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会見に想う

周知の通り本日は、STAP細胞騒動に揺れる理化学研究所のユニットリーダーが大阪市内のホテルで記者会見を行った。私も思わず見てしまったが、あのノーベル賞を受賞したIPS細胞より簡単に作製出来ると衝撃の発表から数か月、よもやこんな会見を開くとは誰も予想でしなかっただろうが真理はベールに包まれたまま時間がかかりそうだ。

しかしどんな時代でもその期待を映してすかさず反応するのは株価や商品など値段。1月の発表時には日経平均が新興国からの資金流出懸念の再台頭で土砂降りの急落をしている悪地合いのなか、このニュースでバイオ株はそれぞれおもいを込めて大商いで上昇したものだった。

しかし思い出せばあのプラチナやパラジウムを連日乱高下させた常温核融合発見の報だって当初より懐疑的な見方が燻り、いまだ工業などに転用できるような核融合は成功していないがそれでも粛々と研究は続いている。現状ではまだ関連企業や商品の価格変動要因の材料にしかなっていないが夢は捨てず長い目で見てゆきたいものだ。


匿名組合という隠れ蓑

さて、週末の日経紙には「一般投資家へ販売規制」として、従来投資のプロである機関投資家を対象とするため規制を緩くしていた投資リスクの高い所謂プロ向けファンドの販売を、投資経験の乏しい向きへの販売などでトラブルが急増していることを理由に投資家保護のため規制強化する旨が載っていた。

これまで機関投資家が1社投資していれば49人まで勧誘・販売がフリーになっていたが、この要件が金融資産3億円以上など一段と引き締められる案になっており、VCなどのマトモな関係者までもがこのハードルを前に投資が適わないというような事も想定できるというが、やはり一番の要はファンドも投資家もその中身だろうか。

いまだ手元に懐かしい目論見書があるが、一昔前に組成された私募のなかには細かいことを言えばいろいろ証取法上突っ込みどころも出たであろうものの、本当に物凄いパフォーマンスを叩き出した物もあり、またそういった商品は極めてハードルの高い人選がなされたものだった。近年では節操なく大多数に販売したり、果てはその資金流用まで明るみになっているモノが発覚したりと詐欺的色彩のモノが横行しているのは なんとも残念な光景である。


HFTの功罪

昨日の日経紙国際面には「米、超高速取引を規制」として、所謂HFTを活用する投資家の勝ちすぎに対してあまりにも不公平との批判が浮上し米国で各当局が調査に乗り出している旨が載っていた。

この米国ではHFTの売買が全体の5割程度にのぼっているというが、東証でもコロケーションの提供によってHFTの割合は一日平均で売買高の4割超にまで膨らんでいるが現状。確かに個人に無縁とされたこの手の取引も最近は中小型モノなどで明らかに個人の板を読んで刈り取る動きに出ているモノも見受けられるが、年明けから段階的に実施している呼び値変更もまさにこうしたHFTに対するお膳立てとも取れなくもない。

あまりに露骨な板の出し入れを見るに、市場はこれらに包囲され操作されているという一部の意見も信憑性を帯びてくるものだが、最近ではこれに加えて最近はSNS解析も絡めて動作させる向きも増えつつある。従前では想像もしなかったようなアルゴが走り何れもブラックボックスなだけにこの辺が何所まで進化するのか一寸不気味でもある。

フロントランニングめいた?ものも今や合法の範疇な時代になり大義名分的にリクイディティーに厚みをもたらすという点で社会的意義はあるものの、一方では冒頭の通り投資家間の平等性という点で均衡を探る課題が残るか。


復活の芽

先月は再開発の進む日本橋地区でコレド室町の2号館、3号館が新しく開業し、ココに入るお店の案内などが最近多く来るようになった。これまで新しいビルが出来るとその前に何があったかなかなか思い出せなかったものだが、此処は刃物の木屋や書店など一寸前の光景が鮮明に思い出せる。

それはともかく、この度の新館は今人気の処やら有名どころの老舗なども誘致し深夜まで営業する飲食店やオールナイトのシネコンなどなかなかこの地区には今まで無かった面白い構成になっている。余談だがこの開業に合せたのかどうか近隣の店も川床増設など俄かに活性化の試みがみられる。

テナント誘致といえばこんなお店以外でも目に留まったのはオフィス。うち一棟はアステラス製薬が丸ごと借りたというが、バイオの話題があれこれ絶えない昨今大家?の三井不動産は創薬関係ベンチャー誘致を進め薬事審査の迅速化など規制緩和をテコに事業化の後押しを狙っているという。

立地といい施設も最先端でお隣丸の内にも引けを取らないレベルなのは見るまでもないが、オフィス街の競争が激化しているのは周知の事実。直近で国土交通省から発表された公示地価はアベノミクスの影響で東京圏は6年ぶりに上昇に転じることとなったが、これまで地盤沈下がいわれてきたこの界隈も往年の輝きを取り戻す事が出来るのかどうか今後が楽しみである。


商取ランキング

昨日の日経紙商品面には「上海、3年ぶり首位」と題して、FIAのデータを基に東京商品取引所がまとめた世界の商品取引所の2013年の売買高ランキングが出ていた。タイトルの通り上海商品取引所が、夜間取引を導入した貴金属取引や新規上場商品取引の活況で3年ぶり首位に浮上している。

もっとも昨年4位だった上海商品取引所が1位になり、昨年1位だった大連商品取引所が4位と依然中国勢がベスト5入りしている構図。両所の性格から昔の本邦の構図で例えるとTOCOM系が復活し、東穀系がランクを下げたといったところだが、さてその東穀の農産物を引き継いだ日本の東京商品取引所は売買高を増やしたものの昨年の12位から13位へダウン。

2000年以降初めてベスト10から転落したのはたしか2009年だったと記憶するが、国内玉が主流の同じアジア勢の躍進を横目にジリ貧脱却が遅々として進んでいない。次期大型商品など国とどう連携して上場させてゆくのか、その辺の成り行きも引き続き注視してゆきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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