ブーム再燃

増税を目前にしてこれに絡んだ日本の金買いラッシュに関する記事が各紙を飾っている。先週の日経紙でも「増税目前、金に脚光」の見出しでこの辺に触れていたが、大手どころでは田中貴金属が1月から3月27日までの金地金販売量は前年同期比で2.5倍となり、直近の3月1日から27日までの販売量は同5.2倍、また石福金属工業も3月の金地金販売量が2月比で6割増えているという。

斯様に各社共にやはり駆け込み需要の影響もあって大きく伸びた形跡があるが、従来本邦勢はその買い方からしてバーゲンハンティング等と称された時期もあったが、相対的に価格が高値圏にあるにもかかわらず最近のこの状況は増税値鞘を当て込んだものも多分に入っているだろうか。

この辺は一部専門家の方も増税分以上の下値リスクが潜在している時期に金買いに走るのは合理的ではないとも指摘しているが、仰せの通り単純な地金購入では手数料負担もあればこの手のボラを考えるに増税分程度の価格変動は日常茶飯事、ならばTOCOMを絡めてなんとか値鞘確定も考えそうだがこの増税前に金現物の受け渡しが2限月連続で2,000キロを超えたという。こんな現象は2007年10月以来約6年4か月ぶりというが、短期の利鞘確保派から長期派まで思惑入り乱れ本邦金市場はある種特異な光景を創り出している


巨大テーマと投資尺度

さて昨日は前々から話題であったサイバーダイン社が上場を果たしている。注目の初値は公開価格の2.3倍、その後はやはりというかストップ高まで駆け上がる大化けIPOとなったが、初日で寄ったというのもまた一寸意外感があった。

しかし、売上が4億円で赤字企業の時価総額がこの段階で1,000億円突破だからなんとも凄い。この手はテーマの夢を買うプレミアムが付くのが相場なのでこの辺を語っても意味が無いが、そうした背景やら思惑で日々乱高下する対象はデイトレ組にとっても堪らない対象になっている。

今月は先のIPO組で日立マクセルが公開価格を4.8%下回る初値、ジャパンディスプレイに至っては公開価格を15%も下回る初値を付けるなど昨年末以来の公募価格割れでブーム一巡とまで一部言われていた中、さすが前評判が高かっただけに同社の盛り上がりで一気に捲った感さえある。

IPO事情といえば2013年度のIPOによる資金調達は5,200億円と、前年度の11倍に急増となる見込みでこれは7年ぶりの高水準という。今年もまだまだこれから話題性のある大型上場が控えているが、この辺が産業の新陳代謝を促すかどうか既発組も含めて注目されるところ。


JPX日経400先物

本日の日経紙一面には「JPX日経400先物上場」として、日本取引所グループがROE等に主眼をおいた日本企業400社で構成する新株価指数「JPX日経インデックス400」に連動する先物を、傘下の大阪取引所に10〜11月をメドに上場すると発表した旨が載っていた。

この新指数に関しては既に1月にも書いた通りでETFやら値動きが連動する投信が15本以上登場しており、この先物上場も焦眉の急であったがこの上場によって本来のヘッジはもとより今後はオプション、ほか225やTOPIX等の主力指数と絡めた戦略もいろいろ可能性が広がってくることになる。

大阪取引所はTOPIX先物が移管されたことでその商いも増加傾向にあるというが、この辺は大証銘柄が東証に移管された時にも見られた現象。先物は移管によってSPANが使えるようになることで個人レベルでも先にも書いたNT倍率に着目した取引も盛んになるだろうが、品揃えの充実で選択肢が一段と広がってくることになる。


俄かに動意

本日の日経紙商品面には「パラジウム、一段と上昇」として昨日の東京商品取引所で1グラム2,627円まで上昇し12年11か月ぶりの高値を付けた旨が載っていた。場中ではCBまで発動され、取引一時中断とこの銘柄にしては久しぶりの賑わいといったところ。

世界最大の生産国がロシアで、昨今のウクライナ情勢混迷の継続でパラジウム生産への影響が懸念され、加えて南でも鉱山ストライキの長期化が解消されるメドが立たないあたりが主因となっている模様だが、教科書的に構えた有事の金というよりプラチナ同様先ずは直のものという感じか。

南アといえば、ヨハネスブルク証券取引所で新たにランド建てパラジウムのETFの取引が始まることも明らかになった事もまた影響しているという。国内では三菱信託の純パラETFもこんな事情でジワジワ年初来高値更新してきているが、ETFSなど本日は出来申さずなどモノによってまだリクイディティーの課題が残る。


大阪取引所

週末には1949年から65年にわたって運営してきた「大証」が最後の取引を迎え、連休明けの本日から東証との両取引所におけるデリバティブ市場を大阪に集約し新たに「大阪取引所」としてスタートする運びになった。

この集約といえば前回は東証への現物株の集約であったが、今回は大阪へデリバティブとこれで役割分担が明確化する。これに伴う集約商品としてはTOPIX先物・オプションや日本国債先物ほかVI先物といったところだが現物株ほどすべての投資家に馴染があるというわけではないのであまり話題になっていない感もある。

とりわけTOPIXはこうした分野では225よりマイナーな存在で各社扱いもまたそうであったが、今後扱いも標準化してくれば例えばNT倍率などに着目したサヤ取りなど利便性が向上するであろうし、ETFなどと絡めれば更に選択肢も広がろうというもの。

ともあれこれで統合作業としては最終段階ということになるが、今後はコモディティーや先に触れたように為替等の多様化へコマを進めるかどうかが焦点となってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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