活し脱デフレどころか既にバブル復活の域に達しているとの指摘もある。日本株積立投資の累計成績がマイナスから脱却したのと同様に、バブルで失われた20年から脱却できるのかどうか来年はアベノミクス第2幕の真価が問われよう。

今年はこれで筆を置きますが皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様もよいお年をお迎えください。


クリスマスの光

イヴが明けて本日はクリスマス。百貨店などの主戦場ではこの時期定番のオードブルやクリスマスケーキなど思い思いの品が並んでいたが、今年は一部に高級店等の特設場も設けられ所謂「ちょい高」モノに列が出来るなど数年前から続いたものとは一寸違う光景が見られた。

クリスマスの風物詩といえば11月初旬から始まる恵比寿ガーデンプレイスのバカラなどがハシリだが、今年はこれと同じ日に今年開業した丸の内のKITTE内アトリウムにも新進気鋭のデザイナーが手掛けたクリスマスツリーも登場、この近所では昨日から光の祭典「東京ミステラス2013」が始まり例年の如く東京駅から皇居外苑を結ぶ通りにLEDのやさしい光が道行く人を包んでいる。

このイルミネーションといえばいろいろストーリーがあるのが表参道か。1991年から恒例実施だったが1998年に中止、2009年に11年ぶり復活を果たすも昨年はスポンサー不在で完全形とはならなかったものだったが、今年は協賛企業が付いてはれて再度実施になった。こんなところにも経済回復の片鱗がうかがえるものである。


首都代替構想

連休明けの本日はクリスマスイヴとあって、何処も彼処も通常以上の人出でごった返していた。こんな総出の時に災害など起きませぬようとふと思うことがあるが、先週は国の中央防災会議がマグニチュード7級の首都直下地震の被害想定を見直し、それによれば被害想定額は国の年間予算に匹敵する95兆円に上るなど厳しいシナリオが公表されている。

今回想定で浮かび上がったのは首都を襲う大規模火災で逃げ惑いなど厳しく算出されたが、もう一つ高度成長期以来海面すれすれかそれ以下に発達した地下都市を考えるに水のリスク管理の計算も重要になってこよう。

これら鑑み中央省庁や多くの企業本社が集中する地域だけに、各々がBCPを見直しその影響を最小限に抑える必要がある。上記の霞ヶ関などの政府機関や日銀、東証等の重要施設は耐震化や非常用電源確保等の対策済みで迅速な決済機能を回復としているが、これらと併せてまた首都代替拠点に関しての議論も頭を擡げようか。


足銀再上場

さて昨日、本日とここ年末に来て目白押しのIPOラッシュとなっているが、そのなかで本日は一時国有化された足利銀行の受け皿として設立された足利ホールデインングスがはれて再上場となった。

朝方は800万株を越える買い注文から買い気配でスタートし、注目の初値は451円とコンセンサスのほぼ上限で公開価格を7.4%上回った。あと上値を伸ばす場面があったが、昨日に続いての大幅続伸地合いに助けられ、また東証一部直接上場規模としてはその吸収金額もさほど多いというわけでもなかった事でIPOラッシュの中ではまずまずといったところか。

しかしこんな光景を見るに国有化されるまでの軌跡を思い出す。破綻後に株券が紙屑?へと向かう過程で数千万だか儲けたとかで元銀行員という男が名古屋テレビ塔展望台から大量のドル紙幣をバラまいた珍事などやはり記憶に新しい。その後受け皿の公募には魑魅魍魎の面子が集まり一時は地銀連合有力とも言われていたが、果たしてというかノルマ、いや野村が勝ち取った。

銀行モノは不良債権化した担保付不動産というお宝を抱えておりイグジットもこの辺に旨みがあるが、同じ国有化モノではりそなHDが既に公的資金の完済計画を発表、あおぞら銀もこれに先駆け10年完済を表明するなど再生も加速しており此処も今後の成り行きが注目されることになろう。


鰻屋の構図

本日の日経紙商品面には「鶏卵小売価格9%上昇」として、農水省が昨日に公表した12月の鶏卵全国小売価格が前月比で9%上昇、7月の直近安値比で23%高く2005年3月以来8年9ヶ月ぶりの高値になっている旨が載っていた。

この鶏卵については今年の9月にも「優等生の構図が変わる?」として指標品の卸値が前々月に比べ約4割ほど高くなった旨を当欄でも取り上げたが全般更に一段高といったところか。恒常的なコスト高騰の一方で転嫁も思うように進まない事で業者の事実上の廃業は昨年度の2.7倍となっている旨が昨日の日経紙にも出ていたが、この構図は昨今の鰻屋と同じだろうか。

前回の当欄でも輸入シフト問題絡めてとも書いたが、昨年からの円安進行やら世界的な需要増で輸入品の調達も依然難航しているという。これらも鑑み首都圏のスーパーでも今月からPB商品のブランド卵を引き上げた模様だが、同じ優等生仲間?だったヤクルトも22年ぶりに値上げし優等生も今後それを続けてゆくのが微妙な環境に昨今なりつつある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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